21. マトリックス
日本の漫画やアニメ、特に「攻殻機動隊」や「AKIRA」辺りの影響を強く受けているのが分かる。見たときの年齢や、優れたアニメを見慣れているかいないかで、大きく評価は変わりそう。評価の高いアクションシーンも個人的には別にどーとも思わなかった。単にワイヤーで引っ張って高く飛んだり回転しているだけでスタイリッシュでも何でもないし、カンフーアクションも手抜きかと思えるほど迫力がない。ジャッキー・チェンの映画を見習って欲し…、って、この映画のアクション担当って、かつてジャッキーの酔拳や蛇拳を担当した人なの!?…やっぱり、いい映画を撮るには、色々な条件が揃わないとダメなんだなあと痛感。ストーリーも古今東西のSF映画のごった煮という印象でオリジナリティ皆無。 3点(2003-10-22 18:18:58) |
22. マイノリティ・リポート
さすがに金も手間も掛かっている。でも、それだけ。中途半端な未来世界に加え、プロットは大雑把なミステリー。予知を逆手に取るという発想は面白いが、おかげで完全にタイムパラドックスに陥ってる。全体的には無難にまとまっているが、アクション、謎解き、世界観、どれをとっても中途半端であることは否めない。あ、でも唯一、予知を活かして追っ手を撒くところは「ジョジョの奇妙な冒険」のキングクリムゾンみたいで面白かった(笑)。 4点(2003-09-26 11:14:20) |
23. 魔女の宅急便(1989)
《ネタバレ》 この頃の宮崎アニメには「世界」がある。空気感と言うか、広がりと言うか、単に画が綺麗なだけじゃなく、「こんな世界があったら良いなあ」と思わせる力があった最後の作品。良くも悪くも作品としての緊張感は薄いが、不思議と作品世界に没入してしまう。ユーミンの音楽との相性もバッチリ。 ただ、この作品をして「少女の自立の物語だ」などと評価して欲しくはない。出てくる人たちが余りにも善人だらけで、展開がご都合主義のオンパレード。意図的なものだと思うが、現実世界の厳しさや醜さはほとんど描かれていない。本当の意味でのキキの成長物語はエンディング以降のはずだが、作品として中途半端なところで終わっているのが残念。 [映画館(字幕)] 9点(2003-09-05 11:32:51) |
24. マルホランド・ドライブ
《ネタバレ》 リンチワールド全開。このいかにも「見た人の数だけ解釈の仕方がある」、と言わせたい作り方には賛否両論あるのは当然かも知れないが、まあ、あえてリンチの仕掛けた、夢と現実、虚構や妄想が混沌と入り混じる不可解な世界に遊び、フロイト的な夢の解釈をするもよし、フローチャートでも書いて独自の解釈をするもよし、という楽しみ方をするのが本道だろう。 この手の作品の見方は、アニメの「新世紀エヴァンゲリオン」などに対する見方にも通じるけど、単に一方的にストレートな情報を与えられて、老若男女、何も考えなくても泣いたり笑ったり出来るような作品とは違い、作品に仕掛けられた複雑で多様な情報から重要なピースを探し出し、時にはパズルのように組み合わせたりして、「自分から」積極的に作品の謎を解いたり、テーマを解釈していこうとする「意欲」や「知的好奇心」が無いと楽しめないタイプの作品と言える。 確かにあまりにも展開が不可解で不親切なので万人向けではないが、少なくとも、そうした謎解きを楽しめる程度には色々と「情報」が与えられている作品である。 破綻していそうで破綻していない、解釈できそうで解釈できない、そんなギリギリの内容が、ある種の人間の好奇心を刺激して止まない作品。 [ビデオ(字幕)] 9点(2003-08-31 09:33:39)(良:1票) |
25. マルコヴィッチの穴
テーマ同様、「商品」と「作品」のギリギリ境界線上にあるような微妙な映画。 「人間の意識」に関する、意外なまでにシュールで哲学的な内容。そのくせエンターテイメント性も備わっているので、それなりには楽しめる。 とは言え、「意識」や「主観」について突っ込んだ考察がしてあるわけでもないし、コメディ部分もそれほど笑わせられるほどのものではない。 この真面目さとコメディの中途半端さが、どれだけ計算して狙っているものか分からないという微妙さが売りなのか?そのせいでどうしても「どっちつかず」な消化不良感が残る。 [ビデオ(字幕)] 5点(2003-07-06 11:45:27) |