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1.  マスター・アンド・コマンダー 《ネタバレ》 
予告を見て、青池保子の帆船物漫画か?と思っていたけど、ほんとにそうだった。そうだったけど、青池氏の帆船物の方が、よほど面白いように思うのは、やはり、あまりにもオーソドックスでスタンダートな作りだからだろうか。展開は読めるし(落ち零れ士官が身投げするとことか、負傷した軍医が自分で手術するって言うとことか。ブラック・ジャックするよ、きっと。と思っていたら、本当にするもんなぁ)、ここ!って時に、画面は暗くなるし。当時の戦況からして、そこまで固執する必要があるんだろうかとも思うし。ラストは強引だし。ただ、映画には公開時期というものもあって、本作が公開された当時、マトリックス続編狂想曲に代表される、CG多用映画に振り回されていたこの時期には、こういうオーソドックスな作りが却って新鮮だったのかもしれないなぁ。面白くないとは言わないけど、ワクワクもしなかった。全編、思い切って女っ気無しにしたとこや、軍医が自分の趣味に固執せずに動物達を放してやるとこがいいけど、展開を思えば、これも予定調和なんだなぁ。
[DVD(字幕)] 6点(2005-06-29 23:55:26)
2.  マトリックス レボリューションズ 《ネタバレ》 
マトリックス・トリロジーを評して、「映画史上最大規模のインディペンデンス映画」と言った人がいたけど、なんか最も的を射た評価だなぁと思った。3本通して御立派と思うのは、あくまで撮りたいショットを撮り、撮る為に金も人も技術も総動員した根性。ついでに、日本のアニメのパクリだと冷笑されてはいるけど、少なくとも私は本作を見て、ナウシカやドラゴンボール、マクロスやガンダムを、もう一度見たいとは思わなかった。CG満載というけど、CG無くしては成り立たない映画だし、そのクオリティは群を抜いている。何より、凄いと思ったのは、キアヌ・リーブスが、それぞれのラスト、クライマックス・シーンで見せる表情と雰囲気。1作目の弾丸を止めた後の、あの得も言えぬ表情。2作目のセンティネルを止めた時の迫真さ。そして、本作での、どんどん自我を殺ぎ落としていく様が、凄いんだな。クレーターでのバトルでは、あのコンセプトの作品で、役者が、ああいう表情、あの雰囲気を醸し出してくれたら、そらもう、監督冥利に尽きると思う。そして、やっぱり、あらゆる方向から、あらゆる考え方、様々な問いかけが出来ることが、やっぱり凄いんだよね。
10点(2003-11-06 03:06:08)
3.  マイノリティ・リポート
「スピルバーグらしく無難に大衆受けする内容に纏まってたんじゃなかったんですかぁ?」って感じかな。でも、なんか、アメリカン・ビューティで始まって、リングで終わった感じってのも、正直なとこなんですけど。前半は、無理矢理アクションっぽくってダレたけど、アガサを連れ出してからは、それなりに緊迫感があって、それなりに楽しめた。プリコグの能力全開のシーンがいい。でも、聖域にしろ、収容所にしろ、目玉1個で簡単に入り込めていいんだろうか。それとも、これも未来の、ハイテクの盲点か? 自分の両手で画面が動くオーバー・アクションのトム・クルはカッコイイんだけど、コントローラーで操作した方が簡単だし、ロスもないんでないか? それにしても、「メメント」のガイ・ピアースの時も思ったんだけど、「セブン」のブラッド・ピットは余程印象的なんだろうか。コリン・ファレルが時々ミルズの演技にそっくりで、参った。あの蜘蛛メカは、働き者で可愛いぞ。
7点(2003-07-05 23:19:22)
4.  マイ・プライベート・アイダホ
本作は、良くも悪くも、キアヌ・ファンとリバー・ファンにとっては、未だに衝撃的な作品であり、キアヌとリバーの、以降の行く末まで写してしまったような一作だった。リバーの繊細な演技は、本人が脚本を書き直す程の入れ込み具合からも分かるとおり、硬質さの残るキアヌの演技とは比較にならないものだけど、そのせいで、リバーは永遠の少年のイメージを強くしてしまったように思う。対してキアヌは、敢えて硬質で計算高い役柄に挑んだおかげで、少年のイメージからの脱皮に成功したように思える。当時、リバーは役柄に嵌って絶賛され、キアヌはその硬質さを酷評されたというけど、年齢の過渡期にある役者の、役柄選びのシビアさが見える作品のようだ。でも、キアヌの出演作の中では、本作のスコットのキアヌの声が、一番セクシーなんですけどね。
8点(2003-07-05 22:04:46)
5.  マトリックス リローデッド
これは身に覚えがあるからこそだけど、物語(特に読みきり小説や時間枠の決まっている映画等)を作るうえで絶対にやってはいけないことがある。自分の世界観の独走(押し付けとも言う)と、キャラの詰め込み過ぎ。確かに、3作の中では最も深いけど、正直なとこ、映画館で見終わった瞬間に、これは失敗だなと思った。「だから何なのよ」と、思ってしまう。何より最悪なのは、主役不在になっていること。本作は、これらを同時にやってしまったんだな。監督か製作側かは分からないけど、1作目で世界観と映像技術を賞賛されて、映画の本質を誤解してしまったらしい。脇キャラがどんなに活躍して目立とうとも、観客は結局、主役に感情移入して物語に没頭していくものなのに、本作のネオは、まるっきりアクションの添え物になってしまっている。無論、見せ場はないわけではない。ハーマン評議員との会話シーンや、オラクルとの会話等・・。でも、それらの全てが、舞台でだってあまりお目にかからないほど、殆ど立ち位置から動かない、あるいは座ったままで動きが殆どない状態を強いられていては、直後のアクションが派手なだけに印象に残らないし、もはや役者が気の毒としか言い様がない。そう思うと、やっぱり、何度見ても、カー・アクションに時間を割くくらいなら、ザイオンでのネオの孤絶感を掘り下げて欲しかった。ついでにトリン。もう少し描写のしようはなかったのかなぁ。リンクを思うジーが出てきた分、トリンって、ネオを愛してるの?それとも救世主だから愛してるだけ?って思ってしまって、この不快感はレボまで引き摺ってしまう。ネオが笑っちゃうくらいチェリー・ボーイしてるから、余計、不快だ。構成のせいか、キャリアの差か、個性のせいか。チェリー・ボーイ・ネオは、キアヌの持ち味でもある滲み出るような人恋しさの賜物だし、キアヌのアクション・シークエンスも、センチネルスを止めた危機迫る表情も、絶品だったんだけどなぁ。とにかく、よく考えさせてくれる作品だけど、作り手側のミスというか、独り善がりが目立ち過ぎ。
8点(2003-06-30 01:00:59)
6.  マトリックス
「スター・ウォーズ」の時に、R2D2を見た衝撃度を思えば、マトリックスの衝撃度も、やはり、このランク。しかも、初見の時よりも、2度目、2度目より3度目と、味わいが深まるのは、ネオに集中して描かれたストーリー性の賜物。何より、キアヌ・リーブスの役者としての魅力を、最大限に引き出した一作。キアヌの魅力は、どうしていいか分からないまま引き摺られる受け身的な、その曖昧さで、本作は、そんなキアヌの持ち味を十二分に引き出して、映画の養分にもしている。日本アニメやSFのパクリと、突っ込み所は山程あっても、それを、一度はやってみたい夢に見るようなアクションと、変にべたつかないロマンスに絡めて、やっつけたい奴をやっつける快感を満喫させてくれて、でも、ほんの少し緊張感の残るラストを、過不足のないキャストで、見事に実写で映像化した本作は、やっぱりパーフェクトなんだなぁと、思う。無論、マトリックス全容の評価は、「レボリューションズ」を待たなくては、出来ないけれど。
10点(2003-06-09 00:54:31)(良:1票)
7.  マルコヴィッチの穴
「作りたいものを作るのは簡単。それをニーズに乗せるのが難しい」と言ったのはフェリーニ監督でしたけど、そんな感じの映画だったな。見る人によって評価は分かれると思うし、感じる部分とか観点も全然違ってくる、色んな見方が出来ると思うけど、普通に映画が好きな人には受けないと思う。個人的には、マルコビッチがマルコビッチに入ったシーンにバカ受けした。「心の闇」って言ってたけど、役者には必要悪っぽいし。でも、どんな名優でも出来ない役が二つある。自分の年齢よりも遥かに若い役と、異性の役。女が男に入る、男が女に入るって、そういうことかな。若返ることも、出来ないしね。良くも悪くも、強烈な印象のある一作だった。
6点(2003-05-18 14:09:19)
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