1. マトリックス レボリューションズ
《ネタバレ》 ああ、終わってしまった。本作品もそれなりに面白かったけど、やはり想像力を刺激し続けてくれた1作2作に比べるとやや落ちる。最後はオラクルの仕掛けたトロイの木馬型ウィルスが発動したのか。そうだとすると、ネオがジーザス・クライストよろしく磔になって命を投げ出す必要はなかったような気もするが。 とはいえ、もともと「マトリックス」が「攻殻機動隊」からの強い影響の下に製作されたことを考え合わせると、ネオの「磔刑」は人間と機械との和解(「攻殻機動隊」では結婚)を表現したものと考えるのが妥当なのだろう。オラクルは(草薙素子に結婚を迫ったプログラムと同様に)機械の世界にも不確定性が必要と確信しており、オラクルの作成したスミス退治プログラムにとっては、人間であるネオが必要だったのだと考えられなくはない。ネオは、結局、機械の世界で動く駒で終わり、システムの外には出られなかったわけだ。何かと不満はあるけど、何と言っても「マスター=スレイブ型のランドメイト」を実写で見せてくれた点には満足。 7点(2004-06-08 13:35:59) |
2. マルホランド・ドライブ
この映画はそう単純ではない。しかし、内容の分析については、ネットで検索すればいくらでも見つかる。そこで整合にして緻密な解釈を発見し、本作が細部まで作り込まれていることに気付いて感心したが、逆に理解してしまったことで、この作品への評価が下がってしまった(それでも8点)。やはり、いくつかの手品のタネのように、わかってしまうと面白くないことがある。人生はそう単純ではないものだ。もっとも、もう一度見てみればまた印象が変わるかもしれない。繰り返し見る気が起こらないという方は、奇矯な言動や性的倒錯が生み出す「濃さ」に辟易してしまったのだろう。10年以上前、映画「ツイン・ピークス」を見た時、私も同じように感じたと思う。しかし、年を経て色々なことを見聞し、体験していくうちに、多少の刺激では動じなくなった。今後、本作を繰り返し観ることになるとすれば、それは自分が鈍感になったからというわけだ。鈍感であるからこそ、物語の奥深くに向けて鋭敏になれる。人生はそう単純ではないものだ。 8点(2004-05-20 13:29:25) |
3. マトリックス リローデッド
《ネタバレ》 1作目を凌駕するできばえ。完結編が持ち越しになった点にはあざとい商業主義を感じるが,結果的にはシリーズの楽しみが増加したように思う(エヴァンゲリオンの時のように)。 本作では私怨を晴らすために行動していたように見えるスミス(すでにエージェントではない)が,予告編を見る限り,実は重要な役割を果たすことになるようである。ここから察するに,次作ではスミスというシステムのバグを利用してネオがシステムの外に出るのではないだろうか。システム内部にいる限り,システムによって決定づけられた行動しかできないのであれば,第3の道をひらくためにはシステムの外に出るしかない。その手段としてスミスを利用する,と考えるわけである。しかし,レボリューションズでは,この発想を遙かに超える作品を観させてもらえることを期待する。 モーフィアスよりも重要な役柄の人物が登場する割に,ローレンス・フッシュバーンよりも存在感のある役者が登場していないことが,この映画の欠点であろう。特に,アーキテクチャーの「口先だけの男」的な軽さはいただけない。これは演出の問題かもしれないが。 最後に。ベインにはスミスのプログラムが憑依しているという明白な事実にすら気づかずにぼんやりと鑑賞している観客には観る価値のない映画であろう。この映画で本シリーズの表面的な(単に話題作だからという理由で映画館に蝟集する)ファンが一掃され,レボリューションズを快適に鑑賞できることを願う。 9点(2003-10-31 10:45:16) |
4. マトリックス
往年のSFファンとしては、サイバーパンクのキーワードである「マトリックス」という概念を陳腐化(大衆化)させたところに意義のある映画といえます。彼らの活躍する仮想世界は元祖「サイバースペース」なのですが、サイバースペースという言葉は今や別の意味を持つに至っているため、マトリックスというネーミングが採られたのでしょう(あと10年早ければ……)。元祖サイバースペース的情景は、「アニマトリックス」に収録されている「セカンドルネッサンス」で堪能することができます。この映画そのものについてですが、映像的に面白い映画はそれだけでも評価できますし、大がかりなスペクタクルと独特のアクションなどもひっるくるめて、普通に面白い映画だと思います。 7点(2003-06-17 16:14:57) |