1. 街の灯(1931)
古今東西いろいろな映画が生まれ、それぞれにさまざまな感動があると思います。けど、これほどまでに美しく、そして切ない感情に揺り動かされたことはありません。あの山高帽の紳士の、何が彼をそうさせるのでしょう?全編を通じて彼が繰り広げる笑い・涙・不安・焦り、たくさんの、本当にたくさんの感情の源は、そのすべてが彼女への無垢なる“愛”ゆえのことだったのです。人を愛するということの素晴らしさ、そして切なさを強烈に目の当たりにし、そしていくばくかの悲しさをたたえながら、それでもなお“見えている”ことの喜びを知って浮かべるラストのあの微笑み・・・・・・・・。その時の彼に寄せる私の思いは、憐れみでもなければ同情でもない。それに近い感情であることは確かだけれど、もっと崇高でむしろ憧憬にも似た懐かしさすら感じさせるものでした。…彼の心を知るのに、言葉はいらない。 10点(2002-09-14 14:27:37)(良:2票) |