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1.  マン・オン・ザ・ムーン 《ネタバレ》 
「カウフマンを面白いと思うか」と「この映画を面白いと思うか」は、全くの別モノなのかもしれない。自分の場合、前者はNo、後者はYes。素材はイマイチだけれど上手く味付けしたなぁというのが感想(逆の事を思う人の方が多数かも?)。特に後半部分が秀逸だ。自分の孤独や苦しみを他人に理解・共感してもらえないことほど辛いことはない、と考える人は多い。特に癌なんかに侵された日には。でも、それで笑いを取ろうと考える人は、少ない。そして、取った笑いで自分も笑っちゃおうとする癌患者なんて、ほぼ皆無。こんな稀有な人間を演じるのって不可能に近いとも思えるのだけれど、キャリーの熱演の中にその光と影が見事に宿っていた。正直、カウフマンというコメディアンに対しては何の評価も出来ない。ただこの作品、他人から笑いや怒りを引き出すことを生きる糧にしている人間の、死を直視してなおそれに貪欲に突き進む姿と、その「死に方」こそが結局その人の「生き方」なのかな、と思わせる人生の幕引きの見せ方は上手い。これは殆どキャリーの好演のなせる技。それを確信させられるのが、インチキ療法中の吹っ切れ笑顔と葬儀中のミュージカル調フィルムということで、どうもこの映画、カウフマンが笑えるか笑えないかでは評価出来ない気がする。
8点(2004-03-29 09:09:47)(良:2票)
2.  マトリックス
この映画を「凄い」と思う時、劇中のマトリックスの中に自分が置かれているような気になる。「凄い」んじゃなくて、「凄い」と思わされているような。「凄い」と思うように、プログラムの製作者達・エージェント達によって操作されているような。……ま、「面白ければ」別にいいのかも知れないけれど。ただ、こんな風に、私たちは映画の作り出す仮想現実に空腹を満たされ、お腹も空かないのにもっと欲しくなり、もっと欲し続けるうちに常に満たされずにはいられなくなり、満たされ続けるうちに結局は何が欲しいのかも分かんなくなっちゃったりするのかな。・・・うーん、もしかしてこの映画に「凄い」って賛辞を贈ることは、この「もっともっと」のらせんを駆け上がる、ちょっと危険なことなのかも。もっとリアルに!もっと刺激的に!もっと破壊的に!……でも本当に欲しい(見たい)ものって……??「先端技術もれなく搭載」だけが取り得に見え始めたこの映画、ほんとに「凄い」のかちょっと考えてみます。だからこの点。
6点(2003-12-21 11:58:34)(良:1票)
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