1. マルタのやさしい刺繍
絵に描いたようなスイスの村。日本人なら「まあすてき!」と言いそうな風景ですが、ご多分に漏れず頑固な人たちが昔ながらの道徳観でお互いをがんじがらめにして生きています。そしてよりにもよって、なんとこの村で下着ショップを始めようとするマルタおばあちゃん。嫌がらせが雨あられと降ってきます。さあ、どうなるのか? 本作を見ていると友達って大切だな、って思わずにはいられません。一方、この狭い村の中でなんとか這い上がろうと奮闘するナントカ民主党の党員も気の毒っていえば気の毒かな。 [DVD(字幕)] 7点(2009-09-19 05:59:05) |
2. まあだだよ
内田百閒自身を含め、出てくるのはとびきりの善人ばかりのおとぎ話です。要するに全編ウソばかりなんですが、全山紅葉の中でぬるい温泉につかっているように、「ま、いっか・・・」なんて思えてもきます。ここまでリアルに「心地よいウソ」を作り出す力はやはりただ者ではありませんね。 [DVD(邦画)] 6点(2009-08-22 06:17:56) |
3. マンダレイ
な~んの予備知識もなく見始め、「へ?」とか思いながら、なおかつちょっと居眠りなんかもしながら見ていたのですが、最終章でやられました。いやあ、めちゃくちゃパンチの効いた映画でした。やるなぁ、監督・・・。カラマーゾフの兄弟の大審問官とも通じるものがありますね。 [DVD(字幕)] 7点(2009-05-05 05:36:15) |
4. マグダレンの祈り
つきあいで見ました。ごく近年まで実在したアイルランドの修道院の話です。なによりも恐ろしいのは、圧政の恐怖の元にひれ伏し、圧政のいうがままになって、結果的には圧政を支えていくことになる弱者たちの存在です。一般的には圧政の被害者であると考えられている彼ら自身こそ、圧政を作りだしている張本人なのではないかと、この映画を見て思わずにはいられませんでした。 [DVD(字幕)] 8点(2009-02-25 06:17:00) |
5. 迷子の警察音楽隊
日本人が見ればあまりにも殺風景なイスラエルの小さな町。バスを乗り間違えてこの町へ迷い込んでしまったアレキサンドリア音楽隊(エジプト人)の一行。画面の中からイスラエルの風景が持つ乾いた暖かさが伝わってきます。どこにでもあるようなとまどいとためらいの中で、かつて敵対していた人々の心が通い合い、そしてとうとう、大きな苦悩を背負うエジプト人の隊長がほんの少しだけほんとうのことを言います。それはほんの少しだけだけれども見る人に大きな感動を与えずにはいられません。エジプト人の若者によるイスラエル人の若者への恋の手ほどきの情景もほほえましく、そしてやさしく、たった一晩のできごとながら、見る者に多くの余韻を残す佳品です。 [DVD(字幕)] 10点(2008-12-29 20:40:56) |