1. 魔法にかけられて
《ネタバレ》 主人公が現実世界からファンタジー世界に行くのではなく、その逆というのが斬新ですね。 導入部も「お馴染みのディズニーの城の中に入り込む」という形で凝ってるし、とても丁寧な、考え込まれた作りの品だったと思います。 世間の評価が高く、傑作とされているのも納得。 ……ただ、観る前にハードルを高くし過ぎたせいか(期待値ほどではなかった)という印象を受けたりもして、そこは残念。 決定的に駄目な部分があるって訳じゃないんだけど、なんか細かい部分で(んっ?)と気になっちゃう事が多いんですよね。 例えば「一緒に楽しく掃除した仲のはずなのに、虫が鳥に食べられちゃう場面」なんかは、可哀想過ぎて好きになれないですし。 主人公のジゼルはファンタジー世界の超能力をそのまま現実世界に持ち込んでる形なのに、リスのピップは現実世界では喋れなくなるというのも(何で?)と思えちゃいました。 あと、これは「細かい部分」じゃなく、ラブコメとして割と重要な部分かも知れませんが…… 彼氏役のロバートがジゼルに惹かれていくのは分かるんだけど、ジゼルがロバートを好きになる過程が曖昧で、二人の恋路を応援したい気持ちになれなかったんですよね。 これ、主人公がロバートだったなら「ヒロインが主人公を好きになる過程は、描かれずとも問題無い」「主人公目線で描かれた話なのだから、きっと見えないところでヒロインなりの好きになる事情があったのだろう」と納得出来たんですけど、実際はジゼル主視点で作られてる訳だから、どうにも物足りないんです。 そもそも二人とも「結婚するはずだったエドワード王子がいる」「プロポーズするはずだった恋人のナンシーがいる」って設定にしたのがマズかったんじゃないかと。 障害のある恋の方が燃えるってのは分かりますが、障害を設定した以上は、それを越えるだけの説得力が欲しくなるんですよね。 劇中の二人に「この世で一番強い魔法」「真実の愛のキス」が出来るほどの絆が描かれていたかと考えたら、甚だ疑問。 そんな二人のせいで「余り物」となったエドワード王子とナンシーが結ばれる流れも、あまりにも都合が良過ぎたように思えます。 でもまぁ、全体的には「楽しい雰囲気の、良い映画」だったので、それなりに満足。 特に、ジゼルが公園で歌う場面なんかは、観ていて嬉しくなっちゃいましたね。 異世界の人々とも、音楽があれば分かり合えるという展開が、実に自分好み。 本作をミュージカル映画と考えるなら、この公園の場面が一番良かったと思います。 ジゼルが語る「斧を振り回して狼を追いかける赤ずきん」は、是非映像でも見たかったなぁって思えたし、そういう小ネタが全体に散りばめられているのも、大きな魅力。 自分としては、クライマックスで女王がドラゴンと化し「キング・コング」のオマージュ的展開になる辺りが、一番面白かったですね。 どうやら他にも色んなディズニー作品のパロネタが散りばめられているようなので、もっとディズニー作品に詳しければ、より楽しめたかも知れません。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2023-11-03 18:53:46) |
2. マウス・ハント
《ネタバレ》 人間にとってネズミは害獣だけど、ネズミにとっては人間が害獣という、そんな当たり前の事に気付かせてくれる映画ですね。 圧巻なのは「釘打ち機」の場面であり、人間による何気無い大工仕事が、ネズミにとってはトンデモない災害となる事を描いていて、これには感心しちゃいました。 日常生活で見慣れたはずの「釘」が、ネズミ目線だと凄まじい殺傷兵器になっちゃうんだから、もう吃驚です。 こういう「視点や発想の切り替えによる面白さ」って、観ていて嬉しくなっちゃいますね。 ベッドや時計もあったりして、居心地が良さそうな「ネズミの寝床」の描写も好きだし、カップの取っ手を潜ったり、ピアノの鍵盤を走ったりと、家を駆け回るネズミの描写が、きちんと面白かった点も評価したいです。 ただ、ネズミの糞を食べたりとか、観ていてエグい場面もある事。 そして、終盤の展開が唐突過ぎて、流石に白けちゃった事が残念ですね。 特に後者は致命的であり (えっ……なんで主人公兄弟とネズミが仲良くなってるの?) って、全く納得出来ないまま映画が終わっちゃう訳で、置いてけぼり感が凄かったです。 弟のラーズは「糸」に拘りがあったはずなのに、最後は製糸工場からチーズ工場に変わってるのも、何かスッキリしないし…… 気になって計ってみたら、主人公兄弟が家を失い疲れ果てて眠るシーンから、僅か三分で無理矢理ハッピーエンドにしてるんですよね。 これは流石に急展開過ぎるし、説明不足でもあったと思います。 ネズミがシェフになるオチとか「レミーのおいしいレストラン」(2007年)を先取りした感じでもありますし、一見の価値はあると思いますが…… 最後の最後で、絡まった糸のようにモヤモヤが残ってしまう。 そんな一品でした。 [DVD(吹替)] 6点(2021-12-08 06:34:01) |
3. マンイーター
《ネタバレ》 地に足の付いた、王道のモンスターパニック映画って感じですね。 オーストラリアの奥地を舞台としており、適度な「旅気分」を満喫させてくれるし、始まって十分もしない内に皆を乗せた舟が「クロコ探し」に出発するのもスピーディーで、良い感じ。 川下りの際に「アフリカの女王みたいだ」って、自分が思った事を劇中人物が口にしてくれるのも、妙に嬉しかったです。 ワニに襲われる恐怖だけでなく「緊急避難先の小さな島も、やがて満潮になれば水没してしまう」っていう恐怖を付け足してる辺りも上手い。 救助を待つべきか、危険を承知で脱出を試みるべきかという二択問題に「制限時間」が設けられている形であり、緊迫感を高めていたと思います。 ・遭難者の中で最も頼りになりそうな人物が、真っ先に喰われてしまう。 ・嫌な奴が「実は良い奴だった」と判明した直後に喰われてしまう。 ・餌にされずに済んだかと思われた犬が、結局は喰われてしまう。 ・喰われたかと思われたヒロインのケイトが、実は生きていた。 って具合に「誰が生き残るのか」を読めなくする、適度な意外性を盛り込んでいる辺りも上手かったですね。 主人公についても、途中で手を喰い千切られる場面があるもんだから(もしや?)と思えて、最後まで油断せずに観ていられましたし。 「自らを囮にして、木の杭で串刺しにする」っていうワニの倒し方も、派手で良かったです。 翻って、短所を述べるなら…… やはり「島から脱出した後が、少し冗長」って辺りが挙げられるかな? これを欠点と言うのは可哀想な気もしますが「小さな島に漂流してしまい、周りにはワニがいるので逃げられない」ってシチュエーションが魅力的だっただけに、島からの脱出に成功した後は、もっと手早く纏めて欲しかったんですよね。 漂流者グループの人数が多かった割に、島の脱出後は主人公以外が殆ど出てこなくなるってのも、流石にバランスが悪い。 お陰で、主人公とワニが戦ってる最中にも(他のメンバーはどうなったの? 無事に逃げ切れたの?)って事が気になって、折角のラストバトルに没頭出来なかったですし。 結局「途中で別れたメンバーは全員無事に助かった」ってオチになるので、ハッピーエンド色を強める効果はあるんですが、マイナスの方が大きかったんじゃないかと。 「中盤までは面白くて、終盤ちょっと退屈」って構成なので、鑑賞後の印象という点では不利になってしまうのが残念ですね。 呑気なエンディング曲も味わい深いし、憎めないというか、愛嬌のある映画ではあるんですが、傑作とは言い難い……そんな一品でありました。 [DVD(吹替)] 6点(2020-09-30 08:39:10)(良:1票) |
4. マイノリティ・リポート
《ネタバレ》 さながらオーケストラの指揮者のように、空中に浮かんだ情報の数々を整理する主人公の姿が印象的。 他にも「エレベーター式で上下にビルを移動する車」「次々に新しいニュース映像が表示される為、紙一枚分の薄さで事足りる新聞」など、近未来的なギミックが次々に飛び出すもんだから、それらを眺めているだけでも退屈しないし、面白かったですね。 裏路地のトンネルや、シリアルの箱にまで忙しなく映像が表示されるという「情報過多社会」を描いており、ディストピア的な雰囲気を醸し出す一方で「風船売り」の存在だけは今と変わらぬ等身大のまま描いてるってバランスなのも、実に興味深い。 この辺りは、たとえ世相がどれほど変質しようとも「夢を売る商売」だけは変わらずにいて欲しいという、作り手側の願いが込められているんじゃないかな、って思えました。 独特の粗い画面処理も魅力的だし、それらの「視覚的な面白さ」は満点に近いものがあったのですが…… ストーリーの方はといえば(何で?)と思える部分が多かったりして、残念でしたね。 まず、主人公の息子ショーンを誘拐した犯人が最後まで分からず仕舞いって事には、ひたすら唖然呆然。 こう言ってはなんですが、全体的にかなり無理のある展開を重ねている訳なんだし、ここも適当に「知り合いの誰かが犯人だった」って事にして、決着を付けても良かったんじゃないかって思えました。 あるいは、単なる事故死だったのをラマー局長が誘拐殺人に偽装して、主人公のジョンを「殺人の被害者代表」「犯罪予防局の象徴」として担ぎ上げたとか、何でも良いので、観客に「答え」を提示して欲しかったですね。 ジョンの眼球が便利アイテム過ぎて「とにかくID認証システムさえ突破すれば、セキュリティを無効化して自由に侵入出来る」って形になっているのも、流石に不自然。 「システムに頼り切って警戒を怠っている人間」の迂闊さを描いているのかも知れませんが、作中で二度も同じ手を使っているとなると(いや、ジョンは指名手配されてるし、その後に捕まってるんだから出入り禁止にしておけよ)とツッコんじゃいます。 ラストにて、主人公と妻が復縁するハッピーエンドになるのは歓迎なんだけど、さながら失った息子の代価のように「妻が妊娠した」というオチを付け足しているのも、ちょっと即物的過ぎて、興醒めしちゃいました。 勿論(ここは上手い脚本だな……)と感じる部分もあって「どれだけ息を止めていられるか」「片目でも見える奴がキング」などの台詞が伏線になっている辺りは、素直に感心させられましたね。 「殺人は予知されるもの」という先入観ゆえに、銃を突きつけられても平然としていた男が、警報を耳にした途端に怯えを示す展開なんかも、この設定ならではの妙味があって、面白い。 元部下に追われる展開になるんだけど、その際に「二分待ってから警報を鳴らすよ」「お願い、チーフ。抵抗しないで」などの台詞を挟み、主人公に信望があった事を示している辺りなんかも、妙に好きです。 それによって主人公が「良い奴」なんだって事が伝わってくるし(部下達が同情的だからこそ、追撃を何度も振り切る事が出来たんだ)って思えて説得力があるしで、二重の意味で効果的だったんじゃないかと。 それと、予知通りにリオ・クロウを殺すのかと思われた中で、ギリギリで踏み止まり「君には黙秘権がある」と。怒りと悲しみを押し殺して逮捕しようとする場面が凄く良かっただけに、その後「実はリオは犯人ではない」という陰謀色の強い展開になるのは、失敗だったんじゃないかって思えちゃいましたね。 これなら「ショーンを誘拐して殺した犯人は、リオ・クロウである」「主人公は彼を殺さずに逮捕し、プリコグの殺人予知システムは絶対ではないと証明してみせた」って形で終わる方が、ずっと綺麗に纏まっていた気がします。 ちなみに、本作には直接の続編となるテレビドラマ版「マイノリティ・リポート」(2015年)なる代物が存在しているのですが、そちらでもショーン誘拐事件の真相は明かされず仕舞いで、しかもドラマ自体も物凄く中途半端に終わってしまう為、あまりオススメ出来ないのが残念ですね。 ビジュアル面、ガジェット面の面白さは「傑作」と呼ぶに相応しいのでしょうが…… 映画として総合的に判断すると「中々良い映画」くらいの評価に落ち付きそうな、そんな一品でありました。 [DVD(吹替)] 6点(2019-02-15 12:35:11)(良:2票) |
5. マイラ
《ネタバレ》 手術前の「切ったら生えてこないぞ。髪の毛やツメとは違うんだ」という台詞が、非常に生々しい。 ラクエル・ウェルチが性転換者を演じるブラックなコメディ映画という事で、ある程度覚悟した上で観たはずなのですが、冒頭のこの台詞の衝撃だけで、もう参っちゃった気がしますね。 想像以上に同性愛色が強く、しかもウェルチとファラ・フォーセットによる美女同士の絡みはおざなりなのに、男優のお尻はやたらと性的に撮っていたりするもんだから、ちょっと付いていけなかったです。 特に後半の、女性となったマイラが男性であるラスティのお尻を犯す場面なんかは、たっぷり時間をかけて、しかも力を込めて描かれており、正直言ってドン引き。 如何にもアメリカらしいマッチョ的な価値観「男らしさを誇示する男」に対する批判とか何とか、そういった建前があるのは分かるんだけど(これ、監督さんも同性愛者で性欲を発散させただけなんじゃない?)としか思えなくて、興醒めしちゃいました。 その一方で、今観ても斬新な場面が数多く存在しており、そちらに対しては素直に感心。 公開当時は結構な批判を受けたそうですが、その理由としては「演出が斬新過ぎて理解しきれなかった」ないしは「才能に溺れた自己陶酔的な作りが鼻についた」という面もあったんじゃないかなぁ……と思えました。 特に、古典映画の一場面やら曲やらを切り貼りして、登場人物の心象風景を表すというアイディアは、凄く良かったですね。 例として挙げると「マイラが耳を塞ぎたくなるような言葉を掛けられる」→「モノクロ映画で、耳を塞ぐシーンの映像が挟まれる」といった感じで、視覚的にも分かり易いし、非常にテンポが良く、御洒落でもある。 性転換前のマイロンの姿だったのが、ドアを潜ると同時にマイラの姿に変わったりする演出なんかも、楽しかったです。 「アメリカ人は男も女もレイプされたがっている」といった過激な出張があるかと思えば「1935年から1945年の10年間、アメリカ映画にクズはありません」「あの頃が全盛期ね。音楽の衰退は悲しいわ。映画の衰退も悲しいけど」なんていう懐古主義的な発言があるのも興味深いですね。 主人公マイラは「古臭い男らしさ」を嫌っている訳だけど、その一方で「古臭い映画」は礼賛している訳であり、そんな矛盾した考えが「男なのに女でありたい」「男が好きなのに男らしさを否定したい」という主人公の性的欲求とも合致しているという形。 マイラは念願叶って女になっても、結局は不幸な結末を迎えてしまう訳で、そんな根本的な矛盾を抱え込んだキャラクターを丁寧に描いているな……と感じました。 性別の壁を越えて愛した女性から「もし、あなたが男だったらきっと恋をするわ」と言われてしまう展開も、とびきり皮肉が効いていて面白いし、マイラが机の上に立って、下着を脱ぎ捨て「女になった証の股間」を男共に見せ付ける場面なんかも、忘れ難い味がありましたね。 そんな終盤の展開は好みだっただけに、最後の最後で「結局全ては、マイロンが見た夢に過ぎなかった」という夢オチに着地するのが残念なのですが……まぁ、これに関しては「大して美男子でもないマイロンが、手術を受けたくらいでマイラみたいな美女になれる訳無いじゃん」って事で、仕方の無い結末だったんでしょうか。 そういった「現実的な夢オチ」の後だからこそ、理想の美女であるマイラと現実のマイロンとが仲良く一緒に踊るエンディングは、陽気な中にも物悲しさを秘めた、独特の味わいに仕上がったというプラス面もある訳で、本当に評価が難しいです。 色んな意味で衝撃的な作りであるのは間違い無いし、出演者もやたらと豪華で、伝説的なカルト映画となったのも納得。 「映画好き」というより「映画オタク」というタイプの人に合うんじゃないかなぁ……って、まるで自分は「映画オタク」ではないかのような感覚で考えてしまう、そんな一品でありました。 [DVD(字幕)] 6点(2018-09-05 07:32:59) |
6. マーヴェリック
《ネタバレ》 ポーカーを題材にした映画は色々ありますが、その中でも本作が一番好きですね。 といっても、単純に「ポーカー映画」と評するのも躊躇われる程に色んな要素が盛り込まれており、それら全てが喧嘩せず綺麗に纏まっているんだから、これは凄い事だと思います。 最後の「実は親子だった」というオチも鮮やかに決まってるし、何より映画全体から「観客を騙そう」という意思よりも「観客を楽しませよう」という意思が伝わって来るんですよね。 自分は、この手の「どんでん返しオチ」に対しては拒否反応を抱く事もあるんですが、それって要するに「作り手が観客を楽しませる事よりも、観客を騙して悦に入る事を優先させている」と感じてしまうからこそ嫌な気分になる訳で、本作には、そういう気配が全く無いんです。 なんせメインとなる「ポーカーの勝負」に興味無い人でも楽しめるよう「銃撃戦」「暴走した馬車を止めようとするアクション場面」「ヒロインとのロマンス」などを、合間合間に盛り込んでるくらいですからね。 此度、久々に観賞してみて(こんなにポーカー以外の要素が多かったのか)と驚きましたし、多彩な魅力をバランス良く提示する監督の手腕には、改めて感服させられました。 メル・ギブソンも飄々とした主人公を魅力的に演じてるし「木曜日の夜に脚本を読み、金曜日の朝にOKの返事をした」というジョディ・フォスター演じるアナベルも、とびきりキュート。 原作ドラマで主人公ブレット・マーヴェリックを演じたジェームズ・ガーナーが「主人公の親父」役で登場するというファンサービスも、心憎いですね。 西部開拓時代の世界も雰囲気たっぷりに再現されており、音楽もそんな世界観を壊さぬようクラシカルな選曲がされている訳だから、もう画面を眺めているだけでも楽しくって……観賞中は、とても充実した時間を過ごす事が出来ました。 そんな中、あえて気になる箇所を挙げるとすれば「主人公のブレットが、弟のバートと名前を間違えられる理由」「ダニー・グローヴァー演じる銀行強盗の正体」の二つの謎が、作中で解き明かされていないという、その辺りが該当するでしょうか。 恐らく「原作ドラマ版では、兄弟によるダブル主人公であった為、本作の主人公が兄のブレットとも弟のバートとも解釈出来る余地を与えておいた」「実は生きていたポークチョップ」が正解だとは思うんですが、出来れば明確な答えを示して欲しかったです。 それと「エンジェル達が入念に身体検査して金を奪わなかったのは不自然」「ディーラーがトランプの束を摩り替えるシーンが分かり易過ぎる」って辺りも、不満点と言えそうですね。 前者に関しては、マックス・A・コリンズの小説版ではキッチリ金を奪われるシーンがあっただけに、余計に「なんで?」と思えてしまうし、あれだけの大金を奪われずに済む展開なら、もうちょい理由付けが欲しい。 また「最後にマーヴェリックがスペードのエースを引けた理由」に関しても、小説版では「母親が病死する際にも、母の為にスペードのエースを引いてみせると予告したのに、引けなかった過去がある」というドラマ性「保安官が密かにスペードのエースに摩り替えておいた」という裏付けがあったのに比べると、本当に「魔法で引き当てた」としか思えない作りになっており、ちょっと物足りなさがありましたね。 小説版では、第二のヒロインとして「蛇使いのバアさん」が登場し、この「とうとうスペードのエースを引き当てる事が出来た場面」を大いに盛り上げていたりもするので、興味が有る方には、是非ご一読してもらいたいです。 映画と同じくらい面白くて、オススメですよ。 [DVD(吹替)] 8点(2018-08-16 22:36:38)(良:2票) |
7. マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋
《ネタバレ》 優しいファンタジーという言葉が似合う一品ですね。 作中で人の死が描かれているのに、ちっとも残酷じゃないし、不愉快じゃない。 結局、最後までマゴリアムおじさんの詳しい正体は謎のままであり、その事に対し引っ掛かりを感じてもおかしくなかったのですが、本作では特に気になりませんでしたね。 不思議な存在であるのなら、不思議のままで良いか、と思わせてくれました。 マゴリアムおじさんの飄々とした生き様や、モリーの女性的な魅力にも惹かれましたが、一番のお気に入りはヘンリーとエリック少年の関係性。 年齢という垣根を越えて友達になれた二人の姿は微笑ましかったし、何と言ってもエリックが背広姿になって「買収」に訪れたシーンが好きなんですよね。 (そう来たか!)という驚きもあったし(小さな子供といえども、本気で店を守りたい一心で行動しているんだな……)と思えました。 コレクションの帽子を売ろうとするエリックに対し 「帽子は売っちゃダメだ」 と即答するヘンリーの姿も良かったです。 幼い友達が、どれだけ帽子を大切に思っているかを理解しているからこその発言と感じられて、心が温まる思い。 最後もハッピーエンドで綺麗に纏めており、非常に好ましい映画なのですが 「マゴリアムおじさん死後の店を、どう立て直すか?」 という問題を、簡単に解決し過ぎたような印象も受けましたね。 一見すると不可能に思える事でも、心の持ち様一つで容易く成し遂げられるという前向きなメッセージが込められていたのかも知れませんが、ちょっと疑問符が残りました。 他にも、拾い切れていないと感じる要素が幾つかあったりして、不満もあるのですが、総じて魅力に感じる部分の方が多かったですね。 店を主題とした映画を観賞した後に「この店、行ってみたいな」と感じた以上は、あまり難しく考えず「この映画を観て良かった」と素直に認めたいところです。 [DVD(吹替)] 6点(2016-05-28 20:14:51) |