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自己紹介 映画を観る楽しみ方の一つとして、主演のスター俳優・演技派俳優、渋い脇役俳優などに注目して、胸をワクワクさせながら観るという事があります。このレビューでは、極力、その出演俳優に着目して、映画への限りなき愛も含めてコメントしていきたいと思っています。

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1.  マリアの恋人 《ネタバレ》 
この映画「マリアの恋人」は、ロシアでツルゲーネフの「貴族の巣」やチェーホフの「ワーニャ伯父さん」を撮ったアンドレイ・ミハルコフ=コンチャロフスキー監督がハリウッドへ進出して撮った作品です。  コンチャロフスキー監督の特質は、人間の精神の問題を日常生活の中で"ささいで、極限的"なシチュエーションで現代社会の風景を描くところにあると思っています。  この「マリアの恋人」は、「チェベングール」をはじめとする一部の作品が発禁になっていたアンドレイ・プラトーノフの原作ですが、マリアという名前が象徴しているように、この映画は一種の処女懐胎の物語だと思います。  戦争から帰還したジョン・サベージ扮するイバンは、以前から愛していたマリアと結婚する。 しかし、余りにも純粋に精神的に愛しすぎたために、結婚を果たしてもマリアの前では性的不能者となってしまう。  焦燥感にかられ町を去るイバン。一方、マリアは流れ者の歌手に肉欲を煽られ、身ごもってしまう。 しかし、このことが原因で、初めてイバンとマリアは結ばれる。  崇高な愛と肉欲とは相い容れるのだろうかという、永遠の問題をテーマにしていますが、映画は結論に性急ではありません。  この映画はハリウッドへ行ったコンチャロフスキー監督の祖国ロシアへの思いが込められた映画のような気がします。 原作はアンドレイ・プラトーノフだし、マリアもイバン(字幕ではイバンとなっていましたが、本当はイワンが正しいと思います)もロシア名です。  そして、マリアはユーゴスラビアからの亡命者ということはセリフからもわかります。 舞台はアメリカですが、帰還式のパーティでおばあさんたちの数人の衣装がロシア風だし、踊りも、歌もロシア風なものが出てくるからです。  結婚式を挙げる教会は、ギリシャ正教のように見え、ひょっとしたら村全体が亡命者の村なのかもしれません。 そして、何よりも椅子が置かれた高原の風景は、コンチャロフスキー監督のロシアへの望郷の思いの表現であるようにも見えます。
[DVD(字幕)] 7点(2019-03-30 09:34:23)
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