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1.  マトリックス レザレクションズ 《ネタバレ》 
“Resurrections”『蘇生』。または『(死体の)発掘』って皮肉なタイトルにも取れます。レボリューションズから18年も経って、マトリックス・シリーズで、なにか観たいもの(やり残したこと)があるか?…と言われると、私は後者の気持ちのほうが強かったです。 そもそも私にとってマトリックスは、至高の1作目と、オマケで蛇足の2~3作目という印象だったので、キアヌ主演であの続きを創る事に、そんなにワクワク感は感じませんでした。  違う人の演じるトリニティ(モーダル)、スミスがモーフィアスで、これもどちらも違う人。でもすぐにトリニティ(ティファニー)が出てきてひと安心。アンディ(リリー)が抜けてラリー(ラナ)だけで創ったから、主要メンバーも半分ってか? 出だしは心配になったけど、マトリックス・トリロジーを“かつて大ヒットしたゲーム”にして、社会現象や続編制作について、制作会社やキアヌ、キャリーに語らせるメタ的展開はとても面白かったです。現実と物語の世界。ホワイト・ラビット(歌)がまた印象深く、現実と物語の世界の狭間に苦しむアンダーソン君の心の表現に上手く使われていて、ネットでよく見るベンチに座る(ハリウッドスターのオーラのない)キアヌ画像とも重なり「あ、結構イイじゃん」って思いました。このあたり、バードマンで感じたのと同じワクワクを感じられましたね。  過去映像が多々出てきて、アンダーソン君がアイオに行った辺で興味がストンと失速します。真っ白い部屋で難しい話。東洋の建物でカンフーの修行。まぁこういうのもマトリックスだけど、過去作をなぞるような展開に、リブート作品な感じが強く出てしまいます。特にザイオンの話は観客ウケが良くなかったんだから、サラッとで良かったんだけどね。オリジナルのナイオビ=ジェイダが出てるからかな。 トリニティ覚醒からの展開は鳥肌ものでした。おぉスミスかっけぇ!屋上ダイブからの、え?そっち?アナリストへの“ママのお仕置き”もスカッとしました。…なんかね、マトリックスに続編(リロ&レボ)が創られるってなった時、勝手に期待したエンディングはこんな感じのものでした。それを22年越しに観ることが出来たって感じ?私はレボのあの終わり方より、こっちの方がずっと好きです。 トリニティがネオを覚醒せた1作目と、ネオがトリニティを覚醒させる本作が対になっていて、そこにラリー(ラナ)の人生の選択も大きく影響したであろう展開がとても興味深かったです。  …じゃあ、面白い映画か?というと、私は2回寝てしまい、3回目でやっと完走できました。アイオが強敵でした。 やっぱりモーフィアスもスミスもオリジナル・キャストに拘ってほしかったな。特にモーフィアスは、フィッシュバーンが劇中の(軽めの)モーフィアスを演じていたら、説得力は増したと思います。どうにもターミネーター3以降の作品を観ているような気分。特にTVドラマのサラ・コナー・クロニクルズを観た時のような、面白いんだけど、安っぽさも感じてしまうんだよ。
[DVD(字幕)] 5点(2024-11-17 14:14:51)
2.  マトリックス レボリューションズ 《ネタバレ》 
“Revolutions”『革命』。Re-volutionで、再回転とか逆回転とかの意味もあるのかも?前作にちなんで、回転式拳銃のリボルバーとも結びつくかも?と思ったけど、上手くたどり着かなかったわ。 BTTF2~3に倣ってか、前作公開から半年間引っ張って公開された本作。2までは劇場で観た当時の私は、マトリックス世界のその後に興味を失い、たしか遅れに遅れて地上波で観ました。確かに観たけど、全然頭に入ってこなかったですねぇ。  久しぶりに観ましましたが、やはり難しい話です。前作でもかなり置いてけぼりだった登場人物&世界観に、更にトレインマンとかプログラム少女サティーが出てきて、余計に整理が追い付かなくなります。 本作の見所はザイオンを守るAPU(ロボット)VSセンチネルの大群。グリグリ動くCGがすごいですが、マトリックス世界と違って『バレットタイム』や『ストップモーション』といった観せ方の工夫はなく、なんか普通のSF映画になってます。 マトリックス世界の際立ったアクションは、最後のネオVSスミスに一点集約された感じですが、銃撃戦無しの舞空術を駆使しての殴り合いなので、好みによるかもしれません。まぁ、アニメや3Dゲームから飛び出したようなロボットアクションと格闘アクションの両方が楽しめると思えば、お得感も感じられそうですが、映像革命と言われた1作目のような新鮮さは感じられず、カタルシスはなかったです。ミフネの生傷が痛々しい現実世界と、マトリックス世界の痛みの感じられない殴り合いの対比を観せたかったんでしょうかね? そういう意味では主人公をネオ(ハンドルネーム)と呼ぶ人間と、Mr.アンダーソン(本名)と呼ぶプログラムの対比は面白かったですね。  良く解りませんが、ザイオンと機械の戦争は終わりました。マトリックス誕生後、人間と機械の戦いは6回(7回?)ループしていて、今回の救世主ネオは、世界で最大の脅威となったスミスを、自分を犠牲にして倒し、ループを断ち切った(=マトリックス世界に革命を起こした)ようです。今まで世界をループさせていたのは創造主アーキテクト。ネオに革命を起こさせたのは預言者オラクル。今後の世界はサティーらが創るんでしょう。あの緑がかったマトリックス世界が、最後鮮やかな原色の世界に変わってましたね。(レビューでなく解説になってんな) まだ眠ったままマトリックスの養分になってる人間は、希望すれば開放するそうだから、今後もマトリックスで遊んでいるか、ザイオンで集会して踊るか、選べるんでしょう。ザイオン側は勝利(あれ?平和だっけ?)を勝ち取った感がありますが、機械側(電池が減る)にもマトリックス世界(人口減る)にも、あまりメリットがないように感じます。良く解りませんが… 私としてはマトリックス世界のその後なんかどうでも良くって、ネオとトリニティが幸せに暮らす世界線があれば、それで良いかなって思っていたんですが、もう世界はループしないでしょうから、これで終わりでしょうね。え続編?この先まだ何かやるの?
[DVD(字幕)] 4点(2024-11-09 10:08:07)
3.  マトリックス リローデッド 《ネタバレ》 
“Reloaded”『再装填』。銃に弾丸を入れ直すリロードであり、ゲームを再びやり直すRe・Loadでもあり、この世界が6巡目のマトリックス世界で、ネオは6番目に装填された救世主だった。という意味もあります。バッチリ決まってますね。 公開前から『2と3が連続して創られていて、割と短期間のブランクで公開される』と言われていましたね。1作品で完結しないのが解っている映画を観るのは、ちょっとモヤモヤしそうですが、またあのすごい映像が観られるのが楽しみで、劇場に観に行きました。 空からバイクとトリニティが降ってくる。いちいちポーズが決まっていて、最初っからカッコいいです。そうそうコレコレ、これがマトリックスだよ。そして覚醒したネオとエージェント3人の戦い。ネオ圧勝だ。イヤホン外して別行動のスミスが2人に?おぉ、良いぞ良いぞ!?今回はザイオンの描写が増えるのか、二足歩行ロボットが勇ましいねぇ~!…ん~…。うん…。ふぁ~あ…  30分近いザイオンの描写は、オープニングからの興奮を見事に中和し、まるで別の映画を観ているようでした。そりゃ2つの世界がある映画だけどね。集会のモーフィアスの演説。そっから何故かみんな踊りだすんだよね。洞窟の中でクラブさながらに、約5分も踊り狂うのさ。延々と続く踊りに、ネオとトリニティのセックスが延々とオーバーラップして…この辺で飽きちゃったって人、私だけじゃない筈だ。 いよいよスミス登場!待ってましたぁ!うわっ、増殖した!ヤバい、数がヤバい!…ん~??…なんか、この格闘って決着着くの?映像は凄いけど、お互い致命傷となるダメージを与えられてないから、格闘技の達人同士がただペチペチと遊んでるだけのように観える。 ザイオンだけでなくマトリックス世界でも難しい話が続く。キーメーカーに会う目的で、ケーキ食べて興奮する女の話を挟む意図がよく解らない(あ、ここが最後のトリニティ蘇生に繋がるのか?)。ネオとボディガードの戦いも、今更こんな、無敵の人VS格下との戦いを観せられても…って感じ。  高速の死闘は面白かったです。映像が凄かった。銃撃を受けた車の穴の空き方、ボンネットからジャンプするエージェント。こういうのをたくさん観たかったのさ、これがマトリックスだよ。モーフィアス&トリニティVS双子VSエージェントの、どっちが勝つかわからない感が良いのさ。ネオは強くなりすぎて、負ける気がしなくて緊張感がないのさ。やっぱ普通のエージェントとの戦いが、バランス的に見応えあるわ。双子は今後も出てくると思ってたけど、アレで終わり?ちょっとスッキリしない最後。  映画はこの先も続くんだけど、高速の死闘がピークでしたね。ただでさえ凄い力を持つネオが、直接心臓マッサージに現実世界での超能力と無茶振り観せるから、最後の方ついて行けなくなってました。前作もネオが凄い力に目覚めて終わりますが、単発作品として舞空術もアリだったんです。今回、舞空術以上の凄いものを観せなきゃって思ったんでしょうか、続編の前フリとして、やりすぎてしまったと思います。
[映画館(字幕)] 5点(2024-10-23 23:09:27)
4.  マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ 《ネタバレ》 
“My Life as a Dog”『僕の人生は犬同様』。 イングマルは他の子と比べても、性格もやる事も幼い印象を与えます。兄のせいもあるけど、子供らしい失敗やイタズラが病弱なママを苛つかせます。時間が経つごとに、自分が成長するごとにママの病状は悪化していく。でもちょっぴり大人なカエルちゃんはグイグイ誘ってくる。 田舎に行ったら風変わりな人がいっぱいいた。みんながイングマルを暖かく迎えてくれる。そして今度はサガがグイグイ誘ってくる。美女の裸をのぞきはしても、直接的な性に興味を示さないイングマルは、これ以上成長することに怖さを感じていたのかも。時間とともに病状とイライラが悪化するママ。幼い頃の優しかったママを思って、子供なりの抵抗をしていたんじゃないかな?  母が亡くなり、再び田舎へ。でも時間は経過して、田舎の事情も大きく変わっていました。隣人アルビドソンさんは亡くなり、今はギリシャ人家族に。「家が狭いので寝る時は叔母さんの家へ」厄介者のような扱いに心を痛めるイングマル。サガもより女の子として成長していました。成長していないイングマルに残された“当時と変わらないもの”が愛犬シッカンの存在。でもシッカンは既に殺処分されたのは薄々わかってます。サガの自分への愛情もわかってます。犬のマネで、幼稚にその場をはぐらかそうとしたんでしょうか。シッカンの死をサガに突き付けられたイングマルは、精神的に追い詰められ、あずま屋に閉じこもる。本当にライカ犬のように。 後半の2人の本気ボクシングの場面で、サガってのはあだ名でフロイドが実名だと勘違いしました。そして最後の方、イングマルとフロイドの試合がラジオで掛かってて「え?2人が本当にボクサーに?」って勘違いの上塗りを…   スウェーデンの映画です。よく知らなかったけど、このスウェーデンって国、大戦中はドイツにもイギリスにも組みせず終戦まで中立を維持。戦後も西側諸国と交流をしつつも、ソ連を刺激しないようNATOには加盟しなかったんですね。 映画の舞台は'58年から'59年、この年代は近代スウェーデンがもっとも輝いていた年代です。日本で言えばおそらく'64年東京オリンピック前後でしょうか?'58年、劇中のラジオで掛かっていた自国開催のサッカーワールドカップで、史上最高成績の準優勝をしています。そして翌年、ボクシングでイングマル・ヨハンソンがフロイド・パターソン(米)を破りヘビー級王者になりました。映画には出てきませんが、この時ボルボが世界初の3点式シートベルトを開発し、この時サーブが世界最高速の実用戦闘機ドラケンを創りました。…ちょっと脱線しましたが、イングマルという名は、輝かしいスウェーデンの象徴と思っていいと思います。日本で言えば、今なら大谷翔平。当時なら力道山とかでしょうかね? サガを友達から女として受け止め、子供から大人への一歩を踏み出したイングマルを、世界に羽ばたいていった当時のスウェーデンと重ね合わせた映画なんじゃないでしょうか?「スウェーデン万歳!」
[ビデオ(字幕)] 7点(2024-10-21 08:44:34)
5.  マトリックス 《ネタバレ》 
“The Matrix”『母体』。劇中の意味は『人工知能が人間を支配するために創り出した仮想現実の世界』を指しています。 マトリックスは『映像革命』という言葉とともに私達の前に現れました。今まで表現できないモノや事象を、映画の中に実際にあるものとして映像化してきたCGですが、本作では遂に“その映像を、どんな角度で、どんなスピードで観せるか?”を可能としました。 簡単に言うと、漫画の実写化でしょうか?漫画はコマの大きさや絵(カメラ)の角度、コマ割りの数(時間表現)などで、平面で動かない絵を、まるで動きの一瞬を切り取ったかのように表現する作品です。平面の絵のコマとコマを繋いで、活き活きと動きを付けるのがアニメーションです。その技術を実写映像に取り入れたのが、このマトリックスでした。 具体的には、例えは漫画で描かれたパンチの連打。アニメでは格好良く表現出来たけど、実写にするととたんにウソっぽくなるか、格好悪くなる(実写版北斗の拳みたく)。それをしっかりと格好良く観せてしまった最初の作品が、このマトリックスだったんですね。…伝わってるでしょうか?  どうしても“マトリックス避け”とか、映像の奇抜さや素晴らしさばかりに注目してしまいますが、世界観も負けじと素晴らしかったです。 現実と変わらない都市だけど、どこか緑がかった無機質な仮想現実の都市。ダライアスとかのシューティング・ゲームのような敵メカが泳いでる現実の世界。カタカナやローマ字が混ざった緑の文字(マトリックス・コード)が流れるモニター。コネクターとコードを通した生体と機械の融合。SF映画の敵=ロボットやサイボーグだったものが、21世紀を前に、コンピューターとプログラムに変異しました。自由に他人に乗り移れて、物理的に破壊できないプログラム“エージェント”は、過去に例を見ない脅威の敵キャラです。  人間らしく平和な暮らしが出来る仮想現実世界と、ドブネズミのように隠れて生きなきゃいけない現実世界のギャップがキツく、私なんかサイファーの裏切りにとても人間臭さを感じました。うん、多くの人はモーフィアス達みたく強くは生きられない。 モーフィアス救出作戦からの、ノンストップアクションは息を呑む迫力と美しさです。だけどこの映画を何度も観るほどに、最初に撃たれまくるビルの警備員たちが不憫に思えます。彼らは仮想現実世界に住む、いわゆるNPCの扱いだけど、彼らが死ぬと、カプセルで養分になってる本体も死ぬんだよね?たぶん。観ようによっては無差別殺人です。仮想現実を実世界として生きる人にしてみれば、ネオとトリニティは頭のイカれたテロリストです。良くまぁあんなにアッサリと殺せるなぁ…9.11テロ以前だから創れた作品とも言えるかも?  ネオが覚醒し、スミスと互角以上の戦いをしてみせるのは、アドレナリン出まくりです。最後は人知を超えたネオの“舞空術”で、映画は終わります。この“これから先、俺は何だって出来るぞ”って感じが、劇中のマトリックスの世界だけでなく、映画業界全体にも無限の広がりが感じられて、今後どんな凄い映画が楽しめるんだろう?って、期待に胸が膨らみましたよ。 '99年と四半世紀も前の作品ですが、マトリックス以降、少なくとも映画の世界では、次の映像革命と呼べるものは、未だに起きていないと思っています。たぶん。インセプションなんか凄かったけど、正常進化型だよなぁ。 スマホのアプリの短編動画の方が、映画業界より進んでる気さえします。映画は3D立体映像や4DXの動いたりするアトラクション化が進んでいますが、スクリーンに映し出される映像自体は、未だにマトリックスの応用の範囲に思えます。
[映画館(字幕)] 8点(2024-10-16 23:15:38)
6.  マグノリア 《ネタバレ》 
“Magnolia”『木蓮』。なんだろう?花言葉は“忍耐”とかでした。エイミー・マンの歌が格好良くて、当時アルバム買って聞きまくりましたね。主人公たちの問題がどんどん膨らんでいき、この先どうなるんだろう?どうやって解決&収束するんだろう??…と期待が最高潮に高まったところで、カエルの雨…!何だこりゃ?こんだけ期待煽っといて、こんな終わり方って、あるかい?夢オチと同レベルの酷い終わり方だ。客を馬鹿にしてるわ。記憶から消し去ってやりたい。4点!  数年後、たまたまTVで放送されてて、スタンリーはトイレ行きたいと言い、フランクがインタビューで責められてる辺り…あれ?彼らはどうなって行くんだっけ?内容まだらに忘れてたんだわ。最後にカエルが降ってくるのは覚えてるけど…?? 主人公たちの問題がどんどん膨らんでいき、この先どうなるんだろう?どうやって解決&収束するんだろう??…と、私の記憶力の悪さから再び期待が最高潮に達していきました。あれ?観ている間ずっと楽しめてるってことは、これは良い映画なのでは?即DVD買いました。本作は2度目の鑑賞で好きになった、初めての映画かもしれません。で、結局どうなったのか?子どもたちが過去の呪縛から開放される映画でした。劇中3組(+1組)の親子がでてきます。病人のパートリッジ一家と、司会者のゲイター一家は直接は結びつきませんが、クイズ番組の制作がパートリッジ・プロダクションで繋がってました。  フランクは母を捨てた父を憎み、今は男の片思い(=一方的な愛)を金にする怪しいセミナー講師をしています。苦しんで死んで行く父に会うことが出来て、憎しみを全部ぶつけて涙を流します。でも父は液体モルヒネで意識がありません。息子の赦しが聞こえてません。 クラウディアは父に性的虐待(母親がすぐに察したので事実だったんでしょう)を受け、今は売春婦をしています。妻に過去を告白した父は、自殺さえ出来ませんでした。撃ったTVが漏電してた(+雨+気絶)ので、家が全焼したか感電死したかもしれません。どっちにしろ苦しんで孤独に死んでいくんでしょう。 ドニーは親に金づるにされ『元天才クイズ少年』の過去だけが付いて回っています。今はスタンリーが父親の金づるとして同じ道を進んでいます。敗退で積み上げたものを失った父。「僕に優しくして」「…寝ろ」スタンリー自身に救いがないように思えますが、ドニーと違い親の呪縛から開放されたのが救いでしょう。歯科矯正のため金を盗んだドニーは、矯正する必要がなくなり、彼の一方的な愛は終わりました。  もう(+1組)の親子。クローゼットで白人夫が死んでた黒人女性(他重婚してた)。犯人と思わしき息子のウジ虫と、その息子(孫)のラッパー少年。母親は黙秘することで息子を守ります。ラッパー少年は警官の銃を拾い父を守ります。母は息子に逃げ延びてほしくて、子は父に射殺でなく逮捕されてほしかったんでしょう。最初少年は川に銃を捨てたんだと思いましたが、恐らくカエルのいる池に捨ててきたんでしょうね。その後オーバードースのリンダから金を盗み、ついでに救急車を呼んで救います。でも少年は「俺は預言者、ウジ虫どもは踏みとどまって苦汁を飲め♪」この歌は父であり、死ねなかったリンダのことでしょう。  財産目的で結婚し、影でアールをさんざん裏切っていたリンダ。今はアールを愛するようになったけど、アールは死の間際さえ息子(の母=元妻)を一番に思っていたことを悟りました。リンダの一方的な愛でした。液体モルヒネでアールを苦しみから開放し、自分も死ぬことにします。結果リンダは生き残り、これから憎んでいたフランクと面会します。液体モルヒネを投与したのが、リンダ自身でなくフィルなのが、アールを愛していたので自分じゃ出来なかったとも、勝手に息子に連絡したフィルへの復讐とも取れましたが、そもそもリンダは投与の資格がないからできないのかも?フィルは看護師だから投与したら死ぬことを知っていた(泣いてた)んだし。  一番幸せなのは銃を無くしたジムでしょうか。銃も出てきて、一方的な愛だったのが実って…毎朝毎晩お祈りしてるジムは神の子です。 何の罪もなく、親との辛い過去もないフィルは、きっと傍観者。映画を観ている私の代わりなんでしょう。 『過去を捨てたと思っても 過去は追ってくる』善人が必ず幸せになれるわけじゃない。改心して懺悔や告白をしても許されるわけじゃない。でも罪は消えないし業は背負って生きていかなきゃいけない。せめてカエルの雨のあと、親の身勝手を押し付けられた可哀想な子どもたちが、少しでも幸せに向かって歩き出せたら…涙で目を腫らしたフランクと、クラウディアの疲れ切った笑顔から、そんな希望を観せる結末に思えました。
[ビデオ(字幕)] 9点(2024-10-14 13:40:40)
7.  マルタイの女 《ネタバレ》 
伊丹監督10作目にして最後の作品。伊丹作品としてスタンダードだった前作『スーパーの女』。私は面白かったんですが、監督は不満だったんでしょうか?本作では遂にキラータイトルの『〇〇の女』シリーズにまで、大幅なテコ入れをしてきた印象です。当時大人気の脚本家・三谷幸喜を起用して、恐らくはマンネリ打破を狙ったんでしょう。三谷作品が産んだ時の人・西村雅彦の起用も納得。伊丹&三谷のコラボ作品のようですね。それが巧くマッチしていたかと言うと、正直失敗だったと思います。  宮本信子の『〇〇の女』と言えば、彼女自身がその世界のベテランとして登場し、我々に色んなハウツーを教えるというのがパターンです。本作の場合、彼女が『マルタイ』を守る側(刑事)を演じるのがセオリーでしたが、そこを崩してきました。あと敵の組織・真理の羊の上層部、教祖なり幹部の、人間臭い欲にまみれた素顔が、イマイチ観えてこないのも今までのパターンとは違いました。そんなところが過去の『~の女』とは違う印象を受けます。 彼女の、一見トップレスのようなクレオパトラの衣装は、当時ワイドショーでも結構話題になっていたと思います。映画界で一斉を風靡したあの宮本信子が、あの年齢で、ここまで体を張って話題を創っている姿に、ちょっと必死さを感じてしまったのは事実です。伊丹監督も、夫を支える妻の信子夫人も、必死にもがいていたんでしょう。このクレオパトラ衣装の場面が思いのほか長く、その間は肝心の物語が進みません。そのなかで立花刑事のエキストラ出演&アドリブ暴走と、本筋とは無関係な遊びを入れてくる辺り、いつもの伊丹映画のノリではありません。  敵側を暴力団ではなく、宗教団体にしたのも、当時のテレビはオウムの特番をやれば数字が取れる時代だったので、オウムを仄めかすワードを多数入れたんでしょうか。マルサ2も新興宗教が敵で、かなり深く切り込んだ印象を受けましたが、本作はあそこまでの切れ味がなく、オウムっぽい組織が敵という話題性優先のように感じました。そして最後、証言のシーンを入れなかったのは、逆効果だったと思います。宮本信子が警察の守る側の役だったら、あんな終わり方もアリですが、本作では守られる側。証言台で何を話すかも、それに対する教団や警察の動きなんかも、観る側が期待したシーンだったと思いますが…  見所といえば、本作ではビワコが津川雅彦演じる真行寺と不倫していて、そのネタが教団にバレてしまいます。彼は脅迫に来たヤクザを撃ち殺し、自殺してしまいます。これがビワコが見た夢なのか、実際の出来事かはボカされています。伊丹監督の不倫スキャンダルが出ていた最中ですから、真行寺は伊丹監督自身で、相手を撃ち殺したのは、脅迫には屈しないという、監督なりの宣戦布告だったんだと受け止めました。 最後はどうして映画館で『マルタイの女』を観ている警視総監のコメントにしたんでしょうか?こういう演出は、そう、『タンポポ』がそうでした。映画館で役所広司演じるヤクザ風の男が、私達に語り掛けるところから映画が始まりましたね。 タンポポは監督2作品目ですし、何よりこのマルタイが、監督が自身最後の作品として創ったとは思っていません。でも、何と言うか、この演出で、図らずしも伊丹さんの創ってきた、映画の世界の輪が閉じたような、そんな結末に思えました。
[CS・衛星(邦画)] 4点(2024-10-10 22:40:39)(良:1票)
8.  真昼の決闘 《ネタバレ》 
“High Noon”『正午』。私の中でベスト・オブ・西部劇が本作かもしれません。午前10時35分から始まるこの作品は、上映時間と劇中時間がほぼ一緒のリアルタイム作品。その設定は今でも通用するくらい斬新で、とても72年も前の映画とは思えないほど、スタイリッシュです。 ケインはその日、若くて美しいエイミーと結婚式を挙げていて、新しい人生の門出の日として、幸せの絶頂でした。そこから僅か1時間ほどで、ケインが長年に渡って築き上げてきたもの全てを失っていきます。街の人からの協力を得られず、ジワジワと不利な状況に追い込まれるケインと、ミラーの乗った汽車の到着をのんびりと待つ3悪党。同じ時間が経過しているのに、受け取る人間の状況で、時間は残酷にも、退屈にもなるんですね。  一度は街を逃げ出した彼が、再び戻ってきてしまったのは、責任感と正義感からでしょう。一方でケインによって守られる対象の街の人々というのは、決して正義の側とは言えません。中には“稼げた”ミラー時代の復活を望む者も居ました。前回は協力したのに、今回は協力しない者。当然のように協力を申し出たのに、他に協力者が居ないと解ると怖気づく者。街を支配するのが正義でも悪でも、結果を受け入れるのみで、自ら変えようとしない人々。この辺、西部劇という私があまり得手でないジャンルと言えども、普遍的な集団の心理と、進んで積極的な行動をしない類の人間の生々しさを感じさせました。  もしケインが街に戻らずに逃げていたら、どうなっていたでしょうか?ミラーたちの目的が復讐であれば、街に居ないからと諦めたりせず、執拗に追いかけられるかもしれません。正義の行動だったのに、コソコソと隠れて生きていかなければいけない。そう考えると、やはりあの街で決着をつけるほか、選択肢はなかったのかもしれませんね。
[DVD(字幕)] 10点(2024-09-29 23:34:54)(良:1票)
9.  マッドマックス2 《ネタバレ》 
“The Road Warrior”『路上の戦士』って米国版の英題が付いてました。 続編でありながらピッタリとはくっつかない。本作はブーメラン少年が北部の部族の老人になってからの、回顧録の形式を取っています。前作は暴走族の社会問題がテーマとして、本作は一転して純粋な破壊と暴力を楽しむ映画と思いましたが、もしかしたらもっと大きなテーマがあるのかもしれません。  冒頭、老人が語る昔の世界は、“何か解らぬ理由で二つの大国が戦い、世界中を火の海にした”と。ご存知のように公開当時は米ソの冷戦から、核戦争が危惧されていました。本作は核戦争が起きたあと、生き延びた人々がどんな世界で生きるかをシミュレートしています。この映画の影響で、核戦争後の私たちに、3つの選択肢が生まれました。①資源豊かな村を、弱者も仲間に入れて共同で守っていくか。②弱肉強食、力こそ正義。モヒカン・パンクスタイルで「ヒャッハー!!」するか。③世紀末救世主。…まぁ③は難しいとして、多くの人は家庭や家族のことを考えて、①を選ぶでしょうか。 ゾンビが街に出たらヘリで無人島に飛ぶか、ショッピングモールに逃げるのと同じくらいの、映画界の革命的選択肢と言ってもいいでしょう。  さて、当初マックスはヒューマンガスとパッパガーロの戦いを遠くから傍観しています。ここがもしかしたら本作のテーマ“米ソの第三次世界大戦に対し、我々オーストラリア(マックス)はどうするべきか”を示していたのかもしれません。大きな戦争で世界が滅んでも、2つの陣営に分かれて不毛な戦争は続く。どちらが米かソかは判りませんが、守るパッパガーロ側には女子供や老人もいて、攻めてきたヒューマンガスを悪として描いています。(※でもヒューマンガス側にも女はいます)  さて、善の側として描かれるパッパガーロたちが、そもそもどうやって、あの石油精製所を手にしたのか気になります。彼らの目的は3,200キロ先のサンシャイン・コースト(太陽の楽園・オーストラリア北部に実在する)に行くことのようです。…精製所にずっと住み着いて、ヒューマンガスたちと取引して、平和の見返りに適度にガソリンを分け与えるのが一番安全に思えるけど。 結末から逆算すると、ガソリンはバスで運んでいます。じゃあ囮にしたトレーラーって元々必要なかった?パッパガーロは理想家で策略家のため、トレーラー探しや小競り合いで、密かに人減らしをしていったんでしょう。生き残った人数から、バスに積める程度のガソリンで充分と踏んだんでしょうね。 そしてトレーラーの囮部隊で暴走族を壊滅させる。暴走族には何も残さんと言わんばかりに、精製所を爆破する徹底ぶり。結果、パッパガーロの思い描いた通りになりました。パッパガーロって本当に“善”だったんでしょうか?転倒したトレーラーを見て引き返す暴走族たちの表情。『俺たち一杯食わされたな』って顔のジャイロ・キャプテンとマックス。不毛な戦争が両陣営に残した傷跡が、戦争の虚しさと、生き残ったことの安堵を感じさせます。 もし世界大戦が起きて、世界が滅んでも、少ない資源を求め、争いは続く。どちらかの陣営についても、利用されて終わる。  でもそんな説教臭いこと抜きにスカッとする映画です。ゴールデン洋画劇場で始めて観た時、追跡劇の終盤で、夕日に照らされたトレーラーがUターンする時に感じた、「あぁ、もう終わるんだ」ってドーパミンがドバドバ出る感覚は、一生忘れることは無いでしょう。
[地上波(吹替)] 10点(2024-07-16 18:01:07)
10.  マッドマックス 《ネタバレ》 
“Mad Max”『狂ったマックス』になるのかな。マックスは人名ですが、文字面から受ける印象は『最高潮の怒り』でしょうか? この映画は衝撃でした。今より少し先の未来。治安は悪化の一途を辿り、法に縛られる警察の対応は常に後手に回る。 当時のオーストラリアでは暴走族が社会問題になっていて、同様に日本でも校内暴力など、若者による暴力行為が問題化してきた時代でした。そのため、こんな近未来も可能性として存在するんだろうな…と素直に思えました。 マッドマックスは止まらない暴力に対し、より強力な暴力で抑え込むという、一つの答えを示していたんでしょうね。黄色いパトカーも【INTERCEPTOR=迎撃】に【PURSUIT=追撃】と、物騒な役割分担がされていました。  '70年代の海外の暴走族イメージと言うと、ピカピカのハーレーに乗った髭面ロン毛、サングラスにノーヘルといった、イージー・ライダーのスタイルが思い浮かびます。彼らに直接的な暴力イメージはなく『俺を見てくれ』と言わんばかりの美しさも感じますが、本作の暴走族は、薄汚れたカワサキに乗ってて、ヘルメットの中に血走った目。革ジャンはホコリまみれ。ナイトライダーの死体を受け取りに来た際の、理不尽で一方的な暴力が、交渉の余地を感じさせません。このあと逃げ出したカップルが襲われますが、マックスたちに発見されたときは、男性もズボンを脱がされ、お尻に血が…関わりたくない野犬集団の怖さを感じさせます。  野犬の狂気を見せ付けたのが、冒頭のナイトライダー。薬物の影響か、ず~~っと叫んでます。『スーサイド(自殺)・マシーン』はBスプリングスティーンの“明日なき暴走”の歌詞にも出てきますね。 「アイアム・ロッカー!アイアム・ローラー!アイアム・アウト・オブ・コントローラー!アイアム・ナイトライダー・ベイビー!!」きちんと韻を踏んでてカッコイイです。そんなキレッキレのナイトライダーが、マックスとたった1回交差しただけで、自信を喪失して泣き出します。薬の効果が切れたのか、内なる狂気が一気に冷めて、ちっぽけな人間に戻った瞬間です。この落差こそが、狂気を抑え込む狂気の演出として際立ってます。  友人と家族を失ったマックスは、法を捨ててトーカッター達を追い回し、無慈悲に殺して回ります。暴走族を殺す行為に、何の感情も、カタルシスも、達成感もありません。ただブッ殺すだけです。 でもジョニーだけは違いました。ババも言ってましたが「奴はナイトライダーとは違う」と。ラリったジョニーはトーカッターの台詞「夜空を見上げるたびに…」を叫びますが、ちゃんと覚えてるのは「ナーイトライダー!!」だけ。ジョニーはファッションとしてトーカッター達に憧れるだけの弱い若者です。 マックスはそんなジョニーを野犬の一匹として無慈悲に殺すのではなく、人間として助かる選択肢を残します。でもそれは、とても選べない選択肢でした。暴走族に身を落とすという選択は、もう人間として後戻りができない選択なんだと。 全てを失ったマックスからの、暴走族に憧れる現代の若者へのメッセージ。2以降のバイオレンス作品とは違う、至高の一作です。
[地上波(吹替)] 9点(2024-07-07 15:12:06)(良:1票)
11.  マネー・ピット 《ネタバレ》 
“The Money Pit”『お金が吸い込まれる底なしの穴=金食い虫』。実は私が小学生の時、人生で初めて劇場で観た字幕洋画が、このマネー・ピットです。トム・ハンクスはまだ若く、お客を呼べるほどの知名度でもない、若手のコメディ俳優という印象でした。となると当時のこの映画のウリは“スティーブン・スピルバーグ製作総指揮”の一点でした。  近所の同級生たちと、土曜の学校のあと観に行った、思い出深い映画です。本命はこの映画の同時上映作品でしたから、マネー・ピットの事前情報は映画館のポスターだけ。どんな映画かもよく知らず、退屈な映画だったら寝てようかな…位の感覚でしたが、でもスピルバーグって書いてあるし、きっと面白いんだろう。なんて感じに観始めました。途中で『あ、コメディ映画なんだ』って気がついたくらい。階段が壊れ、風呂は落下し、主人公はカーペットに飲み込まれる。一つ一つのトラブルがお金の掛かったドリフみたいで、小学生の私達にも、とてもわかり易く、みんなで大笑いしてました。 でも当時の目的はコレでなく同時上映の方でした。検索すると当時のチラシが出てくると思いますが、面積比率が7:3くらいでマネー・ピットは3の側。それだけ、同時上映の方に力が入っていたって事でしょう。  大人になって改めて観ると、観どころが“家が壊れていく様”くらいなんですね。夫婦間のトラブルも、なんか後半有耶無耶に解決された印象です。でもロックバンドとオーケストラの大団円だし、なんかハッピーな最後だったなって感想です。 こういう映画ってなんて言うんでしょうね?B級ってほど安っぽくもなく、単独上映じゃお客が入るとも思えない、同時上映専用映画…とでも言うんでしょうか。この映画の役割は、同時上映を見る前の、場のあたため役。お笑いで言う『前説』や『前座』のように思えます。 同時上映の宿命で、本命映画よりも目立ってはいけない。面白くてはいけない。インパクトを残してもいけない。当然、上映時間が長すぎてはいけないし、退屈させてもいけない。観終わったらスーっと忘れるくらいのさじ加減の映画。 …なんか最初からそう考えると、創るのとっても難しそう。でもこういう脇役の映画が、案外、劇場に足を運ぶ満足度を上げてくれてたりしました。また復活しないかな同時上映。 さぁ、トイレにも行ったし、本命が始まるぞ!  ~同時上映『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀』につづく~~
[映画館(字幕)] 6点(2024-07-07 10:08:46)
12.  マッドマックス:フュリオサ 《ネタバレ》 
“Furiosa: A Mad Max Saga”『フュリオサ:マッドマックス世界の一つの物語』。…敢えてクドく訳してみましたが、タイトルのマッドマックスは抜くか、サブタイで活かすかして、邦題は『フュリオサ』で良かったんじゃないでしょうか。 前作で曖昧だった(と思ってた)123と怒デスの時系列を、本作で「世界が滅んで45年後」と明言されてました。前作のトム・ハーディ演じるマックスって65歳以上には見えなかったので、怒デス以降は別世界のマックス…って事になるんでしょうかね? 前作でマックスとの冒険を観た後に、フュリオサの歩んだそれまでの道を辿る。腕、髪型、おでこ、トレーラーといった、フュリオサのフラグを回収していく構成は、スター・ウォーズの外伝『ハン・ソロ』に近いと思います。でもフュリオサにはハン・ソロほど固定イメージが湧いてない分、素直に受け入れられるんじゃないでしょうか?  さて、フュリオサが少女から戦士になるまでに、結構長い尺を取っています。たくましいシャーリーズ・セロンに代わり、フュリオサ役はアニヤ・テイラー=ジョイです。目がデッカイですね。男も女も人間の目の大きさってほぼ大差無いそうですから、彼女めっちゃ顔が小さいんでしょう。…チッ そして戦士と呼ぶには身体が細っそい気がします。これは世の中のニーズでしょう。'90年代くらいまでは、アクション女優は鳩胸でグラマラスな女優さんが演じてましたよね。前作の筋肉質なシャーリーズの繰り出すパンチとかには、重さと説得力があった気がします。今はCGのお陰でしょうか、マーベルとか観ていると、アニヤのような華奢な子のアクションでも、迫力満点に撮ることが出来るようになりました。序盤の誘拐シーンに結構な長尺を使っていますが、線は細くても筋肉質で引き締まったアニヤ母のアクションは、中盤以降のアニヤのアクションに説得力を持たせるためでしょう。  悪役はクリス・ヘムズワース演じるディメンタス。よく喋るこの男は、トーカッターやヒューマンガスとは雰囲気が違います。旧悪役には、野良犬やライオンのような、言葉や駆け引きの通じない、野生動物のような恐怖を感じました。前作イモータン・ジョーにも、ヒトという動物の醜さを感じました。その野生動物の部分に、リアリティと恐怖と、抵抗できない謎の魅力までも感じてしまいました。 でもディメンタスは、最初から“魅力ある悪役=憎みきれない悪役”として創られているように感じました。そう、マーベルとかの影響で、割と最近耳にするようになった『ヴィラン』という類の悪党に思えました。ディメンタス=ヌルい悪役って雰囲気に感じられると緊張感が感じられないので、敢えて長時間の残酷な処刑シーンを入れたのかもしれません。マッドマックスの悪党の最後はアッサリが基本です。だって野生動物だもん殺せる時に殺さなきゃ。 フュリオサがトレーラーに乗る中盤以降は、きちんとマッドマックスです。怒デス同様のド派手なアクションを、期待通り楽しめます。148分とシリーズにしては長尺ですが、長さを感じさせないメリハリのあるアクション映画でしたよ。
[映画館(字幕)] 7点(2024-06-16 02:09:51)
13.  マルサの女2 《ネタバレ》 
前作から僅か11ヶ月で、このクオリティの続編を創ってくるところがもう化け物です。 巨大な蟹をムシャムシャ食う政治家たち。地上げと開発が進む都心。湯水のようにお金が湧いてくる新興宗教。このギラギラした空気がバブル真っ盛りの日本を象徴しています。  いきなりですが、伊丹作品の宮本信子の演じるヒロインのなかで、本作の板倉亮子が一番可愛いんじゃないでしょうか?前作よりずんぐりしてるように観えるのは、当時の流行りのワイドパンツだけでなく、髪の毛量が増えてるのと、やや胸が大きくなってるみたいです。気になる方はもう一度観比べてください。ヤクザ事務所の屋根に登って盗聴している亮子も可愛いけど、資料庫に向かうとき、誰も観てないところでバレエっぽいポーズ取る亮子がもう最高に可愛くて。 ただ、惜しいと思うところが、本作の亮子は常に公人=マルサの女の一面しか出ていないところです。前作にあった息子の大ちゃんとのやり取りや、権藤との仕事外のふれあい。そういった息抜きな一面がないため、常にピリピリした作品になってると思います。 愛車をマイティボーイからホンダZの改造車なんてマニアックな車にしたところから、マルサの亮子にプライベートの時間がない(遊べないから趣味の車に走る)ことを表してたのかもしれません。 また敵が巨大になりすぎたため、もう知恵と根気だけじゃ全てを解決できなくなってしまったのも、スッキリ出来ない部分かと思います。チビ政を襲う鉄砲玉はともかく、鬼沢の始末にスナイパーを使うのは、とかげの尻尾切りとしては解りやすいけど、リアリティが犠牲になった気がします。  流石は伊丹監督で、物語はキチンとまとまっています。でも地上げと新興宗教は一緒の回にしないで、それぞれをもう少し掘り下げて、別な作品にしても良かったかもしれません。地上げのあの手この手のイヤガラセは描かれていましたが、新興宗教部分は、お布施の名目で金品を搾り取られる信者などを描いても面白かったと思う。鬼沢一家や教団が、その後どうなったかも気になるところ。 あまりプラスの感想を書いてませんが、当時の伊丹監督のパワフルさを味わえる、クオリティの高い作品です。
[地上波(邦画)] 7点(2024-01-31 20:32:07)
14.  マルサの女 《ネタバレ》 
映画は大好きだったけど、この当時邦画って殆ど観てなかったんです。何でしょう、青臭い子供向けのアイドル映画か、カビ臭い年配の人が楽しむものって感じで、アニメ以外に私に合う邦画作品って無いと思ってました。 そんな中登場したのがこのマルサの女。子供向けでも年配向けでもない、とてもスタイリッシュな作風。そのまま当時のバブル期日本を舞台としたリアリティ。脱税という扱っているテーマの重厚さと、それを面白可笑しく、決して悪ノリしない絶妙なコメディタッチな味付け。こんな邦画もあるんだ!!って、本当に目からウロコでした。以降、邦画は殆ど観ないのはそのまんまだったけど、伊丹映画だけは別格として観てましたね。  税務署(&マルサ)と脱税の戦いって、とっても地味なテーマだと思うけど、ヤクザは出てくるけど銃撃戦とか度を越したアクションを入れること無く、しっかりと地味なまま、あくまでリアル路線で押し通した手腕が見事。序盤しっかり港町税務署の日常業務を入れて、身近な脱税のあるあるネタをたっぷり入れて、いわゆるハウツーものとして、観る人の興味を惹きつけるのに半分の時間を割いている。だって亮子がマルサ入るの、映画始まって1時間後だよ?タイトル『マルサの女』なのに。この思い切ったバランスの取り方がもう、伊丹監督すごい。  そして板倉亮子のキャラクター。おかっぱ頭にそばかす。レイバンのサングラスから除く眼光の鋭さ。頭の回転が速い切れ者税務署員。一方寝癖で出勤するシングルマザーで、残業しながら5歳の大ちゃんに電子レンジの使い方を教える、完璧じゃない一面も覗かせる。普通の税務署のベテランおばさんを、総じてとても魅力的な女性に魅せる手腕が素晴らしい。 彼女だけでない、権藤の足が悪い理由は描かれないけど、杖突いて歩く印象的な姿。憎めない悪党のお手本のような人物像が素敵。「俺たち、会う度におめでとう言い合ってるな」バーで亮子とサシ飲みするところの人間味と強敵感、ほんのり生まれる男女の感情。この時のハンカチの、結末での使い方がもう、カッコいいこと。あの印象的なテーマソングと昭和末期の風景と夕焼けの美しさが、何年経っても忘れられない。  花村もマルサの管理課長も、マルサのジャック・ニコルソンも、働いてる大人の男って感じがとっても素敵。それとちょい役でもクセ強めな登場人物が揃ってる。私は特に宝くじの男の高い声のギャップと、ブルブルって首を振る銀行の課長が好き。 私は邦画の、いわゆる“濡れ場”が嫌いだったんだけど、この映画のはどれも笑える。看護婦の乳首を必死に吸うジジイ。「女はここに隠すんだー!」オバサンのM字開脚。スリップ姿で屋根を這うオバサン。「ダメよぉ~、ダぁ~んメ!!」。極め付きはケツに挟まったティッシュ。 『邦画の濡れ場なんて、笑えば良いんだよ』って、伊丹作品が教えてくれた。ありがとう伊丹監督!
[地上波(邦画)] 10点(2024-01-13 14:28:28)(良:1票)
15.  招かれざる客(1967) 《ネタバレ》 
“Guess Who's Coming to Dinner”『夕食には誰が来るか、当ててごらん』。公開当時、人種の違うもの同士の結婚という、近い将来あっちこっちで起こるであろう出来事を、とてもわかり易くシミュレートした映画です。 映画の尺も長くないし、映画の中でもその日の夜中までに結論を出さなければいけないとあって、とても無駄のない構成になっていると思います。  前提としてドレイトン夫婦が、娘の選択に対しとても理解のある両親であり、きっと白人の男を連れてきたなら二つ返事で了承したであろうこと。そのため夫婦が悩むのは、娘の連れてきた彼氏が黒人な事の一点。ジョーイがそんな娘に育ったのは「僕の影響ではなく、あなたの教育の成果です。」なんて素敵な青年だろうか。ジョンを世界を飛び回る医師という非の打ち所のない人物にしているのも、問題点を黒人の一点に絞る意味で素晴らしい。  ジョーイの両親の出した結論も、しっかり考えた末の理想的な結論。まさに模範解答だったんじゃないでしょうか? 当時の白人たちはこの映画を“もしも自分の子供が…”と考えながら観たことでしょう。アタマの中では近所のガラの悪い黒人だったり、犯罪ニュースで見る黒人を、先入観丸出しでイメージしながら、“たとえ黒人でも、ジョンのような文句なしの青年であれば…”なんて思いつつ“こんな結論を出せる立派な親になれていれば、いいなぁ”とか、思ったりしたんじゃないでしょうか? 冒頭の、割と長く映るジャンボジェット。ジョンの両親がロスからサンフランシスコまで650kmを40分で来る時代。今朝ハワイから来たジョンは、4時間後にはニューヨークへ、そこからジュネーブに飛ぶ。その日のうちに州や国境の壁を越えられる時代。人種間の壁は、どのように越えるのか?を考えさせらた事でしょう。  上で“無駄のない構成”って書いたけど、ドロシーとアイス屋(ちょくちょく出てくるウェイトレス)のシーンの必要性は謎だった。2人ともとても美人で、何か当時の“売出中の美人ワク”とかだろうか? ドロシーはバーバラ・ランドルフってソウル歌手。ウェイトレスはアレキサンドラ・ヘイって、デビューしたての女優さんだったわ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2023-03-12 19:57:31)
16.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
- Fury Road - “怒りの道”。 になるんだけど、このタイトル面白いんだ。MADとFURYは同じ意味。なのに何でくっつけた? この映画のフュリオサ(Furiosa)が、スペイン語で“怒り”の女性名詞なんだって(※男性名詞はFurioso)。Furiosaを縮めてFury。 なので、- Fury Road - の意味するところは“フュリオサの道”。それは彼女の辿ってきた道であり、彼女の進んで行く道。なんですね。 なので、この物語の主人公はフュリオサで、マッドマックスの外伝と言えるかもしれません。  続編の公開が発表されてから、マックスがメル・ギブソンじゃないことに、正直不安があった。名前だけの安易なリメイク作品になるんじゃないか?って。 車のカスタムの仕方も、2や3の、鉄板とか鉄パイプとか“有りモノを適当にくっつけた”感がなく、ちょっとデザイン的に美しすぎないか?って。 そんな不安は映画が始まってすぐに消し飛んだけどね。  乾いた荒野とアスファルトが舞台の1と2に対し、サンダードームと同じく砂漠化が進んだアスファルトの無い世界が舞台のこの映画は、1と2の続編であり、失敗作3のリブート作品だと思っている。 2から3と続く世界観で、文明・秩序が崩壊すると、ヒューマンガスみたいな力のあるリーダーが組織を作り、バータータウンのような街が出来て、新しい文明と秩序が生まれる。もう一方で3の子供たちの部落のように、心の支えとして宗教(のようなもの)も生まれる。 イモータン・ジョーとV8エンジンを神のように称える街シタデルは、3のバータータウンと子供たちの部落をくっつけて発展させた宗教都市に思える。 そう考えたらあまりに芸術的にカスタマイズされた車も理解できる。彼らにとって車は、私達にとってのお神輿や山車みたいな存在なんだろう。 という訳で、本作は3からハリウッドのぬるま湯テイストを抜いて、カリッカリに乾いたマッドマックスの世界観を正常進化させた作品と言える。  フェリオサが主役のマッドマックス外伝として捉えると、マックス役はメルでも行けたんじゃないか?なんて思ったり。トムのマックスは最初、無愛想で自己中っぷりがヒーローっぽくないと思ったけど、そのぶんスプレンディドが無事だった時のサムズアップが人間臭くてたまらなかった。フェリオサに名前を伝えるところもまた良いんだよね。人を信じられない世の中で、孤独に生きてきた男の優しさ。あぁ、彼は間違いなくマックスだ。って思ったよ。 安易に看板に頼った続編でなく、観たいと思ったものを観せてくれた映画として、前作から27年後に、こんなサプライズ・プレゼントがあるなんて…長生きして良かった!って思えました。 さぁ指を組んで天に掲げて「V8!V8!V8!」
[映画館(字幕)] 10点(2022-11-05 21:41:36)
17.  マイ・インターン 《ネタバレ》 
-The Intern- “見習い”。“マイ・インターン”って邦題から、アン・ハサウェイ視点の映画かと思ったけど、デニーロ視点の映画だね。 広いオフィスを自転車で移動なんて今風、というかアメリカン。昔からアメリカのオフィスって、自分の趣味とかを持ち込めて、日本と比べて自由だなぁって思ってた。やり手だけど付き合い方の難しい若手女社長をアン・ハサウェイが好演…なんだけど、家庭の描写が出る辺りから、徐々に“ブッ飛び女社長感”は薄れ、家庭と仕事を両立するのに無理して頑張っている女社長になり、遂にはデニーロの従順なパートナーみたいなポジションになってしまったような。  主人公ボブの置かれている環境。高齢化社会のセカンドライフとして、再就職は現実的な選択肢。だけど実際は、頭脳労働ではなく単純労働に就く人が多いのは、世代間ギャップと求められるスキルのハードルが高いからで、ベンの最初の方の“何も仕事を与えられない”状態が“リアル高齢者の再就職”な気がする。 仲間と打ち解けて、若くて可愛い女社長とも仲良くなれて、自身の財産である人生経験からのアドバイスを素直に聞いてくれて、会社にとって掛け替えのない存在になる・・・リアリティは無いけど、退職間際や高齢の人にとって、とても夢のある映画だと思う。  あんな綺麗な上司と2人切りでサンフランシスコ出張。バスローブ姿で深夜のピロートーク。同じベッドで安心しきって寝ちゃうなんて、何とも夢たっぷり。 ファンタスティックな女社長ジュールズが徐々に等身大な存在になり、等身大だった高齢社員ボブが徐々にファンタスティックな存在に。 スーツにカバンに電卓にメモ。電話帳の会社の頃から自分のスタイルを変えてないベンが、最新の技術やツールを吸収しつつ会社に溶け込んでいくんだから、単なる高齢者じゃないんだけどね。 ジュールズ側かベン側か、観る側の立ち位置で評価が変わりそうな気はするけど、気軽にサクッと楽しめました。  母親の家に侵入のトコ、どうせならジュールズも一緒に行っていれば、あんな大騒動にならなかったろうに。 そして何がキッカケかイマイチ解らないけど、心を入れ替えて家庭を支える決心をするマット…解せん。映画の都合としか。 レネ・ルッソがすっかり歳を取っちゃっててビックリ。リーサル・ウェポンから20年以上経ってるんだな。 あとどうでもいいけどベッキーの狐のシャツかわいい。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2022-09-25 18:51:06)
18.  マラソン マン 《ネタバレ》 
-Marathon Man-そのものズバリだろうか?“マラソンをする男”“長時間に渡る…男”。数年前にエルトン・ジョンの-Rocket Man-が流行ったから、なんかそれっぽい雰囲気のタイトルにしたのかもしれない。  マラソンして、大学の講義聞いて、恋をしてのベーブの日常生活。一方でドクの暗殺未遂。路上の事故など、序盤からどう結びつければよいのか方向性がわからない展開が続く。ドクが殺されてからの展開、ベーブが誘拐されるシークエンスが怖い。風呂場の蝶番がミシミシ壊され、大声で助けを呼んでも止めない相手に、どう対処したら良いのかわからない恐怖。 「安全か?」「・・・安全か?」なにそれ、どう答えたら正解なの?…ってか、どっちでも拷問される怖さ。意味がわからない怖さ。歯カリカリするの痛い。チュイーン痛い。助けられたと思ったら、またあの部屋に戻される絶望感。変な汗出てくる。 助けてくれない救急車を描いてからのタクシー、変人呼ばわりしていた隣人の助け。エルザの目的。このあたり、序盤にベーブの日常が丁寧に描かれたために生きてきていると思う。そう思う一方で、ドクとベーブの話がなかなか結びつかない序盤が、映画として良く出来ているとも思えないけど。 ジーンウェイ達の最後がアッサリしていて、ちょっと駆け足感あり。でもユダヤ人街でゼルの正体がバレてからのハラハラ感は手に汗握る良い展開。  最後の「ダイヤを飲み込め」。意外な仕返し方法だけど、このダイヤもともとはユダヤ人の金歯だったから、それをナチに飲み込ませるのは、歯の拷問の仕返しとして、妙な上手さを感じた。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-12-06 00:26:21)
19.  間違えられた男 《ネタバレ》 
~The Wrong Man~邦題そのまま。 連行されてから刑務所に入れられるまで、ほとんど流れ作業で抵抗の余地がないのが怖い。そもそも誤認逮捕だから、弁明の余地とかあると思って特に暴れたりしないだろうけど、黙ってるとこんなにも淡々とコトは進んでしまうんだな…って、ある意味感心してしまった。 何かもっとこう『弁護士を呼んでくれ!』とか「いい加減ゲロしちまいな!(バキッ」なんて展開ではなく「はい、電話は後でね」「はい次、あそこに立って」「はいこれ書いて」「はい隣の人と手錠して」みたいな、この怖さ。気の弱い私なんて、ずっと黙って従ってそう。 ミランダ警告というのをダーティハリーで学んだけど、それがまだ無い時代とは言え、突然逮捕される事を現実として受け止められず、ボーッと流されるマニーの心境が伝わる。 護送される車の中で向かいの人の靴をジーっと見てる自分…怖さと、現実味の無さと、今後の不安と、色々な気持ちが頭に浮かんでいただろうな。 気丈に振る舞っていたローズが、遂にタガが外れて笑い出す瞬間の怖さ。自分の親知らずがモトでこんな事件に巻き込まれたこと、自分のせいで貧しい暮らしなんだって思い込みから、ノイローゼになるローズ。こんなタイミングでって思うけど、こんなタイミングだからだろう。 有利とも不利とも解らない裁判。自分の人生が掛かっている裁判なのに、周りの関心の無さ。 自分がどうなろうとどうでも良い人たちによって行われる裁判って、怖いな。 裁判で勝つでもなく、真犯人がアッサリ捕まってチャンチャン。だけど、取って付けたようにローズが2年後回復したことになっているけど、些細なことがきっかけで、これだけの時間と、あらゆるものを失うという、怖い映画だった。 過去に2回も強盗をした男が、その事務所に「金を貸してほしい」なんて、ご丁寧に妻の保険証券まで持って来るだろうか? 何件も強盗を重ねた男が、保険証券の登録住所に済んでてアッサリ逮捕なんて、警察も疑問に思わないんだろうか? 7500ドルは大金(今の価値で800万円くらい!!)だけど、強盗しても保釈されるんだ。 ついでにローズの親知らず4本は300ドル≒32万円くらい。高い!
[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-07-10 19:02:31)
20.  マンマ・ミーア! 《ネタバレ》 
~Mamma Mia!~なんてこったい!。 他人の結婚式のホームビデオほどどうでも良いものは無い。  結婚式はその空気感とか一体感とか感じるものがあるけど、それをいざホームビデオにされてしまうと、何故か空気感も一体感も失われてしまう。見せられる内容によっては拷問だ。 舞台のミュージカルならきっと臨場感とか遺憾なく発揮されたと思う。けどこの映画は敢えて、そのホームビデオ感を全面に出してきたんじゃないだろうか? 拷問にならないよう、超有名なABBAのナンバーと、美しいエーゲ海の島が、歌の素人っぽさを中和してくれる。ストーリーなんて飾りだ。 パーティでのドナと友達の熱唱。お金の掛かった余興の域を出ない内容で、ロージーが自分の振り付けが間違ってないかチラチラ確認するのとか、素人っぽさを出す演出だと思う。 エンディングのステージは、アンコールまで入れてノリノリのギラッギラだ。 やってる側と見てる側の温度差を感じさせつつ、でもすっごく楽しそうって思わせてくれる。 そんなホームビデオ感を出したと思いきや、序盤の『ダンシング・クイーン』は映像と歌とダンスが素敵すぎて、観て良かったって思ってしまった。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2021-05-18 01:37:08)
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