2. 未来世紀ブラジル
公開当時、たまたま名画座的映画館でこの映画に出会い、見たこともない世界観を楽しんでいたが、今になってみると、多少なりとも映画に近い世の中になってきてます。 この映画で最も象徴的に思うのは、ありとあらゆる便利な道具やシステムが複雑であるがゆえに、本来の機能を発揮できず、人間の手を煩わせていることだ。 自分も過去の10年間、膨大な時間をパソコンのトラブルに費やした。最近ではスマートフォンという便利で、恐ろしく無駄な時間を浪費する道具を買ってしまった。 あらゆるシーンで業務にだけ忠実な管理された人間(銃撃戦の中で掃除を続けるおばさんなど)が出てくるのは極端であるが絵空事ではない。 久しぶりに見たら、個々の小道具や、美術、画面の端にいるような脇役のキャラクターの描写も細かく演出されていることが以前よりも印象的で、以前よりずっと笑えました。 たぶん自分が大人になって多少なりとも、この映画の中に出てくるディティールと似たようなものを見たり、似たような人に会ったり、体験したからだと思います。 特撮も懐かしい手作り感があり、夢の中のサムライとの戦いは単純なカメラのトリックでしょうが、このシーンはすごく良く出来ていると思います。 CGを使えない時代のこういう工夫は大好きです。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2003-10-02 03:27:06) |