1. 道(1954)
「しのぐ」という言葉がありますが、この作品は旅芸人が日々しのいで生活していく説明が実に丁寧になされているために、ストーリーに不動の説得力を与えているものと思いました。ザンパノが方々で行きずりの女を抱くのも、生きる知恵の一つなのでしょう。そういう中で一人夢見心地のジェルソミーナは、ザンパノの行動を理解出来なくなるわけですが、キ印がはからずもザンパノの心を代弁して、ジェルソミーナの必要性を説きます。キ印にとっては、「伴侶」のいるザンパノがうらやましかったのでしょう。狂言回しである彼が、ザンパノの心情を裏側の表現で見事に裏打ちしていた、こういう部分にこの映画の奥深さを感じました。 8点(2004-02-15 01:49:15) |
2. 未来世紀ブラジル
この映画の少し後、「ペーパレス」という言葉が登場しましたが、みんなメール文書をプリントアウトしているのを見て、「未来世紀ブラジルかよ」とつぶやいていました。しかしこの世界観はスゴイ。デニーロも数ある出演作の中で、他とは違ったカッコ良さを見せています。ジョナサン・プライスの、監督にまで振り回され困っているようにも見える淡々とした演技がよい。マイケル・ペイリンにももう少し暴れて欲しかったけど。 7点(2003-12-23 17:16:22) |
3. 未完の対局
二人の主人公の、感情を内に秘めた演技が胸を打つ。数十年前に、このようなことが現実にいくつも起こったと思うと、なんともやりきれない。友情と師弟愛と男女の愛。運命に逆らえない人間は苦悩しつつも、また生き続ける。そして新たな命が芽生える・・・。この映画はビデオなどでもなかなかお目にかかれないが、このような映画こそ後世に語り継ぐべき作品だと思う。 8点(2003-12-21 16:29:26) |
4. ミスター・ルーキー
今までの野球映画と比べれば、せっかくウソ臭くない映像になっているのに、プロ野球のルール自体が無視されてしまっている点にはしらけてしまいます。いわば企画モノの「架空優勝実況」のようなもので多くの観客の心をつかむのは無理でしょう。そもそも阪神が優勝しなければならないという動機自体、何のためだったのか途中で分からなくなってしまいます。「メジャーリーグ」のような、チームと一体になって達成感に浸るということもできません。せいぜい阪神ゆかりのお馴染みの面々の顔を眺めてニヤリと笑う程度。阪神ファン以外にとっては相当「イタイ」んではないかなあ・・・。 4点(2003-12-18 23:16:00) |
5. ミッション
やっぱりこの映画は巨大スクリーンで見たい。最初の滝落としのシーンは自分の足もすくむほどでした。ジェレミーアイアンズがよい味出してます。その後の出演作からは創造できないほど、大人物を演じきっていますね。さすがの奴隷商人デニーロもその徳に触れることになるのも頷ける、という名演技だったと思います。最後のシーンは、映像と音楽だけですべての虚しさを表現していましたね。重い題材ですが、楽しめ、感動できる作品だと思います。エンニオ・モリコーネへの弟子入りを考えたきっかけとなった作品です。(考えてるだけですが・・・。) 8点(2003-12-16 22:26:27)(良:1票) |
6. ミッドナイト・ラン
デニーロ作品の中で最も好きです。こんなにたくさん好きな方がいらっしゃってうれしい限り!この時代は髪を伸ばしたり、カポネになったりと、外見を作りこむ役が多かったデニーロですが、この作品は等身大のデニーロの旨みを堪能することができる作品だと思います。故・松田優作も当時そのようなことを言っていたような気がします。ナンセンスギャグではなく良質のおとぼけ漫才のような二人の掛け合い。またそれが後の複線となったりする。マービンの愛らしいバカっぷりが最後にして最大の障壁になるところなど、脚本のすばらしさには舌を巻きます。「来世で会おう」「ドーナツ買って来る」など、名台詞満載の映画。「ビバリーヒルズ・コップ」のジョン・アシュトン、「エイリアン」のヤフェット・コットー、「マトリックス」のジョー・パントリアーノ、「スティング」のジャック・キホーなどなど、立ったキャラクターの脇役陣もとてつもなく贅沢!サゲ(オチではない)もさりげなく素晴らしい! 10点(2003-12-16 21:16:48)(良:1票) |