1. 乱れ雲
《ネタバレ》 丁寧な演出、という意味では全く衰える事のない成瀬巳喜男監督の遺作。 しかし正直どこか空気が抜けているような印象があります。 この映画における司葉子さんの美しさは非常に希有なものでありますが、加山雄三に惹かれていく過程は自分には見えませんでした。 加山雄三さんの方も、自分が撥ねて殺した人物の妻に恋していく葛藤が感じられず。 ラスト付近の瞬間瞬間の心の機微という部分に共感しがたいといいますか。 それとこんなことわざわざ書くべきではないかもしれませんが、森光子さんが、芝居の中で相手の話を聞いているようには見えず、様子を感じ取っているようには見えず。1人で芝居をしているように思えます。 浦辺粂子さん、加東大介さんはさすがの納得の演技でした。 これはある意味失礼な野暮な想像ですが高峰秀子さんならどう演じただろう、とか考えてしまうのであります。 結果的に成瀬巳喜男監督の最後の作品なわけですからね。 期待値が高すぎたせいか不満が残ります。 [DVD(邦画)] 6点(2014-08-10 21:22:41) |