1. ムクドリ
《ネタバレ》 深い哀しみから夫婦の愛が立ち直っていくという心温まる良い話だとは思います。でも、何かしっくりと来ない。いまひとつムクドリとの交流が生かされていない?否、取って付けた感があると言った方がいいかも。 確かに、ある意味孤独と戦うリリーに生きる力を与えたのはムクドリでしょう。たまたまテリトリーに入って来た彼女を追い払おうとしたことがきっかけとなって敵対関係になったリリーとムクドリ。ただ、かと言ってリリーは毒を盛る気もなく(結果、犠牲は出てしまった)、雛を見れば巣を壊すのを躊躇う(ソックス故かも)、彼女の優しさと母性はムクドリ一家を心から憎んでいる訳ではない。挙句、成り行きからムクドリを傷付けてしまった彼女には贖罪の意識さえ芽生え、介抱を通じてムクドリと心を通わせようという(もしかしたら自らの心を落ち着かせようとする意味の方が大きいかも)行動に向かう。そしてそれは、次第にジャックに向けた感情にまで影響していく。 一方ジャックは、服薬を拒否し妻を拒み周囲の全てに心を閉ざしているものの、そんな自分がどうしたら良いのかという課題に対して本心から背を向けてはいる訳ではない。以前から発症していたという告白から考えるに、(不安定この上なく決してよろしくないことだとは思いますが)彼は良きにせよ悪しきにせよある程度自らの症状をコントロール出来ているのかも知れません。結局彼は自らの力によって前を向き始める。勿論リリーの存在はこの上なく大きなものではありますが、ムクドリとリリーの関係が、間接的であっても何かしら影響しているかどうかは作品からは読み取りにくいところです。 なので、あくまでもこの物語はムクドリの存在を意識することによって変容していくリリーの物語のように思えました。強いが故により一層悲しみに打ちひしがれてしまった人間が、より強く生まれ変わり立ち直っていくという。言い換えれば、決して動物が主人公(擬人化や象徴化を含む)の物語ではないように思えた次第です。そのあたりで作り手の意向と私の願望がすれ違ってしまった感があります。そっちを期待していたと言うか。 ちょっと作り物感が強い行動をとるムクドリのCG(自宅に営巣された経験のある身としては違和感あり過ぎ)、(現実的過ぎて)何か煮え切らないように感じてしまったカウンセラーや心療医の行動や言動。印象的・感動的な台詞やカットの数々が散りばめられている作品であるにも関わらず、個人的には妙な消化不良感が残ってしまいました。 ファミリー向け、お子様向けの作品、或いは全編アニメで作られていれば随分と印象が違っていたように思えます。作り手と少々気が合わないままに観終わってしまった1本でした。 [インターネット(字幕)] 5点(2025-02-09 09:47:01) |
2. ムーンシャーク
《ネタバレ》 うわ~、チープ!これがいいんですよね、アサイラムワールド! 兎に角チープ。ストーリーそのものは決して嫌いではありませんが、それを映像化するうえでのチープさ加減はハンパではありません。これは予算がないからなのか、それとも確信犯的なのか、或いは予算のなさを逆手にとって武器にしているのか?個人的には「これぞ魅力!」として受け入れています。原題も良いですね。差し詰め「月のサメ側」? 旧ソ連の秘密研究施設。うっかりブリキのバケツを水槽に落としたらそれが原因かどうかわからないけれどフェンス破損、ハイブリットたちが踊り出る。サメ人間の造形がいいですね。種類がいろいろだったりボスは超グラマーなメスザメだったり、遊んでくれてます。 NASAのシャトルっぽいロケット。操縦したことのない科学者が準備もしていなかっただろうにいきなり発射。ベルトも何もしていないし。そして月まで操縦。もう何でもありです。このまま書き連ねるとおそらく殆ど全てのカットについて解説やらツッコミやらしたくなるので自粛です。 パクリ的作品が多数を占めるアサイラムものの中では、本作は純オリジナルと言っても良さそうです。(私が元ネタを知らないだけかも)奇想天外と言うか滅茶苦茶出鱈目と言うか、好きじゃなきゃ観れない作品。かなり甘過ぎを承知で6点献上します。 続編を匂わせるラストシーン。作る気があるのか?それともお約束的に纏めたのか?万が一続編があればまた観てしまうことでしょう。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-09-10 13:25:35)(良:1票) |
3. 村人
《ネタバレ》 都会から遠く離れた村の村人たちが、秘密を共有しつつ排他的に暮らしを守り、それを崩そうとする者に対しては手段を選ぶことなく対応し、人殺しさえも厭わないといった物語。このように書いてしまうと結構既視感のある物語かも知れません。 ただし、主人公自身がその村の出身者である、ということが他の作品との違いでしょうか。加えて、村人たちが排除しようとするのが純粋に余所者ではなく、一度村を離れて戻って来た者、つまりは元々は余所者ではないというところが、この作品にオリジナリティが感じられる部分です。 ただ、物語の背景はかなり省略されていて、寧ろそれがテンポをよくしているのかも知れませんが、モヤモヤ感が残る展開、そしてエンディングでした。 何故マイクはナイフ投げ事故にのめり込んで行ったのか?単に犯罪捜査官の本能が目覚めたからなのか? 何故マイクはサーカス団にすぐに村を出るよう強く訴えたのか?村人の過剰な反応と地元警察の無関心さから、報復によって更なる犠牲者が出ることを恐れたからなのか? 何故マイクは死体を発見して警察に電話したにも関わらず、自ら電話を切り単独捜査をし始めたのか?誰かを守るためなのか? そして最も理解出来なかったのは、何故マイクは自分を殺そうとしたエヴァを許したのか?ラストシーンでエヴァは身重のように見えますが、お腹の子がマイクの子なのか?だから彼女を許すのか?それとも彼もまた村人に戻ったからなのか? この他にもまだまだ何かとスッキリせず、消化不良感が激し過ぎました。なので、そこそこ楽しめましたが5点献上に留めます。 [インターネット(字幕)] 5点(2023-01-10 11:30:39) |
4. ムーンフォール
《ネタバレ》 SF作品には大きく分けて3通りあると思っています。 一つ目は哲学的なテーマで描かれる壮大なファンタジー、二つ目は科学的根拠を正確に積み上げて表現される緻密な物語、そして三つめは多少非現実的であろうとも只管エンターテインメントに徹した娯楽大作。 言うまでもなく本作は三つ目のジャンル。いきなり月が落ちて来るのは、月が巨大な人工建造物であって内部には何かがいる。それも、人類の祖先にあたる生物とそれに敵対する進化したAI。その争いの果てに月が軌道を変えつつある。このアイディアには初めて出逢いました。新しい! AIと言いながらトレマーズ、或いはザ・グリードみたいな怪物が不気味ですね。なんでAIが進化するとあんな風になっちゃうのか、すんなり受け入れるには結構抵抗ありますが。 でも、基本のアイディアがぶっ飛んでるんですから、この際細かいことは言いっこなしってことで。 そもそも、月の激突が避けられたって既にある意味遅い訳で、全世界で一体全体何千万人、いや何億人が犠牲になっていることか。破壊の限りを尽くされた文明が再建されるまでに何十年、いや何百年かかるのか。その前に突如として世界戦争が起きて世紀末状態になってしまわないだろうか。そして、そんな先の見えない状況の中、主人公一家は貴重な犠牲を払いつつも、結果助かり軍用ヘリを専用に飛ばさせて貰う特別待遇でハッピーエンド。そんなんでいいのかしらん? でも、そういったことをいちいち考えることなく楽しめちゃうのがエンターテインメント作品の強みというか、考えちゃいけないんですよね。 只管アイディアと映像とハル・ベリーさんの美しさに酔いましょうという観点からの7点献上です。 [インターネット(吹替)] 7点(2022-12-01 23:29:22) |
5. ムービー43
《ネタバレ》 これは酷い!酷いけど面白い!この豪華キャストにして、この下ネタ、エロネタ、人種差別ネタ! まともに考えたら出演料だけで何十億円?それとも、殆ど友情出演なのかな?よくぞここまで皆さん引き受けてくれましたね。 劇中CMまで入れると15本程になる本作品、始めっからすごいテンションで飛ばします。 (以下、大いにネタバレです。) ヒュー・ジャックマンの首タマには参った。CGの出来栄えも異様に自然。毛が落ちるなよって。プロポーズの糞便ネタも凄い。どんだけ詰まってたんだよ。iBabeのアイディアにはリチャード・ギアも閉口しただろうなぁ。ダッチワイフ型音楽プレーヤーかよって感じ。いかれたバットマンとロビンも超エゲツない。クロエちゃんのお話は妙にリアルだな。救いようのない話の小人の妖精がジェラルド・バトラーとは気付かなかった。ハル・ベリーのバディは強烈。そしてラストのエピソードは極めつけの酷さ。猫好き激怒間違いなし。あ、劇中CMの機械の中の子どもたちはかなりシリアスです。 好き嫌いは滅茶苦茶分かれるし、はっきり「悪」と位置づけられる作品かもしれないけれど、これを作ってしまうハリウッドってスゴイなぁ。日本だと超悪役がそこそこの年齢になるとバラエティとかで急にイイ人っぷりを公表しちゃう程度。ここまで大量のスターたちがイイ人パワーを炸裂させちゃうってないかも。 [DVD(字幕)] 7点(2014-09-14 07:59:00) |
6. ムーン・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 「ブレア・ウィッチ」の監督だから、今回も手ぶれ映像かなぁ…と思ったら良い意味で期待を裏切られました。ただ、これってゾンビ映画かなぁ…(謎) 伝説系の物語として、特に新たな展開とか特徴はないのですけれど、結構惹き込まれます。主人公の行動パターンなんかが解りやすく納得です。で、夜の出来事だから画面が暗いのは仕方なし。 これは結構見っけもんだったかも。 [DVD(字幕)] 6点(2010-08-15 01:54:12) |
7. MUSA-武士-
皆さん書かれているとおり、戦闘シーンの迫力は真に迫ったものがあります。何もそこまでリアルに描かなくても…と一瞬引いてしまう程。でも、それが刃物を使った殺し合いの真の姿なんですから、そういう意味ではとても正直な作品だと思います。 ストーリーとしては、フィクションと割り切れば十分楽しめるのではないでしょうか。歴史背景に詳しい方がご覧になれば、きっと突っ込みどころも多いのでしょうけれど、武侠モノとして楽しむ分にはいいんじゃないかと。 それにしても、最近目に付く死に急ぐ男達のドラマ。「ラストサムライ」しかり「HERO」しかり… お国柄で描き方は違うものの、主人公達は国のため名誉のため散っていきます。ある意味、死を美化しているようでその部分は好きではありません。 8点(2004-06-20 08:05:35)(良:1票) |