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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 616
性別 男性
自己紹介  「監督の数だけ映画が有るのではなく、観客の数だけ映画が有る」という考えでアレコレ書いています。
 洋画に関しては、なるべく字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くというスタンスです。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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1.  息子(1991) 《ネタバレ》 
 何といっても、終盤における次男のアパートでのシーンが素晴らしかったですね。  息子が良い娘さんと結婚してくれるのが、もう嬉しくて嬉しくて眠れなくて、思わず唄い出してしまう老父の姿が、何とも微笑ましい。  それまでが結構「しんどい」描写も多かったりしただけに、あそこで一気に救われたというか、心が晴れやかになるのを感じられました。   息子達は「出来の良い長男」「出来の悪い次男」という対比になっている訳ですが、後者の方に同情的というか、真に父親想いなのは次男の方であると感じられる描き方にしている辺りは、如何にも寓話的。  長男だって父親や弟の為を思って、色々考えて行動しているのに、どうにも空回りしていたのは、ちょっと可哀想でしたね。  次男目線では非常に幸福な映画なのですが、長男の側にも、もう少しフォローが欲しかったところです。   そんな長男が、父親に対しては方言で話すのに、会社で同僚や部下に接する際には標準語に切り替わる描写を自然に挟んでいる辺りは、実に上手い。  中々方言が抜けなくて、その事にコンプレックスを抱いている様子な次男とも、良い対比になっていたと思います。  また、次男が鉄工所に務めるようになった後、お風呂場で気持ち良さそうに汗を洗い流し「働く喜び」を感じる描写なんかも良かったですね。  序盤にて「汗水垂らして働く事」を軽侮していた台詞があっただけに、余計に響いてくる形。   やれ「あの頃の方が良かった」だの「どうなるのかね、この国の将来は」だのと、こんな昔の映画の中でもオジサン連中が愚痴っている事には苦笑しちゃいますが、何時いかなる時代でも見受けられる風景なのだろうなと思えば、何だかほのぼの。  戦中は部下に対して厳しく接し、手を振るう事もあった伍長さんが、何十年振りかに部下と再会したら、ひたすら低姿勢で謝るだけというシーンなんかも、シニカルな笑いを感じられましたね。   上述のように、老父がアパートで眠れぬ夜を過ごすシーンは本当に大好きなのですが、ラストにて、実家へと帰り、誰もいない部屋で一人「家族みんなが、この家にいた頃」を懐かしんで終わる形だったのは、ちょっと受け入れ難いものもあったりして、残念。  「次男が孫を連れて、里帰りしてくる未来」を思い描き、父も生きる希望を取り戻した様子だったのに、結局は過去の出来事こそが最も幸せであったかのような描写で終わってしまったのが、何だか凄く寂しかったんですよね。   勿論、未来だけでなく、過去も大切にするのは良い事だと思います。  ただ、個人的な好みとしては、駅に着いた後の、地元の知人とのやり取り 「息子と会って来たか。幸せだな、おめぇは」「……あぁ、幸せだ」  という台詞で終わってくれた方が、より傑作に仕上がったのではないかな、と思えました。
[DVD(邦画)] 7点(2016-09-18 19:15:39)(良:1票)
2.  ムーンライズ・キングダム 《ネタバレ》 
 どこか見覚えのある作風だなぁ、と思っていたら「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」の監督さんだったのですね。納得。  あちらも出演者が豪華で、かつ自分好みな顔触れだったのですが、こちらの品でもそれが共通しているみたい。  自分としてはエドワード・ノートン目当てで観賞したもので、本当に脇役扱いである事に驚かされました。   作風としては上品でセンスの良い、大人のファンタジーといった趣きですが、意外と性的な表現もあったりする、際どいバランス。  それも直接的でドギツイ代物ではなく、まだ性知識の無い子供でもドキドキしそうな作りになっている事には、感心させられましたね。  狭いテントの中で、半裸の女の子と二人きり生活を送る様を描いてくれたりして、ある種の願望を叶えてくれる映画としても評価出来そうです。  それと、劇中で女の子が初めてピアスを付けるシーンがやたら色っぽく描かれていた気がするのですが、あれはやっぱり「穴を開ける」という事で、性行為の諷喩なのかな? とも思えるのですが、真相や如何に。   そういった意味で、子供同士の恋愛映画としては満足だったのですが、大人側の描写には少し不満もあったりします。  ノートン演じるウォード隊長と、ブルース・ウィリス演じるシャープ警部を、今一つ応援する気持ちになれなかったのですよね。  理由としては、この二人が主人公達の人格を理解し、尊重し、彼らを好きになった上で行動しているというよりも、単に「少年収容所に送るのは可哀想だから」という、同情心ゆえの行いに思えてしまったのが大きいです。  彼らは主人公達に味方してくれる「良い大人」代表なのでしょうし、もう少し両者の心の交流というか、相互理解を示す場面が欲しかったところ。   心中オチも有り得るかと思われた展開の中で、最後はハッピーエンドに着地してくれた事は、素直に嬉しかったです。  まだまだ前途多難な恋路のようだけど、それもまた発展途上である子供達の物語としては相応しい結末かな、と思えました。  劇中の二人にとっても、この子供時代の思い出は、素敵なものとして胸に残りそう。   奇妙な安心感を与えてくれる、独特の映画でした。 
[DVD(吹替)] 6点(2016-04-20 14:12:01)(良:1票)
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