1. メッセージ
《ネタバレ》 主人公のルイーズ博士は、宇宙人がもたらした言語を学んでいく中で、未来を知る能力を得て、それは人類の平和をもたらす。 しかし、大事な人・最愛の娘の死を知ることになる。 異星人のメッセージを解読するミステリーを縦軸に、これから産まれてくる娘との”未来”の思い出を横軸に映画は進行する。親の経験のある人なら誰もがわかるだろうが、子供との思い出はいつもキラキラとしているのだ。ルイーズは、やがて娘の死という辛い未来が待っていたとしても、それを受け入れて前に進む。なぜならば、もし未来を変えてしまったら、娘は生まれてこない、そして大切な思い出まで消えてしまうからだ。ルイーズは一瞬一瞬を精一杯生きていこうと心に誓う。 物語は大切な人の死で始まり、その人が誕生するきっかけで終わる。マックス・リヒターのOn The Nature of Daylightの旋律が円環構造のように思い出と優しく重なり合う。ルイーズのすがすがしい決心とともに優しい余韻の残る映画だった。 原作「わたしの人生の物語」は、フェルマーの最小時間原理が非線形的なSFテーマの一つになのだが、映画では割愛している。その結果、ルイーズのパートナーが物理学者である必然性が希薄になったのがマイナス点。 [映画館(字幕)] 9点(2017-05-29 23:18:18) |