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1.  もののけ姫
僕がもののけ姫を見たのは、13歳のときだと思います。その時、すごく分かりやすい映画だと思い、純粋に楽しかった記憶があります。周囲の大人たちが「子どもには難しい」とか「説教くさい」などと言っているのを聞いて、「何でこんなに分かりやすい映画を、難しいなんて思うんだろう?」「難しいと言っている割に、どうして説教くさいなんて感じるんだろう」と疑問に思いました。 もののけ姫の批評で、最も多いのが、「ナウシカと似ているが、ナウシカのほうが良かった」でしょう。しかし、僕にはナウシカとの類似など全く感じませんでした。そこで僕は思ったのです。僕と、他の大人たちとでは「もののけ姫」の観方、観点が違うのではないかと。もののけ姫を「環境、自然と人間、生物との共生」をテーマにした説教映画だ、と考えている方は結構多いのではないでしょうか。しかし、僕はそうは感じませんでした。「もののけ姫」は、「傷つき、心までもが病んでしまった少年少女が、生きるということに目を向ける模索映画」だと感じたのです。現に、宮崎さんは「この作品は、恵まれていないと感じている子どもたちに観て欲しい」と語っていた筈です。「もののけ姫」が自然と人間との共生をテーマにした映画なら、「恵まれないと感じている子どもたち」に、敢えて勧める理由など見当たりません。環境問題などの観点から「もののけ姫」を観れば、「ナウシカ」に劣るのも肯けます。ただし、それはナンセンスです。もののけ姫が伝えたいことは「環境保全」でもなければ、「自然と人間の関係の見直し」などでもないからです。「メッセージだけで、ドラマがない」といったあなた。あて先を間違えて配達されたメッセージを、間違えて受け取ってしまったのでは??? もののけ姫公開前後の日本では、少年犯罪が特に多発した時期だったように思います。自らを「哀れだ」と感じている少年少女が多かった時期とも言えるのではないでしょうか。宮崎さんはそこに着眼点を置いたのだと思います。 丁度僕の年齢はまさに「キレる17歳」だとか「14歳の少年犯罪」などと呼ばれた年代です。少しやさぐれたと言うか、アブナイ年齢層でした。その僕たちの年代の少年少女が、当時口々に「もののけ姫は面白い」「もののけ姫を見て、何かが変わった気がする」などと話したものです。現に僕も、「自分のことが嫌い」で「自分だけが可哀相」で「すべてが憂鬱」で「大人が嫌い」で「でも早く大人になりたく」て。。。ひとつ何かを間違えれば、何をしでかすか分からないほどでした。僕の周りにも、同じような人はたくさんいました。「仮面をかぶった」少年少女だらけでした。誰かを悪者にして自分だけ助かりたいと思う反面、いっそ、自分だけが被害者になって、「可哀相」と思われたい。僕たちの気持ちは、不安定でした。しかし、そういう僕たちには「もののけ姫」は受け入れられたのです。 確かに、僕には当時、もののけ姫の時代設定である室町の時代背景も分かりませんでした。しかし、映画は「理解し、整理する」というより「感じ取り、消化する」ものだと、僕自身考えているので、日本を舞台にしたファンタジーである「もののけ姫」を相手に、俄かに現実主義者になる必要もなく、素直に感じ取り、消化することが出来ました。 映画の感想は、観る側の趣味嗜好に左右されるので、それに関しては仕方のないことなのですが、僕が思うに、もののけ姫をつまらない等と感じた人は、少し大人になり過ぎたのではないかと思います。説教くさいと感じた人は、あて先の違う手紙を受け取った人、あるいは、説教されるに値する「後ろめたさ」があるのではないでしょうか?子どもには難しいと思った人は、子どもをバカにしているのでは?当時13歳のガキンチョだった僕には、難しくなどありませんでしたよ。また、「環境保全映画」だと思い込んだ上で「感動した」などと言っている人。あなたも、あて先の違う手紙を、自分宛と思い込んでいる、とんでもないおバカさんなのでは?? 子どもたちは言います。「大人は分かってくれない」と。 もののけ姫も、「大人は分かってくれない」映画なのかも知れないと感じました。 いま、大人になってしまった皆さんも、一度は言った事がある言葉でしょう。「大人は分かってくれない」と。
10点(2002-10-08 17:48:10)
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