1. 夜歩く男
《ネタバレ》 「実際の事件を忠実に描いている」冒頭ナレーションですが足し算引き算されているのを鑑賞後に知りました。 犯人の過去、心情、犯行理由も一切提示しない潔さも相まって「道」でのキ印が印象深いリチャード・ベースハートの知性豊かでありながら何を考えているのか分からない薄気味悪さが際立ちます。彼にいいようにしてやられる当局側に今作では肩入れしてしまう。同僚の仇討ちながらも頭に血を上らせることなく、清張作品ばりの理詰めで地道な捜査で遂に突破口を開いたのに胸熱に。そこから自宅包囲にこぎつけ「勝った」と確信した途端の展開に「お上は最後の一歩が踏めんのか」呆然と。しかしそこからが最大の見せ場で「地下水道」「第三の男」の元ネタかと思われる追跡劇は映像知識に疎い私でも魅入るもので結末The End に硬直が解けました。見事な脚色での何処までも硬派な傑作ノワールです。 [インターネット(字幕)] 9点(2021-08-06 22:17:49) |
2. 夜霧の港
クロード・レインズ、ジャン・ギャバン、トーマス・ミッチェル共演で、こんな愚作を見せられるとは。お粗末過ぎる脚本は原作もお粗末なのだろうか。こんな作品でもキッチリ仕事している3人は流石の名優と言えますが無駄遣いもいいところ。レインズ台詞「クタクタになって帰ってくる亭主の為に家はバーよりも魅力的な場所であるように」で、「ハァ?」「結婚7回レインズの素で思うところだろうか?」印象に残ったのがこれだけというガックリ・グッタリな作品です。 [DVD(字幕)] 3点(2021-07-10 19:46:10) |
3. ヨランダと盗賊
基本、アステア作品に脚本の質は求めないのですが、ファンタジーであっても守護天使を絡めた設定展開の幼稚さに白け返る代物です。それを補う筈のダンスシーンも、間引運転・徐行運転状態で萎えるばかり。興行収入惨敗でアステアが引退宣言をした(後に復帰)というのも頷ける残念な作品です。 [DVD(字幕)] 3点(2021-04-05 13:42:29) |
4. 欲望の砂漠
南アフリカ、ダイアモンド採掘地帯を舞台にしたドラマ。チーム「カサブランカ」の面々に囲まれて奮闘するバート・ランカスターですが、年季の違いを感じるのは仕方のないところでしょう。MIPはお目当てクロード・レインズ、ではなく、ポール・ヘンリードで下劣で残忍というイメージとは真逆の人物を彼らしい生真面目さで演じています。国籍不祥のピーター・ローレ、何を考えているのか善悪どちらか分からないクロード・レインズはお約束な人物像で貫禄の存在感ですが突き抜けたものがなく、結末と共に歯痒さが募る残念な作品です。 [DVD(字幕)] 6点(2021-03-11 16:50:02) |
5. 夜は千の眼を持つ
《ネタバレ》 奇術師トライトンの透視はステージ上での芸のみならずプライベートでも予知出来てしまう。儲け話に繋がる良い出来事ならまだしも人の死も。苦しさから逃れる為の隠遁生活20年。浮かんでしまった曾て愛した女性の娘の死に対してフィアンセや警察と共に阻止すべく立ち向かう。見えてしまう苦しみを表すエドワード・G・ロビンソンは控えめなキャラでも存在感は大きい。とりわけ自分の身に起こる事を察した(台詞無し)シーンは彼ならではの名演技で結末に繋がる。手堅い作りで無理筋が無く地味ながらも見応えがある秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2019-05-03 16:46:57) |
6. 夜の人々(1948)
《ネタバレ》 ボウイとキーチ、「俺たちに明日はない」のバカップルとは違う瑞々しい二人の逃避行。結末は分かり切っているものの、それが仲間の裏切り(置手紙を勧める女の顔つきには吐き気がする)によるところがやるせない。監督処女作にして名作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-03 09:35:25) |
7. ヨーク軍曹
《ネタバレ》 製作年を考えると戦意高揚映画にしか見えない。ご都合主義な展開に辟易。放蕩息子であった時から慈愛を注ぎ続ける母と、英雄譚で金儲けすることを拒否したヨークに辛うじて救いを見た作品。 [DVD(字幕)] 5点(2017-11-05 20:13:23) |
8. 酔いどれ天使
眞田と松永の台詞が全編に亘って怒鳴っていることに辟易する。掃き溜めに鶴と呼べる女学生の存在がなければ観るに堪えない作品。真に強い人間について考えさせられるエンディングが秀逸。 [DVD(邦画)] 5点(2016-09-03 18:58:19) |
9. 夜までドライブ
キャラが際立っていた社長夫人。知性の無さと比例した物語の深みの無さが物足りませんが、彼女のお蔭で退屈せず鑑賞出来ました。 [映画館(字幕)] 6点(2013-01-13 20:22:38) |
10. 夜の女たち
家族を養うため止むに止まれずでなく、単に悲しみで捨て鉢になって躰を売る。ことは止めましょう。ごもっとも。田中絹代の演じる夜の女が単に言葉遣いが悪いだけという演出で、青臭い子供にしか見えなかったのでそれ以上の感慨が湧いてこない作品でした。 [DVD(邦画)] 3点(2011-08-09 21:41:48) |