2. 夜の河
《ネタバレ》 主人公が恋を諦めてキャリアウーマンとして改めて生きてゆく事に決めた経緯が男性陣(演者の演技は良いし時代的な背景もあろうが)の「だらしがない」(としか言いようのない)性格に起因してしまっている点、加えてメロドラマにしても都合の良すぎる展開・余計な描写(特に私はラストのメーデーの描写は蛇足と思っております)といった欠点あるこの作品を何故故にレビューするのか。まずは日本を代表する名カメラマン宮川一夫の撮影/カラー描写の素晴らしさが一点。京都出身の彼が撮りだした日常風景や色彩配置の各ショットは今の邦画ではもう映し出せないし、出せたとしてもその「空気」までは抽出出来ないと思わせる。そしてもう一点は山本富士子の「美しさ」をフィルムに捉える事の出来た一本であった事に尽きるのではないか。後年五社協定事件(1963年=フリーになろうとした彼女に親会社の大映がそれを許さず五社協定の名を借りて映画界から締め出した事で彼女はTV・舞台女優としての生き方を余儀なくされた)により10年しか映画女優として活動できなかった彼女の代表作の一本になった事でこの作品は映画史に名を残した。ま、私としては「彼岸花(58)」「女経(60)」とか「美貌に罪あり(59)」くらいの少しムッフーンな方が好きなんだよう...ムツフーン。...ゴホンゴホン、早く大映はブルーレイ仕様のデジタルリマスターやっちゃってください! [映画館(邦画)] 7点(2016-05-05 22:06:53) |