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1.  夜の鳩
市井風俗ものってのは、その場所の気分のスケッチが大事、というか、それこそが作品の中心。これなんか、ストーリーよりも、そこに漂う気分だけで一編の映画にしてしまい、しかも成功している。浅草老舗の料理屋なんだけど、しだいに質が落ちている、一の酉なのにあまり客がいない。そこの女たちの話。いちおう主人公は竹久千恵子、昔は看板娘だったが、いまはトウがたってしまった。ひいきにしてくれていた月形龍之介も最近は妹のほうに向いている。あと義父のヤクザに妾に行けと言われている娘や、オタフクのためにお燗番しかさせられない娘や、女たちの世界が静かに展開していく。年の瀬の雰囲気も加わって、全体が衰滅に向かっている気分がひしひしと伝わる。ジンタの音も流れてくる。作者の視線は、この滅んでいくものを記憶にとどめといてやろう、といった感じ。もうたぶん反復されないここでの最後の年の瀬を味わい尽くそう、って。ただただひたるための映画。こういう元気が出ないモロ後ろ向きの映画って、日本でだけ異様に洗練されていった気がする。右肩下がりに独特の情緒を感じてしまう国民性なんだな。無常観とかワビサビとかとつながってるのか。原作は武田麟太郎の小説「一の酉」で脚色も作家本人。このころからもう老人役の高堂国典は、当時「黒天」と表記していたらしい。
[映画館(邦画)] 8点(2009-06-29 12:04:18)
2.  四十二番街
ジェットコースターの滑り出しのように、カタカタとポテンシャルエネルギーを蓄積していって、ラストのショーで一気に奔流として押しまくるミュージカルの型は、ここらへんで確立されたのかな。そのショーが何しろ見せ場。サーッと開いて列車になるあたりからラストまで、ウキウキしっぱなし。車掌と新婚さんとの三人がツツツと右に滑るようにステップを踏むあたりでニンマリだが、まだここらはステージショーの中継といった感じでカメラは慎んでいるのだけど、次第にじっとしていられなくなり、ダンスの中に・ステージの上に乗り込んでいってしまう。このノメリ込んでいく勢いがすごい。「これはいちおう舞台のシーンなんだよ」という前提を放棄していくまでに節度を失っていく。二重の回り舞台を使った振り付けなんかになると、ステージかどうか怪しくなる。真上から見下ろしたときにのみ効果のある振り付けで、ついにはカメラが並んでいる脚の間をくぐったりすれば、もう「ステージを観ている観客」は無視されてしまっているようなもんだ。ヒロインが乗ってた車が走り抜けていったり、向こう側の車も停まっていたりすると、もうここは舞台じゃない。女性が襲われそうになる室内セットなんかは、もう完全に映画のそれ。カメラは窓から退却していく。そして摩天楼のセットが浮き出て、てっぺんで笑っている二人となる趣向。ステージものであったのが、「映画」のミュージカルに乗っ取られていく、その暴力的な奪取の爽快感。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2011-09-19 09:59:25)
3.  夜ごとの夢(1933) 《ネタバレ》 
成瀬の映画を観て、よし明日から力強く生きよう、と励まされることはまずない。励まされるというより、愚痴を聞いてもらう気分に近い。出てくる男も、だいたい生活力がなさそうだが、これの斎藤達雄などその最たるもの。ダテなヒゲをつけてるところが、ますますダメソー感を強めている。子どもの亀のオモチャのマネしたりしてる。その彼がやっぱりダメだった、という、弱虫! いくじなし! で終わる話だ。その彼が人生で唯一楽しんだ草野球の場が、みずみずしく素晴らしい。ちょいと遊んでおいでな、と放り上げるみかんが野球のボールになるという、『2001年』を先取りしたようなツナギで入ってくるシーン。振り返ればどうしようもない人生だったけど、あの子どもと遊んだ一日を楽しめたならそれでいいか、と思っちゃう。どうも力強く生きられないんです、と愚痴を言ったら、いやいや、こんな男もいるよ、と答えてくれたような映画。
[映画館(邦画)] 7点(2010-10-28 10:17:49)
4.  与太者と海水浴 《ネタバレ》 
たぶん私が見た高峰秀子の中で、『東京の合唱』の次に古いものだと思う。9歳。『東京の合唱』では、まだ子ども一般という感じで個性は認められなかったが、ここに至って後の大女優に通じる個性が生まれている。と言っても、敏行君という、金持ちの坊ちゃん役。女の子が男の子を演じるのは、美空ひばりや松島トモ子が杉作をやったりと、最近の香港映画『ミラクル7号』に至るまでけっこうあり、芝居で男の子役を若い女優が演じるしきたりとつながってるキマリなのかもしれないけど、高峰で見られたのはこれだけ(あと『麗人』という島津保次郎作品で、岩夫君・6歳・てのを演じたのがフィルムセンターに残っているそうだ)。自伝によると高峰はこの時期男の子役のほうが多かったそうで、五所平之助監督は後になっても彼女のことを「坊や」と呼んでいたという。で、この映画だが、この金持ちの子どもと庶民の子どもの友情が軸の海辺コメディ。庶民の子どもを演じたのが『生れてはみたけれど』の金持ちの坊ちゃんだったのがおかしい。この時代にしてはかなり長い水中撮影がある。水中で汗を拭いたり、水中でその手拭いを絞ったりするギャグをやってた。パーティーの席で、魚屋が出された魚を、ついナイフで三枚にさばいてしまうギャグもよかった。この魚屋を演じたのは阿部正三郎というコメディアンで、この与太者シリーズでは磯野秋雄、三井秀男(弘次)とともに常連だったが、戦争に引っ張られて帰ってこなかったという。戦前の映画を見ていてつらいのは、幾多の才能がフッと途切れてしまうこと。さらに思えば、戦後花開いたに違いないもっと多くの名優や名監督の卵も、ガダルカナルやインパールで無意味に失われているのだろう。
[映画館(邦画)] 6点(2009-04-14 12:18:57)
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