2. 欲望という名の電車(1951)
《ネタバレ》 確かに他人に勧められないこともないくらいにはおもしろいと思う。 演技やオチもよく作られている。 けど、プロットが分からん。省略しすぎ。想像が及ばない。 画面からの情報量だと、同性愛者の夫を自殺に追い込んでしまったことや、17歳の少年に性的依存していたことが明るみになって、地元にいられなくなったこととか全く分からん。 プロット的に重要なエピソードだと思う。ここが欠落してしまうと、確かに筋は全然変わらないし、見かけ上は全然たいしたことではないけど、心情的な部分の補完ができない。 説明がないことや伏線が張れてないものはどうやっても思いつかない。これらのことは、ブランチがイカレ過ぎててよく分からないからと、調べて分かったことだ。 でも、この映画の場合は舞台劇のファンが映画フォーマットで見るためのファン向けの豪華版みたいなものの様な気がするから、そういうところは気にしないでおく。忠臣蔵とかアーサー王とか、分かってる悲劇を楽しむたぐいのものの一種として脳内で片付けてしまうことにした。 そう割り切ってしまって見直してみると、おもしろい。いろんな背景とかを照らし合わせながら見た方が圧倒的に楽だしおもしろい。作ってる方もそれ前提な気すらする。とたんに役者たちの演技が電波を発しだし、まともな人間のいなさっていうのがさらに恐怖感に似た居心地の悪さを引き出してくれる。 こういう楽しませ方って意外と今っぽい様な気がする。昭和26年にこれを作りますか(原作の舞台劇は22年)。この国はいったい何を根拠にこんなに文明の進んだ国を暴力でねじ伏せようと思ったんだろうか、正気の沙汰ではない。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2009-09-23 10:33:16) |