1. LOOPER/ルーパー
《ネタバレ》 私は良質のSFというのは科学的理屈やディテイルに完璧こだわることではなく、いかに人間や社会というものを描けているかどうかだと感じています。タイムパラドックスもののセオリーがどうたらこうたらと、物語が伝えたい本質とさほど関係ないことにうるさい人たちに、この作品の評価を落とされてしまうのはとても残念な気がします。この作品は2作目までで終わらせとけば良かった『ターミネーター』シリーズの愚かなループと、『マイノリティー・リポート』がうまく描くことのできなかった部分に、強烈な答えと光を提示してくれたと思います。私がこの映画を観て強く感じたことは「世界を良くしたいなら、まずは自分の子供を愛して大切にしっかり育てなさい」ということでした。最後に復習に来るキャラクターでさえ、自分を拾ってくれた悪人に自分の存在価値を認められたいという愛情を欲しているし、すべてのキャラが自分と関わる者との絆を大切に思っているわけですが、その大切にする方向や方法が問われてる映画だったと思います。ひとりひとりが他者への思いやりを持ち、かつ家族が愛し合って健やかに心を育て合うことができれば、社会は未来は良い方向に向かうはずだと、そういう魂を感じる良作でした。子役、上手い子を見つけたなと思います。幼くして持つ重い枷に潰されまいと、同年代に比べてしっかりした判断行動を見せる健気で逞しく孤独を秘めたキャラに合った目をしてました。 [映画館(字幕)] 9点(2013-01-22 18:27:10)(良:2票) |