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六本木ソルジャーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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コメント数 823
性別 男性

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1.  RED/レッド(2010) 《ネタバレ》 
かなり面白く感じられた。アメコミ原作ということもあり、画面を使って上手く遊んでいる。コメディ的な要素をベースにして、シリアス的な要素も取り入れているので、他の監督作品とは違うような独特の“味”のある作品に仕上がった。 ただ、「フライトプラン」を撮っている様に、基本的にはマジメなタイプのようであり、完全に遊び切れていないイメージも受けるが、マジメに遊んでおり、これはこれでアリのような気もする。遊び一辺倒やシリアス一辺倒よりも、バランスはそれほど悪くはない。主要キャラクターが一人亡くなるだけではなくて、かなり追い込まれているにも関わらず、ギリギリしたような緊迫感には欠けているが、そこまで本格的に仕上げる必要もないだろう。ただ、テンポの悪さや冗長感もあるので高い評価はしにくいところもある。 ストーリーはどこかで見たような政府による陰謀的な展開ではあるが、一応はしっかりとしている。サプライズはなく、平凡な黒幕や落としどころといった難点もあるが、『この先どうなるのだろうか』と感じられることが重要だ。 それだけではなくて“恋愛”を中心に添えているので、他のアクション作品とは異なり、若干引き締まった。「ナイト&デイ」など、巻き込まれタイプのアクション作品は多いが、彼女の天然さや美人ともいえない容姿も本作にはプラスに働いた。 ブルース・ウィリスは相変わらずのブルース・ウィリスではあったが、クールな仕事人であり、無理をしてキャラクターを作る必要もない。彼の代わりに、ジョン・マルコヴィッチ、ヘレン・ミレン、ブライアン・コックスが良い演技をしており、非常に良い味を発揮してくれた。彼らの存在感も本作には大きなプラスをもたらしただろう。ジョン・マルコヴィッチはセリフを喋らない場面でも、きっちりと演技している。モーガン・フリーマンはスケジュールの都合だろうか、出番があまりなかったことは残念だったが、ブライアン・コックスの出番が想像外に大きかったのでカバーされている。ブルース・ウィリスとメアリー=ルイーズ・パーカーだけではなくて、ブライアン・コックスとヘレン・ミレンという熟年カップルを登場させており、歳を取っても活躍することはできる、恋愛することもできるというメッセージを送っているのだろうか。 遊びもかなりあるが、全体的に落ち着いた作品にも仕上がっており、大人向けに仕上げているのかもしれない。
[映画館(字幕)] 7点(2011-02-02 22:28:20)(良:1票)
2.  レスラー 《ネタバレ》 
作り物とはどこか思えず、実際に存在するキャラクター・ストーリーとしか思えないほど、なにもかもがリアルだった。 自分はプロレスをそれほど好きではないが、普通の人よりは多少知っているレベルだ。 最近でも、68歳のアブドーラ・ザ・ブッチャーと65歳のタイガー・ジェット・シンが戦い、両者反則負けという壮絶な試合をしたそうである。 本作を見ると、自分の世界でしか生きられない男は果たして不幸なのかということを考えざるを得ない。家賃を払う金もなく、愛すべき娘に嫌われて、相手にしてくれるのはストリッパーくらい。全身は傷だらけで、心身ともにボロボロ、まさに満身創痍という状態。リングの下では明らかにカッコいいとは思えない。しかし、いったんリングに上がると、あれほどカッコいい男がいるだろうかというほど輝いている。 不器用で無様で愚直な生き方とも思えるが、その無様な姿も貫き通せば、カッコよく見えてくる。 また、自分の道を貫き通せば、後悔することはなく、自分自身が納得できるのではないか。他人と同じような生き方ができなくても、普通の人が見られる世界ではないものを味わえるはずだ。 自分の世界でしか生きられない男は決して不幸ではなくて、やはり多くの人の憧れであり、カッコよくて、ある意味で幸せな男なのである。 全うな生活を送らなくてはいけないということを頭では分かっていても、心は拒絶してしまうものでもある。 それにしても、娘との食事の約束をすっぽかす理由が、ヤクをキメて、女とヤッていたことが要因になっているということがなんとも泣かす。誰かを助けていて約束を守れなかったり、プロレスの大事な試合と天秤に掛けるという特別な事情ではなくて、リアルに約束を忘れるということが重要な気がする。 自分の世界で生きる男は、やはり全うな生き方はできないのである。 全てを捨てており、頭と心にあるのは、その世界のことだけなのかもしれない。 その分、多くの代償を払う必要があるが、きっと後悔はしないだろう。 プロレスラーだけではなくて、スポーツ選手、歌手、お笑い芸人、俳優など、かつてはスターだったのにこの世界にしがみついている人たちがいる。 明らかに全盛期を通り過ぎているにも関わらず、無様にもがき続けている。 そういう人たちを見る目が本作によって変わるかもしれない。 大切な精神を失わない限り、きっと彼らの輝きは失われないだろう。
[映画館(邦画)] 8点(2009-08-02 23:29:22)(良:2票)
3.  レイチェルの結婚 《ネタバレ》 
“家族”を繊細に描き切った良作といえる。本作には“家族”の中に微妙な不協和音が常に奏でられている。その微妙な“空気感”が見事に演出されている点が素晴らしい。 問題ばかり起こす妹に対して、自分の結婚式は自分が主役だとばかりに邪険に扱う姉と、久しぶりに家族に会える喜びがあるのに祝福されない妹の間には、いつ爆発してもおかしくない空気が流れている。また、キムには弟を事故で死なせてしまったという拭い去れない過去があり、“家族”の中でもわだかまりが消えずに残っている。楽しく笑顔で溢れていた「食器洗い合戦」中にも、死んだ弟の影がかすめると、一気に笑顔や笑い声が消えてしまうような繊細さが描かれている。 このような問題を抱える“家族”であり、お互いにいがみ合い、憎しみを抱くような脆さもあるが、なかなか壊れることのないものだと感じさせる。どんなに罵り合っても、抱しめ合えば、憎しみも消えてしまう。ラストの風呂場での姉妹の姿は実に感動的なものだった。特別な言葉も何も要らないのかもしれない。姉妹というものはそういうものなのだろうか。 キムの“家族からの愛”を求める姿が痛々しく描かれている。 アン・ハサウェイがアカデミー賞にノミネートされたのも分かる演技だ。 どんなに愛されたいと願っても、まるで「はれもの」のように扱われてしまう。 姉の結婚を祝福する輪の中でも完全に浮いている姿が印象的だ。 心の中では「謝罪」で溢れており、心の中から楽しむことはできないのだろう。 キムには弟を失わせてしまったという苦しみを抱えているが、それを抱えているのは彼女だけではなく、母親もまた弟の死の責任を抱える存在でもある。 弟の死が離婚の原因ともなっていそうだ。 母親が素直に結婚を喜んでいないのは、キムと同じ境遇だからなのかもしれない。 愛を求めて母親に会いに行っても、同じ境遇同士が傷を癒せるはずもない。 ラストではキムは施設に戻っていくが、自分には“帰る場所”があると分かったのではないか。最後のキムには何かが“吹っ切れた”感じがした。 悪い意味のものではなくて、良い意味のものだと思いたい。 ホームビデオ風の映像もなかなか面白い。 まるでイラクから帰ってきた軍人が撮っている映像を見ているかのようだ。 監督の狙いは、観客は結婚式に呼ばれた客であり、あの場面に遭遇しているかのようにという意図を込めているのかもしれない。
[映画館(字幕)] 8点(2009-05-10 00:31:12)(良:1票)
4.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦― 《ネタバレ》 
「あまりエキサイトできなかった」というのが正直な感想。 なまじ三国志をかじっていると「こんなもの三国志じゃない」という気持ちが強くなり、冷静に楽しむことができなかった。我々が見聞きした「三国志」とは異なる、誰も知らない新たな「三国志」を作りたいというのがジョン・ウーの狙いかもしれない。 そのチャレンジ・スピリットは評価したいが、オリジナルを超えられなければ、それはただの改悪ということになってしまう。 一番の問題は、孔明の存在があまりにも軽すぎるのではないか。 孫尚、小喬よりもインパクトが欠けるというのは、いかがなものかと思う。 平安な未来への戦いにおいて、男ばかりではなく女も戦ったということを描きたいという気持ちは分かるが、あまりにもバランスを失している気がする。 “間者”や“茶”というアイディアが逆に良すぎるので、もっと比重を軽くしてもよい。また「赤壁の戦い」において語る必要のある「連環の計」「苦肉の策」「拝風台」も無視あるいは適当な処理でごまかしているのも問題だ。 これらを描かずに、孫尚と蹴球の選手との交友を描いたり、疫病の万延を描く必要があったのだろうか。 孫尚と蹴球の選手との交友を描くことによって、敵も味方も分かり合えるということを描きたいのかもしれないが、上手くオチているとは思えず、ただのお人好しを利用したようにしか思えない。描くとするのならば、戦場での再開においてもう一工夫あってもよかった。 疫病の万延に関しては「これはきっと孔明のワナに違いない」「終盤には曹操の虚を突くだろう」という期待通りだったが、「呉軍が曹操軍の逆襲に遭い絶体絶命になる」→「窮地に陥った際に、背後から劉備軍が登場する」→「ピンチから形勢逆転する」→「疫病による仲違いは実は計略だったと観客に明かす」というのが普通の“流れ”ではないか。“計略”というものは、敵だけではなく味方を欺くことが必要だが、観客をも上手く欺く必要がある。それにもかかわらず、途中から手の内を明かしているようでは全く欺きになっていない。この流れだけ見ても、ジョン・ウーの演出にはやや疑問が残る。肝心のバトルについてもそれほど見応えを感じられなかった。 ジョン・ウーのバトルに対するビジョンが見えてこなく、それぞれのキャラクターがそれぞれの仕事をきっちりと果たしたといえない。
[映画館(字幕)] 5点(2009-04-12 01:32:24)
5.  レッドクリフ Part I 《ネタバレ》 
本作は「三国志演義」の映画化ではなくて、まさにジョン・ウーによる「レッドクリフ」という三国志とは別物の作品に仕上がっているような気がした。 三国志演義を重視する人向けよりも、“ゲーム”を好む層や“三国志”を知らない人をターゲットにしたのかもしれないという作りとなっている。 序盤の「長坂の戦い」は非常に面白いと感じられた。三国志演義の「長坂橋」の張飛のエピソードがなかったものの、基本的には三国志演義の流れを汲んでいる。 息つく間もない怒涛の戦いの後につづく、各エピソードも素晴らしく、繊細な仕上がりとなっている点は気に入った。 「水牛のエピソード」で周喩の人格の高さや呉軍の結束の強さを描き、「馬の出産+琴の競演」で周喩と諸葛亮の言葉を交わさない会話や友情・ライバル関係を描き、「虎ハンティング」で孫権が迷いを断ち切り、会戦を決心するという姿を描いている。 “戦い”とは直接関係のないエピソードを使って、実に上手く“裏”を描いている点が素晴らしい。 「これはひょっとして傑作になるのでは・・・」という想いが強くなっていった。 しかし、八卦の陣の戦い辺りから、ジョン・ウーらしい悪ふざけが発揮されていくことになるとは思いもよらなかった。 見る人によっては面白い戦いだったと思うが、知っている人には突っ込みどころ満載の戦いとなった。「三国志演義」通りに描くことが“正解”とは思わないが、これは“悪い裏切り”としか思えなかった。 内容を思いっきりイジった割には、ハトを飼って、ハトを飛ばすだけの諸葛亮には不満。名軍師の采配や知略の影を薄くさせた真意が図りかねる。 また、緊張感や緊迫感が劉備・孫権連合軍に欠けるというのもいかがなものか。 先勝したものの、相手は80万の大軍であり、勝つ見込みがないほど追い詰められているはずである。むこうはサッカーをやって緊張感を欠いているのはいい描き方だが、戦いが終わった後、「荊州」の地をどうするかなどと言っている場合ではない。 さらに、終盤では多少触れていたが、基本的には劉備と孫権は仲間ではなく、“志”を異にする敵同士でもある。曹操という強敵を前にして一時的には手を結んだものの、仲良しクラブではなく、すぐにでも同盟を破棄してもいいというほど絆は薄いものだ。 この辺りの微妙な関係を重視せず、アクション重視となってしまったのは個人的には残念に感じた。
[映画館(字幕)] 6点(2008-11-01 23:40:54)
6.  レイダース/失われたアーク《聖櫃》 《ネタバレ》 
製作から20年以上経っても、何度観ても、まったく色あせる事がない傑作アクション。 ただ、傑作ではあるものの、自分の判断基準では7~8点が妥当なところだ。 SFX技術のレベル云々ではなく、ストーリーや登場人物の内面を深く掘り下げていない点が減点材料だろう。 インディ・ジョーンズというキャラクターは魅力的に描けているが、もう少し内面に踏み込んでもよかった。 アークの爆破を躊躇ったような考古学者の内面をもっと描いて欲しかった。 ナチスよりも早くアークを見つけるという任務は遂行する必要があるが、考古学者として歴史の真実を知りたい葛藤にさいなまれてもよかった。 ジョーンズの怒り・悲しみ・嘆き・楽しみといった感情があまり膨らんでいないのが気になるところだ。 ただ、深い映画ではないが、万人が何も考えずに楽しめるという軽さこそ本作の長所だ。 今観ても何度観ても楽しめる理由の一つが、その点にある。 エンターテイメントアクションという製作趣旨やバランスを考えるとやむを得ない部分に落ち着いているのではないか。 アクション映画としては、素晴らしい作品に仕上がっている。 本作の素晴らしさは、なんといってもスピルバーグの確信犯的ともいえる演出だろう。 現実的な描き方ではないが、「もう絶対間に合わないぞ」という展開をあえて描き、それを何度も何度も繰り返すことで、ハラハラ感を最大限に増加させている。 常識的な描き方ではなく、リアルな描き方でもないのに“わざとらしさ”や“いやらしさ”を感じさせない演出的な上手さもある。 そのように感じさせない理由としては、特有の“ユーモア”が本作にあるのも要因ではないか。 「そんなことあるはずないじゃないか」という批判を上手くユーモアでかわしているような気がする。
[DVD(字幕)] 7点(2008-06-15 02:45:59)(良:1票)
7.  レディ・イン・ザ・ウォーター 《ネタバレ》 
アメリカではシャマラン作品としてはかなり苦戦した興行収入となり、ブエナビスタ(ディズニー系)が製作に二の足を踏んだため、ワーナーと手を組んだという、あまりいい評判も聞くことはなかった本作であるために、まったく期待していなかったが、正直いってそれほど悪くはないと思う。 シャマラン監督というのは、意外と不幸な監督であり、シックスセンスの大成功により、「どんでん返し」や何か絶対に「裏」があるのではないかと、絶えず観客から変な期待されてしまう。本作には、そういった「裏」はまったくないし、自分もシャマランにはそういうものを期待しなかったから、本作を純粋に楽しめたのかもしれない。思い切って、冒頭にテロップで「本作は最後まで特別なことは起きませんので、期待しないでください」とでも流せばよかったのかもしれない。 酷評したくなる気持ちは分からないでもない。ストーリーは単純で「水の精をみんなで協力して、元の世界に帰してやる」というだけのものである。裏も何もない、本当に純粋な「おとぎ話」にすぎない。いい大人が見れば「クダラネェ」と思っても仕方がない。 しかし、自分は子どもに返ったようにワクワクしながら「マンションの住民」を応援できた気がした。「水の精」に疑いすら持たない住人たち、誰も彼も協力を惜しまない住人たちに普通ならば違和感を抱くかもしれないが、別にそれでもいいじゃないだろうか。このマンションは、シャマランの描く「理想郷」なのだから。人間はみな善良で、それぞれ役割を持ち、生きている意味や目的があるという、シャマランの理想がここには描かれている。シャマランが込めた願いとしては、子ども達にはこういう大人になって欲しい、大人には、子どものような気持ちに戻って、純粋で清らかな心を思い起こしてほしいということだろう。 個人的には、あんな狼みたいな生き物で、音や衝撃だけのコケオドシは止めて欲しかったが、人間の理想郷を描いた本作では人間の形をした生き物に「悪」を担わせることをしたくなかったのだろう。自分には、そういう理想はないので、あの狼を操る「悪者」がマンションの住人の中にいるという設定にした方が、より万人に好まれる作品になったのではないかと思う。 大人向けでもなく、だからといって子供向けの作品でもなくなってしまい、ターゲットを失ってしまったのが、本作の興行面の失敗の理由のひとつだろう。
[映画館(字幕)] 7点(2006-10-02 21:19:39)(良:3票)
8.  レイジング・ケイン 《ネタバレ》 
デパルマ監督らしい、駄作でも傑作でもない、標準レベルのありふれたサスペンス。 本作を鑑賞してちょっと思ったことがある。「殺しのドレス」なども同様にデパルマ作品において、おかしな奴が登場したときに即座にその正体やカラクリが分かってしまうということは、いかがなものだろうか思った。 デパルマ作品において、顔の似ている兄弟のような人物が登場すれば、これは多重人格ということを疑ってかかるしかないだろう。事実、その通りにストーリーは進み、そのまま特段のサプライズもなく、この映画は終わる。誰も「結末を知って、とても驚きました!」とは思わないだろう。なぜ、このように明らかにネタが分かるような仕組みで映画を創るのかを考えてみると、例えば、スティーブンキング原作でジョニーデップが主演した作品があったかと思うが、散々オチを引っ張った挙句に、あまり大した事のないオチ(レビューにおいて、他の作品のオチは明かさないというルールがあるので詳細には書かないが)であった。「期待感」と「オチ(のくだらなさ)」に落差が生じるから、そのような作品には失望感が生まれる。 しかし、本作のような明らかにオチが分かる作品においては、特別の「期待感」が生じない。「期待感」が生じなければ、失望されることもない。よって、さほど酷評されることもないだろう。「オチ」に対して自信がないために、ある程度序盤からネタをバラすという作風は「確信犯」的な匂いを感じる。 また、本作のような作風は、古典落語のようなものかもしれないと思う。古典落語を聴く人々は、そのオチやネタを知りつつ、恐らくその寄席を聴きに行くのだろう。オチが分かっていても、巧みな話術や独特の表現方法に酔いしれるのである。本作においては、自分はそのネタは分かりつつも、監督独特の演出方法やカメラワークに酔いしれた。どこにそのようにして撮る意味があったのか理解はできないが、警察署で誰か二人ぐらいの人物が話しながら階段を降りていく長回しのシーンがあった。カメラも同時に複雑な動きをしながら、スムーズに階段を降っていく、本当に神業的な見事な撮影方法であった。デパルマ監督の鑑賞方法は古典落語に通じるような「芸」を観るようなものかもしれない。
[DVD(字幕)] 6点(2006-09-13 21:10:26)(良:1票)
9.  RENT/レント 《ネタバレ》 
クリスコロンバス監督の作品は見たことないけど、子供向けの作品ばかりで特に見なくてもよいような映画ばかり撮っている人だなという印象しかなく、この人に関しては全く良い印象がなかった。 また、アメリカで大コケしたミュージカル作品ということで、全く期待はしていなかったのだが、予告編でみせたキレのある歌声の迫力に押されて、ミュージカル映画は映画館でしか見る価値がないだろうと思い映画館に赴いてみた。 結論からいえば、これはなかなか素晴らしい作品ではないだろうか。正直映画館で観れて良かったと言わざるを得ない貴重な作品。 ミュージカルについては詳しくはないけれども、この映画はミュージカルというよりもアメリカのミュージックビデオのノリに近いような印象を受けた。というのも、あまりにも場面や流れとはかけ離れた歌い続けるため、違和感を覚える人もいるだろう。 自分は子どもの頃からミュージックビデオに慣れ親しんでいたので、特に違和感なく入りこむことができたけれども、あまりミュージカルやアメリカの音楽に慣れ親しんでいない人や、ストーリー重視の人だと受け入れにくいのかもしれない。 音楽の洪水に酔いしれるだけではなく、意外と重苦しいテーマも良かったと思う。 大半がエイズ患者である本作の登場人物が、見い出せない未来を嘆くのではなく、その日その日、まさに「今日」という日の1分1分という「時」という炎を通常の人達よりも激しく燃やしている「熱さ」を感じる。その「熱さ」を分かち合える友情と愛情も見応えが十分だ。特にコリンズとえんじぇるの二人の表情を「エイズ患者」なんだという設定で注意深くみると泣けてくる位、明るい表情がとても印象的だった。 しかし、この映画は二点問題があると指摘したい。 1点目は100%私的なことだが「モーリーン」役の人の「声」が生理的に受け付けなかった。「声」が受けつけないものだから、キャラクター自体に嫌悪感を覚えてしまった。彼女の役が別の誰かだったらともっといい作品になったであろうと思う。 2点目はラストの「ミミ」の取り扱い。これをやられると、冒頭に触れた通りやはりクリスコロンバスは子供だましの映画しか撮れないのだなと思ってしまう。 以上のような問題もあり大コケした理由が分からなくもないが、このような作品は是非映画館で堪能して欲しいと思う。
[映画館(字幕)] 7点(2006-05-06 03:00:57)
10.  レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 《ネタバレ》 
子ども向けの映画と承知しつつ、内容について思いっきり突っ込んでみたい。 まず、目新しいストーリーであるはずのタイトルが示す「不幸せな物語」があまり不幸せな物語になっていない。子ども達に演技を高度な演技を要求しているわけではないが、不幸せ感が全く感じられない。長男は両親を多少恨んだり、長女は届かない手紙の話をしたり、演出家はラストの手紙のオチへとストーリーを振っているつもりになっているが、演出が悪すぎて全く振りになっていない。もっと感情を出して両親を恨んだり、自分たちの境遇を呪ったりしないとラストの手紙の効力が半減すると思う。 「家族とは何か」「本当の幸せ、不幸せとは何か」といったことを映画の冒頭からラストに至るまでの間に描かなければいけないところをラストの数分でストーリーとはほとんど無関係なところで描くから無理がある。 そして演出に全くキレがないため、どこにでも有りがちな映画でしかなくなっている。 子ども達に様々な不幸が身に降りかかるが、その克服方法の描き方があまりにもお粗末すぎる。 クイズで「「オ〇フ」の〇に字を入れてください。」といったようなものがあるがこの映画における危機からの脱出方法がまさにこの程度と言って良い。 ヒントを散りばめすぎていて、かつあっさりすぎているため、観客は全くドキドキ感を感じないのではないだろうか。もう少しギリギリ感を出してタメを作らないと、この手の映画としては失格だろう。一応結婚証書ではタメているつもりになっているところもあるが、タメという効力よりも、観客にイライラ感を与えているだけになっているところもある。 せっかく子ども達には、発明力と暗記力と噛むチカラという特性を備えているのに、これらのチカラをあっさりと描きすぎているのも問題だ。この最悪な状況からどうやって抜け出すかを少ないヒントを与えて観客にも考えさせる位の演出と余裕も必要だと思う。 しかし相変わらずジムキャリーの演技だけは冴えていた。彼がいなかったらどうなっていたことか。相変わらずの上手さとオーバーアクションにならないギリギリのところで演技している。 ジュードロウに関してはもう少しクセを出さないとレモニースニケットという謎の人物のミステリアス感が感じられない。むしろダスティンホフマンにでもやらせた方がよっぽど良かった気がする。
[映画館(字幕)] 4点(2005-05-07 21:22:54)
11.  Ray/レイ
レイチャールズについては名前と「ジョージアオンマイマインド」とくらいしか知らなかったのが、いけなかったのかあまりハマレなかったというのが正直な感想。 この映画を観た他の人たちは恐らくレイの生き方から何かを感じ取ったりできたとは思うけど、 個人的には何も感じ取ることができなかった。まあ、感じ取れたのは田舎演技の重要性くらいだろうか。 レイの生き方を美化せずにありのままに描こうとしたためか、映画としてはかなり凡庸なものに 仕上がっている気がしたのだが、アカデミー賞では主演男優賞はモチロンのこと、作品賞・監督賞までノミネートされているため、恐らくそうではないのだろうとは思うが。 彼の人生から何も感じ取ることができなかったというのはある意味で正しいような気もする。 実際、クスリと女に溺れ、弟の死の責任からいつまで経っても逃れることが出来ず、母から「嘘を付くな」と「盲目でも自分の足で立て」みたいな教えがあったはずにもかかわらず、家族や仲間、自分自身に対して嘘を付いていたし、彼の生き方は自分自身の足でも立っていなかった。 映画の中の彼の生き方はいわば心が盲目になっている状態だったと思われる。 心の盲目状態を覆したのはラストの数分だけだったような気がするので、やはり彼の生き方から何かを感じ取るのは難しいような気がする。 そういうこともあり結局、映画の内容より、この映画の最大の見所はジェイミーフォックスの演技だけがクローズアップされることとなってしまった。 確かに演技は本人が乗り移ったかのように素晴らしく、自分の予想では主演男優賞は獲得できるのではないかと思う。 気のせいかもしれないが、最初の方、クルマが故障しているようなシーンでグラサンの下の眼が開いていたようなシーンがあったような気がしたのだが、その辺りは気にしないでおくが。
5点(2005-02-07 00:08:16)
12.  恋愛適齢期
女性監督らしい優しさ、暖かさに溢れ、丁寧にそしてユーモアを交えながらセンスのある恋愛映画に仕上がっている。 特に前半のニコルソンとキートンの二人の会話やメールのやり取りが絶妙で素晴らしい。 小石、タートルネック、心臓病の胸の痛みやメガネなどの使い方もレベルが高くセンスの良さを感じる。 傷つくことの痛みを描きながら、恋には傷つくことを恐れては得られない喜びがある。恋愛に歳は関係ない、何才になっても人間として誰でも感じる感情だという想いが伝わる素晴らしい映画。 二人にとってお互いが自分の分身であり、自分の全てをさらけだしても理解してくれる人だからこそ、キートンはニコルソンを選んだんでしょう。ニコルソンにとっても、63歳にして初めて恋を知る相手であった。出会いから、知り合って、惹かれあい、別れた寂しさ、すれ違い、恋の痛み、痛みを克服する様、自分と向き合い様、真の気持ちに気づいた時には時すでに遅いといったように、恋愛の全てを丁寧に描きすぎているため、多少散漫な印象を受けたのが不満な点だが、恐らく時間をかけてじっくりと脚本を練ったためでしょうか。 自分も最初、キアヌがキートンに惚れるのは無理があるのではと思っていたが、自分の好きな作家というだけでなく、キートンが電話で話している時の笑顔を観て、自分の胸に感じたものを知りたいという動機には納得がいった。年上の女性だとしても、女性の笑顔には惹きつける何かがありますからね。
9点(2004-06-25 14:43:02)
13.  レディ・キラーズ 《ネタバレ》 
面白い設定の割には、あまり面白さを感じさせない不思議な作品。 騒々しさだけは伝わってくるが、基本的にはあまり中身がないためと思われる。 コーエン兄弟の上手さやブラックさは随所に感じられるが、その上手さが活かされる題材ではなかったか。 ラストの展開はさすがに面白いが、それ以外には特別なトラブルもなく、スムーズに物事が運びすぎているので、緊迫感もなく、やや飽きてくる。 また、トラブルに対しても、訳の分からないインテリチックな面を押し出しているので、素直には笑えないものとなっている。 さらに、宗教的な思想が本作の下地にあるために、素直に面白くないのだと思う。 基本的には「犯罪はいけません」「教会にいきましょう」「寄付をしましょう」「告白をしましょう」ということを伝えたい作品。 「あなた達の行動は、きちんと神(≒額縁のおじさん)は見ていますよ」「犯罪者にはバチが当たる」ということを描きたかったようだ。 メッセージ自体は、もちろん悪いものではなく、誰しもが肝に銘じなくてはいけないが、メッセージの伝え方が適していたかどうかは疑問なところがある。 トム・ハンクスは健闘していたが、その健闘は空回りしていたかもしれない。 肩のチカラを抜いて、もうちょっと適当でバカっぽくてもよかったかもしれない。 一見すると完璧なインテリ学者だが、常識も教養もないという中身のないインテリを演じなくてはいけないのに、張り切りすぎて本物のインテリを演じてしまった感がある。 5人のチームに関しても、黒人清掃人と胃腸が悪い者との不協和音が描かれているが、微妙な関係性が描かれてはいない。 仲間でもない急造チームが“大金”を手にするのだから、それぞれの腹の中はもっと汚くて黒いものとなっているはずだ。 コメディなので仕方はないが、それぞれのキャラクターが生きてはおらず、デフォルメされた“駒”のような存在になってしまっているのも魅力を欠いた点だろうか。
[DVD(字幕)] 5点(2004-06-25 14:20:03)
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