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1.  レイニーデイ・イン・ニューヨーク 《ネタバレ》 
アメリカでは劇場公開されなかった本作。そのようなスキャンダルはわきにおいて観てみました。この年齢でこんな映画を撮ってしまうなんてやっぱり凄い。あちこちにウディアレンの分身らしき人物が配置されているけど、いちばん驚いたのはギャツビーの母親でした。彼女のなかにウディアレンの本音が垣間見える気がした。ギャツビーのチェットベイカーの歌のピアノの弾き語りなどジャズ好きにはたまらないシーンだと思う。すれ違いばかりの恋人同士が最後にハッピーエンドになるラヴストーリーと思いきや、馬車の中でコールポーターのナイト&デイの歌詞を口ずさむギャツビーに「シェイクスピアね」と答えるアシュレー、それを聞いてギャツビーが馬車から降りるどんでん返し。わたしはなぜかすごく泣いてしまって、いままでは「アパートの鍵かします」を自分のベストラヴストーリー映画と思ってきたけど、それに負けないくらい好きだと思った。このスキャンダルがなかったら10点をつけていたかもしれません。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2021-02-28 09:57:53)(良:1票)
2.  レネットとミラベル 四つの冒険 《ネタバレ》 
映画とは全く不思議なもので、観たあとすぐは興奮してよかった!と思っても日がたつにつれだんだん評価が落ちていくものと、観たときはそんなでもなかったのに自分のなかでどんどん存在が大きくなっていくものがある。この映画はまさに後者の典型。この映画はレネット(ジョエル・ミケル)という田舎育ちの少女とミラベル(ジェシカ・フォルド)というパリジェンヌの少女という対照的なふたりの物語です。レネットはフランス語で「りんご」、ミラベルは「あんず」という意味で、いってみれば、都会のネズミと田舎のネズミ的な構図。もっとも素晴らしいのは第一話の「青い時間」。まぎれもなくわたしがロメールの虜となった決定的作品。その作品は30分にも満たないのに極上の短編小説のような香りを漂わせている。「夜と朝の間には完全な沈黙が存在するのよ」と言い張るレネットに、それならといっしょに朝を迎えることを約束するミラベル。しかし翌朝、その沈黙が訪れるべき瞬間に車が通り、「沈黙」はかき消されてしまう。激しく泣きじゃくるレネットにミラベルはもう一晩泊まることを約束する。早朝、そっとひとりでベッドを抜け出すミラベル。そしていつの間にか彼女のあとにやってくるレネット。「青い時間」にミラベルがレネットを制して手をのばす場面は、映画史上最高の名場面。このときわたしはなぜかいつも泣いてしまいます。もう何度も観ているにもかかわらず。
[DVD(字幕)] 10点(2006-12-16 23:28:07)(良:2票)
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