2. ローマの休日
《ネタバレ》 すごい。すごいすごい。なんだこのシナリオ。これは、ロマンス映画だとか、ラブストーリーだとか、そういう「ジャンル」に収まるような器の作品ではないです。あまりにストーリーが計算しつくされていて、変な笑いが出てしまいました。まず冒頭、公務で公人たちに事務的な挨拶を交わす間、ドレスの中では足で足をボリボリかくプリンセス。この瞬間からアン王女のキャラクターがバッチリ見えてきてすっかり魅せられました。画で語る、とはまさにこのこと。でもって公務漬けの日々と礼儀・作法・行儀を要求される束縛にウンザリの王女。そんな彼女が憧れるは「俗世」。羽を伸ばせる唯一の世界と信じて疑わない場所。えいやっと抜け出し、出合ったのは新聞記者ブラドリー。金癖の悪いブラドリーは当初、王女を金のなる木としかみておらず、スクープ激写による金儲けを画策。アン王女の素顔を引き出すため一日ローマ巡りを。しかし一日が終わりを迎える頃には二人は恋に落ちる。そして終盤、身分の違いにより分かれなければならなかった二人。しかし、公人としての覚悟を決め一肌脱げたアン王女と、金より愛を選んだブラドリー。そこにはもう、公務を投げ出す自分勝手な王女の姿もなければ、金にだらしのない記者の姿もない。何もかもが計算されたヒューマン・ストーリー。それがローマの休日。って自分でジャンル分けしちゃってますな。ダルトン・トランボに興味がわきました。近いうち、彼の手がけた作品を漁ることになりそう。 [DVD(字幕)] 10点(2015-06-21 22:31:59)(良:1票) |