1. ワンダフルライフ
是枝監督の作品は観る人を選ぶというよりは、観るときの気分を選ぶような気がする。この映画も、レンタル店で何度か手に取ろうとしてはやめた作品だったが(私には人の生き死にについて考えることをやたら忌避してしまう時期がある)、今の私にはすっと入ってきた。静謐さのなかにほのかな温かみが滲んでおり、製作者側に人間そのものへの愛がないと作れない作品だろうと感じた。また、大学時代に専攻していた学問がきっかけで、人の「語り」に興味がある私にとっては、アドリブっぽい自分語りのシーンも興味深かった。俳優陣も見事に味のある人揃いで、特にARATAの透明感のある文学的な風貌が印象深い(年をとってちょっと寂びれた今の彼のほうが個人的には好きだが)。人生は誰にとっても物語なんだな、そんなことをしみじみ感じた日曜の昼下がり。退屈だが、悪くない時間だった。 [地上波(邦画)] 7点(2009-10-05 00:06:40)(良:1票) |