1. ピアニスト
愛だ性だ変態だという描かれた風景よりも、共同体を失い、糸が切れた凧のように生きている現代のわれわれが誰でも感じることのできる「乾き」を率直に切実に感じさせてくれる映画というべきではないだろうか。エリカにとって最後まで「愛」なんてどうでも良いことのようにしか見えない。ピアノが好きなので観たが、「引き込まれない映画を最後まで我慢して、それなりに満足した」という感じ。 7点(2003-12-15 23:48:13) |
2. デッドマン(1995)
数年前、深夜偶然テレビで観た。映像の美しさに惹かれ、何の映画かわからなかったが、観るうちにジム・ジャームッシュに違いないと思った。彼のとぼけた感じ、大好きなので眠気は抜けて見入った。もっとも、映画自体は夢を見ているような感じだけれど、さすがだなと感心して見終わったのを覚えている。好みが別れる彼のような映画が平均点で判断されるのが忍びなく、プラス票を投じたい。映画からエンターテインされなくてもOKなひと、もしくはそういうゆとりのあるときにみると、少しいびつではあるが作者が追求しているものの輝きがみえる。 8点(2003-11-30 01:41:12) |
3. ライトスタッフ
20年前に観た。その後多くの作品に触れたが、この映画は少しも色褪せない。原作を読んだわけではないけれど、作品を読んだことのある当時ニュージャーナリズムの旗手と言われていたトム・ウルフのドライな語り口そのままの心地よい描写。当時私にとって航空宇宙開発という、なにかきれいで抽象的なイメージをひっくり返してくれ、西部の荒くれ男の血液がどくどく注ぎ込まれる思いがした。歴史はバカがいるから先へ進むんだなあ。すがすがしい男らしさと出会えます。 10点(2003-11-30 00:26:08) |
4. ブギーナイツ
「麻薬的映画」この監督はドラッグのような作品をつくる。映画としてはマグノリアのほうがトム・クルーズが加わったりで楽しめるが、悲しい情けない人間のアラベスクが次第に愛としか表現しようのないところへずるずると滑り込んでゆくという構図は全く同じ。んー、このここちよさ、やめられない。何度観ても退屈しない作品をつくるのはキューブリック亡きあとこの監督しかないかも。すごい、天才。 9点(2003-11-29 19:14:16) |
5. アメリカン・ヒストリーX
演技、カメラ、編集、ストーリー、すべてすばらしい。というより、すごい。美しい。なんか、クリアーでピュアな衝撃という感じ。ロング・ウォーク・ホームなどと併せて観るというのもよいのでは。 9点(2003-11-25 01:42:46) |
6. ホテル・ニューハンプシャー
観てよかった。長い間、ふつうの青春ものかなと思い、観ていなかったが、よい意味でそれを裏切ってくれた。ジョディフォスターの女性人気の秘密がこの作品を観るとわかる。そんな気がする。N.キンスキーもいい。くらくらするぐらいいい。粗っぽい、安っぽい、いいかげん、でもだからいい。人生の肌合いとパワーを感じてほしい。 9点(2003-11-25 01:10:56) |