1. 恋におちて
《ネタバレ》 相手(夫・妻)に何の不満もない幸せな者同士が出会う物語、と見られやすいけれど、さにあらず。モリーは二年前に生後五日で失った子どもへの喪失感、そしてその件で支えあうことのできない夫への満たされない思い、諦観と孤独感を抱えている。またフランクは切れ者の妻の一言「愛なんていまどきどこにある?」に、価値感のすれ違いを感じとる。モリーの父親が亡くなったとき、抱え込む夫への彼女の叫び「私に触らないで!」はそれまで深く心にためこんでいた言葉だ。その二人がきちんと痛手を負い、一人で人生を出直そうとしたときに再び出会う。単なる不倫恋愛映画として見るのはもったいない。ラストに流れるデイブ・グルーシンの軽快なテーマが、風のようにくるくると舞う運命、人生を愉快に表しているようですがすがしい後味だ。 8点(2004-01-18 01:07:26)(良:3票) |