1. ツユクサ
《ネタバレ》 なんとも罪のない作品。それぞれに悲しみを抱えながらも自分なりの細やかな幸せを追い求める3人の中年女性。幼い恋心に初めての痛みを覚えた少年。苦しみから逃れるべく街を離れ仕事からも離れ心の平安を求めようとする中年男性。皆、新たな幸せを見つけて行く。悲劇は過去のこと。この先には幸せだけが待っている。そんな予感。 時にはこういう作品に首までどっぷり浸かって身を任せるのもいいかも。テーマソングがまたいいじゃないですか。ちょうど航平ぐらいの歳にリアタイで聴いた思い出のある楽曲。懐かしい。癒しのひと時でした。大人のファンタジーですね。6点献上します。 関係ありませんが、松重さんの食事シーンを見るとそこだけ別の作品に見えてしまいました。イメージ強っ!w [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-18 22:33:37)《新規》 |
2. 意のままに
《ネタバレ》 催眠療法というと、イコール催眠術と言うか、催眠状態の中で失われた記憶を取り戻す、というイメージ。本作でも警察側の手法として登場はしますが、犯人側の応用はちょっとばかり違うのですね。この場合はどちらかと言うとマインドコントロールなんでしょうか?てか、それさえ超えて別人格に入れ替えようとしている。これは恐いですね。 眠っている間に一体何をされているのか…。まぁミード博士は登場シーンから相当怪しい人物。普通なら近付かないでしょう、恐いから。実際ヒロインは当初拒否的。でも、お節介なお友たちの策略でお近付きになっちゃう。まぁ心が疲弊しきっていたジェンにしてみれば心のどこかで望んでいたのかも知れませんが。それでも、まさか博士が亡き妻との差し替えを図っているとは思いもしなかった訳です。実際に催眠術でどこまで出来るのかは知りませんけど。 そこに出て来る白馬の騎士の如き刑事。始めっから疑うことなく積極的に関与。お約束的にジェンが単独行動に走った時には、いつの間にやら彼も単独行動。で、お約束どおりに絶体絶命。短めの尺だけあってこのあたりの展開はすっ飛ばし気味です。 そして最終決戦。警察側の催眠療法士の仕込みが功を奏し?二転三転しつつもジェンと刑事が勝利する訳ですが、ここまで来ると相当現実離れしている感は否めない展開。う~ん、シリアスなサイコサスペンス的物語という出来映えではありますが、細かく見ていくと無理があり過ぎかもです。 ラストシーンの纏め具合は劇場用映画と言うよりTVドラマ的ですね。真面目に考えると、犠牲者も結構いるし重めのサイコサスペンス。ところが、ラストシーンに限らず全体的にかなり軽い雰囲気で作られています。 面白くないとは言いません。催眠術ネタってことで既視感も伴いますが、オリジナリティはキチンと保たれています。現実的に受け取らないであくまでもエンタメ系作品と言う風に受け入れれば、ハラハラドキドキと楽しめる作品ではありました。 ちなみに、原題ではストレート過ぎますが邦題はほぼネタバレ的?ちょっと考えもののような気がします。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-17 19:17:44)《更新》 |
3. アニマル大戦争
《ネタバレ》 極地でのオゾン層の破壊が問題となって久しいところですが、学術的な研究によってそのことが知られ始めた頃の作品ですね。まだまだ世間一般では詳細が理解されていなかった頃の作品とも言え、そのあたりの説明は(何故動物に異変が起きるのかとか事態の収束化に至った原因も含め)かなり大雑把。緻密さを求めるSFファンの方には大いに物足りないかも知れません。てか全然物足りないです。 ただ、新たな環境危機に視点を当てて描かれた世界観は50年近く経過した現在においても題材としての古さは全くなく、今だからこそより深刻に現実問題として存在しています。先見の明とまでは言わないまでも、当時もののアイディアとしては秀逸かなと思うところです。 ハイカー一行の混乱は社会の混乱の縮図。ここで語られる混乱はあらゆる事象においても生じつつある訳で、近年になってSDG'sの旗印の下で積極的な危機への対応を進めようとしつつあるところですが、今もって世界規模では歩調が揃わないというのが現実ですね。 本作のラストはあまりにあっけなく大した説明もない結構楽観的なものですが、果たして製作当時に鑑賞した人々にはどう映ったのでしょうか?そんなことを考えつつ、裸の銃を持つ前の若き日のレスリーさんに敬意を表して+1点の6点献上です。 ちなみに、邦題はあまりにトンデモ映画を予感させるミスリード的なものですが、当時はこの手のテイストのタイトルって多めでしたね。原題の方がカッコいいのですが、時代的に止む無しと言ったところでしょうか? [インターネット(字幕)] 6点(2024-11-15 10:14:57) |
4. ペトルーニャに祝福を
《ネタバレ》 ヒロインは理想や夢を大切に生きたいが故に世の中のレールからはみ出してしまった女性。そんな彼女に世間は冷たい。しかもその急先鋒は母親。父親は彼女を擁護するが、彼自身の家庭内のみならず世間での立場も弱く庇護者としては心もとない。同性の親友はいるものの本当の意味での彼女の理解者とは言えない。まさに四面楚歌。しかも、本人は甘んじてその状況を受け入れてしまっている。すっかり斜に構えるスタンスを身に着けながら。 こんな状況に自ら追い打ちをかける女人禁制の宗教儀式への乱入。当初は彼女の心の中にはその儀式が男たちだけのものであることへの反発はなかったと思われます。がしかし、批判され追及され挙句断罪されれば彼女の闘争心にはここぞとばかりに火が付いてしまう。事態は悪化の一途を辿るばかり。 正直なところ、このあたりまではヒロインのことをどうにも好きになれない。普通にしてれば(普通って何だ?)少々太目なだけでそこそこ美貌とも思われるし、好きな歴史を大学でしっかり学んだ知性派でもある。なのに何でそんなに斜に構える?母親や世間に背を向ける?元々個人的には、女人禁制の伝統行事があったとしても長きに亘って育てられ守られ築き上げられて来た文化なのだから時代が変わったという理由で否定や破壊はすべきでない、というのが持論ということもあり、どうにも好きになれない人物でした。連行されて当たり前だろ!みたいに。 ただ、観ていく中で彼女の内なる葛藤が次第に沁みて来て、父親の素朴な理解や司祭の宗教観に基いた理解が得られたあたりからは彼女を否定することへの虚しさを感じ始め、ラストシーンで十字架を司祭に返し晴れ晴れとした表情で帰路につくその後ろ姿にそれまでの反感に後ろめたさを感じつつ観終えました。 彼女が半裸で十字架を胸に抱くポスターは、本作の宗教性を強調してしまうようで如何かなと思えます。キリストの受難(詳しくないのであまり言及は出来ませんが)にあらぬ差別を被る彼女の姿を重ね合わすという観方も出来るのかも知れませんし、女性差別への批判や女性の地位向上みたいな視点で観ることも出来るのかも知れませんが、ひとりの人間の成長の物語として鑑賞しての7点献上です。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-11-15 09:41:47) |
5. 見えざる手のある風景
《ネタバレ》 アマプラの見放題終了間際のリストで見つけて予備知識なしで鑑賞。思わず魅入ってしまいました。 舞台は近未来の地球。激しい戦争もなく?これぞ商機と見込んだ一部の階層主導の下、平和裏?にヴァ―ヴとかいうカニの変形と言うか尻顔と言うか奇妙なエイリアンの植民地と化した世界。激しい貧富の差のある人々の生活。貧しき者たちは占領前の身分や資産を失い苦難を強いられている、らしい。(特に貧困等に苦しむ姿は登場せず) ひとことで言えば現代社会を風刺したブラックコメディですね。エイリアンが侵略・征服のことを「上陸」と呼んでいるあたりは恰もアメリカ大陸の歴史のようにも窺えるし、環境破壊を批判し大上段からあなた方を救ったのですよみたいに言うのはまさに侵略戦争の論理にも通じるように思えるし、微に入り細に入りいろいろと興味深く鑑賞できる作品でした。 結局勝利を勝ち取ったかの如き抵抗は虚しく終わり、それでも戦い続けようとする姿が描かれてエンディングを迎える訳ですが、そのあたりも今の世界を支配する力や理念等々への失望感或いはアンチテーゼが込められていると感じました。まさに「見えざる手」への畏怖と言ったところでしょうか? カイリー・ロジャースさん演じるクロエの可愛らしさに+1点の8点献上です。 [インターネット(字幕)] 8点(2024-11-15 00:23:04) |
6. ゴジラ(1954)
期せずしてBSで放映されたのを見つけ他の予定を切り上げて鑑賞。残念ながらリアタイでは観ておらず、前回鑑賞は恐らくNHKで初放映された時だったのではないかと。どういう形であれその後はキチンと全編通して鑑賞してはおらず、とすれば57年ぶりの鑑賞ということになります。 なので只管に懐かしい。されど懐古趣味に留まることなくグイグイと画面に惹き込まれる魅力。流石に台詞回しや役者さんの演技には時代を感じるものの、他は全て古さを感じることなくCGやVFX等々全開の近年のモンスターものやデザスターものにまるで引けを取らない素晴らしさ。70年の歳月を経た現代に至るまで絶賛され続けていることに異論なしです。 その後に続く様々な怪獣ものをリアタイで親しんだ身としては、それらの作品や怪獣を否定することは決してありませんが、矢張り本作は間違いなく金字塔。現代の視点等々に照らし合わせれば「?」な点も多々あるとは思います。しかし、70年前に製作されたことを鑑みれば全ての疑義は単なる野暮。満点を献上させていただきます。 ちなみに、宝田さんのとんでもないカッコよさ、河内さんの眩しいまでの可憐さ、それだけ観ていても本作は満足極まりない作品と思うところです。 [CS・衛星(邦画)] 10点(2024-11-14 16:56:54)(良:1票) |
7. みなに幸あれ
《ネタバレ》 冒頭はホラー仕立て。ところが中盤を待つまでもなくホラー感が薄れていきます。メタファー全開でテーマ性が前面に沸き立つと言うか、ゴリゴリの社会派作品の様相を呈して来ます。そして流れは一気に加速してホラーエッセンスを振りかけつつエンディングへ。うん、やっぱりテーマ性を感じざるを得ないです。勿論、ホラーにだってテーマ性はありますけれど、本作の場合は結果的にはギリギリでホラー風味になっている感じかな? これはお伽噺、或いは童話等に具体例があるように、人間の性と言うか生き方の本質と言うか、そういったものを異なる姿形に置き換えて表現していると個人的には大いに思うのですが、さりとて観る者に選択肢を与えていると言うか、シンプルにホラーとして観てもそれはそれで構わないですよみたいにしつつも、あくまでもテーマはあるんですからね、そっちを見て欲しいのですよ、と言った感じでしょうか。 と言ってみたものの、冒頭述べたとおりホラー作品にも当然の如く大いにテーマ性はある訳で、矢鱈驚かせてばっかのお化け屋敷的ホラーと同じぐらい社会派ホラーとかヒューマンドラマと呼ぶべきホラーだってある訳だし、なので本作もカテゴライズ上はあくまでもホラーなのでしょうね。 なんだか書けば書くほど混乱しそうで、言いたいことが纏まらなくなりそうです。まぁ、それだけ考えさせてくれる作品とも言える訳で、このテーマはホラー仕立てにすることでスッと入ってくるようにも思えて来たりして、何だよそれだったら本作の手法は正解じゃん!という考えに至ったところで筆を置きます。乱筆乱文失礼しました。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-11 00:27:49)(良:1票) |
8. 妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク
《ネタバレ》 イイじゃないですか~、コレ!いやもう全編通じてニコニコと好々爺の如き顔で鑑賞してしまいました。我ながら、傍から見てたらさぞかしキモかったことでしょう、きっと。 確かに冒頭のヒーローによるレイプ&殺戮シーンは考えもの。抜け忍なんだから(ってこともないかも知れませんが)もっとストイックな生き様でいて欲しいところ。これじゃ単なるエロい無法者。この描き方だけは要修正ですね。 でも、後は概ね満足。洋画・邦画を問わずこの手のトンデモ作品にありがちな演技だか何だか分からない、てか俳優だかエキストラだか分からないなんてことはなく、キチンとした俳優陣。アクションや殺陣はキレッキレじゃないですか。物語的にも若干オリジナリティ的には如何かとは思いつつも大いに練られたストーリー。派手な血糊やバラバラの人体なんかは、作品のテイストに合わせて敢えてチープな雰囲気にしてる感じ。サメの造形も満足です。口を開いたカットで中からエラ越しに外が見えてるのなんてクオリティ高いです。そんな訳で概ねどこをとっても及第点と評価したいです。 ただし、タイトルは考えものですね。恰も洋画トンデモB級作品の邦題の如きタイトル。邦画なんですから邦画としてのプライドを持ってカッコいいタイトルでキメて欲しかったです。それに、そもそもこれってサメ映画じゃないですよ。サメの出る忍者アクション作品?そこのところは只管残念!尺を延ばしてサメカットをマシマシして欲しかったかも。それもあってやや減点しての6点献上です。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-07 22:18:54)(良:1票) |
9. パーフェクション
《ネタバレ》 思っていたのとはちょっと違って陰惨で後味悪い作品でした。物語は二転三転します。二転程度にしておけば良かったのかも。 冒頭から序盤はなかなかいい感じに話が進みます。なるほど逆恨み的な復讐譚か、という感じ。本来は天才として世界に名を馳せるはずだったであろうチェリストが、母の介護で音楽学校を退学し夢を諦めざるを得ず、その穴埋めに入学したにも関わらず恩師夫妻の寵愛を受けて今や名声を欲しいままにしているもうひとりの天才チェリストを恨み近付いていく。 いきなり意気投合して熱い一夜を過ごしたばかりか翌朝からは仲良く中国旅行、という展開は話がうますぎの感がありますし、ゲロゲロの最悪体調なのに乗り合い長距離バスに乗るかよ!とツッコミも入れたくなりますが、そうじゃなきゃ話が進まない。そのへんは仕方なし。そして、ここも都合が良過ぎますが思惑通りの幻覚が現れて利き腕切断。途中の中華料理屋で肉切り包丁を盗んで来たのが功を奏し、ってこれまた都合良過ぎ。かなり強引な展開ではあります。 とは言え、B級感は否めないまでもサスペンスとしては良い感じ。でも、序盤で復讐成立しちゃって後はどうするの?普通なら逆恨み復讐をしていたヒロインにその後とんでもないバチが当たるという展開だろうな、と思っていたら音楽学校のとんでもない実情が飛び出す展開。恩師も他のオジサン教員も実はド変態だったという仕掛け。奥さんも共犯なのでしょうね。やっぱド変態だ。 そして、逆恨みされて利き腕を失ったチェリストは何故かそれを許してヒロインと共闘関係に。復讐の内容が変わっちゃいます。ド変態オヤジへの復讐劇へと。そして見事復讐完了。と思いきや、まだ復讐し足りないと見えてグロい演奏会で幕を閉じる。 短い尺に詰め込み過ぎましたね。なので展開が矢鱈と急。急なだけじゃなくて結構血まみれ。結果、かなり印象は薄くなってしまい、正直なところさほど日を置かずに内容を忘れてしまいそうな作品。う~ん、やっぱり詰め込み過ぎなのかな?てか欲張り過ぎ?もう少し緻密な完全犯罪的展開であればなぁ、と少々残念な1本でした。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-11-06 14:27:02) |
10. もしも昨日が選べたら
《ネタバレ》 アメリカンコメディはドタバタ系とかホンワカ系とか下ネタ系とか毒舌系とか大雑把に幾つかに類型化出来ると思うところですが、本作は美味しいところ取りを上手い具合にバランス良く行っていて、観終わってみればコメディならずヒューマンドラマとして完結しているという予想外の佳作でした。アダム・サンドラーさんらしい適度な軽さで纏め上げたなという感じです。 序盤はちょっとノリ損ねた感がありましたが(正直つまらなかった)、中盤からのドラえもん的笑いあり教訓ありの展開は大いに惹かれました。そして、終盤のクライマックスではじんわりと泣けて来たりして。ラストの夢落ち(とも言い切れませんが)は十分に想定内でしたけれど、それ故のとでも言うべき安心感と満足感がありました。 総じて言えば決してオリジナリティ豊かと言う訳でもなく、寧ろ全体的に既視感のある物語。それでも魅せてくれたアダムさんとケイトさん、そしてクリストファーさんの魅力溢れる存在感。良きお話でした。 ちなみに、原題はイマイチ思わせぶりが過ぎる感があるものの、邦題は軽くミスリード気味で(それってテーマかなぁ?敢えて逆説的?)どうもシックリと来ない感じですね。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-11-04 22:16:48) |
11. ワウンズ: 呪われたメッセージ
《ネタバレ》 序盤から中盤ちょい前ぐらいまでは、不穏な空気間に満ちていて「一体何が起きるのだろう?」みたいな期待感をもって集中出来ましたが、チラ見せしておいて先に進まない感じが続き、主人公の行動や言動には全く感情移入出来ず、一連の行動や言動は既に邪悪なものに惹き込まれてしまったからなのだろうとは想像しつつもどうにも歯痒いばかり。 一体少年たちは何だったの?オカルト書籍を実践したら何かを呼び出してしまった?そして、その呼び出されたものがスマホを通じてウィルに取り憑いた?キャリーも取り憑かれた?エリックに至っては宿主にされた? これだから悪魔系の作品は煮え切らない。何でもありの存在で、作品の終わり方も何でもあり。あのトンネルみたいなのは何?魔界に通じる穴? 種蒔きだけして突然終了の感が強い作品。序盤が良い感じだっただけに余計に残念な後味が残りました。雰囲気だけは悪くなかったので甘めの4点献上です。 [インターネット(字幕)] 4点(2024-11-01 23:57:13) |
12. ワッツ・インサイド
《ネタバレ》 人が入れ替わるという作品は洋の東西を問わず何作もありますが、本作はそれの集団発生版。しかも、人格が入れ替わっているがために過去の秘密が暴かれていく。映像的な表現も一工夫も二工夫も施されていてオリジナリティを感じることは出来ました。 が、何せ集団発生するし連続してシャッフルするしで、誰が誰だかを把握するのはかなり困難。正直なところ私は一回では分らず見直しが必要でした。(サブスク様様です) ネットで検索すると「誰々(実は誰々)」みたいに見た目と中身を書いてくれている方とか人物相関図を付けてくれている方とかいらっしゃって、観終わってからそういったレビューやブログを拝読すると漸く全体像が把握出来たという具合です。(有難や) つまり、アイディアは面白いし物語としてのオチも面白いのですが、ややこし過ぎて難解なのが最大の欠点の作品かと。メインテーマに直結する部分を敢えて難解にしているのは作品的にマイナスかなと思うところです。 とは言え結構楽しめたので甘めの7点献上です。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-11-01 17:46:26) |
13. そこにいた男
《ネタバレ》 30分余りの尺にみっしりと詰め込まれた愛憎劇。恐いですね~。いろいろと恐い。 ひとつには男を愛し過ぎてしまった女の恐さ。後先考えずに貢ぎ続けた女は、真実を知った時、男の命を奪うことで男を永遠に自らのものにしようとする。男の妻は、夫の浮気を知りその相手に自らの存在を知らしめようと夫の体にメッセージを残す。どちらも恐い。 そして男の愚かさにも似た恐さ。気付けよ!結果考えろよ!愚かを通り越して恐いです。 実際にあった事件からインスピレーションを得て作られた作品とのことですが、それを聞くと尚更に恐くなります。ただし、ドロドロとした物語ではありますが、短編作品としてコンパクトに纏められていて、流血の事件なのに意外と陰惨さを感じさせない後味。その代わりにと言うか、ただただ恐さばかりが残る作品でした。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-11-01 17:09:08) |
14. 血を吸う粘土
《ネタバレ》 ネットで何気なくホラー情報を求めていたらヒットした作品。なにやら海外でも(具体的にどこの海外かは不明)大好評とのこと。サブスクで配信中ということも分かり早速鑑賞に至りました。 いや~チープ!でも、そのチープさが独特の味にもなっていて俄かに否定は出来ない感じ。願わくば迫りくる粘土の触手?に柔軟さが欲しかったけれど(なんだかカチコチ)、呪われた粘土が血を求め血を吸い更には人間まるごと飲み込んで同化したり体内に入って表皮突き破って出て来たりと何でもありの清々しさ。うん、これはホラーじゃない。モンスターものですね。何だか昔懐かしい「ウルトラQ」の味わいにも通じる不気味さ。クリーチャーの造形を含め、さり気ないコメディテイストが挿し込まれているところも味変感があって楽しいです。 終盤ちょっと引っ張り過ぎなところと、続編製作意欲満々的なエンディングは少なからず興覚めさせられはするものの、ちょっと観るのに適した尺と意外性を排したストレートな展開には好感。続編を観るかどうかは迷うところですが、不思議と満足感があったので甘めの6点献上です。 [インターネット(邦画)] 6点(2024-10-30 23:48:55) |
15. 残穢 -住んではいけない部屋-
《ネタバレ》 原作は未読。あくまでも本作についての感想ということで。 怖さは控えめ。ミステリー的展開が中心になっていることに加え、幽霊や幽霊らしきものの映像がチープ過ぎることや過度な音響効果を使用していないことがその要因かと。(個人的にホラー慣れしてしまっているということもありますが) 序盤の女子大生の自室での異音発生場面。洋画・邦画問わず、何故にホラー作品は画面が暗いのか?というのは無粋な疑問と理解してはいるものの、それでも「不思議ならまずは電気点けなさい!怖いなら尚更!」と言わずにはいられない演出。その時点で「やっぱそうなのね」と興覚めしかけ、「私」の妙な深入り加減にも憤懣やるかたなく、「つまんね」とリタイアしそうでした。が、怪異の原因を探って行き「穢れ」の連鎖が明らかになっていく過程で「なんだか新鮮!」と物語世界に惹かれていきました。 総じて言えば、全体的な流れや美術には満足しつつ、細かな演出や特殊効果には満足したりがっかりしたりといった不安定感ありのホラー。序盤は今ひとつ興味が湧かず、ところが中盤からの展開には大いに惹かれ、終盤は蛇足感(特にエンドロール)に落胆という感じです。 終わり良ければ全て良し、という締め括りにして欲しかった。つまりは終盤に盛らないで欲しかった。不安を伴う疑似的ハッピーエンドにして欲しかったところです。残念。 あ、それからサブタイトル。「住んではいけない部屋」って原作には付いていないような?確かに「住んではいけない」のかも知れませんけれど、土地そのものに穢れがあるものの特定の部屋にだけ怪異は現れているということは、部屋ではなく住人にこそ原因があるように思えてならず、だとすればミスリード的で的外れなサブタイトルに思えてしまいます。折角「残穢」というジャストフィットなタイトルなのに。それがマイナス要素で5点献上に留めます。 [インターネット(邦画)] 5点(2024-10-30 11:17:31) |
16. ドミノ(2023)
《ネタバレ》 今更?という出遅れ加減ですが、予備知識なしで鑑賞。始めは超人モノ?と思いつつ観ていましたが、いや待てよ純粋に近未来SF?との思いに駆られ出し、主人公が12回も被験?していて彼を取り巻く全ては人為的に創り出されたものという段になって超人系近未来SF?みたいな感覚になり、結局は荒唐無稽でいいじゃん!みたく楽しみました。うん、満足です。 間違いなく荒唐無稽な物語です。ただし、誉め言葉です。流石ロバート・ロドリゲスさんですね。かなり無茶な設定とストーリーなのにキチンと(殆ど)破綻することなく纏め上げられている。ホント、流石です。既にご指摘がありますように「マトリックス」や「インセプション」の世界観を彷彿とさせる部分は大いにあるのですけれど、決して模倣とは感じさせない、寧ろオリジナリティを感じさせてくれました。 エンドロールのエピソードは若干力業的で続編ありき的(続編ないですよね?)ではありますが、単純にハッピーエンドで目出度し目出度しのエンディングよりベターですね。 ただ、かなり楽しめた作品ではありますが、正直なところベン・アフレックさんは個人的にイマイチ好きになれない俳優さんでして、本作におきましても(ご本人の責任はないにせよ)イマイチなキャラ設定と思えてしまい、その分興覚めしたこともあって7点献上に留めたいと思います。 ちなみに、原題はストレート過ぎてネタバレ的。邦題の方が謎めいていて気に入りました。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-10-29 16:17:38) |
17. こぼれる
《ネタバレ》 まさかの展開。秘密は秘密に出来ないもの、ということでしょうか。 結婚当時、妻は気付いていなかったのかも。4年目の偶然が招いた狂気? 最悪のエンディングではなかったことが不幸中の幸いか。てか、妻はそこまで愚かではなかったのね。 妻と友人、それぞれ全く異なる思いに基いた表情が恐過ぎた。と同時に夫はポンコツ過ぎ。てか、平和ボケってそんなもんかな。 [インターネット(邦画)] 7点(2024-10-28 09:20:54) |
18. とっくんでカンペキ
《ネタバレ》 ひらがなとカタカナのタイトルなので、「とっくん」って男の子のニックネームかと思ってしまい勝手に邦画と勘違いしたりしてましたが何とほぼ直訳でしたw アメリカの少年の思春期(ちょっと早いかな?)はこんな感じなのか、それとも日本の少年も同じようなものか、初デートでいきなりディープキスをイメージしちゃってるってのが逆に可愛いです。でもって特訓の成果はもっと可愛い。女の子の可憐さがまたいいですね。3分でホッコリ出来る佳作でした。 それにしても少年はカーディガン着用なのに少女は薄着過ぎません?帰り道が心配。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-10-25 09:51:25) |
19. イット・カムズ・アット・ナイト
《ネタバレ》 矢鱈と種まきはするものの回収しないことしきりな作品。と言ってもそれは批判的な意味ではなく、本作はウィルスやゾンビやエイリアンや悪魔といった具体的な原因による恐怖を描いているのではなく、他者(場合によっては自分自身)への猜疑心と生への執着が、いとも簡単に理性を破壊し「家族のために」殺しでも何でもしてしまうという一種の性悪説的本質論を述べているのでしょう。 そう思えば、森の中に居て夜になると室内に入ろうとする者の具体など必要なく、夜中にドアを開けたり愛犬を投げ込んだりしたのが誰であろうと関係ない訳で、何らかの重大な恐怖の対象を心底感じ取ってしまうことが狂気の要因ということなのでしょう。つまり、敵は自らの中にこそ居るということでは? 家族のためにその手を血に染めてまで守り抜いたもの。しかしながら、結局はそこには何も残らず希望は全て潰えてしまったという、どうにも救いようのない物語でした。ラストのテーブル越しの夫婦の姿があまりに痛い。もう生きていけないのかも。家族のみならず自分さえも失ってしまった姿がやり切れない。観終わって鬱の作品でした。 [インターネット(字幕)] 7点(2024-10-24 23:34:49) |
20. 陸地にて
《ネタバレ》 正直なところテーマが見出せずに観終わってしまいました。マヤ・デレンさんの美しさと妖艶さが印象に残る作品ですね。 身なりからして、彼女は海に身を投げたのか?それとも客船から転落してしまったのか?そして海岸で目覚めた彼女は生きているのか?その後の光景は彼女の幻覚なのか?あるいは臨死状態での走馬灯なのか?少なくとも現実とは思えない。 不思議な魅力に満ちたショートストーリーでした。 [インターネット(字幕)] 6点(2024-10-24 19:46:09) |