1. アパートメント(1996)
《ネタバレ》 複雑なパズルをワンピースごとはめていくような物語。最後に完成したとき、全体に描かれている絵柄はともかく、綺麗にはまったことに感動する。というのも、それぞれのピースは全くはまりそうもない凸凹のピースばかり。しかも、そのピースは視界から消えても、気にもならないほど、どうでもいいものだったりする。ところが、そんなピースが必要なピースを繋ぎ合わせいたりしていて、出来上がってみれば何一つ無駄なものがないように思えてくる。 そんなパズル映画だけど、魅力的なのは大きな謎を設定しているということ。この物語でも最後に登場人物が不可解な行動を取る。ヒントは物語に一応隠している。その辺も評価したい。 因みに、ハリウッドでリメイクした「ホワイト・ワイズ」の出来は酷いけど、「アパートメント」の参考書にはなるので、謎が解けなければ観てみるといい。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-05-06 18:02:24) |
2. 恋はデジャ・ブ
《ネタバレ》 この映画が受けるのは、誰にでも当てはまる普遍的な問題を描いているから。もし同じ日がいつまでも繰り返すとしたら?主人公は物語の中でいろんなことを試して、一つの答えに辿り着く。いろんなことを試しているから、最後の選択に説得力が生まれるわけだ。単純なメッセージだけど、物語の三段論法(問題→実験→成功)がうまく使われているいい例だ。悲劇にしたければ、最後を成功ではなく、失敗にすればいい。いろんな物語に応用できる。お試しあれ。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-06 16:26:28) |
3. ガタカ
《ネタバレ》 この物語で注目すべきテクニックは対比にある。例えば、優性×劣性、オプティミスト×ペティミスト、裕福×貧富、社会×人間、科学×生命。対比の構図がいろんなところに存在する。その対比が果てしない未来にリアリティを持たせている。 ところで、ジェロームはなぜ最後にあんなことをしたのでしょう?この謎がうまいテクニック。この謎が完全に解けるまで、何度も観て楽しむことができる。 [ビデオ(字幕)] 9点(2006-05-06 16:07:33)(良:1票) |
4. 靴をなくした天使
お手本にしたい物語の一つ。群像劇の中でもとても出来がいい。三人の物語が見事に絡み合って、一つの物語をつむぎだしている。乗りはコメディだけど、登場人物の立場に自分を置き換えてみると、難しい選択を迫られていることがわかる。そういった意味ではシリアスな要素も含まれている。マスメディア×大衆という社会問題を扱っていると思いきや、人間ドラマの中で個人的な問題が描かれている。観れば観るほど、味が出る映画だ。 初めて観たのがテレビだった。そのあと、ビデオの字幕やら、DVDの吹き替えやらを観たんだけど、出来が良かったのはテレビの吹き替えバージョンだった。どうやら、テレビで放送する前に、テレビ局で手を加えられるようだ。映画がせいぜい数万人をターゲットにしているのに対して、テレビは数百万人をターゲットにするからだ。もし今後テレビですることがあれば、是非お見逃しなく。随分、印象が違うと思う。 [地上波(吹替)] 10点(2006-05-06 15:21:04) |
5. グッバイ・ジョー
《ネタバレ》 簡単に言えば、不良少年の葛藤を描いた物語。何に葛藤するかといえば、いい子でありたいという理想といい子にはなれないといった現実。この映画が素晴らしいのは、その葛藤がうまく描かれていること。少年の行動にしても、周りの大人の行動にしてもリアリティがある。だけど、少年が救われる単純な物語でもないし、少年がひたすら堕落していく単純な悲劇でもない。その中途半端な結末がさりげなく問題を提起する。それでも、残酷な現実だからこそ引き立つ人間の優しさが妙に温かかった。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-05-05 22:13:31) |