1. ウォール街
マイケル・ダグラスが中盤で語った「われわれは何も生み出さない。世の中に存在している富を分配するのが仕事だ。自分の懐により多く集めることの何が悪い」といった趣旨の言葉がこの業界を的確に言い表していると思いました。右から左に株を動かすだけで金を儲ける仕組みはさぞ複雑かと思いきや、株価の変動を予測する情報戦であり、義理人情が介在しないゲームのように単純明快。シーン親子の熱演も相まって、職場体験をした気分になれました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-02-19 15:28:36) |
2. ナイト ミュージアム2
《ネタバレ》 これはダメです。前作で見どころだった展示物とベン・スティーラーのコミカルなやり取りと、父親として夜警という仕事を全うしたいという思いは影を潜め、新しい展示物たちの俗物ぶりが度を越していて興ざめです。スミソニアン博物館と聞いて原爆がネタにされるのかと思いきや、意識して避けたのか、それも一案だったのか、落ち着かない気持になりました。 [DVD(字幕)] 3点(2012-02-04 14:42:51) |
3. ナイト ミュージアム
夜になると博物館の展示物が動き出す。動き出すって、文字通り動くだけだろと思いながら展示物を総覧してゆくオープニングを構えて観始めましたが、このアイデアだけで2時間楽しませてくれました。物言わぬ展示物にはベン・スティーラーの茶目っ気のあるしゃべくりがよく合い、白髪のジイサマ達も出番は少ないながらもコミカル。誰も死なず誰も傷つかない、大人も子供も楽しめる良質なエンタテイメント作品です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-02-04 14:38:50) |
4. シャイニング(1980)
《ネタバレ》 ただのホラーといえばそれまでなのですが、キューブリックが料理するとここまでのものになるとは。オープニング、空撮から美しい自然に囲まれたホテルへフォーカスしてゆくショットから期待が高まり、一介の雇われ管理人から徐々に変貌してゆくジャック・ニコルソンのあくの強い演技も見事にはまっています。静まり返ったホテルの廊下を走る三輪車を後方から撮るステディカムのぶれない画像、絨毯やリノリウムの床などを通過する際に出る車輪の摩擦音、そして停車する際に映る超現実的な映像。突然の大音響と血みどろの映像が主体ではなく、人の内面からにじみ出るものをキューブリック独特の質感とともに映すことに成功した作品といえます。 [DVD(字幕)] 7点(2011-12-18 13:18:20) |
5. フェイク
《ネタバレ》 マフィアものながらアル・パチーノは末端の兵隊役、ジョニー・デップは変人ではない囮捜査官役。裏社会への潜入が功を奏せば奏すほど見守る家族にしわ寄せがゆき懊悩する悲しきサラリーマンのデップが前に出ていて、おとり捜査の緊張感は希薄でした。観て損はありませんが、饒舌なパチーノははまり役とは言えません。 [DVD(字幕)] 5点(2011-12-18 13:16:59) |
6. ソードフィッシュ
冒頭、ワーナーのテロップがぼやけ、トラボルタのクロースアップと独白からドッカンまでのテンションには引き込まれました。が、その後は愛想笑いが上手なウルバリンと、彼にまとわりつくストームの必然性ゼロのおっぱいポロリが印象に残るのみです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2011-12-18 13:15:18) |
7. ぼくのエリ 200歳の少女
《ネタバレ》 現代に生きるバンパイアとそのヒモの代替わりを描いたお話です。「友達にはなれない」「女の子じゃない」というエリのつぶやきから、バンパイアと人間は異なる種であることが明確になり、食物連鎖の上では人間の上に立ちながらも現代ではマイノリティとして流浪せざるを得ない者の悲哀を感じました。命ある者の温もりを際立たせると同時に弱い者を凍てつかせるような一面の雪景色と美しい映像は確かによくできているのですが、バンパイアと少年の心情をフィードバックさせて観るにはいかんせん体調が悪かったです。壁越しのモールス信号が最後のシーンで回収されたのはよかったのです。 [DVD(字幕)] 4点(2011-12-18 13:14:20) |
8. 3-4X10月
沖縄、ヤクザ、海、砂浜、マシンガン等、次作『ソナチネ』で見事に開花するネタが詰まっています。が、ストーリー、キャラも弱くつなぎの作品のようであり、北野作品たる迫力には欠けます。 [DVD(邦画)] 5点(2011-12-18 13:13:13) |
9. トロン:レガシー
オリジナル版は未見です。発光するスーツをまとった男女が青白いフリスビーを振り回してキメる予告編を観て、このバカさ加減は期待できると身を乗り出して鑑賞しました。が、自分が創造し、なんでもできるはずの電脳空間であっさりと重要アイテムを奪われ、すぐに居所を突き止められ、神であるはずの世界であっけなく劣勢に立たされ一気に失速してしまいました。あえて端折ったのかもしれませんが、現実世界の命(肉体)と電脳世界のプログラム化された命との関係や、ゲームオーバーの基準といった設定が不明確なのが致命的です。CGやアクションにはかなりの気迫が感じられるものの、のめり込むことができませんでした。 [DVD(字幕)] 4点(2011-12-18 13:12:24) |
10. その男、凶暴につき
デビュー作にしてこの完成度。ショット、間、役者の表情と視線、暴力の反復と応酬。一々が私の好みです。 [DVD(邦画)] 9点(2011-12-18 13:08:34) |
11. 世界侵略:ロサンゼルス決戦
エイリアンの地球侵略モノとしては何一つ新しい要素がないにも関わらず、既存の侵略モノの要素をうまく混ぜてまとめたそこそこおもしろい不思議な作品です。巨大な円盤がのある日突如の襲来という点では『インディペンデンスデイ』、視点は主人公に固定という点では『宇宙戦争』、民間人救出ミッションとエイリアンとの遭遇・反撃・解剖と籠城という点では『エイリアン2』で、戦闘シーンは『ブラック・ホークダウン』のように迫力に重きを置いた味付けです。各シーンの映し方は非常に丁寧であり、死体から弾薬を回収したり、ヘルメットの顎紐を全員きちんと締めているところに現れています。肝心のエイリアンは中々登場せず、侵略されて炎上するロスが空撮されるのみでエイリアンの優位性を際立たせるような圧倒的な侵略シーンはこの手の作品には必要不可欠でありながらすっぽりと欠如しています。それ故にこんな奴らに勝てるわけないやろといった絶望的な気持にならず、かといってこうすれば簡単に勝てるやんといった設定の隙を突く気持にもなりません。大侵略シーンがないことに対する物足りなさは確かにあるものの、大風呂敷を広げていないのだから畳まなくてもよいという極めて巧妙なつくりに感心しました。原題の『Battle of Los Angels』は、小隊とエイリアンの局地戦に焦点を絞った本作の正確な要約であり、邦題の『世界侵略』は宣伝文句として外せなかったのでしょうが、本作では描かれていないのです。娯楽アクションとして映画館での鑑賞をお勧めします(劇場での鑑賞後、機内で観ましたがまったく面白くありませんでした)。 [映画館(字幕)] 8点(2011-11-19 16:35:09) |
12. PLANET OF THE APES/猿の惑星
最近公開された『創世記』が高評価なので出張先のホテルで鑑賞。ティム・バートン作品ということで期待しましたが、彼の過去の作品にあるようなヘンテコな要素がなく、猿文明というヘンテコ設定に完全に食われてしまっているようです。小学生の頃以来オリジナル版は観ていませんが、猿文明に対する驚きがメインのはずが反応は随分とあっさりとしています。地上波放送だったおかげでチャールトン・ヘストンの出演に気付けました。オリジナルに軍配。 [地上波(吹替)] 3点(2011-11-19 15:37:23) |
13. エンジェル ウォーズ
『Sucker Punch』のタイトルまでの運びだけでもザック・スナイダー作品であることがわかる幕開けです。精神病棟からの脱出する過程で遭遇する障害を架空の4つの戦闘シーンで置き換えられ、『ガンスリンガー・ガール』という戦闘美少女の花形マンガを実写化したような映像のオンパレードが本作の見どころ。これを評して妻は、ストーリーのないドンパチもののテレビゲームを見ているようで何のカタルシスも感じない。アクションだけで演技力を必要としない作品は映画ではないと切り捨てて寝室へ引っ込んでしまいました。これもまた事実であり、萌えゲーの主人公と同じくご都合主義全開の展開に超受け身になってしまう自分を感じます。が、ドンパチやってりゃそれでいい作品を欲していた私としては楽しめました。また、Pixiesの「Where is my mind」、Bjorkの「Army of me」などの挿入歌が戦闘シーンの高揚感に花を添えています。 [DVD(字幕)] 8点(2011-11-19 15:12:33) |
14. 300 <スリーハンドレッド>
噂に違わぬ殺陣シーンの華麗さです。原作コミックは未読ですが、あらゆるマンガ的カットを映像化する強い意欲を感じました。日光をも覆い隠す大量の矢、敵の進路を変えさせるために築いた死体の壁、妖術を用い怪物を従えて迫るペルシア軍。常人の目ではついてゆけない超人的な槍さばき、剣さばきはスローモーションによってよりカッコ良く、かつ誰の目にもわかるように映され、血しぶきも「べっとり」ではなく墨汁のように「あっさり」と映され、映画史上稀にみる殺人数であるものの胃もたれしません。マンガ『ベルセルク』を映像化したらこんな感じなのかもしれません。300人が100万人に挑むというキャッチコピーこそマンガ的な表現そのものですが、これを徹頭徹尾、説得力を持たせて映像化しているのだから凄いものです。あらゆるマンガ的シーンを映像化した点で評価される作品です。私のザック・スナイダーへの信頼はより強固なものになりました。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2011-11-19 15:10:42) |
15. ゲット・ラウド/ジ・エッジ、ジミー・ペイジ、ジャック・ホワイト×ライフ×ギター
つまらないです。本作のコピーは「3人のロックスターの伝説の始まり。限りない音楽の旅。明かされる光と影。そして、一夜限りの軌跡のジャムセッション!!!」というものですが、いずれも表面的にしか切り取られておらず、新しい何かを観たような感覚は得られませんでした。3世代の著名ギタリストを並べ、三者三様の道をたどって今に至る、というつかみは優れているものの、彼らのバイオは音楽雑誌を読んでいれば得られる程度のものであり、本作においてもその域を超えるものではありません。劇場に足を運ぶ方のほとんどが彼らの音楽を知っており、そのバックグラウンドを知らないはずはありません。そんな音楽ファンが知りたいのはスタジオミュージシャンとして成功を収めていたジミー・ペイジがレコーディングを飛び出してツェッペリンを結成するに至った心中を「今」語ってくれることであり、昔のレコーディング現場を訪ねて音の鳴り云々を聞くことではなかったはずです。私が何より楽しみにしていた「ジャム・セッション」に至っては、演奏する楽曲を定めずその場のノリに応じて音を重ね合う本当の意味でのセッションは映されていません。ただ彼らの持ち曲を演奏し合い、最後にザ・バンドの「the wait」をアコギで弾いて終わりです。 唯一興味深かったのが、3人でU2の「I WILL FOLLOW」を演奏するところです。ギターを買った次の日くらいにもできる極めて簡単なリフですが、深いディレイの掛かったエッジらしいリフです。ジミー・ペイジ、ジャック・ホワイトが自分のギターでエッジのリフをなぞるのですが、ジミー・ペイジだと上品すぎ、ジャック・ホワイトだとルーズすぎて2人ともエッジが弾いたのと同じようなリフにならないのです。この音はエッジにしか再現できないのであり、ギタリストのアイデンティティは演奏能力の高低ではなく、自分が出す音に対する確信によって成り立つものであることを活写した貴重な瞬間です。が、この場面以外に観るべきものはありません。これらバンドの映像は全部チェックしたいという人以外はスルーして問題のない作品です。 [映画館(字幕)] 1点(2011-11-19 15:09:42) |
16. ルパン三世(1978)
懐かしいです。小学生の頃、再放送でテレビ版を見ていた延長で本作も洋画劇場で初めて観ました。ルパン好きが高じて原作マンガを集め始めると、単なるドロボーアクションではなく、エロい大人向けの作品であることを認識したものでした。本作もTVアニメ版では難しかったであろうアダルトな雰囲気と、故・山田康雄氏による情感あるルパンとのバランスが絶妙であり、巨大脳ミソが無音で破裂するラストまで楽しむことができました。 [地上波(邦画)] 7点(2011-11-19 15:07:50) |
17. 樺太1945年夏 氷雪の門
1945年8月15日の日本敗戦後もソ連軍の侵攻が続く樺太。生き別れた家族や前線で戦う兵士たちを思い、攻撃の迫る中、現地の郵便局で電話交換業務を続けた9人の女性電話交換士はソ連兵に辱めを受けることをよしとせず自害した、という事実を映画化したものです。かつて日本の一部だった九州ほどの面積を持つ島で起こった戦争による悲劇、という稀有なテーマです。が、冒頭で氷雪の門(慰霊碑)のあらましが解説される時点で本作品の帰結は全て知らされることとなり、その後の鑑賞は事実をただ映像化したものに過ぎず、映像表現として特筆すべきものは何一つありませんでした。 [映画館(邦画)] 1点(2011-11-19 15:06:44) |
18. THE END OF EVANGELION 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に
いやこれは面白い。一昨日鑑賞した新劇場版破をケチョンケチョンに罵倒してしまいましたが、本作は別シリーズかと思わせるほどSF要素に満ち満ちた堂々たる作品といえましょう。いけ好かないエロシーンには、ミサトは母性、アスカは異性、綾波は傷ついた自分自身を投影した存在として役割を果たしていました。人類がその肉体を捨てて高次元のなにかへ融合すること、それはもう火の鳥の思想ではないですか。肉体から離脱したなにかが溶け合い、地球を超えて彷徨する有様の始まりから終わりまで映像化した点が素晴らしいです。いくらCGが発達しても、質量があるようでないような有形無形の存在を活写するに際してアニメの本領が発揮されています。また、アスカの覚醒と弐号機の戦闘シーンの迫力は、音楽や効果音も含めアニメ史上に残るものといえるのではないでしょうか。大風呂敷を広げてそして畳んだ、それだけで評価に値する作品です。 [インターネット(字幕)] 8点(2011-11-19 15:05:39) |
19. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
何気なく金曜ロードショーにチャンネルを回したら放映していたので鑑賞。この新劇場版なるシリーズの背景は知りませんでしたが、TVシリーズは2年ほど前にすべて視聴していたこともあり、ストーリーについてゆけないこともないだろうと踏んでいましたが、一見してどの時間軸のものかわからず、TVシリーズとは別物のパワレルワールドという設定で観ました。ヘタレ少年が成長する話という点に変わりなく、観るべきものといえば映像ですが、精緻なCGで表現される異形の使徒とその戦闘シーンは目を見張るものがあるものの、それとは対照的なアニメ然とした象形の登場人物はミスマッチに感じられました。そして何より気に入らないのが、必然性のないエロシーンがひっきりなしに続くこと。シンジとその父以外、主要人物はすべて女性という布石のうえに、ローティーンの裸体を映しておけば喜ぶだろうといった意図が透けて見え、極めて不愉快です。製作陣には、ムフフと感じる方々を除き不愉快に感じるのではという程度の想像力を持ち合わせていただきたいものです。好きでも嫌いでもない本シリーズでしたが、この点について-3点させていただきます。 [地上波(邦画)] 1点(2011-08-27 13:51:44) |
20. 小さな村の小さなダンサー
まさか息子が、厚化粧のうえに上半身裸、パンツ一丁で踊っているとは思わなかったはず。 バレエシーンの作りこみは非常に丁寧でした。 [映画館(字幕)] 7点(2011-08-20 00:08:39) |