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1.  ジョン・ウィック:コンセクエンス 《ネタバレ》 
 観ました。  音響は非常に良い所でした。   なんかもう始まりから最後までひたすらカッコいいアクションシーン、アクションシーンの連続でカッコ良さが飽和してて「かっこいいかっこいいかっこかこかかかかかか」みたいな、溢れてて、もうはい、ありがとうありがとうございます、素晴らしい素晴らしい……って感じでした。   上映時間がインド映画並みに長くてどうかと思ったのですが(なので上映回数とか限られて映画館側としては難しいだろうなとは思いつつ)、最初から最後まで息のつかせぬ展開がずーっと続いてくので、特に長いという感じもしませんでした。それから、これだけたくさんのそうそうたるアクションスターの歴々が登場されたら、それぞれしっかりした見せ場が要るだろうという欲求を余すところなく盛り込んで、すべてもうがっつりやってくれて、やり切ってくれるので、もう大満足でした。犬もありましたしね。   あの、合流シーンなんか激熱で、おおおおおおおお! っと叫んでしまいました(心の中で)。  〆も、そうきたか! という感じで、とにかく良かったです。   いちおう、敵役の人がアマプラの「コンチネンタル」から来てるようなので、事前に観ておいた方がより楽しめるかとは思いました(私は未見でしたが、初登場なのに悪辣ぶりが素晴らしく、映画だけでも十分楽しめましたが)。   エンドロールの後もシーンがあるので観ていただきたいですが、エンドについてはまあ、そういう世界だしねえで私は非常に納得した感じです。   素晴らしい作品ありがとうございました。   そういや、今回、大阪が舞台になるので(例のハリウッド風・日本ではありますが)、日本に宣伝にやってくるはずが、ハリウッドのストライキで来られなかったのはちょっと残念でしたか。   そんなところです。
[映画館(字幕)] 10点(2023-09-27 19:30:38)
2.  トップガン マーヴェリック 《ネタバレ》 
 観ました。バチクソ良かったです!(方言)   正直前のトップガンは、トム・クルーズはかっこいいかも知らんがチャラい映画だなーと思っててあまり真剣には観ておらず、うろ覚えくらいでした。なので前作の続編というよりはトム・クルーズという現実のヒーローの人生の物語を観るイメージでみました。ミッションインポッシブルのイーサン・ハントが昔取った杵柄の海軍戦闘機のパイロットに返り咲いて若手を育てるみたいな(どんなだ   トム・クルーズは初期はチャラい印象だったのですが、チャラいキャラだけではなくいろんな映画の色んな役をこなしており、紆余曲折したんですけど、結局カッコいい正義漢をやるのが一番いいっていうか、トム・クルーズが出てきたら絶対カッコよくて正義の味方で人を裏切ることができなくて最後は必ずハッピーエンドになってこうなって欲しいというロマンがあって、先の展開は読めまくりだが、それがいい、という方向に最近ではもうすっかり振り切れてくれてて、それが好きなところです。水戸黄門は必ず悪代官と越後屋を懲らしめてくれればいいとか、ドラえもんは相変わらずなドラえもんでのび太はずっと小学4年生でいてくれればいいんだよみたいな。それで、ベタな王道物語をこれでもかと大迫力の映像で描き切ってくれて素晴らしかったです。これまでの集大成のような作品で、映画館の大画面でこそ映えるなあと思いました。エンドは最後は若手に引き継いで引退するのではなく、最後まで勝ち逃げして永遠の伝説になってしまうみたいなのも良かった。   これで100万点くらい。   で、この作品で唯一気になったのは、結局戦争映画をどんなにヒーローものとして描いても結局敵を殺してる時点で偽善にしかならないなあという所でした。敵方を国籍不明の、人種も不明確の没個性にして人が死ぬ場面は一切出さないとか、戦争ものだと戦争のリアルというか悲惨さの表現のために味方の誰かが死ぬという免罪符的表現があったのが、今回は味方は誰も死なずに生還するよう振り切って脱臭はしてるものの、あの爆撃で人の作った営為が破壊され、その下では見えないが誰か死んでるかもしれなくて、それについて一切何も表面上描かないのはどうかという所があり、この辺がエンタメの戦争表現の限界かなあと思ったりもしました。   これでー1点で、計999,999点で、上限10点なので振り切れて10点という感じです。   そんなところで。
[映画館(字幕)] 10点(2022-06-15 17:59:11)
3.  宮本から君へ 《ネタバレ》 
 原作をリアルタイムで読んでました。   個人的に、自分の読んだ漫画の中の最高傑作のひとつと思ってたので、生半可な役者の生半可な演出ではというてい納得できないだろうと、ファンとして、とりあえずなんか映画化されたので記念で観ておこうというくらい(あきらめ)の心持ちで視聴した感じでした。   池松壮亮演じる宮本は、バカで明るいだけが取り柄の陽キャなので、池松壮亮氏のしょぼくれた外見でいや全然キャラ違うし、まあ最近人気の役者さんを起用しただけでまあ実写化されるとイメージ違う役者になっちゃってキャラが違うなんてよくあるので、まあしょうがないかなあと思ってました。  靖子さんなんて、当時の女傑なので、一瞬たりとも一言たりとも女々しい言葉とか振る舞いを見せたら、ああもうこれは原作の靖子さんじゃない。だいたいヒロインらしい女性ばかり演じてきた蒼井優氏がまともに靖子さんを演じられるのだろうか、全く期待できんなあ、と思いながら視聴しました。   観ました。   宮本は確かに宮本だった。  靖子さんは確かに靖子さんだった。   原作は1990年~1994年に講談社『モーニング』誌で連載された作品です。男女雇用機会均等法が改正され、採用・昇進・教育訓練等での差別が禁止規定になったのが、ようやく1997年。まだ当時の仕事現場では女性差別されるのはごく当たり前の状況で、まだまだ女性が家庭にいるのが普通と思われており、物語の世界の中でさえ、女性がひどい目にあわされ、それを守って救う男性像は素晴らしいヒロイックな男性像だ、と思われてた頃です。   そんなさなかに、女性を助ける男性が素晴らしいとかいう世界などクソくらえだ、勝手に助けた気になっていい気になってる男はしね、と、当時の価値観にNOを叩きつけたのが、靖子さんというキャラクターで、蒼井優氏が女性らしい女性なんてものを演じたら、まったく許せんだろうと思ってたのですが、そうではなかった。ちゃんと靖子さんは靖子さんだった。   宮本も、宮本というのはどこまでもバカで、バカ過ぎて必死過ぎるからこそ、この悲惨な物語が、ギャグとして昇華される。池松壮亮演じる宮本のバカさ加減に、私は観てて爆笑してしまったのですが、こんな話がギャグに見えるのは、当時のあの主要キャラから見ると地獄のように見える、あの絶望的な世界の中にありながら、それでもすべてのしがらみを吹き飛ばし、何とかうまく生き抜いてやっていけるだろうと、キャラクター達を信じられて最後はハッピーエンドになるだろうと信じられるから、ギャグとして笑えるというか、とにかく最高に笑わせてもらえて、とてもよかったです。   で、とにかく主演二人の演技がすさまじくて、当年の日本アカデミーにぜひ推されるべき作品と思ってたのですが、ピエール瀧氏の不祥事で公開自粛されたのと、某アカデミーで、選考作は1日2回以上上映されないと候補作として選出すらされないとかいう謎ルールのせいで、まったく選ばれることはなかったという不遇の作品ですが、原作が好きだった人には、たしかにこの映画は、あの原作の作品と自信持って言える作品だ、と、自信を持って言える映画と思います。   そんなところです。   あと、エンディング曲も超絶暑苦しくて、まさに作品世界を体現した名曲なので、エンディング曲までしっかり聴いていただけると幸いです。   そんなところです。
[映画館(邦画)] 10点(2021-06-11 00:16:02)
4.  音楽(2019) 《ネタバレ》 
 劇場で視聴。原作(漫画)を事前に読んでました。   この作品の漫画は非常に難しくて、実に漫画らしい漫画というか、抽象的なキャラの絵に、絶妙の「間」で、おかしみを出す話なので、映像的には、映像が何も動かない絶妙の間がおかしい、というのを映像作品で一体どう描くのか? というのが最大の懸念と思ってました。   この映画アニメ版では、そのおかしみを見事に実現しており、何も動かない主人公・研二の顔をボーっと数秒見せられるシュールな場面だけで、思わず吹き出させられてしまうっていう、アニメなのに動かないのが楽しいという異次元のユーモアを感じさせてくれたと言いましょうか(もちろん、別の場面では「間」がなく即座に反応することで、この「間」というのが主人公研二の思考時間であることがわかるんですけど)。   ただ、この辺は、原作とか、原作者(大橋裕之)の諸作の雰囲気を知らないとわからないであろうと思い、私自身も2回目以降の視聴で「ああ、ここがめちゃ笑える!」と、その感覚にやっと気づいて、ゲラゲラ笑いながら観られたんですけど。わかりにくくてすみません(誰得   映画オリジナルのエピソードとしては、音楽部分もかなり膨らませられてますけれども、なんといっても、古美術の「森田」が、最高に良かったです! 特にフェスの宣伝で覚醒するところの演奏が死ぬほどカッコよくて、その時の演奏がアルバム「古美術」にも載ってないので、ぜひどっかで公開していただきたく! 映画は、そこの演奏場面ばかりリピートして観ています。   あと、ブルーレイ等購入された方は、オーディオ・コメンタリーが死ぬほど暑苦しくて最高なので、是非1度はオーディオ・コメンタリーONで視聴してください(願。   以上です。
[映画館(邦画)] 10点(2021-03-15 14:59:21)(良:1票)
5.  羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来 《ネタバレ》 
上映館付近にちょうど行く機会があって観られました。  中国の本格クンフー的アクション(+仙術)に、ドラゴンボールやFGOレベルのアニメアクションを潤沢な資金で足したらそりゃもう、最高のアクション・アニメができるでしょう!!! という度肝を抜かれる超絶アクションてんこ盛りで、主人公が猫(妖精)でメチャメチャ可愛い(可愛すぎてもだえしねるほど)、周りのキャラクターも敵味方すべて個性があり、魅力的で(という言葉で足りないくらい魅力たっぷりで)、とにかくあらゆる素晴らしいものがこれでもかと詰め込まれまくった極上のエンタメと言って過言でない、と思いました(はあはあ)。あと、妖精の使う術がいちいち五行(土火木金水)の特性を生かして、とにかくハイスピードで超かっこよく演出されまくってたまらない。  個人的には、妖精が自然の象徴みたいな扱いになってて、要するに「現代文明と自然の共存」という、日本では風の谷のナウシカなどに代表されるテーマを、実に王道的にしっかり描いている(今の中国にとっては、まさに現代の問題である一方、あちらでは表現規制が厳しいので、とても挑戦的表現でもある)のが、過去に日本で描かれ続けてきた「精神」が、まさに現代の中国作品に引き継がれて、胸が熱くなる思いがしました。  また、妖精は人間と比べると少数派で隠れて暮らしているという「差別/偏見」の問題も扱っており、これはXメンなどでもたびたび取りざたされてる問題ですが、この作品では、人間の町では人間が多数派で、妖精は差別されるという環境にあるのが、妖精の町では逆に人間が少数派になる「逆差別」まで多少なりとも触れてるのは慧眼だなあと(これも、今まさにホットなネタですが)。  というわけで、新しい時代の、最新映像技術を駆使した途轍もなく先駆的作品で、まさに今観るべき映画の一つと思うのですが、上映館がとても少ない! のが残念なところです(しかし、観に来てる人らはとても多くてほとんど満席に近い状況だったのは希望の持てるところであります)  そんなところで
[映画館(字幕)] 10点(2019-12-16 21:44:33)(良:1票)
6.  天気の子 《ネタバレ》 
 元々、新海誠監督の、青臭く、痛々しい、青春恋愛ものは大好きで、今回はベタベタのド直球で、しかも監督の得意な、青い空と、白い雲と、天候の表現に、シンクロ度の上がったRADWINPSの楽曲で、メジャーになって資金も潤沢になればそりゃまあ気持ちの良い映画ができるだろうと、期待したところ、期待を裏切られず、しかも「監督が信じるであろう所のハッピーエンド」にすることに、ためらいがなくなって、実に気持ちの良い、イイ作品と思いました!(5回も観に行ってしまいました……まだ行くかも)   賛否の分かれるエンドについては、演出的に唐突感があるのはさておき(そこまでなるとは想像してなかったよ! という感じ)、このエゴイズムは1周回って、現代的に極めて正しい結末かなあと、私は非常に納得が行ったです。    以下、かなりネタバレしますので、未見の方は注意。   --  個人的にこの話って、ブラック企業の社畜の話かなあと思って見てしまったのですが(そのような演出も多々あるので)、だから、ヒロインが世の中を天気にするために命を投げ出す、というのは、某企業で過酷な業務で自殺したブラック企業の一従業員とかと同じだなあと。   で、今の価値観では、そういうやり方は間違っている、という認識になっており、   「逃げればいいよ」   って言うんですが、それでも自分が逃げると「周りが迷惑する」とかの自己責任の呪いにかかって逃げられない人が現実にはあまりにも多く、この映画ではそれらの問題に対して明確に、   「(大切な)人1人の命の方が大切だ!」   と主張してるのがとても新しい、現代の理想的な「正しさ」に則った結末だなあと思いました。  --  また、エンタメで、ヒーローとか自己犠牲とかを否定しつつ面白い話を作れるか? というジレンマがあるんですけど、この「天気の子」は「ヒーローや自己犠牲などなくても、恋愛ものなら面白いエンタメは作れる!」と言ってるところが革新的作品ではなかろうか?  --  主人公の家とかの描写がないので感情移入しがたい、という感想はよく見ますが、幸か不幸か、私は、主人公みたいに逃げて、救われたような経験があるので、なんかよくわかるなあと思いながら観ておりました。最初にヒロインの部屋に主人公が訪れたときに、ヒロインが、  「そっか」  と一言だけ言って、何でもないことのように流してくれたことに主人公がどれほど救われただろうと思いましたし、元のところに戻ればすべて丸く収まるとわかっていても、戻りたくない、というのも、すごくよくわかります。   「不登校」とか割と近い感じと思いますが、戻って学校に通えば周りは丸く収まるのでしょうが「そこに戻ることで私の心が死んでしまうことに対して何ら配慮はされないのでしょうか?」みたいな感じ。   むしろ、最近、事件関係者の個人情報をわざわざ公開するのは非人道的なことではないか? という批判があり、この主人公の背景の話を明らかにするのも同様の下世話な野次馬根性的なところがあるかなーというのもあって、個人的には、あまり明らかにされなくてホッとした、という感じでした(よく見ると、回想エピソードや言葉の端々で結構色々語られてますが)。  --  主人公は恩を受けた人に迷惑をかけまくる~云々については、そもそも健康で文化的な最低限度の生活すら満たされない境遇で恩義とかありえんし、私から見ると、主人公らって、どこからどう見てもガキんちょに過ぎないので、  「これくらいの迷惑くらい、どんと来い」  と言えるような世の中であると良いんだけどなあと思いました。   それよりも「どうしても救わねばならない大切なものは何か?」を知らせて欲しい感じでしょうか(この作品はもちろん恋愛ものなので、それは「愛」になるに決まってるのですが)。  --  この話で、個人的に唯一文句を付けるとしたら「終わりはもっとハッピーエンドにしてくれても良かった」というくらいでしょうか。   東京が、あのような事態になったということは、大企業や官憲の地方移管が進んで地方で莫大な雇用が生まれ、実は、日本全土としては事件後の方が経済的に豊かになってても全然不思議ではない(笑)。   唯一、須賀さんが、立派な事務所を持って職員も何人か雇えるようになって、事件後の方が経済的に豊かになった、悪いことばかりではなかったと、ささやかに主張してるくらいで、恋愛ものっていうものもあって悲壮感をぬぐい切れてないんですけど。   もうちょっと大人というものの狡さやしぶとさを信じて、楽観的に描いてくれると嬉しいなあ、という感じでした。    以上です(長文失礼)。
[映画館(邦画)] 10点(2019-08-25 23:17:43)(良:1票)
7.  ごっこ 《ネタバレ》 
 2016年に亡くなられてしまった、小路啓之氏の漫画「ごっこ」が原作の映画です。   引きこもりのニート(パパやん)が、幼い娘(ヨヨ子)を単身育てる、ほのぼの親子話……と見せかけて、一筋縄では行かないエグい物語を、ポップに軽妙に描く(そして泣ける)という離れ業の原作を、いかに映画化するのか? を期待して行ったのですが、観た最後には、もうボロボロ泣いてました。今年一番泣いたと思います。劇場内も、そこかしこからすすり泣きの聞こえる、心を震わされる作品でした。   個人的にすごいと思ったのは、主演の千原ジュニア(パパやん)の顔面演技です。よく、小説や何かで「鬼の形相」とかいう描写をされることがありますが、アニメや映像効果を使えばそういうのは作れるんですけど、生の人間の表情で、あんな形相をすることができるのだと、心底、震えました。「そんなわけあるか」と、声を振り絞って言う、あの形相を、私は一生忘れられないでしょう。   平尾菜々花のヨヨ子も素晴らしく、子供っぽい無邪気な姿と、時折垣間見せる大人びた雰囲気と、パパやんとの心の触れ合いが、とにかく心の通った演技でグッとくる。   周りの人たちもそれぞれ心の通った演技をしてて、それぞれみんな良いんですけど、個人的には、主人公のパパやんといつも喧嘩する近所のオッサンとだんだん仲良くなってくのが好きです。   原作漫画を見ると、いったいこのダラダラ長い話をどう映画にまとめるんだ? と思うんですが、重要なエッセンスを的確に抜き出し、1個のまとまった流れの物語にして、なおかつ原作のメインテーマもきっちり押さえる(ある意味凌駕すらするところもある)……という脚本・編集も素晴らしい仕事をされてると思います。   あと、最近の似たテーマの映画として「万引き家族」がありますが、個人的には、是枝監督の「誰も知らない」→「万引き家族」を観た上で、この「ごっこ」を最後に観ると、すべてが報われるかと思います。フィクション・夢物語の力というものを、まさに見せてくれる、素晴らしい作品と思いました。   今年は、何年かに1度くらいのすごい作品がいくつもあって、泣ける系の映画も良作が多いのですが、もうこれ以上は来ないだろうと思ってたのが、こんなダークホースが現れるとは思ってもみませんでした。   上映館が非常に少ないのが苦しいところではありますが、こういう系統の作品が好きな方にはぜひ観ていただきたいところであります。
[映画館(邦画)] 10点(2018-11-06 00:01:03)
8.  ダンサー・イン・ザ・ダーク 《ネタバレ》 
この映画を劇場で観たとき、リアルの仕事環境が酷くて死にそうな状況だったのですが「どんな酷い状況でもミュージカルさえあれば魂は救われる」というテーマに、すごい救われたのを覚えています。  西欧の悲劇的話でよく、現実の主人公は肉体的に死んでしまうけれども、魂は神の御許に行って天国で幸せになるみたいな落ちの話がよくあるんですけど、キリスト教など信じてない人間からすると「そんなの信じられるかよ」「現実でうまく行ってる人が酷い死を迎えた人に対する罪悪感を晴らすためのごまかしでしょう」としか思えなくて、感情移入できたことが一度もなかったのですが、この作品では、確かに神(音楽の神様?)がいた。そのように感じられた、私にとって初めての作品でした。  DVDライナーノートの監督インタビューなんか見ると「ネタバレするな」的なことが書かれているので、ここでは明確には書けないのですが、この作品は、本当は、劇場で観る(聴く)のが良いと思います。  劇場版では冒頭の音楽の場面がずっと真っ暗でした(3分くらい?)。 DVD版だと抽象画のような映像が表示されて、元々の作品の意図が分かりづらくなってると思います。 で、最期の場面なんですが、劇場だとすごい良くわかるんですけど、家などの環境だと何が何だかわからないまま見過ごしてしまう(作品テーマ的には「聴き過ごしてしまう」)可能性が非常に高くて、ヘッドホンで、周りの雑音をすべてシャットアウトした上で観る(聴く)ことをお勧めします。 入門編として、工場のプレス機のSEをしっかり聴いてみて、そこで何が起こってるかがわかると良いかと。  以上、そんなところです。
[映画館(字幕)] 10点(2018-07-29 12:18:52)
9.  ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り 《ネタバレ》 
 バリガチな(T(T))RPGファンとしては、良作だろうがそうでなかろうが履修必須という事で観に行きました。  視聴環境はIMAX Atmos上映のほぼ最高環境でした。  原作ファンのファン的見解の感想という事で。   正直2000年の「ダンジョン&ドラゴン」(1,2)は、実際ゲームをしてる人間の風景としては残念さ加減も含めてある種とてもリアルで、話自体はポンコツだけど、まあ、ゲーマーの生態描写としてはひどいわあ(笑うところ)という感じに私は結構好きでしたが、エンタメ作品とかファンタジー映画としてみると微妙で人には勧めがたいかなあという感じでした。エルフの女魔法使いというだけで過剰反応をする、野良の腐れゲーマーみたいなものが実際よくいたりしまして。   そんな事情で、まったく期待せずに観に行ったのですが、意外にネットや知人の評判は悪くなくて、むしろなかなかいい感じであり、加えて原作提供会社のウィザーズ・オブ・ザ・コーストは今猛烈にD&Dというものを日本に広めようとしていて、しかし海外ではいざ知らず国内では全く販路がまともに構築されてないので日本国内ではマニアの間でしか知れ渡ってなかったりするのですが、それがより広く一般にも認識されるようになる礎になるかどうかの試金石になる作品であって、そういう戦略的展開とか金銭的事情のために作品の面白さが損なわれてたら嫌だなあというような、愛憎半ばな部分もありつつ観た感じです(つい先日D&D関連の二次創作物に対するライセンス管理でファン層と散々抗争してたりしてましたし)。   あと、オウルベアが映画中では最高にカッチョ良くて素晴らしいのですが、あれは魔法生物なのでドルイドの変身対象にはなり得ずルール誤りである、なんて話題が1~2年前くらいのドラフト版で話題になってたりしました。面白ければ良いの心意気でルールの方を改訂すればいいじゃんと個人的には思ってましたが、結論はどうなったんですかね。   あとまあ、原作ゲームの方で、ポリコレ的なジェンダーにまつわる表現も、ユーザに断りなくいっせいに勝手に書き換えられてしまったのが表現弾圧になるのではないか、というような物議を醸していたこともあったりして、なかなか原作ファンとしては悩ましい部分もあったりしましたか。    ……というような、元のゲームファン界隈ではいろいろ引っかかりを覚える悩ましい部分が多数あったりしたんですけど、そんな一般人にはわかりようもない面倒ごとなど全部うっちゃって、純粋にエンタメとして楽しい! 素晴らしい作品と思いました。   本格的ファンタジーっていうと指輪物語的なちょっと高尚なイメージがあったりするんですけど、D&Dの世界ではいろんな雑多で野卑なものも合わせたごった煮状態で、SF的要素もあって猥雑な雰囲気があったりするんですけど、そういうのがいかにも生きてるって感じで良いんですよ。   あと、戦闘アクションや魔法の扱いがいちいちキチンとゲームの設定を踏まえていて、最近は四角マス(スクエア)ボードゲーム的設定に、3次元マップで立体感も出して遊んでるものが、いまどきの3DCGアクションを駆使して3次元的にグリグリ動きまくって挟撃しまくってるとかいうのも楽しくてたまらんし、あと「キャンペーン」といっていくつもの冒険やエピソードや試練を潜り抜けていくうちに、いっしょに冒険の旅をし続けてきた仲間同士の、仲間の情みたいな、いっしょに遊んできた仲間同士に芽生える感情の醍醐味みたいなものを見事に映画作品のエンタメストーリーとして昇華していて、巨悪に対抗して世界を救うみたいな壮大な話がベースにあるけれども、直接的なそれぞれの登場人物の動機は、肉親とか、旅の仲間とか、友人とか、ごく私的な情愛のために頑張る、等身大の1個の人間でもあるという距離感というか親しみやすさが、実にいいと思ったりなんかしました。   普段は、私利私欲とか金などのごく低俗な欲求のために冒険してるはずが、身近な仲間を助けるために全財産なげうって借金まで追うとか、よくあるんですわ。何を気が触れたんだろうと思うんですが、実際そうなんだわ。    という感じで、ファンのゲーマーとしてはとてもリアルでありつつゲーム体験の中での感動の良い側面を見事に凝縮して作品化したなあ、という感慨深い作品でした。  前の時は技術も予算も足りなくてあれでしたが、いろいろやっとちゃんと描けるようになったんだなあと。   そんなところです。
[映画館(字幕)] 9点(2023-04-12 22:26:23)(良:2票)
10.  スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム 《ネタバレ》 
 なんか、これまでスパイダーマンシリーズを観てた人のご褒美作品みたいな感じで、メチャメチャ熱くて良かったです。   正直、トム・ホランド:スパイダーマンは対象年齢が若くなったせいで、どうせ大人向け作品ではないんでしょうと侮ってたところはあるんですが(その分気楽に観られる、いい話と安心して観られるところはあったのですが)、むしろ若年向けかつ、正義とは何かを問い続ける苦悩のスパイダーマンシリーズだからこそ、今度の赦しと慈悲の物語を描けたところがあって、ちょっと感動してしまいました。こういう話が観たかったんだよ!   話のオチというかネタとしては、エンドゲーム以来、こういう安直なちゃぶ台返しをあまり使うのはいかにも安直だろうとは思うのですが、まあ、1回はこういうネタも許されるかなということで、キャラ設定のコミカルな面とも合ってるし良かったと思います。   そんなところです。
[映画館(吹替)] 9点(2022-01-09 03:48:14)
11.  アイの歌声を聴かせて 《ネタバレ》 
 良かったです。   AIものロボットものの最新の研究成果を超絶前向きな青春エンタメに昇華した作品と言っていいかと思います。そして、土屋太鳳さんの歌の表現が声がのびやかでとてつもなく素晴らしい。声の表現も、ネット上でネタバレがちょっとされてましたが、人工声帯による発音がされてるということで、AI・ロボットなのに、歌うために呼吸の動作をするのが、こだわりすぎにもほどがある。   あと、この手の話でよくあるAI/ロボットには人間的な"意思"を持ち得るのか、という問いに対して、  「そんなのどうでもいい」  観る人の受け止め方によってそのようにも見えるし、まったくそうでないようにも見える表現にしてるのが非常に新しくて、この手の問いに対しては逆説的に、  「そもそも、人間が、自由な意思とか心のようなものが存在してると思ってるのはただの錯覚ではないか」  という話もあって、その辺も踏まえてて良かったです。   AIの深層学習については、ちょっと前にネット上のニュースやSNSの記事の情報などを大量に食わせまくったら、ものすごい毒舌を吐く邪悪な? AI(モデル)ができてしまったのでリセットされたみたいな話が流れてましたが、本作では「前向きで肯定的な指示」によって、こんな素敵なAI・ロボットができるのではないか、という夢物語をエンタメとして非常に肯定的に前向きに提示してるのが、いっそ潔く、気持ち良かったです。   というわけで、最後のオチをわかった上でまた頭から見直すとグッとくる作品でもあるということで、もう1回くらい観たい印象なのですが、地元の上映館ではロングランしてるものの早朝上映しかしてないので時間的に合わなくて観られなくて悲しい思いをしており、マイナー作品の扱いでよくある状況ではあるのですが、こういうロングランしたマイナーな良作を、一般の人が観やすい時間帯に上映できる上映枠を各映画館が設置して欲しいなあと、切望する感じです。   そんなところで。
[映画館(邦画)] 9点(2021-12-04 08:08:11)
12.  JUNK HEAD 《ネタバレ》 
 すごい!   ストップモーションアニメというと、海外ではすごいのが出てて、日本はあまりなく、最近やっと「PUI PUIモルカー」で総時間33分くらいのものが出て、日本でも少ないけどあるんだなあと思ったところに、この壮大な、遠大な世界の作品が出てきて、全俺がどよめいた! みたいな感じでした。   とにかく背景のセットが混沌として奥深く果てが見えないくらいのスケール感があって、これは元々監督の方が芸大の創作でそういうのを作られてたのが生かされたということで、終盤には宗教的な深みまで垣間見えるようになって、とにかく素晴らしかった。   キャラクターも、どれもこれもグロテスクで、血も飛び散ったりしておぞましいものばかりですが、それぞれが息づいていて、ユーモラスな部分もあって終わりごろには愛着がわいてきさえする、最後に対決する敵すら「貴様、あの傷! あの時のあいつか!!!」という、人格的なものがあるものに対する敬意みたいなものが生まれて、すごかった。あと、いちおう人間は新しいテクノロジーで永遠に近い寿命が得られるようになったということで、そういう話もちらっと出てくるのも面白かったです。   パンフレットでは、最初のクラウドファンディングは失敗してしまった、ということらしくて、今後は、これが評価されて、終わってないので(全3部作らしい?)、潤沢な資金支援を得て、ぜひとも最後まで完結して欲しい。また、クラウドファンディングなどで支援の募集などあれば、ぜひぜひよろこんで支援したい! と思いました。     あとまあ、以下は盛大ネタバレですが、個人的には、本作は銃夢リスペクトがすごいと思って、ストップモーションアニメ版:銃夢じゃん! と思って、あの遠大な鉄骨やらなんやらのゴミゴミごちゃごちゃ入り混じった汚い世界は、まさに俺たちのクズ鉄町だし、天から人間である主人公が頭部だけで落ちてくるのはまさに銃夢の冒頭だし、異形の化け物の描写もまさに銃夢(というよりはギーガー的か)だし、最後の山場の、あの機械の身体だからこそできるあのアクションは、まさに銃夢だし、あの銃夢的な未来のSF的世界を描く魅惑的作品として、ずっと続きを待ちたい所存です。   そんなところです。
[映画館(字幕)] 9点(2021-05-22 20:09:38)(良:2票)
13.  映像研には手を出すな! 《ネタバレ》 
 原作からずっと好きで、アニメ版はもちろん好きで、TVドラマ版は活劇風になってワクワクして観てた、超ひいき目評価になるのでおのずと点数は上がってしまうので、そう思っていただけると助かるんですけど。   とりあえず、TV実写版振り返りでアニメの映像が出てこないのは、TV版を観てくれ! という宣伝かと思うので了承。   ロボ研との超めんどくさいやり取りは、ロボ研部長が机の上でロボットの動きの物真似をやり出したところで原作にもない新たな境地が見られてずっと爆笑してたので大満足。   映画版だと、TVドラマ版と比べてキャラクターの性格がより強調されて過激になる、というスタートレック映画の法則があるのですが(偏見)、映像研3人娘の性格が過激になった結果どうなったかというと、より一層精神年齢低下幼児化した「はじめてのお使い」浅草氏・水崎氏を、お母さん金森氏が保護するという驚愕の展開に顎が落ち(爆笑)、   あと、やっぱりアニメ版では控えめだった音響演出が映画館の全力5.1chバリバリ演出で、映画館音響最高だ! となり、創作の最後の山場を乗り越える展開が、すんごい音響演出から→「映像が見えてしまった以上、描くっきゃない!」って水崎氏の決断に持ってくところがTV版の独自展開同様、「そう持ってきたか!」て感じで驚きつつも良かったし、   最後の山場を3人娘の友情による決断に持って行ったのも、ややベタ寄りになったものの、これはこれで良いかなと。   そう思いました!   肝心のアニメ部分が、(予算の都合か?)弱い上に口で説明しまくっちゃってるのはどうか? については、TVドラマ版も同じ程度だったし(妄想部分のCG演出は相変わらず気合が入ってるのですが)、原作でも学園のしっちゃかめっちゃかを描き過ぎて肝心の、アニメを描く尺が無くて、大迫力の見開き1枚で済ませるという力業で乗り切ってたので、まあ、原作準拠寄りなのかなあと、ドラマ版:映像研には手を出すな! は、3人娘のドラマをメインにする組立てなのだろうと、私は納得した感じでした(そして、乃木坂46のメイン3人は、素晴らしかった)。   そんなところです。
[映画館(邦画)] 9点(2020-10-27 00:09:45)
14.  ミッドサマー 《ネタバレ》 
 まず、音楽と、映像演出がとてつもなく素晴らしかったです。   ホラー映画、スリラー映画は、前衛的な20世紀音楽(主にクラシック系)の宝庫で、曲聴いてるととても斬新で面白いのですが、恐怖の演出のためのおどろおどろしいものという偏見を植え付ける問題があって、1年くらい前? にヨーロッパで抗議のデモがあったりなんかして残念だったりすることも多いのですが、その辺の音楽で個人的に重要と思うのは、神経を逆なでする恐怖的表現以外に、「熱狂」「官能」「途方もなく深い感情表現」等を表す新たな表現手法を確立したことだと思ってて、昨年上映された「ビューティフル・デイ」の曲なんかは、美しく、かつ途方もなくイカれてて素晴らしかった。   それがまあ、本作では、全編にわたって、狂的に美しくもおぞましい、映像と音楽と出来事とに埋め尽くされるという、映像体験としてすさまじく、終始シビれっぱなしでした。個人的には、前衛的音楽映像表現の、現在の極致と言って過言でない、かと。   次に、ストーリーの内容ですが、アメリカ人視点では確かに恐怖の対象で、感情移入して観ると怖くも見えるのですが(主人公側の人間は、かなりベタなアクションをしてて、あらゆる場面がよくよく見るとどこもかしこもベタなのですが)、前世紀の未開の地を冒険する物語だと、よくある展開そのままですじゃん! って割と普通に観てしまいました。   話のエンドについては、話の当初の主人公の動機付け(喪失からの回復)を、やってくれた方が良かったかなあと、そうすれば感動するいい話になったのに、というのがちょっと惜しかった感じです。   個人的に、感動して泣ける話と、ホラーって、感情を揺さぶる点で本質的に非常に近しいと思ってて、この映画は非常にいい線行ってて、とても気に入った感じです。   現場からは以上です。
[映画館(字幕)] 9点(2020-02-27 22:49:48)
15.  テリー・ギリアムのドン・キホーテ 《ネタバレ》 
 テリー・ギリアム作品は大好きなので必然的に点数が上がるのですが(独断と偏見により)、本作は、アダム・ドライバー演じるサンチョの物語が激熱で、このまま華々しく終わり切ったらテリー・ギリアム史上最高傑作になるのでは! と思ったのが、いつもの「こんだけ盛り上げまくって、それかい(笑)」で、9点とあいなりました(ふう)。   ドン・キホーテ作品としては、基本の名場面は現代風にアレンジしつつ一通りポイントをきっちり押さえてるんですけど、ロスト・イン・ラ・マンチャの巨人の場面が期待通り良かったのに加えて、原作で華々しい場面であるにも限らず後半なので端折られがちな、木馬の場面が、素晴らしい映像・演出に、ギリアム独自の解釈も加わって傑出した場面になっていたと思います。   あと、例によって、衣装や舞台の場所の絢爛豪華さは筆舌を尽くしがたいのですが(費用ががが)、スペインのお祭りやフラメンコなどのスペイン固有の民族文化的事物を積極的に取り入れることで、スペインぽい空気感を醸し出してたのが良いなと思いました。ドン・キホーテってスペインの話なのに、スペインって感じがあんまりわからないことが多かったりしたので。   あと、未来世紀ブラジル主演のジョナサン・プライス演じる、ドン・キホーテも、まさにドン・キホーテという印象で素晴らしく、良かったです。   話がややこしいとかいう件については、そもそも元々ドン・キホーテの話自体が、ドン・キホーテ自身がドン・キホーテの物語に言及したり贋作をこき下ろしたりするメタ的物語の先駆けですので、1600年ごろにそういう話がすでにあって、世界中で読まれてたはずなんだけどなあ、っていうところです(ノД`)・゜・。
[映画館(字幕)] 9点(2020-01-31 00:48:43)(良:1票)
16.  T-34 レジェンド・オブ・ウォー 《ネタバレ》 
コテコテの戦車アクションで、本物の戦車に乗って操縦したとかで、ものすごい迫力があります。 そして、T-34たった1台で、ドイツ戦車部隊とガチバトルするという、暑苦しいにもほどがある展開で、敵もめがねをした超インテリとか、顔に大きな傷を負った戦車式の超有能プロフェッショナルとか、いちいちかっこよい。  個人的には、我らが同士ヴォルチョクが大好きです(ヴォルチョク! ヴォルチョク!  あと、装甲ヒットの「ガツーン!」て感じが戦ってる感じで好きですた。 それから、砲台の回答は手で回してるから超時間がかかるんだ!!!(しかしそこに命がかかっている!!!!!!) という、お約束ということで。
[映画館(字幕)] 9点(2019-12-14 01:00:35)
17.  バジュランギおじさんと、小さな迷子 《ネタバレ》 
年々ぶっ飛んだ王道エンタメ映画を提供してくるインド映画の、今年の1本。  近年のインド映画はとにかくコテコテでベタベタな表現に、あの耳について離れないカレー味のキレキレのダンスと歌と踊りで押し寄せてくる印象で、最近はインドの社会問題もうまくエンタメに乗せて扱うようになってきており、今回はいまだ紛争をしてると思われるインド・パキスタン問題でした。  そこ来ますか(笑)。  インド主流のヒンズー教は多神教ですが、信奉する神様によって思想というか信条が変わるみたいで、このバジュランギおじさんは「ハヌマーン」を信奉しており、その教義に基づくのかよくわかりませんが、  ・レスリングを親から習わせられる(弱いと言われてたけど実は強い) ・卑怯なことは絶対せず常に正々堂々真正面から対決する ・嘘は絶対つかない  という信条を持っており、絶対的に自分に課している。 それが、助けた迷子が、実はパキスタン人だったことが明らかになり、母親のもとに連れて行こうとするが、そもそもインドとパキスタンは過去のガンジーの件があって政情不安でお互い憎しみあっており、デモや場合によってはテロすらもあり得る。入国すら困難。  というところで、ただ、迷子の子供をパキスタンの親元に届けるだけでも大変なのに、上記の主人公の信条、「卑怯なことは絶対せず常に正々堂々真正面から対決する」「嘘は絶対つかない」があるため、道のりは限りなく困難になり到底実現不可能と思われるのが、最終的に主人公がどこまでも善良で「卑怯なことは絶対せず常に正々堂々真正面から対決する」「嘘は絶対つかない」を貫き通すがゆえに、主人公の善意のみによる行動に周りがほだされて、到底不可能と思われたものが共感した人々の協力によりだんだんと実現されていく、そんな熱い話でした。  現実にこんなことが可能かというと、非常に難しいんじゃないかなと思うんですが、現実に無理であったとしても   「こうあって欲しい」   を描くのが、エンタメであり、もしかしたら現実自体を変えうるのがエンタメのすごいところで、この作品はとてつもなくベタだけれどもまさにエンタメの王道と言っていい作品と思います。  いま、ちょうど高評価によるリバイバル上映が各地で行われ、観れる機会が増えてきてますので、興味を持たれた方はぜひ見てみるとよいかもしれません。
[映画館(吹替)] 9点(2019-03-02 13:15:35)(良:1票)
18.  ゴジラ-1.0 《ネタバレ》 
 初日に観ました。   正直まったく期待しておらず観る気はなかったのですが、ネット上の感想が非常に良くタイミングも良かったので。  国内実写版ゴジラは「シン・ゴジラ」が大好きで6日間連続視聴とかしてました。もうあそこまでのものはできないだろうと思ってました。  本作に至るまでにアニメ版(TV版、劇場版)海外版もいくつか出ており海外版ゴジラはCG表現などド迫力で良かったですしアニメ版もTV版はSF的な非常に凝った仕掛けが面白く、楽しませてもらってた感じです。   で、今回は日本の実写映画でまさに王道を突っ切るゴジラもので、いやおうなく「シン・ゴジラ」と比較されるだろう状況でどこまで行けるだろうか? って認識でした。   結論としては、すごい良かった。   科学考証は微妙にゆるくツッコミどころがなくはないものの、創意工夫にあふれてワクワクする展開はとても楽しかった。  湿っぽい人間ドラマも、もともとゴジラ映画の初代からそうなので、個人的にはまあこれもアリと思い、いちおう価値観なり設定は、二次大戦の事情をあまり知らない人にもわかりやすくかみ砕かれ、かつ現代的価値観に刷新されたストーリーになってて、ハッピーエンドになるのもエンタメ娯楽映画だからなー、というので普通に受け止められました。というかめっちゃワクワク、ハラハラして、最後うまく行って良かったー! と気持ちよく終われる映画でした。   以下、個人的に特に気に入った点を書きます。  ・水中ゴジラ!  その手があったか! とのけぞりました。  ・ゴジラは核兵器の脅威の象徴的怪獣であることをきちんと描いている  海外ゴジラって「核兵器」の表現が生ぬるいと思うんですよね。  あの恐怖と絶望と根本的に受け入れ不可能な決定的断然がしっかり描かれてました。  ・就業状況がホワイトで、あるべき理想の組織論として素晴らしい  二次大戦の教訓として一番受け継ぐべき事項の一つとして、とにかく組織のリーダーが無謀で無計画で、無茶な命令ばかり出すので現場の人間が何万人も死んだ、しかもその責任をだれも取らない、という悲惨な状況があって、それは二度と繰り返すまい、って話があると思います。  「シン・ゴジラ」や本作では、理想のあるべき組織が描かれるのが良いと思うのですが「シン・ゴジラ」で唯一気に入らなかったのが、ブラック企業的ブラックな就業状況を「がんばってる」と礼賛する場面です。それは倫理観が壊れてるだろうと。  本作では、まずきちんと計画を立てます。絶対とは限らないが少なくとも成功する可能性のある計画を立てる。この時点でスゲエって思うんです。作中「生還する可能性があるんだよな? それなら戦中よりましだ」って笑う場面がありますが、わりとマジメに切迫した問題だったりして、たまりませんでした。  あと、絶対確実に生還できるか問われて「未知の挑戦なので、やってみないとわからない。可能な限り尽力し生還できる可能性はある」と説得する場面が、とにかく素晴らしいと思いました。新しい試みをする時って、当然やってみないとわからないことがある。数多のリスクや危険があるが、いっしょに協力してやってくれないだろうか、と正直に説明する。そして有志のみを募って計画を実行する。  問題組織では、無茶な計画を立て、担当にリスクなど何も説明せず、たまたまうまく行ったら上の手柄にし、うまく行かなかったら担当者の頑張り不足と現場の責任にし、上の問題が全く問われない状況がいっぱいあった。  それが本作では、上の人間は素直に窮状を包み隠さず公開し、それでもやってくれる有志を募る。現場の担当と上の指示者が一体のチームとなって、それぞれ「今やれることをやって」問題解決する。そういう姿勢が描かれて、全俺が泣いた感じです。素晴らしい、そう、そうですよって。  ・技術者が技術者としての矜持を見せる  オチの部分が伏線があからさま過ぎるとか、さんざん煽ってひっくり返すんかとか批判されてるようですが、個人的には、ちゃんとした技術者だったら必ずそうすると思うんですよ。自分の仕事に誇りをもった本物のプロフェッショナルであるならば。戦時中様々な事情でちゃんとした仕事ができず無念なことがいっぱいあったと思うんです。あの時こそ、今度こそ、ちゃんとした仕事ができるっていう悲願の時だったと思うんです。なので回想シーンで主人公以前の着陸してきた特攻隊員の思い出話のエピソードなどあると良かったと思うんですよね。……てところが足りないと思うものの、私自身が、そういう技術者的仕事をしてるのであそこは非常に共感した部分でした。   そんな感じで、非常に良いエンタメ作品で、邦画もやるなあ! って思いました。  以上です。
[映画館(邦画)] 8点(2023-11-07 15:20:20)(良:3票)
19.  リバー、流れないでよ 《ネタバレ》 
 ループ物のSF系映画には良作が多数ありますが、本作は劇場内で終始笑いの絶えない上映で、けらけら笑いながら観られました。とても楽しい映画で良かったです。   貴船を舞台にしてるので、だいたい場所の配置が行ったことあるのでわかってる中で、2分という時間制限があって、そこを場面を全く切らずに1ショットでずーっと回していく臨場感がありつつ、記憶は視聴者と同じく巻き戻らず連続してるので時間がループして大変なことになってるにもかかわらず「今ちょっと災害が起こってますが状況がわかるまで落ち着いて問題解消するまでお待ちください」みたいな、ループ物にあるまじき和やかさで、昔の辛口ショートショートにあるようなユーモアあふれるコミカルな展開でした。   話の主旨としてはタイムトラベルの仕掛けよりも、現実のせせこましい時間に追われる気の休まらないところから、ホッと一息ついて、時間の大切さとか、人と人とが触れ合うちょっとした時間の積み重ねが上で大切だみたいなところがにじみ出してきていて、ハッとするような、ほろっとするような部分もありつつ、最後の結末ではみんなの意思が一つに揃って、問題解決するっていう、実に気持ちいいさわやかな映画で素晴らしかったです。
[映画館(邦画)] 8点(2023-07-28 20:20:36)
20.  BLUE GIANT 《ネタバレ》 
 原作ファンです。IMAXで視聴しました。  元々ジャズはごく一部ちょろっと聞いて何が良いのかよくわかってなかったのが、原作漫画で、そうなのかと、ちょっとだけわかるようになったかもしれない口です。  だけど、mp3とかの配信音源を聞いてもやっぱりよくわからず、ライブで聴いて熱を感じるか、せめて映像化されて映像&演奏で見てみんと本当のところはわからないかなあと思ってました。   そんなわけで待望の映像化なわけですが、漫画では、すごい天才で音圧があり、音がデカくて説得力があるように描かれてるものの、実際の映像になった時に音楽的説得力を出せるのかどうか? が気になってたところでした。  公開前にPVが流れてたもののキレイではあるけどそんなすごい演奏にも聞こえなくてあんまりイケてないかもなあ、けど原作者が見て良いとか言ってるしなあどうなのか、と期待半分で観た感じです。    演奏は素晴らしかった! です。    IMAXで環境が良かったこともありますが素晴らしい演奏の数々で、いやまあそんな音を出されたらそりゃ認めるしかないわなあ、というところで、原作を見て一番気になってた演奏の音楽的説得力は見事に実現されてたかと。  なので、ライブ的な演奏を聞きに行くために観るというのはアリかと思いました。   で、原作からのエピソードの選択については、妥当かと思いました。  主人公が天才過ぎるので、一般人の目線で絡んでいく話であり、かつ音楽的に成功していく交差点的エピソードっていうとここしかないかな、という感じで。  その代わり、序盤の泥臭く努力して演奏できるようになってく話とか、そもそもジャズというものが今どきマイナーなので(とはいっても私からすれば、メジャー枠の中のマイナーな方、くらいの認識ですが)、だけど熱くて良いと思ったので演奏して広めていきたい、という衝動の部分が端折られてしまったのは残念なところではあったりしました。   あと、問題の演奏部分のCGについては、がんばってやろうとした形跡はあるけれども予算配分の都合と、きっと上層部はCGを使う所でコストカットできると勘違いされてるかと思われるのですが、その数年前の感覚で予算が削られて微妙な映像になってしまってたかと思います。   最近のCGなどを使用した演奏シーンの傑作としては、まず「シン・エヴァンゲリオン」のピアノシーンがあり、あるいはロトスコープを使用して変態的な歳月と原画枚数をかけて制作された「アニメ映画『音楽』」の激熱ライブシーンがあり、つい先日公開されて今も楽器業界なんかでブームのアニメ「ぼっち・ざ・ろっく」のモーションキャプチャーで演奏と動きをぴったり合わせてライブ感を出しつつ、うまくない演奏までしっかりやる……というように、CGを使った演奏シーンもここ1,2年で激烈にクオリティが上がってきており、本作もエンディングを見るとロトスコープを使用して実際の演奏の動きをキャプチャーして品質を上げようとした痕跡は見えて序盤のピアノのタッチも良い感じの場面が一部あったと思うのですが、途中以降そういうのもなくなり、またCGキャラをセルアニメ的キャラクターと違和感なく馴染ませる工程も省かれたため、CGが出るたび、何この異形の存在は? みたいな違和感が大変なことになってて、普通のアニメシーンや、音楽はとんでもなく素晴らしい出来なので、CG部分も今後改善されると良いんじゃないかとか思いました(今後とかあるのか?)。   そんなわけで、とにかく演奏は素晴らしいので、音響の良い劇場でぜひ視聴されるのがよろしかろうと思います。  やー、ジャズってかっちょいいわ。
[映画館(邦画)] 8点(2023-03-15 11:48:28)
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