1. 火垂るの墓(1988)
子供にとっては守ってくれる者が神様。純粋に兄ちゃんを信じて、素直な心のまま他界してしまったせっちゃんが悲しすぎる。妹に応えるために何とかしようと思っても、世間に相手にされず、ただ盗みを重ねる兄ちゃんのどうしようもない悲しい心情を思うと、それも悲しすぎる。せめて、あの世で家族仲良く再開して、幸せになって欲しいと願うばかり。‥これはありえない話ではないのだ。生きるためにどうすることもできず夜逃げする人、暴力団に捕らえられ、風俗に身を落としたり、行方不明になってしまう人。自殺する人。‥いつの時代にも、どうしようもない現実に翻弄され、悲しいまま死んで逝く人たちがいる。‥せっちゃんたちのような人を助けてあげたくとも、自分の生活を守るのに精一杯の日々。アーッ。ジレンマ。心の中に眠っていた、日頃見てみぬ不利をした悲惨な人々への思いに火をつけられる名作です。 10点(2003-06-05 11:51:12)(良:2票) |