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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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181.  ひばりの森の石松 《ネタバレ》 
沢島忠監督の作品はあまり見ているわけではないが、「股旅三人やくざ」、とくに錦之助が主演した第三話の喜劇的面白さが印象に残っている監督で、この映画も実に明るい作風で、これぞ明朗時代劇という感じ。森繁久弥の印象が強く、見る前は少し不安だった石松役の主演の美空ひばりも本当にハマリ役で、何本か男役で出演した映画があるみたいだが、違和感が最初から最後まで全くなく、見事に演じきっている。唐突に夢の中で始まる竜宮城レビューのシーンも美空ひばりが東映の監督の中でも特に信頼していたという沢島監督の演出がうまいのか、彼女にあまり興味のない自分でも楽しく見ることができた。終盤のボウリングのシーンも通常の時代劇では絶対にあり得ないようなシーンだが、純粋に見ていて楽しい。(ああだこうだ考えながら見る映画ではない。)後半の盲目の姫(片岡千恵蔵の娘が演じてる。)とのやりとりには思わずほろりとさせられる。最近見た東映の映画と言えば去年ぐらいからヤクザ映画が中心だった気がして、それ以前の東映時代劇を見るのがかなり久しぶりな気がするが、見終わって本当に心の底から楽しかったと思える映画だった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-11-16 22:33:14)
182.  ロボコップ(1987) 《ネタバレ》 
このシリーズは2作目と3作目は昔見ているが、この1作目はテレビで断片的にしか見たことがなく今回DVDで初めて全編見た。2作目と3作目は面白くなかったおぼえがあるが、1作目である本作はマーフィがロボコップになる過程や、マーフィの記憶が戻ってからのロボコップの哀しみが丁寧に描かれ、ただのヒーローSFアクションではなく、純粋に人間ドラマとして深みがあり、見ごたえのある映画になっていて面白かった。中でも記憶が戻ってからの「生きていた」頃の記憶に苦しめられるロボコップ・マーフィの姿は見ているこちらに彼の哀しみが伝わってきて、売り家になった自宅を訪れるシーンや、マーフィの家族が既に新しい地へ転居していることをルイスから聞かされるシーンはあまりにも残酷で、思わず感情移入せずにはいられない。最後のマーフィのセリフは主人公の苦悩がじゅうぶん描けているからこそカタルシスも大きいものとなるのだ。激しいバイオレンスの応酬もこういったキャラクターヒーローSFアクション映画では異色な気もするが、それもポール・バーホーベン監督らしく、ドラマ部分もそうだが、この暴力表現の激しさも続編とは一線を画している。繰り返しになるかもしれないが、やはりこういった娯楽を前面に出したような映画でも人間がしっかり描けていれば傑作になるということを証明しているような映画だと思う。マーフィがクラレンス一味に撃たれて病院へ運ばれたあとのシーンで、死んでいるはずのマーフィの視点から彼の目の前の人物たちの会話が描かれているのが、実際はまだ死んでいないのではというのを観客に思わせるような演出で印象的だったが、知り合いに一人交通事故で入院した時に全く同じような体験をしたという人がいるので、このシーンはよけい印象に残る。その知り合いはこの映画には特別の思い入れがあるようだったが、実際にこの映画を見てみると、それも分かるような気がする。
[DVD(字幕)] 8点(2012-11-07 20:41:53)(良:3票)
183.  妖星ゴラス 《ネタバレ》 
本多猪四郎、円谷英二両監督によるSFパニック映画。長らくなかなか見る機会に恵まれなかった東宝特撮映画の一本だが、ようやく見ることができた。巨大隕石が地球に向かっていてこのままだと激突するかもしれないというのは「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」と全く同じなのだが、あれらのように隕石を破壊しにいくのではなく地球の軌道を変えてしまうという発想が素晴らしく、また荒唐無稽とも思えるその方法が説得力を持って描かれており、なかなか面白いし、その発想だけでハリウッド大作であるさっき挙げた二本にはじゅうぶん勝っていると思う。特撮のミニチュアワークもよく、今のCGでは出せないような魅力を感じることができ、まさにこれが円谷英二の特撮映画だ。脚本的には唐突な怪獣の登場(本当になんの前触れもなく登場し、あっけなく倒される。ちなみに当初は予定になかったらしい。)や、久保明がゴラスの影響で記憶喪失となる展開が中途半端に終わっている感があるなど難もなくはないが、まあ大目に見よう。出演者も東宝特撮映画常連の久保明や志村喬などに加え、主演が池部良だったり、小沢栄太郎や西村晃といった東宝特撮映画ではなじみの薄い名優も出演していて豪華である。さっき書いたように脚本的にはアレな部分も多いが、間違いなく「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」よりも面白かった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2012-10-18 16:26:53)
184.  やじきた道中 てれすこ 《ネタバレ》 
先週見た同じ平山秀幸監督の「必死剣 鳥刺し」はシリアスな本格時代劇だったのに対し、それ以前に作られた本作は落語をベースにした道中もので肩の力を抜いて気楽に楽しめるコメディーに仕上がっている。冒頭から「近松物語」のパロディーに始まるのだが、そこからもう引き込まれ、一気に見てしまった。中村勘三郎、柄本明の弥次喜多コンビと小泉今日子演じるお喜乃のやりとりが見ていてなんとも楽しい。中でも柄本明のコメディアンぶり。この人は志村けんのコント番組でコントをやっていたことがあるのだが、この映画でも忠臣蔵の舞台で浅野をやっているシーンで松の廊下で吉良を刺してしまうなどコメディーリリーフとしての存在感はじゅうぶんで、大いに笑わせてくれる。お喜乃を演じる小泉今日子もハマリ役で、アイドル時代の主演映画「快盗ルビイ」(和田誠監督)で助監督だった平山監督が小泉今日子の見せ方を分かっているのか、既に40を超えているのにそれよりだいぶ若い役を演じていてもほとんど違和感をあまり感じないし、逆に魅力的だなと思った。ラスト近くで弥次さんが死んだ妻子の夢を見るシーンはほろりとさせられるが、「雨月物語」のパロディーのようでもあり、笑えるシーンでもある。とにかく本当に何も考えずに楽しむことができた映画だった。平山監督は「愛を乞うひと」や「必死剣 鳥刺し」のようなシリアスな映画もいいが、こういった肩の力を抜いて楽しめるコメディー映画のほうがより本領を発揮できる監督なのではないかと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2012-07-12 11:28:52)
185.  カラフル(2010) 《ネタバレ》 
「河童のクゥと夏休み」のあとシンエイ動画を退社した原恵一監督がサンライズでてがけた作品。あまり期待が高かったというわけではないが、ファンタジーという体裁をとりながらも、人生をやり直すことになった主人公の葛藤や、主人公の家族の人間模様がリアルに描かれていて原監督らしい映画になっていると思う。描写もアニメというよりは実写に近く、作風としては原監督のデビュー作「エスパー魔美 星空のダンシングドール」に近いが、やはり原監督は「クレヨンしんちゃん」シリーズのような派手さのある作品よりもこういった作品のほうが得意なのだろう。この映画でも「クレヨンしんちゃん」や「河童のクゥと夏休み」同様に家族が一つのテーマとなっているが、野原一家や上原一家がなんの問題もない普通の家庭として描かれているのに対し、この小林一家は母親が不倫をしていたりと何かと問題を抱えた家族というのが興味深く、何回も出てくる一家での食事シーンも象徴的に感じられる。終盤主人公・真がひろかに向かって言う「人間にはいろんな色があっていい。おかしくて当たり前、いろんな自分がいていいんだ。」という言葉。ぼくもなかなか自分というものを肯定できない人間なので、聞いていて思わずはっとさせられ、とても共感できたし、もっと自分を肯定する勇気と自信を持って生きていきたいと感じた。タイトルからも分かるが、これがこの映画にいちばん込められているメッセージなのだろう。はっきり言って退屈なシーンもなかったわけではないが、見終わって素直に良かったと言える映画だったと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2012-03-15 15:07:16)(良:1票)
186.  ブラボー!若大将 《ネタバレ》 
若大将が社会人になって3作目。今回は若大将に最初から恋人(高橋紀子)がいる設定だが、冒頭で若大将がふられるという展開は今までなかったので妙に新鮮に感じるし、今までポジティブ一直線だったシリーズだが、今回は上司との衝突で会社を辞めた若大将の屈折や、田能久の金を使い込んでしまう江口などネガティブな部分が描かれていてこのシリーズらしくないといえばそうだが、逆にそれがリアルに感じられなかなか面白かった。前2作でスポーツを描かなかったのが不評だったのか、若大将が大学のテニス部に顔を出すエピソードが学生編を思い出させており、それによって若大将が元気を取り戻すのはこのシリーズはやっぱりこうじゃなくちゃと思わせる展開で見ていて心地よい。今までとは随分毛色の違う作品になっていて、教訓めいた部分もあるのでシリーズの熱狂的なファンから見れば好き嫌いがはっきりと出るとは思うが、ぼくとしてはこの回はけっこう好きだ。最近いろいろ悩んで落ち込むことが多かったので「悩まないやつなんかいないさ。」という若大将のセリフに元気づけられた。少し甘めだけど8点。
[DVD(邦画)] 8点(2012-02-16 13:12:53)(良:1票)
187.  一人息子 《ネタバレ》 
小津安二郎監督のトーキー映画第1作。戦前の小津監督の映画には喜劇色の強いものや、外国映画を意識した作風の映画が多いように思うのだが、初のトーキー作品となった本作では、「東京物語」に代表されるような親子の物語で、笑いのシーンはほぼ皆無で、シリアスな作風となっている。しかし、本作も間違いなく小津監督らしい映画となっていて、息子の東京での生活の厳しさや、その現実を見た母親の切なさを丁寧に、それもこの親子の絆を優しくあたたかく描いており、戦前のこの頃から小津監督はこういう親子のシリアスなドラマも描ける監督だったんだなあと感じた。焼却炉の煙突を見ながらの親子の会話、そしてその夜の口論はなんだか息子の立場になって考えた場合にすごく身につまされるものがあってつい息子に感情移入してしまう部分もあった。馬に蹴られた近所の子供のために息子がとった行動を見た母親が息子にかける言葉がああ、この母親は息子がどんな暮らしをしていても、自慢の息子には変わりないのだなと感じさせていて感動的だった。しかし、やはりこの映画が描いているのは理想と現実は違うということで、帰京した母親が「息子も偉くなって」と周囲に語るものの、一人になるとしょんぼりとしているラストシーンはこの母親の心情というものがすごく理解でき、侘しい気持ちになるのだけども、その前のシーンで東京で息子が今度母親が来るときにはこんな侘しい姿は見せないぞと奮起する姿を描いていて、そこに希望を感じさせているのがいい。「東京物語」だともっと親子関係はシビアに描かれるのだが、まさしくこれはその原型といったところ。主演の飯田蝶子は晩年に演じた若大将シリーズでの主人公の祖母役が大好きなのだが、この映画では息子を時に厳しく、そして優しく見守る母親を演じていて若大将シリーズとは全く違う一面も見せているのだが、その演技が非常に素晴らしく、間違いなくこの映画は彼女の代表作と言っていいだろう。もちろん息子を演じた日守新一も素晴らしい。ところで、親子が映画館で外国のトーキー映画を見るシーンで「これがトーキーってやつですよ。」というセリフを息子に言わせているのは、初めてトーキー映画を撮ったことが嬉しくてたまらないという小津監督の素直な喜びが感じられるシーンではないだろうか。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-11-24 02:21:44)
188.  アキレスと亀 《ネタバレ》 
北野武監督の「芸術家三部作」の第三作。「TAKESIS」と「監督・ばんざい!」では自分自身をそのまま主人公にしたような映画になっていたが、本作は少年時代に絵という芸術に魅せられ、画家を志した男の一代記を描いており、前2作とは毛色のだいぶ違う映画になっている。主人公の少年時代と青年時代は暗いトーンで描かれており、セリフも少なめで、それでいてブラックユーモアも織り交ぜてあるなどいかにもたけしらしい映画に仕上がっている。(登場人物が死にまくったり、寺島進がヤクザ役でワンシーン出るのもたけしらしい。)後半、中年になった主人公(ビートたけし)が妻(樋口可南子)と歩む芸術家人生は喜劇タッチになっていてつい笑ってしまうシーンも多くあるが、そうまでして自分の芸術に対する思いを爆発させる主人公を皮肉っているようにも見える。しかし、ちょっとおだてられるとすぐにその気になる人というのは確実にいて、でも、やがてそれが趣味の域を出ないものと分かってしまったり、自分にはそんな才能なんかないと思い始めて、自信を無くしてしまう人も中にはいるだろう。少年時代から中年に至るまで絵のことしか頭にないようなこの主人公はそんなこと一切なしにひたすら自分の信じた道を異常なまでに突き進むのだが、ここまで自分の信じた道をなんの疑いも迷いもなく突き進む人って現実にはなかなかいないと思う。今はまったくそうではないが、僕自身が昔、できるだけ多くの映画を見ようと今よりもたくさん映画を見ていた時期があり、(将来は映画評論家だねと周囲におだてられてその気になっていた。)この映画とはちょっと違うのだが、一つのことに熱中する姿にその頃の自分と重なる部分が感じられ、どんなに絵を酷評されても描くことをけっしてやめようとしないこの主人公には少し感銘を受けた。それだけでも見て良かったと思える映画だ。主人公を皮肉っているように見えると書いたが、それでも「芸術家三部作」の中ではたけしが唯一本気で芸術を描こうとしているのが分かるし、三本の中ではこれがいちばん良かった。それに全盛期(「その男、凶暴につき」から「HANAーBI」くらいまでの作品。)には及ばないが、久石譲を音楽に起用しなくなってからのたけし映画の中ではこれがいちばん映画監督としてのたけしの良さが出た映画だと思う。たけしは「HANAーBI」や「バトル・ロワイアル」でも自作の絵を登場させていたが、この映画では自身の絵描きとしての側面をテーマにしたこともあってか、登場する自作の絵の持つ意味がその2本よりも大きいのは言うまでもないだろう。
[DVD(邦画)] 8点(2011-10-13 16:38:35)(良:1票)
189.  東京暮色 《ネタバレ》 
この間見た「淑女は何を忘れたか」が明るく楽しい喜劇映画だったのに対してこの「東京暮色」はやはり評判通りかなり暗い。でもこの映画に描かれている家族像は現在にも通じるものがあり、いやむしろ現代のほうがより切実に感じられる部分が多くあり、昭和30年代の映画だが、まるで現代の家族の問題を描いていると錯覚するほどリアリティーが感じられて怖いほどだ。原節子演じる出戻りの長女も、有馬稲子演じる子供を妊娠しながら相手の男に捨てられたも同然の次女共にどこかかげのある役柄で、とくに次女が抱える孤独感やさびしさは思わず感情移入してしまうものがあり、母親に対して自分は誰の子なのかと問い詰めるシーンや、電車にはねられたあとの病院でのうわ言も悲しかった。この次女は最初岸恵子が演じる予定であったそうで、結婚による渡仏のために有馬稲子が演じたらしいのだけど、有馬稲子はこの役を見事に演じていて、代役出演であることを感じさせていない。(岸恵子が演じていたらどんなふうに演じただろうという興味はあるが、この役は有馬稲子で正解だったと思う。)その次女が小さい頃に家族を捨てて男(中村伸郎)と逃げてしまった母親を演じる山田五十鈴の演技が素晴らしく、次女が死んだことを知って一人飲み屋で打ちひしがれるシーンはこの母親の辛さというものをうまく表現していてとくに印象的で、言葉など使わなくてもこの母親の気持ちというものが痛いほど伝わってくる。山田五十鈴というのは怖くて貫ろくのある役のイメージが強い人なのだが、こんな繊細な演技もうまいと感じさせるのはさすが。もちろん笠智衆と原節子もいいし、杉村春子のマイペースなキャラクターは暗い物語の中でほっと一息つける。小津安二郎監督の演出は次女が電車にはねられるシーンを直接描写しなかったり、次女の死のシーンも省略してしまうなど、ドラマチックになりすぎない演出がなされているのがいい(現在の映画だったら絶対に入れてるだろうなあ。)し、また全体的にクールな目線で描かれているのだが、さきほども書いた次女が自分は誰の子なのかと母親を問い詰める深刻なシーンに明るいテーマ音楽をかぶせてあえてミスリード効果を狙っているのもよかった。「東京物語」でも親子の問題を描いていた小津監督だけど、この「東京暮色」もそれと同じく笠智衆演じる父親が一人残されるラスト。この映画のほうが「東京物語」よりもラストにさびしさを感じるのは描かれている物語が「東京物語」よりも痛烈に胸にせまってくるものがあるからかもしれない。今まで見た小津作品の中では最初に書いたように暗くて救いのない映画ではあるのだが、それでも心に残るいい映画だったと思う。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-09-21 18:46:46)(良:1票)
190.  TOMORROW 明日 《ネタバレ》 
黒木和雄監督の「戦争レクイエム」三部作の一作目。原爆を題材にした物語というとだいたいが原爆投下後の人々の人生を描いたものがほとんどだと思うのだが、この映画は昭和20年8月8日の長崎を舞台に原爆が投下されるまでの24時間を描いている。派手さはないが、原爆投下の前日も当たり前のようにいつもどおりの「今日」を生きている人々の日常がなんのてらいもなく淡々と描かれているだけなのだが、だからこそ、その日常を一瞬にして破壊する原爆の恐怖が見ている側にリアルに伝わってきて見終わってなにかジワジワとくるものがあり、原爆投下後を描いていないのもあり、彼らはその後どうなったんだろうと考えると切なくて悲しく、とくに出産を終えたばかりのツル子(桃井かおり)と、その生まれたばかりの赤ん坊、結婚したばかりのヤエ(南果歩)とその夫(佐野史郎)には、戦争さえなければ、原爆さえ落ちなければ明るい希望の未来が待っていたはずだと思うとやりきれない。原爆はこのように希望に満ちた人々さえ容赦なく飲み込んでいくのだなと改めて感じることができたし、黒木監督がこの映画を通して伝えたかったメッセージもそこにあるのではないかと感じる。同じ年には広島原爆で被爆し、全滅した移動劇団「さくら隊」を描いた新藤兼人監督のドキュメンタリードラマ「さくら隊散る」も製作・公開されているが、本作と「さくら隊散る」の2本は本当に「原爆」というものを真正面から考えさせられる映画だと思う。追伸 長門裕之と原田芳雄が出演しているが、二人とも今年亡くなってしまったのは残念。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-08-15 14:37:53)
191.  緋牡丹博徒 花札勝負 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。加藤泰監督の任侠映画はこれで初めて見るけど、冒頭の汽車にはねられそうになった盲目の少女をお竜が助けるシーンからこの監督らしいクローズアップが効果的に使われており、雨や雪なども1作目の山下耕作監督が作り出す映像美とはまた違う美しさがあって印象的だ。お竜の母性は前作でも描かれていたが、今回は目が治った少女に「お母さんは自分よりキレイだった。」といって励ますシーンが叙情的に描かれており、お竜の母性が前作よりも深みをもって描かれているのがいい。シリーズ2度目の登場となる高倉健が雪の中で見せる哀愁(この人には本当に雪景色がよく似合う。)も加藤監督ならではと思える映像美と相まっていて素晴らしかった。1作目以来の登場となるおたかを演じる清川虹子もいいが、なんといっても清川虹子とともに抜群の存在感を見せつけるアラカンが印象的で、老いてはいても親分としての凄みと貫ろくをじゅうぶんに感じることができる演技を見せている。熊虎親分が啖呵を切るシーンも、このシリーズではコメディーリリーフ的な存在なだけにいつもの若山富三郎の凄みを利かせた演技とは少し違う印象を受ける。全体としては1作目よりは多少劣るかもしれないが、加藤監督の格調高い演出が利いていて、シリーズの中でも評価の高い作品というのがうなずける映画になっていると思う。面白かった。
[DVD(邦画)] 8点(2011-08-04 01:30:28)
192.  淑女は何を忘れたか 《ネタバレ》 
冒頭の女三人の井戸端会議のシーンからとにかく会話のテンポがよく、最後まで全く飽きることなく楽しめた。小津安二郎監督の喜劇といえば「お早よう」だが、この映画でも斎藤達雄と桑野通子のやりとりの面白さや、ドアを使ったギャグ、飯田蝶子(始まってすぐの車からおりて来た派手派手しいかっこうにびっくり。)と吉川満子の「バカ」、「カバ」というやりとりなど思わず笑ってしまうような軽妙な描写で本当に喜劇の演出がうまい監督なんだと思わずにはいられない。それに「お早よう」でも子供をイキイキと描いていたが、この映画でも地球儀を使って地理を教えていた岡田(佐野周二)を尻目に遊びに来た友達と地球儀で遊びはじめる子供の描き方がすごくイキイキとしていて楽しい。(このシーンのとんがらがっちゃ駄目よという鼻歌もいい。)ワンカット本人役で登場する上原謙の使い方も笑える。どの人物も魅力的に描かれているが、大阪からやってきた小宮夫妻の姪 節子を演じる桑野通子が可愛らしくて印象的。桑野みゆきの母親で、もちろん出演作を見るのは初めてなのだが、あらためて戦前の女優の美しさというものを感じた。もちろん節子のキャラクターもいい。後半は妻の尻に敷かれている小宮が妻にゴルフに行くとウソを言って出かけたのが妻にバレてしまいという展開で、なんだか現代の夫婦とあまり変わらないと思えてしまう。というか戦前の日本にもこんな夫婦いたんだなあ。ラストシーンはエロスを感じさせる演出になっているが、それをあまりいやらしくならずに上品に描いているのが見事。小津監督というのはどうしても和風な作風のイメージが強いけど、この映画はハイカラな雰囲気で、小津監督がアメリカ映画から受けた影響は本当に大きいんだなとこれ一本見ただけで感じることができる。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-07-28 17:55:13)
193.  緋牡丹博徒 《ネタバレ》 
藤純子主演の任侠映画シリーズ第1作。藤純子の主演映画を見るのはこれが初めてで当然このシリーズを見るのも初めてという状況だったんだけど面白かった。藤純子(富司純子)といえば大林宣彦監督の「ふたり」の美加と千鶴子の母親役の印象が強く、若い頃の東映での出演作で印象に残っているものが少なかった(まあ、あまり見ていないというのもあるんだが。)のだが、この映画の藤純子は美しく、そしてかっこよくてもうこの映画一本見ただけで藤純子がなぜ当時人気があったか分かるし、もちろん今、見ても純粋にいいと思える。山下耕作監督は花を使った演出がうまいからと本作の監督に抜擢されたそうだけど、お竜が一度は堅気になろうとしたが、父親を殺されたことで再びヤクザの世界に戻る決心をするその心情を、牡丹の色が白から赤に変わることで表現する演出をはじめ、ところどころに牡丹の花のショットを挟むことによって血生臭いヤクザ映画に美しさを与えている。お竜が財布を水の中に捨てるシーンも彼女の悲しみをよく表現したシーンだろう。「私は男になった。」と口では言っていても女は女。そんなお竜のつらさがしっかりと描けているからこそ、主人公であるお竜=矢野竜子という女性を描いた人間ドラマとしても深みのあるものになっている。それに片桐(高倉健)と加倉井(大木実)の関係にもドラマ性を持たせるなどただの勧善懲悪ものではない深さを感じさせているのが良い。脇のキャラもよく、山本燐一扮するフグ新とか、おたか(清川虹子)の息子である吉太郎(山城新伍・・・だったんだ。)など印象に残る脇役が多かった。普段凄みを利かせた役柄の多い印象の若山富三郎がお笑い担当でコミカルな演技をしているのはかなり意外な感じがする。
[DVD(邦画)] 8点(2011-07-21 15:43:22)(良:1票)
194.  河童のクゥと夏休み 《ネタバレ》 
「構想○○年」とうたい文句にしている映画はあまり面白くない印象があり、この映画も原恵一監督が20年ほど前からあたためていた企画を実現させた作品と聞いていたので、見たい反面、不安もあり、なかなか手が出ずにいたが、ようやく見た。ほのぼのした前半からマスコミがクゥのことを嗅ぎつける中盤あたりからシリアスになり、やがてそれが広まって報道陣が上原家の前に陣取る様子はものすごくリアルで、テレビの取材に興奮する康一の描写なども実際こういうことに遭遇すると仕方がないよねという感じでものすごくリアリティがある。ストーリーはこの後半からつらい方向にいき、自分がいることで上原家に迷惑をかけていると自責の念に駆られるクゥに感情移入し、虐待を受けていたオッサンの過去もついついウルっときてしまった。テレビに出演したクゥが父親の腕を見せられるところや、クゥを守ろうとしたオッサンが跳ねられて死んでしまうシーン、それに東京タワーのシーンはそのときのクゥの気持ちが痛いほど分かり、見ていて本当に泣けてくる。とくにオッサンが死ぬシーンはそれまでのクゥとの関係や、これまでのオッサンの生き様を考えると切なくてたまらない。全体的にはややいろいろ詰め込みすぎてしまった感はあるが、この映画の主軸はひとりぼっちになってしまった河童と現代の家族の交流を描いたひと夏の物語であり、登場するのはごく普通の平凡な家庭。中盤以降にある動物の目線から見ると人間社会はこうだというやや批判めいた描写が強烈で、マスコミや野次馬の描き方なども露骨ではあるが、でも決してそれが後半の主題になることはなく、クゥと上原家、クゥと父親、それに康一と菊池の関係がずっと主題として描かれている。おそらく「クレヨンしんちゃん」映画シリーズと同じく家族や親子、友情を描くことに原監督のこの映画に対するテーマというか、そういうものがあるような気がする。アニメの絵柄が最新のデジタルでなく、地味なアナログのような絵柄なのは原監督の意向かもしれないが、絵柄が素朴な分、映像もなんとなく優しさが感じられるものになっているのもいい。どこかで原監督は松竹大船調を受け継ぐ監督だと聞いたことがあるけど、それもよく分かる。それにしても最近殺伐とした映画ばかり見ていたような気がするのでこういうあたたかい映画を久しぶりに見ると、やっぱりこういう映画っていいなあと思える。見る前の不安はすっかり消え去り、見終わったあと、素直にこの映画を見てよかったと思えたし、原監督らしい佳作だったと思う。これからも原監督の作品はできる限りずっと見ていこう。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-05-29 16:12:15)(良:1票)
195.  その男、凶暴につき 《ネタバレ》 
お笑い芸人であるビートたけしが北野武として映画監督デビューを飾った作品。最初の少年の家にたけし扮する刑事が乗り込んでいくシーンから既に異様な雰囲気が漂い、ここでもう一気に惹きこまれた。映画監督のデビュー作というのは、まだ作風がちゃんと確立しておらず、何本か見たあとになって初めて見たりするとあまりらしさを感じられなかったりすることがあるが、この映画は既に一作目にしてのちのたけし映画の独特な雰囲気が出ており、これは本当にお笑い芸人の監督デビュー作なのかと思うほどのちのたけしの映画監督としての方向性がハッキリと出ている。「その男、凶暴につき」というタイトルどおり、犯人に対して執拗に暴行を繰り返す主人公の狂気もさることながら、映画全体に漂う恐ろしさがなんともいえず、見ている間ずっと緊張しっぱなしだった。ロッカールームでの暴行シーンなどは、直接見せているわけではないのに中で何が行われているのか想像するだけで恐ろしくなるし、クライマックスの対決シーンで薬を探す妹をみつめる主人公の目線にも恐怖を感じる。たけしらしい笑いも盛り込まれているが、全体的には殺気にあふれており、完全に「映画監督 北野武」というものをこれ一本で確立してしまっているのが凄い。この映画、最初の企画段階では深作欣二監督の予定だったそうだが、深作監督ではこの独特な雰囲気は出せないだろうし、まさにこれは北野武だからこそ出来る映画だと思う。それにしても一作目にしてこんな凄い映画を作ってしまったのがお笑い芸人とはやっぱり信じられない。最近でも俳優やお笑い芸人が監督デビューすることが多いが、それらが何やら話題性だけのように感じるのに対し、ビートたけし=北野武にはほかのタレント監督とは違う本物の作家性というものがあることをこの第一作目から感じずにはいられない。間違いなく傑作だと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2011-05-26 14:22:43)(良:3票)
196.  仁義なき戦い 頂上作戦 《ネタバレ》 
シリーズ第4作。いよいよ抗争が激化して最初から最後まで息つく暇もないほどなのだが、これまでなかった一般市民の犠牲や、抗争事件の取材に躍起になるマスコミ、そして暴力団一斉検挙に乗り出した警察という要素が加わったことで見ごたえが増していて4作目というのにクオリティを全く落とさないのは凄い。今回は広能(菅原文太)が前半で警察に逮捕され、後半は前回登場した武田(小林旭)が引っ張っていくあたりは「広島死闘篇」同様にこのシリーズがヤクザ社会を描いた群像劇であるということを強く感じさせられるし、次々と登場する曲者ぞろいのキャラクターたちもこのシリーズの魅力なのだろう。深作欣二監督の演出も相変わらずパワフルで魅せてくれる。最後は警察の頂上作戦によって生き残ったヤクザたちが逮捕されてしまうのにはなぜか哀れみを感じてしまった。それに最後の最後、広能と武田の会話はグッと来るものがあり、広能や武田よりも山守(金子信雄)のような卑怯者(でも、なぜか個人的には打本(加藤武)同様、なぜか嫌いにはなれない。)の方が刑期が短いというあたりに世の中の矛盾も感じさせている終わり方で印象に残る。それに完全にこの回で完結してもおかしくない空気が流れていて、実際に笠原和夫の脚本のシリーズとしては最後になった(次回以降降板)のも理解できる。菅原文太が広能を演じるのはあと一作残されていて、もちろん見るつもりでいるが、くどくならないかがちょっと心配。
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-10 13:58:12)
197.  仁義なき戦い 代理戦争 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。今回は前2作ほどの派手さはないが、その分、組同士の駆け引きの面白さがあり、見ていてだんだん引き込まれていった。下にも書かれている方がおられるが、笠原和夫の脚本は実に見事で、今にも全面抗争が起きそうな中でのやりとりは緊迫感があり、飽きさせない。深作欣二監督の演出も1作目や2作目のようなエネルギッシュなパワフルさよりもこの男たちの駆け引きのドラマををじっくり描くことに重点を置いており、脚本と演出がしっかりしているからこそ、ドラマ部分に見ごたえがあり、このシリーズがただ単にヤクザ同士の殺し合いだけを描いたシリーズではないことが分かるし、なぜこのシリーズが後世に残る名作と言われているのか分かる気がする。でも、やや中だるみ感もあり、これまでの2作は単体でも見れる感じだったのに対し、本作はいよいよ全面的な抗争が始まるというところで終わるのでやや物足りない感じがするのだが、同時に次も早く見なくてはという気持ちにさせられる。その本作のラストシーンはヤクザの社会の非情さを見せつけられるとともに、死んだ渡瀬恒彦演じる若者の無念や、組長である広能(菅原文太)の思い、若者の母(荒木雅子)の悲しみなどがひしひしと伝わってきて、強く印象に残る。出演者では広能組幹部の一人を演じた川谷拓三はシリーズこれまででいちばん大きな役柄ではないだろうか。打本役の加藤武はいい人のイメージが強いだけにどぎつい方言のヤクザ役はミスキャストなのではと思ったが、(実際、「座頭市二段斬り」で演じた敵側の用心棒役はミスキャストに感じた。)金田一シリーズの刑事や、「釣りバカ日誌」シリーズの秋山専務のイメージとはまた違う雰囲気の役を見事に演じていて新鮮に感じた。物語にじゅうぶん絡む役柄ながらスチール写真だけで登場する丹波哲郎演じる明石組組長も(本当に写真だけなのに)貫ろくと存在感がたっぷりあるのは驚かされる。
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-02 23:20:33)
198.  仁義なき戦い 広島死闘篇 《ネタバレ》 
「仁義なき戦い」シリーズ第2作。今回はシリーズ本来の主人公である広能(菅原文太)を脇に回し、元予科練志願だった山中正治(北大路欣也)の悲劇的な末路を描いていて、前作のような勢いはやや抑え気味になっているものの、山中のドラマがなかなか見ごたえがあり、集団よりも個人に焦点をあてているのもあるのだろうけど、そのおかげで前作よりも分かりやすく、ドラマとしても前作より面白かった。予科練の歌を口ずさむ山中にはどこかかつて軍国少年だった深作欣二監督自身が投影されているのではないかと感じられるし、ヒロインの靖子(梶芽衣子)が戦争未亡人というのも利いている。ラスト、警察に包囲された山中の自殺シーンと、靖子の彼を思って号泣するシーンは演じる二人の熱演もあり、印象に残る名シーンになっているし、組織に利用され、虫けらのように死んでいく男のやりきれなさがよく伝わってくる深作監督の演出も見事。しかし、深作監督が苦手としているのかこの二人の惹かれ合っていく過程の描き方がちょっと適当というか下手に思え、この部分にもっと深みがあれば良かったと思う。出演者では山中を演じた北大路欣也はもちろんだが、大友を演じる千葉真一のキレたキャラクターもいい。最初は千葉真一が山中を演じ、北大路欣也が大友を演じるはずであったらしいが、逆にして正解だったと思う。成田三樹夫も相変わらずカッコイイし、広能の舎弟として登場する前田吟は「男はつらいよ」シリーズの博役でおなじみなだけにこういうヤクザ役は新鮮に感じる。そしてやはり梶芽衣子が美しく、恋人と引き離される女性の悲しさを見事に表していて素晴らしく、山中と靖子の惹かれあっていく部分の演出が下手に感じながらも、それでも彼女の演技から靖子の女としての悲しみが伝わってくるのはすごいと思う。このシリーズは基本的には女気なんかなさそうだけど、この映画の梶芽衣子は本当にいい。
[DVD(邦画)] 8点(2011-02-15 14:42:54)(良:1票)
199.  丹下左膳餘話 百萬兩の壺 《ネタバレ》 
加藤泰監督の伯父としても知られる山中貞雄監督の現存する三本のうちの一本。戦前の時代劇とあって見る前は少し抵抗があったが、実際見てみると全体的に76年前の映画とは感じさせないほどテンポがよく、またフィルムの保存状態もビックリするほどよくて、とても見やすくて楽しい映画だった。丹下左膳ものの映画を初めて見たのだが、見る前に得た情報から抱いていた丹下左膳の個人的なイメージというのはもっと殺伐としたものだったが、この山中監督による左膳は実に人間味あふれる人物として描かれ、好感が持てる。話はなんの値打ちもなさそうな壷が実は百万両の値打ちのある代物だったことから巻き起こる騒動を描いたコメディーだが、ちゃんとペーソスも漂わせていて、これが映画に深みを与えているし、この映画が初めて見る山中監督の映画なのだが、なにかものすごく才能を感じさせる演出で、間の取り方のうまさや、カットとカットのつなぎによってテンポよく見せていくところなどは先ほども書いたがとても1935年の映画とは思えないほどで全く古びていない。それに完成度も高く、思わず唸ってしまった。出演者も当時、左膳を当り役としていた大河内伝次郎がおそらく今まで自分が演じた左膳のイメージと違うであろう(←今まで丹下左膳を見たことがないのでこういうことを言うのも失礼かもしれないが。)山中監督の描く左膳を見事に演じており、お藤(喜代三)との夫婦漫才のようなやりとりに笑わされ、またいなくなったちょび安を探しにいくシーンでは左膳の父性のようなものも感じさせていて素晴らしく、大河内伝次郎をこんなにいいと思ったのは初めてかもしれない。沢村国太郎も本当にいい味を出している。原作者の林不忘が左膳のイメージのあまりの違いにクレームをつけたというエピソードもある映画だが、立派に後世に残るに相応しい人情時代劇の傑作だと思う。本当に面白かった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-01-29 15:35:48)
200.  日本一のホラ吹き男 《ネタバレ》 
植木等主演の「日本一の男」シリーズ第2作。相変わらずイキイキとした植木等を見ていると元気になれるし、屈折した主人公が一念勃起してトントン拍子に出世していく物語は見ていて痛快。古澤憲吾監督の演出の勢いもやはり植木等が出ていると「若大将」の時より増しているように感じる。主人公が一念勃起するきっかけとなる先祖の自伝を読むシーンで急に時代劇が始まるあたりは凝っているし、殺陣師として久世竜が参加してるのもそのためだろう。ドモリの谷啓が酒を飲むことでドモリを治すあたりは「次郎長三国志」のパロディーのようで笑える。ここからクレージーキャッツのほかのメンバーがあまり出なくなるのは少しさびしい気もするが、それでもじゅうぶんに面白かった。それにしてもこの頃の植木等って普段からこういうキャラだったんじゃないかと思うほどのハマリ役で、本人が普段は物静かで真面目な人だなんて微塵も感じさせないのがすごい。主人公の祖母役で飯田蝶子が出てるけど、つい見ていて若大将のおばあちゃんを思い浮かべてしまう。
[DVD(邦画)] 8点(2010-12-01 01:49:40)(良:1票)
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