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アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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181.  ベスト・キッド(2010) 《ネタバレ》 
オリジナルは観ていますが、特に好きではなかった。ミヤギの描写は興味深かったけれど、主人公が好きになれなかった。年代が近すぎて共感しにくかったのだと思う。それに比べて本作ではジャッキー・チェン側の視点で観ていたからなのか、とても楽しめました。ジャッキーも売り出した頃は達人から教わる側だったけど、教える側が板に付く年代になりました。そもそもの設定で、アメリカ人が仕事の都合で中国・北京への引っ越しを強要されることにも時代の流れを感じます。ストーリーは王道。ジェイデン・スミスが短時間で強くなり過ぎるご都合を、カンフーらしい動きの熟練で説得します。カット割りで誤魔化すようなことはせず、相当に訓練したことが伺えました。演技的な勘もサラブレッドという印象です。そのジェイデン君が足を痛めつけられて試合の継続が困難になったときに「このまま止めたら、あいつへの怖さが消えない」と言います。かなりベタですが、その台詞が良かったです。子供の世界だけでなく職場環境にもイジメはあって、そういう程度の低いイジメには真正面から立ち向かうことが最も効果があることを経験しました。何かに立ち向かうことは、自分の中の弱さを克己することと同義です。そこをしっかりと押さえてくれた本作には好感を持ちました。10年後のジェイデン・スミスが楽しみです。
[映画館(吹替)] 8点(2010-09-23 23:25:49)(良:3票)
182.  大魔神 《ネタバレ》 
久しぶりに観たけど、これは凄い。大映の特撮ものとしては、昭和ガメラシリーズよりよほど出来が良い。城の普請場などは大掛かりなセットが組まれていて、大映の気合いを感じる。あれはアラカツマという神らしい。日本古来の土着の神様ですな。この神様の設定が本作の全てです。さんざんに悪行を尽くす大名がいるのだが、自分に被害が及ばない限りは知らぬ振り。乙女の涙にほだされて、初めて本腰を入れる。暴れ始めると形相が変り、手が付けられない乱暴者になる。重量感のある人型怪獣が暴れているみたいで、あまり神様という雰囲気がない。「正義」というよりは「祟り」です。そう、「八百万の神」って半分は妖怪みたいなもので、人智を超越しているだけで善き者とは限らない。この魔神はかなり禍々しく、善人も悪者と一緒に踏み潰されかねない恐怖をまとっている。磔代を投げ捨てた時はドキッとしました。キリスト教の神は悪魔に対抗する存在だけど、こちらには神と魔の両方が入っている。「魔神」とはそんな意味なんだと勝手に納得した次第。乙女の涙以外にコミュニケーションが取れない恐ろしい味方。それが作品全体に異様な緊張感を与えていました。スター性は別にして、造詣が深いという意味ならゴジラ以上でしょう。伊福部昭氏は勝手に東宝専属と思い込んでいたけど、大映でも音楽を付けてたんですね。彼の音楽で魔神を鎮める舞踊なんてやらせると、武者像の足元でモスラが孵化しそうでした。
[地上波(邦画)] 8点(2010-08-25 22:41:30)
183.  機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 《ネタバレ》 
総帥という立場でいながらも、ねちねちとララァを殺された恨みを抱き続け、それを土壇場で口にするところが富野節だと思う。政治家がイメクラでの変態プレイ趣味をカミングアウトするような恥ずかしさ。ん、違う? 映画としては、ファーストとZを観ていないと、何のことか分からないほど突き放した創り方。きっと初めて観る人には台詞の単語が普通名詞なのか固有名詞なのかさえ分からず敵味方の区別も付かないが、ガンダム好きには観るたびに理解が深まるマニアックな構成が嬉しくもある。シリーズ全体で言うならば、Zでの質の劣化に呆れた私はニュータイプ概念が創る世界には興味が失せておりましたが、それでもシャアvsアムロには心躍りました。そのメインイベントへ辿り着く前に、周辺キャラを狂言まわしとばかりに殺してしまうシナリオの思い切りの良さに感嘆。そこそこ頑張っていたギュネイをまるで雑魚のように墜とすアムロの戦闘能力に、ファースト終盤の鬼神のごとき強さが再現されたようなカタルシスを覚えました。それと、シャアの「ブライト、やるな」って台詞がとても嬉しかった。縁の下の力持ちだったブライトさんに初めてスポットが当たった印象でした。本作もすでに20年以上前の作品になりましたが、実はアムロとシャアのお話なら、また創って欲しいと思っているのでした。
[ビデオ(邦画)] 8点(2010-08-23 23:37:36)
184.  レスラー 《ネタバレ》 
「仕事」というものを考えてしまう映画でした。ご飯を食べるために「稼ぐこと」と、個人的な「やりがい」の関係について。全ての社会人が持つ命題をテーマにして、そのネガティブな部分をシビアに見せる残酷な映画です。だから、揺さぶられる。余談になりますが、本作の主人公のような立場の人は、結構いると思う。プロレスラーじゃなくとも、専門性の高い仕事には様々なリスクが付きまとう。でも、若い頃にはその専門性が魅力的に見えて、若さのエネルギーだけを頼りに飛び込んで行ったりする。好調な時期があっても、ステージが変わらないまま年月を重ねて色んな負債を抱えたパターンがこの作品です。それは自ら選択した人生のツケ。自分で選んでいるんだから愚痴ることも出来ないし、簡単に改善できない深刻な状況です。本作では、トップロープからダイブした瞬間に映画は終わる。あの後に悲劇が待っていたとしても、それは「本望」という終わり方でした。家族との関係を除くなら、主人公は後悔していないと思いました。外見はとても哀しく痛々しいが、結局はここに戻って来ると云う諦観と共に、自分の居場所に安堵しているようにも見えました。先の話に戻ると、彼は究極の「やりがい」を選択したと思います。正確な想いは推し測れないが、不器用な男が唯一の選択肢を覚悟を持って全うした。私には仕事と心中するような思い入れも勇気もありません。だからという訳じゃないけど、気高く映りました。ブルース・スプリングスティーンの歌が沁みました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-08-22 22:40:05)
185.  南の島に雪が降る(1961) 《ネタバレ》 
まだ小学生の頃にテレビで観たのが初見。そのとき、子供心にも訴えてくるものを感じて記憶に残っていたタイトルです。改めて観ると、これは紛れもない名作だと思いました。まず出演者のスペックが凄い。芸達者が揃っていて兵士たちを惹きつける芝居にも説得力がありました。でも本作の意義は、これが加東大介の体験に基づく実話だということ。大人になった自分の目には、南太平洋の戦地にまで来て演芸でしか戦いを支援できない彼らの虚しさのようなものを感じました。あの戦線は大本営の無策・愚策の果てに多くの将兵を餓死(戦死ではなく餓死)させたところです。それを知らないと観賞視点がずれる。米軍の主な作戦行動が本土寄りに移行した後に取り残された陣地で、観劇に訪れる部隊の兵士たちに悲愴感と諦観が見て取れる。あれは「もらった元気で米軍をやっつける」ではなく、「(死ぬ前に)良いものを観させてもらった」という表情です。自分たちの戦闘がすでに戦局を左右するようなもので無いことを自覚したうえでの出陣は、後の特攻に繋がって行くような情景なのだと思います。それに不満不平を言わない兵士たちの心情が忍ばれる。戦闘シーン無しで戦場を描き、その戦場のリアルを浮き彫りにした作品です。加東大介のナレーションで語られる戦況の概容は軍令部に対する恨み言などは一切無くて潔いのだけど、演芸部隊がいたニューギニア以東の兵士たちのほとんどが愚かな作戦のために死んで行ったことを意識して観る映画だと思いました。
[地上波(邦画)] 8点(2010-08-09 21:46:00)
186.  ミクロの決死圏
子供の頃、新作映画の特集として「少年マガジン」か「少年サンデー」のどちらかが本作をとり上げていて、食い入るように読んだ事を覚えている。映画自体を観たのは暫く後のことだったけど、自分にとって初めての「SF映画」はたぶんこれ。ファンタジーやスペースオペラが渾然と「SF」に分類される商業映画の風潮のなかで、60年代に「センス・オブ・ワンダー」で勝負している本作は尊敬に値すると思います。体内に入る前に見せられる大仰な装置や丁寧なミクロ化の手順。最終段階は注射器と一緒に縮小するような描写に感激する。久しぶりに観て驚いたのが、探査艇のデザイン。40年以上前のものとは思えないほど洗練されたフォルムです。原題を大胆にアレンジした邦題もファインプレーだと思っています。今となっては、さすがにドラマ部分の淡白が気になるものの、全編を通した旺盛なチャレンジ精神がSFマインドを刺激してくれる逸品です。
[地上波(吹替)] 8点(2010-07-17 20:42:41)(良:2票)
187.  ボックス!(2010)
勝つかな、と思ったら負け、今度は勝つかな、と思ったらまた負けて。でも、負けてからの方にドラマがあって面白かった。中年の感想になってしまうけど、市原隼人が先輩を手酷くKOした稲村(超高校級のターミネーターみたいな奴)に突っ掛かるシーンを見て、唐突にカーロスの件でホセ・メンドーサに食って掛かる矢吹丈を思い出しました。最後まで観て尚更「あしたのジョー」を平成の青春ものに焼き直したような印象を覚えました。破天荒な天才型で、ナイーブな面を秘めて、女性とのコミュニケーションが可愛いほどいびつで、負けて彷徨ってから帰ってくるあたりがソックリ。破滅型ではないところが昭和のボクシングものとの違いだろう。登場シーンからしてかなりマンガ的だけど、そんなマンガ的キャラを実写で再現しながら見応えがあったのは、市原と高良健吾の練習の賜物じゃないかと思います。実はどのエピソードも観たことのあるようなものだし、都合よく進む部分も多いのだけど、その二人の魅力と実際に流しているであろう汗で引っ張ってくれました。試合のシーンでは市原と一緒にアタマを左右に揺すって相手のパンチをかわしながら観てました(笑)。市原は評価している若手だけど、彼の良さがとても活かされる役どころだったと思います。最近、何も考えずに打ち込めることが少なくなってきた自身の環境を省みて、久しぶりにちょっと刺激をもらった映画でした。
[映画館(邦画)] 8点(2010-07-05 02:28:21)(良:1票)
188.  イージー・ライダー 《ネタバレ》 
タイトルだけは良く知っていたが、これまで縁の無かった作品。つい先日デニス・ホッパー氏が亡くなられ、追悼番組で初めて観賞。自分にはズシーンと響きました。南部のお祭りを見物に行くことを目的としたロードムービーで、その目的自体に大した意味はないけれど、道中で遭遇するエピソードの羅列の中に現代でも色褪せないメッセージが潜んでいる、気がする。「ドラッグ」「自由の意味」「排他的南部気質」が主なテーマのようだった。特にジャック・ニコルソンが語る「自由」に関する講義にはびっくりした。現代の誰かがそのまま口にしても通用する。60年代の邦画と比べるとずいぶん垢抜けて見える作品だけど、見映えよりも台詞内容の普遍性に驚きました。余所者を疎んじる体質とは米国南部の気風というより、土地に縛られている精神の不自由と解釈しました。で、彼らが自由だったかというと、ピーター・フォンダの「失敗だった」という台詞が短く結論付けています。当時でいうところのヒッピーに成りきれず定職も持たない彼らは、自由という気分の中を気ままに泳いでいたが、どこにも辿り着く岸辺は無かった。それは自由ではないらしい。本作は、主人公たちも含めて「自由の国」の不自由を描いたことに意味があったのだろう。当時の日本人の観念とは違う尺度で自由を計っていたように思えて、それなりに衝撃的だったと想像できる。自分も若い頃に観ていたら、ちょびっとだけ人生が変わっていたかも…。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-21 00:23:57)(良:1票)
189.  しあわせのかおり
料理を創るシーンをじっくり詳細に見せる。人の手によって創られるものが人を悦ばせることの素晴らしさを、強く印象付けられる。その悦びが創る側と食べる側の双方の人生に意味を持って拡がってゆく。料理を通じて表現される創造の本質です。こういう作品には邦画の良さが滲んでいると思います。派手なテーマはなくとも、身近にある幸せを慈しむ丁寧な映画です。師弟関係という視点で観ても、これはひとつの理想型だと思いました。もちろん、中華が食べたくなりました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-06-19 15:48:29)(良:1票)
190.  ウォッチメン 《ネタバレ》 
原作も知らず、ほとんど予備知識も無く観賞。冒頭のコメディアン暗殺シーンの描写に驚く。その格闘の様子からコメディアンも相当な手練れであることが伺えるが、それを難なく圧倒する暗殺者。一方的な暴力が高級な調度を破壊しながら進む。高層階の窓から投げ捨てられるコメディアンが硬化ガラスをくだいて放物線を描き、その軌道が目に焼きつく。物語の重さを感じさせるに充分なオープニングだった。米コミックが描いてきたヒーローとはご近所で起こる諍いを収める自警団で、世間はそれで満足するほど呑気で平和だったが、時の流れが事情を変える。ヒーローの存在意義が平和の実現ならば、冷戦構造下の核の脅威にはどのように対応するのか。本作はその回答をテーマに据えた物語。核の抑止力がもたらす脆い平和を憂えた一人のヒーローが密かに筋書きを練り実行に移す。コメディアンの暗殺もその一環。マクロな視点で捉えるとその計画は評価できるが、多くの犠牲を伴うために一概には納得しがたい。その気持ちを死んで代弁するヒーローもいた。自分にとっては、この苦いものが残るエンディングがそのまま映画の見応えでした。いがみ合っている者たちに共通の敵を仕立て、共闘させることで導かれる平和。まぁ80年代までの平和概念だけど、あの不安な世相を実感できる世代としては見るものがありました。自分は鑑賞中、何度も「ダークナイト」が目の前にちらつきました。虚構世界のヒーローの苦悩をリアルに描くことでフィクションに説得力と奥行を持たせた「ダークナイト」と比較し、現実世界の国際平和の探求にヒーローを絡ませた本作の構成は、スタンスとしてはさらに踏み込んでいると言える。この映画はヒーローアクションムービーではない。物語構造が複雑で、エンディング近くまで謎解きがなく、唐突に浮上したテーマに対して回答が飛躍しすぎる感もある。でも、それに追いつかないとこの作品の面白さは理解できない。世界規模での平和の実現はヒーローの落日でもある。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-06-07 03:24:27)(良:3票)
191.  インスタント沼 《ネタバレ》 
自分はまだまだ飽きが来ずに楽しめましたね。「転々」や「図鑑に~」に見られたストーリーと乖離した小ネタや不快な描写が無く、「亀は意外と~」に近い印象でした。麻生久美子の魅力を引きずり出しています。彼女のはっちゃけた芝居だけで、かなり満足でした。初めて会った父親は変な奴だったけど、実は味のある好いおっさんだったと云うことで心も温まりました。それは、日常にあるものが少し視点をずらすだけで違った意味を帯びることの象徴とも言える。目に見えないものを信じるかどうかという大層なお題目は、実はどうでも良いことなんじゃないかな。冒頭の細かいカット継ぎや、独白台詞の単語の選択、演出の間などに、ゆるい内容とは裏腹な緻密で高度な計算を感じます。これは誰でも真似して作れるような映画じゃないですね。それにしても、麻生久美子が魅力的なのは観る前から(笑)分かっていたことだけど、風間杜夫のオヤジぶりには良い意味で驚いた作品でした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-05-10 22:07:23)(良:2票)
192.  虹の女神 Rainbow Song 《ネタバレ》 
思わぬ良作でした。「失恋」ってチャプターが好きです。まず歩道橋の上での市原隼人のデリカシーの無さ。あのお見合いパーティで手を挙げて欲しかった上野樹里に、誠意の感じられない下心で同情して蹴られます。聞きづらかったけど上野樹里は「ファーストキスも奪いやがってぇ~」って言ってました。自主制作映画の突撃キスの種明かしですな。そして会社の屋上。精一杯の心情を吐露する上野樹里の真意にやっぱり気付かない市原隼人。彼は仕事のことで頭が一杯で、彼女のシグナルを解するような余裕が無く「お前も頑張れよ」って言ってしまう。あの会話のかみ合わないもどかしさは秀逸でしょう。この映画が面白いと思ったのは、このすれ違いがTVドラマのような劇的なシチュエーションではなく、無理の無い等身の流れの中で演出されているところです。響きましたね。こんな決定的なシチュエーションじゃ無くとも、この種の勘の鈍さは自分にも覚えがあるもので…。後になって気付くんだよなぁ。市原隼人も蒼井優も良かったし、相田翔子は面白かった。でもこの映画は上野樹里の映画です。繊細な心情を秘めながらも、不貞腐れて空き缶を蹴っ飛ばしたり、八つ当たりで男を蹴っ飛ばしたり。彼女は変態ピアニストより、今作のようなナチュラルな役柄の方が100倍魅力的です。役者を楽しむ映画でした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-05-03 12:26:32)(良:3票)
193.  マッドマックス 《ネタバレ》 
過去に観た車が走る映画で最もスピード感を覚えた作品がこれ。ローアングルに流れる路面を背景に、奥から手前へ、手前から奥へと駆ける車体の描写だけで、ここまで緊張に溢れたスピード感を演出できるものかと感心した。過去に誰もやらなかった表現は強い。近未来と云いながら、とてもいい加減な設定は車やバイクを走らせる都合を適当に整えている以上の意味は無い。その割り切りは、切れ味の良い疾走感へ変わって画面から発散される。今作のバイオレンスとはスピード感だ。ジョージ・ミラーがハリウッドへ進出する契機にもなったこの作品には、狂気じみた才気を覚える。メル・ギブソンはどうでもよろしい。惜しむらくは、2・3と続いたシリーズも今作と同じ調子でやって欲しかったこと。
[地上波(吹替)] 8点(2010-04-25 23:03:01)
194.  トウキョウソナタ 《ネタバレ》 
最近観た映画の中では、最も考えさせられる映画でした。今作の夫婦と兄弟の4人は、家族の体裁はあるものの、各自の考えや悩みを共有していない。それぞれが誰にも相談せず、それなりに自分で答を出している。だから独奏曲なのだと解釈しました。この4人の人生がそれぞれの「ソナタ」です。では、家族とは必要のない単位なのかというと、そんなこともない。三者が別々の事件を過ごした翌朝に食卓を囲むシーンや、両親が次男の演奏を見守るシーンには、家族の繋がりを感じます。でも、コミュニケーションの頻度とそれぞれが抱える問題の解決は別次元の話だと思いました。音楽に喩えるなら、時には和音を重ねたり、セッションを演じるようなタイミングがあったとしても、基本はカルテットではなく「ソナタ」なのだと…。この映画には、さらに「トウキョウ」が加わります。人口密度が高いと、他者との精神的距離はかえって広がるように思える。そんな場所で生き残るために、神経を擦り減らし続けるような圧迫感。それが「トウキョウ」の意味合いだろう。父の同級生や役所広司のように、適応できなかった人はバッサリと切り捨てられる。オーソドックスな流れだと、ここで家族の絆が登場するのだけど、今作は逆説的です。ここで、それぞれの「ソナタ」を強調している。長男は強い意志を持って自分の道を拓こうとした。米軍入りは突飛な選択に思えたけど、なんとか踏みとどまっていました。次男も、まさに「ソナタ」を演じることで、自分自身の人生の入り口に立ちました。気になるのは夫婦です。長男が勧めたように離婚という選択もあるでしょう。でも、この後の彼らの生き方を考えたとき、結婚生活を続けるかどうかは問題の本質ではない。一度は虚無的になりかけた個々の人生を、新しい価値観で捉え直すこと。その為であれば、離婚でさえ前向きな決断になることもある。「ソナタ」とは孤独になることではなく、単独の演奏でも豊かな音色を奏でることです。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-04-05 22:08:53)(良:2票)
195.  007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 
過去にボンド役が変わるたびにイメージを変えていたボンド像の変更が全てマイナーチェンジだったと思えるくらいに、今作のボンドは衝撃的だった。ひと言でいうなら、アブナイ奴です。でも、もの凄く魅力的でした。冒頭の追いかけっこの後、大使館に押し入り銃口に囲まれた時の不敵な態度。あれで期待感が一気に高まり、それは最後まで裏切られなかった。暴走の魅力、とでも言うのだろうか。同時に、ポーカーの休憩中に大立ち回りを演じた後、部屋で強い酒をあおり懸命に落ち着きを取り戻そうとするあたりに、ただのスーパーマンではなく、ナマの人間を表現しようという努力も感じられた。アクションも、元祖アクション映画シリーズの誇りにかけて頑張ったって印象だった。これまでのボンド像を否定はしないが、もう後戻りできないくらいにやってくれました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-04-05 01:13:34)(良:1票)
196.  日本のいちばん長い日(1967) 《ネタバレ》 
歴史ドキュメンタリーで何度も耳にした玉音放送「耐えがたきを、、、、耐え…」の直前にこんなドラマがあったことは知らなかった。今さらながらだけど、観て良かったと思う。日本人なら観ておくべき、とは言わないが、観て損はしない映画だと思います。国家が一丸となって臨んだ戦争を終わらせることの大変さ、特に「敗北」を受け入れることの難しさがよく伝わってきました。巨大な荷重がかかるテーマを受け止めるに足る東宝男優のオールスターキャスト。ほとんど全ての出演者が重要な役割を担っている。それが太く大きな流れとなって玉音放送本番へと繋がって行く構成に、タイトル通りの切れの良いまとまりを覚えます。明治時代から続く連勝が組織としての軍部・特に陸軍を肥大させて行った結果としての敗戦には、バブルが弾けたような印象を持っていましたが、今作ではその断末魔を観た想いです。勝手に個人賞を授与します。敢闘賞に黒沢年男、殊勲賞・笠智衆、技能賞・天本英世、審査員特別賞として小林桂樹、MVPは三船敏郎。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-26 23:49:02)
197.  嫌われ松子の一生
悲劇をエンターテイメントとして扱い、でもしっかり悲しませる。初めて今作を観たときはその語り口に驚き、とても新鮮味を覚えました。邦画の歴史の1ページに刻まれるくらいに意義のある作品だと思います。子供の頃に心を動かされたおとぎ話に触れたような、現実感はないけれど重く響く見応え。それはリアリティに乏しいストーリーと、画面の隅々まで神経の行き届いた絵作りのアンバランスから生み出される。まさに、大人のおとぎ話という形容が嵌ります。お涙頂戴ではなく、反対に笑いで綴られた悲劇からは、経験したことのない類いの悲しみが沸き起こる。笑われることを宿命付けられたピエロの存在自体が持っているような深い悲哀という印象でした。凄い映画だと思います。この監督からは明確で強力な作家性を感じます。お世辞じゃなく、世界を相手に個性を発揮して欲しいと思います。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-17 23:46:35)(良:1票)
198.  ハルフウェイ 《ネタバレ》 
ストーリーの中身はかなり幼稚。手持ちでブレブレのカメラワークも最低に近い。北乃きいのアップダウンが激しい性格設定などは、高校3年生にしては我がまま過ぎる。早々にクソ映画の烙印を押しかけたが、途中からさほど悪くもないと思い始め、鑑賞後に自分の心情がじんわりと温かくなっていることに気付きました。自分は理屈で映画を観るタイプなので、内容に納得しない限り低めの点数を付けるのが普通ですが、そんな仄かな温かさを覚える作品も希少価値として評価すべきと思った次第です。実は何が良かったのかが明確に言えないんだけど「花とアリス」を観た直後も似たような気分だったことを思い出しました。たぶん高校生の恋愛感情のピュアな部分だけを強引に抽出して、それ以外は切り捨てるような作り方を、一種のファンタジーとして受け入れたのだと思います。すると劇中の日常が、役者たちの表情も含めてすべて輝いて思い出せるから不思議なものだ。以前に「幸福な食卓」のレビューで北乃きいのことを、美人過ぎないところが良い、などと書いたのですが前言撤回です。色んな意味でグッと存在感が増しました。なにより演技の質で、今後さらに期待できるポテンシャルを感じました。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-10 21:02:24)
199.  レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
これは、身に覚えがあるかないかで見方も評価も変わる作品でしょう。自分は5年ほど前に、現在も勤めている会社に辞表を出したことがあります。部署の方針に納得がいかなかったから。転職先なんて決まっていなくて、失業手当を貰いながら1年くらいかけて新しい業種と生き方を模索するつもりでいました。その時の自分のテーマは「辞めてから考えよう」でした。現実的な考え方でないことは承知しているつもりでした。結局、紆余曲折を経て慰留されたカタチで収まりましたが、当時の私の心境はパリへの移住を決めたこの夫婦と極めて近かったと思う。だから、バカな奴らと流すことができない映画でした。遣り甲斐があると思う仕事も、満足していると思っている生活も、365回を何度も繰り返すうちに振れ幅が決まってくる。そこに限界や虚しさを感じることがある。人生は一度きり、と考えたときに違う方向に進めないとしたら、それは守りの姿勢以外のなにものでもない。とは言え、今の生活も決して失敗ではないし、新しい選択は失敗する可能性の方が高い。それを秤にかけて一歩を踏み出せる人を自分は勇者だと思うけれど、世間の評価は反対なのでしょう。自分はその一歩が踏み出せなかった諦観を抱えながら、日々を送っています。ちなみに、今の社会状況ではもう辞表は出せないです。 …こりゃまた、レビューになっていないです。 (追記:このレビューの2年後、会社を辞めて住む場所も変えました)
[CS・衛星(字幕)] 8点(2010-03-08 21:27:11)(良:1票)
200.  独立愚連隊西へ
前作とは全く別のお話でした。そして、前作には馴染めなかったけど、こちらはたいへん面白かった。日本軍の軍旗の争奪戦が軽快なテンポでコメディを交えて進行する。帝国陸軍のお堅い規律に対する風刺がしっかりと効いていて、本当は軍旗より命の方が大切だという思想が根底に流れているのが心地良い。敵方も含めて出演者全員のキャラが立っていて、その入り乱れた個性をねじ伏せるように1本の映画にまとめたの岡本監督の力技は大したものだと思います。銀幕デビュー間もない加山雄三が主演といえる役柄を担っているけれど、すでに爽やかで清廉な芝居を堂々と演じており、これはサラブレッドの血筋もあるけど、持って生まれた爛漫さではないかと思った。同じような空気を持っている人って長嶋茂雄さんくらいですね。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-03-07 21:54:07)
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