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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3957
性別 男性
年齢 53歳

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1981.  ラ・ワン
『ロボット』があまりにも大傑作だったので、コチラの作品も同じくらいスバラシかったら、どうしようと思ったのですが(別にどうもしませんけれど)、予想通り、そこまでの作品ではなかったですね、作品の密度、テンションは、『ロボット』には敵わない、だけどそれは比べる相手が悪すぎるのであって、この『ラ・ワン』も豪快に我々を楽しませてくれる、元気な作品です。ま、『ロボット』のパクリやろ、みたいなシーンはあるし、それ以前に、全体的に『ターミネーター2』のパクリやろ、みたいな作品ですが、いいじゃないの、アイデア満載、足りないアイデアは他から借用して無理にでも満載しろ、ってな勢い。ターミネーター2のロボット対決とは違って、こちらはテレビゲームから飛び出たゲームキャラ同士の戦いなんですが、片や母子を守る正義のヒーロー、片や誰にでも顔形を変える悪の超人。ははは、明らかにパクリですね。ところでターミネーター2には「1作目に引き続き何故またシュワ型ロボットを登場させてしまったのか」という難点があって、シュワ人気にあやかった安直でミーハーなキャスティングとしか言いようがありません。わざわざ言い訳がましく、予告編でシュワ型ロボットが量産される場面を見せて、でも何であんな目立つ「人間型だけどどっちかっていうとゴリラ型」なのを量産するのか? サラ・コナーがシュワを見て取り乱すシーンも、シュワをキャスティングしちゃったせいで取り入れざるを得なかったシーン、という以上の意味を見いだせないし(最後は互いに打ち解けあって、なんだゴリラみたいでも実はいい人、じゃなかった実はいいロボットじゃないの、人間同様ロボットも見た目では判断できぬものよ、ってか? んなアホな。映画というものは基本的に「見た目がすべて」です)。とか、まあ、何かにつけターミネーター2をクサすのは本意ではないのですが、この点、このラ・ワンでは、母子を守るヒーローの容貌を「亡き父」と設定したのが実に上手く、「ほら、これが正解でしょ、キャメロンさん」と言いたくなるのです。しかもそれが超男前のシャー・ルク・カーン様ですから。文句なしですね。さらにはあの大物ゲストまで登場するに至って、私と一緒に観てたウチの子供たちも大喜びなのでした(あ、そういやターミネーター2も喜んで観てたっけ、ははは)。
[DVD(字幕)] 7点(2013-05-27 23:16:20)
1982.  昭和残侠伝 唐獅子牡丹
難点はいろいろあるかも知れないけれど、日本人のメンタリティに完璧なまでにフィットするこういう作品には、やっぱり逆らえませんなあ。健さんが弟分の起こしたトラブルの尻ぬぐいのため、やむなくヒットマンとなり秋山の親分さんを斬ってしまうのだけど、この対決の場面が「お互い納得ずく、正々堂々の戦い」が強調され、ああ健さんは悪くないんだ、と。はたまた出所後の健さんが親分さんの未亡人と息子をサポートするのだけど、自分が斬った張本人だとなかなか言い出せない、これもまあ健さんは口下手だからしょうがないなあ、さらには未亡人役の三田佳子も健さんを弁護してくれるもんで、ああ健さんは悪くないんだ、と。この辺りが娯楽作品の限界、作品の浅さでもあるのでしょうが、そのお陰で誰もが作品を気持ちよく楽しめちゃう、ってのも確か。クライマックスの左右田組への殴り込みのシーン、明らかにイメージは「忠臣蔵」で、サービス満点、しかも討ち入りだけに終わらずに石切り場での死闘になだれ込み、これはもうギャング映画のノリで、サービスし過ぎ。すばらしい。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-05-26 08:24:27)
1983.  ミッション・トゥ・マーズ 《ネタバレ》 
珍品。冗談で作ったとしか思えない作品で、こんなトンデモ作品に出演してマジメに演技している俳優さんたちが、とってもイイ人たちに思えてきちゃいます。監督に代わってお礼を言っておきます、ありがとう。無重力の船内でプカプカ浮いてる特殊効果は確かによくできてますけどね(『スペース・キャンプ』あたりからすると、技術も進んだもんです)。しかしここまで臆面も無く『2001年宇宙の旅』のパロディ映画作らなくてもいいでしょうに(表面的には似せても、スケール感の欠如はどうしようもない)。何も“火星の人面岩”みたいな賞味期限切れのネタを出さなくてもいいでしょうに。「地球の生命の進化は宇宙人によってもたらされた」なんてのも手垢つきまくったネタだし、そもそもナルホドと納得するような話でもないでしょ(「だったら地球人のルーツである火星人は、どうやって進化したんだよっ」という疑問を持つべきでしょ。それに生命の多様化についての説明にもなってませんね、脊椎動物の進化、特に人間の進化にしか、興味が無いのでは?)。さてそれはともかく(ここまでボロクソ言っておいて「ともかく」も無いもんだけど)。主演かと思ったティム・ロビンス演じるウッディ、映画中盤で死んじゃいますね。妻のテリーがワイヤー銃で助けようとするけれど、ワイヤーがほどけていく手元のショットが挿入された瞬間、「あ、きっとワイヤーが届かないな」と思わせますね。ウッディの死の予告ですね。でも実は、ウッディが宇宙服を着る時にテリーがロケットのネックレスを外す(勿論最後にジムに渡すアレです。この時テリーはすでに宇宙服を着ているんですが、ネックレスをどこにしまってたんですかね?)、あのシーンですでにウッディの死は予告されていたのかも。いやいや、冒頭の地球上のシーンでルークと「火星で会おう」と約束するシーン、あれこそが「叶えられることの無い約束」として、ウッディの死を予告していたのかも。⇒⇒⇒脚本は色々と伏線を張って工夫しようとしてるみたいなんですけどね。どうも演出の方がそれにこたえていない感じがするんですけどね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-05-20 22:20:05)
1984.  シティヒート(1984)
茶目っ気のある映画です。シャレてます。古き良きギャング映画の世界に、イーストウッドをイーストウッドのまま放り込み、レイノルズをレイノルズのまま放り込んで、片や無愛想に睨みを利かせるタフガイ、片や軽いノリでお道化たタフガイ。ストーリーなんてあるような無いような、主演二人の凸凹コンビぶりさえ描けばそれでよし、みたいなこの作品。原作・脚本のサム・O・ブラウンって誰なのよ、と思ったら、正体はブレイク・エドワーズだったんですね。“ギャング映画”がしまいには“ギャグ映画”と化しております。が。主演二人、「凸凹コンビ」と呼ぶには、あまりにそれぞれが「主演俳優」過ぎて、コンビとしては成立してるとは言い難いものが(性格は逆でも「タフガイ」という点では重複しちゃってる)。せめて、二人がもっとぶりかりあって意地を張り合ってくれれば、二人を出演させた意義もあるのでしょうが……。部分部分はシャレてると感じさせても、全体をみると、この映画は一体何がやりたかったんだろうね~と思っちゃうのです。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-05-18 11:18:26)
1985.  忍者秘帖 梟の城
原作は言わずと知れた、司馬遼太郎の直木賞受賞作。これ、“歴史モノ”というよりも“伝奇モノ”と呼びたくなる色合いがあって、何やらもっともらしく歴史上のお馴染みの人物名を織り交ぜつつ、内容的にはやや荒唐無稽とも言える超人的でハードな忍者アクションが展開され、なかなかにアヤシゲな面白さに満ちた作品なのですが(だと個人的に思っているのですが)。で、特にアヤシゲな感じを受けるのが例の“石川五右衛門”のくだり、一瞬ズッコケそうになるけれども、それでも司馬遼太郎が敢えてこのエピソードを入れたのは、歴史の裏で人知れず暗躍し人知れず去って行った名もなき忍者が、ここで突然、その名を知らぬ者無き“石川五右衛門”という名前に置き換わる、というインパクトを狙ったのか。それとも単なる悪乗りか(笑)。さてではこの映画ですが。「忍者秘帖」と銘打っただけのことはあり、また尺も短いため、歴史モノの要素は削ぎ落して(秀吉の人物像も正直、影が薄い)、忍者アクションに特化しています。一瞬とは言えワイヤーアクションまで登場し、妖怪映画みたいです。対決、死闘の描かれ方は、原作のもつ緊迫感に負けず劣らず、なかなかにトンがった演出でアピールしてきますが・・・・・・その結果、バタバタした印象ばかりが残ってしまうことにもなるのですが。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2013-05-15 22:39:59)
1986.  源氏九郎颯爽記 白狐二刀流
幕末の世に現れた白装束のヒーロー、源氏九郎。義経の子孫だそうですが、本当は宇宙人か何かなんでしょう、この浮世離れ具合は半端じゃありません。時代劇なのにフラメンコが演じられたり、西部劇の無法者たちのように空に向ってピストルが乱射されたり(なぜか戦う時には撃たない?)、脇役が勝手にコントを始めたり、何でもありあり、展開も異常に速く、まさにゴッタ煮状態。SFですね、これは。しかし、展開が異常に速くとも、ただ漫然と速いのではなく、キメるシーンはしっかりキメてくれる。そして、細かいやり取りを織り込むことで、得てして脇役悪役の方がイイ顔をしていたりするのです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-05-11 10:54:55)
1987.  アイアンマン
という訳で今更の第1作、なのですが。1作目なので、アイアンマンスーツが作られる過程、スーツを使いこなすまでの過程なんかが描かれていて、正直、スーツが意図通りに動かなければ動かないほど、観てて面白いのです。そういう悪戦苦闘ぶりをひたすら描けばよいのに、と思っちゃう。普通に戦っちゃ、普通の映画です。
[地上波(吹替)] 6点(2013-05-06 17:42:46)(良:3票)
1988.  風とライオン
クライマックスは、ウェスタンと戦争映画を足したような感じで、実に盛り上がるのですが、結局コレがやりたかっただけなんじゃないの、という気もします。北アフリカの砂漠とアメリカとを行き来する構成ですが、ベルベル人の長とルーズベルトとの対立軸が、必ずしも鮮明に描けているようには思えません。そもそも、「風」と「ライオン」という比喩自体、正直あまりピンと来ないんですけどね~。最後にドイツを悪者にでっちあげてアメリカをヒーローにしてしまったのも、対立軸をボカしてしまった一因。しかしここでは、タカ派と呼ばれるジョン・ミリアスが、力や強さにあこがれつつも、アメリカのそれに重ね合わせるのではなく、むしろアメリカ風の理知的なイマドキの「強さ」に対して、あくまで野性的で原始的な生命力としての「力」を、滅びつつあるものへの郷愁をこめて描いております。ましてやその題材としてイスラムを選択できたこの映画の時代背景に、ちょっと皮肉まじりの郷愁を感じてしまったりもするのですが、それは映画そのものとは別の話。いずれにせよ、このライズリなる文明批判者の魅力こそが、この作品の大きな魅力のひとつ。そして、ショーン・コネリーには、こういう頑固一徹さがよく似合います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-05-06 17:24:34)
1989.  第十七捕虜収容所
冒頭で、戦争映画は数あれど捕虜を描いた作品が無いのが不満だ、などとブチ上げておきながら、捕虜収容所の非人間性をリアルに描いて告発してやろうなんて気はサラサラなく、厚かましくも堂々たるオモシロ娯楽作品に仕上げております。能天気な捕虜たちのドタバタあり、仲間にまぎれた密通者の存在が招くサスペンスあり。登場人物の目を通したいわゆる主観ショットが、セフトンの目を通せば、密通のカラクリが暴かれる過程としてのサスペンスを生むし、アニマルの目を通せば何ともアホらしい女装ネタで笑いを生む、というとにかく楽しい作品なのですが、ただ楽しいばかりではなくて、そんな中にも「ヒーローは、孤独である」というテーマがあって、作品を忘れがたいものにしております。ヒーローは孤独であり他者から理解されぬ不遇の存在であり、しかしそれは自らが招いたものでもある。そして彼はついに、自らその殻を破り羽ばたいていく。陽気さ、緊張感、動きのある見事なストーリー展開、ウン、確かに捕虜映画でこれほどのオモシロ作品が作れるんだから、冒頭の「不満」も一理ある訳です。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2013-05-06 14:39:02)(良:1票)
1990.  アイアンマン3
1も2もアベンジャーズも観ないでいきなり第3作を観るのはやっぱり無理があるのでしょうか。極力楽しもうと努力するものの、気分は完全にアウェー。今までに、いきなり「3」を観たなんて、『ゾンビ3』くらいのもんです(笑)。しかしそれにしたって、ずいぶん中途半端な映画じゃないでしょうか。かつてキルケゴールは“絶望”を死に至る病と呼んだけど、この映画の主人公は神経症、普通の意味での病ですから、まずは医者にかかって薬を服用すればよろしい。私の経験では、大病院に行っても通り一辺の血液検査で「異常なしので薬も出しません」と追い返され、近所の町医者の方が親身に話を聞いてくれて助かった経験があります。何にせよ、まずは発作が起きても別に死にゃしないとうことを認識したら少し楽になります。と、それはどうでもいいけど、この神経症、本人がそう言ってるだけなので、どのくらいヒドイのやらサッパリ伝わりません。ヒッチコックの『めまい』なら主人公が高所恐怖症であることはよくわかりますが、本作、セリフさえ変えれば、神経症だろうと下痢だろうと画ヅラ的には一緒でしょう。主人公が閉じこもるべき「我が家」を破壊されるという大事件、その衝撃も、映画の中ではほぼスルー。どこやら遠くにやってきた主人公と、少年の交流が描かれ、お、今回はこの路線かと思いきや、この交流の描き方も途轍もなく中途半端な尻切れトンボ状態。ここまで徹底的に中身スカスカだと、これはもう確信犯なんでしょうけれど、では一体何を楽しめばよいのでしょうか? CGオンパレードのスペクタクル? 珍しくもない。テンポもイマイチで、クライマックスに向けての興奮も持続しない、細切れのスペクタクル。
[映画館(吹替)] 4点(2013-05-05 09:09:26)(良:1票)
1991.  トータル・リコール(2012) 《ネタバレ》 
90年の『トータル・リコール』ってのは、完全にお祭り系SF映画でしたね。シュワが暴れ、バーホーベンが血糊をぶちまけ、手作り感あふれる楽しい特殊効果に、これまた手作り感あふれるドンデン返しストーリー。という「賑やかだったらそれで良し」という作品を、このリメイク作では、どうやら“ちゃんとした”アクション映画にしたいらしくですね。CGによる未来世界の描写は確かに凝っておりますが、全体的にお遊び寄り道の要素は少なく、追跡劇が中心になっております。逃げる主人公、何度も何度も、「落っこちる」あるいは「落っこちかける」場面があり、ああ、そういう映画なのかな、と。そういえば通勤手段として登場する乗りものの名前も「フォール」とか言っったっけ。では最後にどんな圧倒的な“落下”を見せてくれるのかな、と。過去の映画における究極の“落下”ってのは、私は「落下傘をつけずに飛行機から飛び降りる(特撮じゃなくあくまでスタントで)」だと思っているのですが、はたしてアクションにこだわっているらしい本作はどう攻めてくるか、と思ったら……まさか、ここぞというシーンで“無重力”ってのは、そりゃ無いでしょう。ストーリー的には(伏線の張り方とか)はコレでいいのかも知れませんが、見栄え的には盛り上がりません。CG頼みの「フォール」崩壊も、主人公のアクションには直結しない極めてマクロな描写でしかなく、要するにストーリー上の都合でしかない。なーんかものすごく尻すぼみな印象なんですけれども……。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-05-02 13:12:18)
1992.  マルタの鷹(1941)
ハメットの「マルタの鷹」、私もその昔、推理小説をあさり出した頃に手にした時には、あまりに突き放したような愛想の無さ過ぎる描写(読者についてこさせる気があるとは思えない。読者が頑張ってついていくしかない)に閉口したクチなんですけれども。この映画、そういうとっつきにくいところのある原作を、なるべく状況を整理し伝わりにくいところは伝わり易く誰もが楽しめる作品に…なんてことはまるでしておりません。何がホントで何がウソやら、虚々実々、しかも得体の知れぬ人物が得体の知れぬまま断片的に物語に加わってくる。しかしやはりこちらは生身の人間が演じる“映画”ですから、無愛想でストイックな語り口ではあってもそこには独特のカラーが生じて、いくぶん親しみやすくなっています。H・ボガートの演じるサム・スペードは、冷酷非情な私立探偵というよりは、いくぶん人間臭い小悪党のような存在。物語の断片が最後には組み合わさり、ミステリとしてのある種の解決に導かれるとともに、それはさらに非情なる結末をも導くというところが、ハードボイルドたる所以でしょうけれども、ただ非情なだけではなくそこには“情”も浮かび上がり、スペードも含めてみんなが傷ついたのだな、と。これが原作に対する唯一のアプローチではないにしても、あるひとつの理想形と言える映画化作品ではないでしょうか。 <2017/7/30追記>冒頭から奇妙なほどサクサクと物語が進み、夜中に同僚の死の連絡を受けるスペード。彼の横顔があり、深夜を示す時計があり、そして背景には、風に揺れるカーテンが、どこか不穏な感じを表しています。そんでもってラストでスペードが真相を語る場面では、窓の外は明るく、どこかけだるく、やっぱりそこにはスペードの横顔と揺れるカーテンがある。まあ、見え透いた演出なのかも知れないけれど、でも何だかいいなあと思っちゃうのよね。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-05-02 01:14:26)(良:1票)
1993.  チャイニーズ・ゴースト・ストーリー3
第2作があんまりにもあんまりだったんで、第3作は若干の軌道修正、舞台は第1作の100年後で、物語は直接は繋がらないけれど、幽霊の美女と人間の男の悲恋が描かれるし、ロウロウ様は復活するし(もはやオカマさんどころか完全にオッサン状態ですが)、路線としては第1作に回帰しております。何より、第2作と違って、ちゃんと怪談らしくなっているのが、いいんじゃないですかあ(と、私のモノ言いもやや他人事のようになっておりますが)。登場するハチャメチャかつデタラメな魑魅魍魎の数々を観ておりますと、本作の路線が第1作のそれなのか第2作のそれなのかはもうどうでもよくって、「こりゃもはやエンパイア・ピクチャーズ路線やね」としか表現しようが無いです、はい。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-05-01 15:11:02)
1994.  悪名桜
こういうシリーズものを観ておりますと、作り手の側としてはマンネリ路線の中にも多少の変化を、と趣向を凝らしたりするところなのでしょうけれど、観る側にはそれが結構気になる変化だったりもします。このシリーズは、「悪名」と言いながら実際はまるで聖人のようなイイ人、しかも腕っ節は滅法強い、という朝吉親分が、悪を懲らしめるオハナシ。悪を懲らしめると言っても、単なる鉄拳制裁だったりする訳ですね。世の中がよくなったのやらならなかったのやらよく判らなくても、観てる我々はとりあえず溜飲を下げる。とにかく、“任侠界の出来杉クンこと朝吉親分の悪者退治”ですから、いわばここで描かれているのは一種のユートピア。ところが本作、ちょっと感じが違う。まずそもそも、朝吉親分はいきなりカタギの商売人になっている。「八尾の朝吉」という“悪名”も本作ではあまり通じない。親の死に目に逢えなかった悔恨より、とあるチンピラを更生させようとするも、殆ど空振りで救いも無く。ユートピアとしての本シリーズを感じさせないまま、やるせない怒りをぶちまけるように、ヤケクソのように、クライマックスの殴り込みへ突入しますが、それとて、敵役の藤岡豚也じゃなかった琢也に「自分たちを倒してもまた別の連中がのさばるだけ」と捨てゼリフを吐かれてしまう訳で。シリーズ中の異色作と呼ぶほど異色ではありませんが(正直、マンネリですが)、ちょっとひっかかる作品ではあります。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-04-30 13:31:33)
1995.  チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2
主人公が人違いで逮捕される冒頭部を始めとして、何かにつけ「人違いネタ」で引っ張っていく。では「人違い」がこの作品のテーマなんだろう(「レスリー・チャンと間違えてハリボテモンスターに話しかける」シーンなんかも「人違い」に含めてよいでしょう)、と思って観てると、必ずしもそうではない気もしてくる。前作に続いてジョイ・ウォンを再登場させる都合、ってのもあるけれど、単にネタに詰まった挙句の「人違い」連発、という気がしてきます(それ以外に、「動けない」ネタでも結構引っ張る)。ネタ切れは勢いでごまかせ。何しろパワーだけは凄まじい。ネタ切れなので何がやりたいのかはよくワカランけれど、とにかく信じられないくらいのハイテンションである事は間違いなく、不本意ではありますがとりあえず圧倒されてしまいます。ハリボテモンスターに加え、大魔神ならぬ大魔仏(?)が登場するに至っては唖然愕然。よくもまあこんなデタラメを。この活力にあやかりたいような、こうはなりたくないような。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-04-30 12:53:12)
1996.  インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
トム・クルーズとブラピとバンデラスで、誰が一番長髪が似合わないかを競っているような映画で、そりゃブラピには敵わないんだけれども。「いや~以前観た時にはイマイチよくわからんかったけど、今観たら、面白かった~」といつもなら書くところだけれど、この作品はますますワカラン。以前観た時はもう少し何かを楽しめたような気がするんだけど(気のせいかも)。吸血鬼のオハナシながら、コワくも無ければ神秘的ですら無く、どっちかっていうと単なる「空腹」の問題を語っているような下世話な感じしかしないのです(そりゃまあ切実ではあるけれど)。しかしセットなどの雰囲気作りは凝りまくっているもんだから、ピンと来ない。立派な舞台に、ドラマの不在。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2013-04-29 14:18:47)
1997.  マシニスト 《ネタバレ》 
いや何、痩せてる俳優が必要なら、何もクリスチャン・ベールが苦労しなくとも、例えば私がもうちょい痩せた方がてっとり早い。実際、大学入学後に一人暮らしを始めて数か月後には、本作の彼と近い身長・体重になってた時期もあったさ。しかしだからと言って、私にこの映画の主演が務まる訳ではもちろん無くて、私にはこんな内側から滲み出るような狂気は無いのです(……多分)。異常な人間を主人公に、世界を彼の目から見て描いているので、現実とも幻想ともつかぬシュールな内容ではありますが、ちゃんとミステリらしい構成やオチを備えていて、納得感の方もしっかりと。そして衝撃的。この幻想譚が、幻想譚としての恐怖を充分に備えつつも、実は現実の再構成であるということ。その予想を超えた作り込みぶりに、ただただア然、いや参りました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-04-29 13:50:02)
1998.  TIME/タイム
映画が始まって数分で早速気が滅入ってくる。何と言う身も蓋も無い設定。「お金⇒時間」という寓話だけど、もうこれは比喩でも何でもなくて、「お金」イコール「時間」イコール「生きる資格」という、まさに現実世界そのもの。そう言って悪ければ、「現実世界の延長上に見えているもの、そのもの」ですわな。しかしこの映画、この図式でただ現実を批判しようってだけの作品じゃない。上記の図式そのものよりもむしろ、「貧乏ヒマ無し」っ言葉の方が本作によく合うかも知れない。時間の無い貧乏人は、よく走る。時には走らざるを得ない。男と女が(設定上は息子と母だが)互いに相手の元へと必死に走るシーンがある。そしてまた、共に逃げる男女の、手を繋いで走る姿がある。手を繋いで並んで走っていた男女が、ついに、互いに向かい合って走り始める時、どれほどのスリルと感動を呼ぶ事か。はたまた、敵役の男の、ひとり走り続ける姿、これほど彼の存在を印象付けるシーンがあるだろうか。「走る姿」というモチーフが作品の要素を有機的に繋ぎ合わせ、そこにドラマが生まれる、まさにこの作品はシンフォニーだと思う
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2013-04-29 11:42:36)(良:2票)
1999.  遊星からの物体X ファーストコンタクト 《ネタバレ》 
本作、例の作品の“前日談”という触れ込みになっておりますが……いいんですかねぇ。ソレ、本作の設定じゃなくて、まさしくオチ、じゃないですかね。ネタバレ以外の何物でもない。だってコレ、観てりゃ誰だって「リメイクだな」と思いますからね、そこにあのラストで、カーペンター版のファンをニヤリとさせる仕掛けだと思われるのですが(それとてややストレートで安直な仕掛けではありますが、カーペンターのファンに心の狭い人はいないハズ、付き合いででもニヤリとしてくれるハズ)。残念ながら先に“前日談”だなんて吹き込まれた上で観てたら、ニヤリとしようも無く、ゲンナリ。ま、どうせそこはオマケみたいな部分なので、目くじら立てなくてもいいのかも知れませんが、そうなるとますます判らなくなるのが、何でまたこんな映画を作ったのか(じゃ、オマエは何でまたこの映画を観たのかって? とりあえず気になるからです、ハイ)。『遊星からの物体X』や『エイリアン』といった“SFホラー”って、「何が起こるかわからない」「どんなハチャメチャなことでも起こり得る」コワさがあって、これはオカルト系ホラーには無い魅力でした(オバケの行動の方がむしろ予測できます)。特に『遊星からの物体X』のもつ破天荒さの魅力。誰が乗り移られてるのか、どんな形で襲ってくるのか、観ている我々は常にその“疑い”に冷や汗をかきながら観ることになるのですが、一方このリメイク作。主人公のお姉さんが何から何まで解説してくれて、まるで「疑うポイントはここですよ」と我々を誘導してくれているみたい。ホントは、登場人物のもつ“疑い”よりも我々の“疑い”が常に先行していてこそ(いわば、我々には登場人物が無防備に思える時こそ)コワさがありサスペンスがあるんですけどねえ。今やそういうのはハヤラないんですかねえ。本作、あまり特徴も出せないまま、そもそも『遊星よりの物体X』のリメイクのようでもありながらやっぱり『遊星からの物体X』であって、『エイリアン』みたいに解剖したり『エイリアン2』みたいに隙間に落っこちたりしながら、結局クライマックスは『リバイアサン』かよ、と。でもモンスターの造形を見てると、一番近いのは『メン・イン・ブラック』のような気もしてきてしまって、トホホなのでした。 ←私も、何をどこまで書けば何のネタバレになるやら、よくわからなくなってきました、すみません。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2013-04-14 00:49:07)
2000.  忍者狩り(1964)
浪人と忍者との戦い、どちらかというと私闘に近い物語ではあるけれどもこのオドロオドロしい雰囲気、まさしく東映の集団抗争モノの一本ということができます。とにかく暗いのです。そして壮絶。近衛十四郎父ちゃんが、城を失い帰属を失った浪人、他藩のためにいわば傭兵として宿敵に挑む浪人の凄まじいばかりの執念を見事に演じてます、顔のクドさにも負けぬくらい濃い役どころで、ハマリ役と言えるのではないでしょうか。他の雇われ浪人とともに、お墨付き書を狙う甲賀忍者の殲滅に挑む、という物語、タイトルは『忍者狩り』だけれども、狩られるのはどちらなのか。忍者の首領は、闇のクランドとかいう、滅法強いメチャクチャ強い謎の人物。“魔人”と言ってよいでしょう。主人公は外様の浪人の立場、味方の理解も協力も乏しい状態で敵と戦わねばならないのだけど、相手はこの恐るべき“魔人”、しかも主人公にとっては個人的な恨みを持つ宿敵でもあるもんだから、主人公の姿勢にも鬼気迫るものがみなぎってくる。そしてついに二人が相まみえるクライマックスの死闘!! 虚無感あふれるラストまで目が離せない、とにかく凄まじい作品です。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-04-12 00:17:25)
030.08%
1190.48%
2431.09%
3751.90%
41624.09%
53699.33%
665116.45%
7125131.61%
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93789.55%
101032.60%

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