2101. 皇帝のいない八月
主人公がテロリストとまでは言わないものの義憤に駆られた憂国の士に見えない。一般客と共に列車での移動に現実味が感じられない。ドラマ性を持たせる為とはいえ三角関係は皆が青臭くて辟易する。馬鹿馬鹿しくなるのを佐分利信、滝沢修、三國連太郎が救ってくれました。怪物と妖怪の勝負、鬼と仏の顔を持つ元憲兵。キラ星の役者陣の中で別格の三人に、存在感というものを考えさせてもらえました。趣がある題名が活かされていれば良かったのですが。 [DVD(邦画)] 6点(2014-10-13 04:04:29) |
2102. 暗殺の詩/知りすぎた男どもは、抹殺せよ
《ネタバレ》 目当てはトランティニャンでしたが、フィリップ・ノワレの前に霞んでしまいました。頑なにデビットを守ろうとし、妻を寝取られても許す姿は私の理解を超えるものでした。彼だけは助かって欲しいとの願いが砕かれる覚悟の面持にやり切れない思いが募ります。冷静に考えると粗の目立つストーリーですが、何とも言えぬ物悲しさに冷静さが奪われる作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2014-10-13 00:12:32) |
2103. 博奕打ち 総長賭博
松田と音吉のあまりの浅はかさにイライラのし通し。こんな輩を相手に一人もがき苦しみながらも筋を貫き通した中井の生き様が「私怨」と呼ばれる事に、当然だと思いつつもうら悲しさも覚えた。鶴田浩二絶品の一作。惜しむらくは金子信雄のヒゲ。なんか、こう、子供相手の駄菓子屋さんのオッチャンに見えて高ぶった感情がその都度盛り下がってしまった。 [DVD(邦画)] 7点(2014-10-07 21:01:30) |
2104. アッシャー家の末裔
冒頭、皆がアッシャー家に恐れ戦いている様子に膨らんだ期待は裏切られた。生身の妻より絵の妻に執着する狂ったロデリック。恐怖や無常感など皆無で、その思わせぶりな表情に、志村けんのバカ殿が思い浮かび笑いがこみあげてくる始末。映像と物語が一体となってこその恐怖である事を実感。呆れ返るだけの作品だった。 [DVD(字幕)] 1点(2014-09-07 14:27:19) |
2105. 善魔
三國連太郎は瑞々しさに目を奪われるものの、早口過ぎて聞き辛いのは閉口しました。知性と義侠心を持ってはいるものの、身勝手で酷薄で意気地なしの本性が透けて見える役どころが十八番の森雅之はオーラ全開。淡島千景と繰り広げる澄まし返った会話は名人芸の域。堪能させてもらいました。引っ切り無しのBGMのくどさが鬱陶しくて堪りませんでした。 [DVD(邦画)] 7点(2014-08-25 00:05:06) |
2106. 鴛鴦歌合戦
予備知識ゼロ。いきなり歌い出したのに面喰い、そういう映画である事に「変なの借りちゃった」と後悔。そのいじらしさに胸がキクンと痛んだお春ちゃんの存在がなければ鑑賞リタイアでした。 [DVD(邦画)] 6点(2014-08-24 17:29:53) |
2107. 王将(1948)
《ネタバレ》 妻との別れの場面が関根に祝いを述べた場である事を考えると感慨がかき消されてしまいました。あっさり名人位を譲った心境も頷けないもので消化不良な作品でした。 [DVD(邦画)] 6点(2014-08-23 20:54:08) |
2108. 大統領の執事の涙
《ネタバレ》 与えられた環境で全力を尽くし職を全うした父。与えられた環境を変える事に心血を注いだ長男。意志を貫いた者同士が最後に分かり合えた事が感慨深い。僅か50年前に繰り広げられた惨劇は目を覆うもの。オバマ大統領就任に夢を形にする偉大さを思わされます。 [DVD(字幕)] 7点(2014-08-23 10:47:41)(良:1票) |
2109. 黄昏(1981)
初見。詩情溢れる湖の景色が脳裏に焼き付く作品です。ペラペラ喋りまくるキャサリン・ヘップバーンは元来苦手ですが今作は抑制されており嫌悪感はありませんでした。ヘンリー・フォンダがポツリポツリと吐く言葉に、老いての衰えは誰にも必ず訪れる事を突き付けられます。父と娘が抱擁を交わす姿に、父への憎しみが消えたのに亡くなるまで一度も抱擁どころか握手することもしなかった悔いが押し寄せてきました。 [映画館(字幕)] 7点(2014-08-03 23:57:27) |
2110. 蜘蛛女のキス
他の房は大人数なのに何故彼等は二人だけで広々と過ごしているのだろう。この疑問が解ける前と後で鑑賞の集中度がガラリと変わりました。しかし、期待には程遠い展開と結末で、男同士の惹かれ合いにこちらが惹かれるものはありませんでした。 [DVD(字幕)] 4点(2014-07-12 00:06:45) |
2111. 狐の呉れた赤ん坊(1945)
寅八の一挙手一投足、一言一句に胸を打たれました。質屋の親爺さんの言葉も胸に染み入るものでした。終戦直後の制約の中でこれほどの作品が作りあげられた事にも深く感動しました。 [DVD(邦画)] 10点(2014-07-04 22:15:19) |
2112. 羅生門(1950)
初見、原作未読。真相はまさ藪の中。文明や科学が進化しても人の心は1000年前と大差ない事を思わされます。美しい画の中で躍動する役者達に豪華な額縁の名画を鑑賞しているようでした。赤ん坊の件はとってつけた感がありますが、今も昔も変わらぬ、この世は捨てたものではない事を見せてくれます。 [映画館(邦画)] 7点(2014-06-08 05:37:37) |
2113. 恐怖の報酬(1953)
初見。予備知識なし。疲弊と閉塞が覆う街での荒んだ男達のやり取りに辟易しコックリしそうになったところへ降って湧いてでたニトログリセリン運搬任務に目が覚めました。障害物をクリアする各シーンは4人が見せる本性とジワリジワリ感が相俟った迫力満点の手に汗握るもので、私も周りの方々も「あ~」「うわ~」など思わず声が漏れてしまいました。無理筋なラストシーンに興を削がれたのが何とも惜しいところ。 [映画館(字幕)] 7点(2014-06-01 22:18:54) |
2114. 人情紙風船
《ネタバレ》 無言で懐剣を抜くおたき。その背中は泣いているかのようで鬼気迫る姿に息を呑みました。ひたすら媚びへつらう又十郎の姿と併せて考えさせられる武家のプライド。小悪党新三や長屋の面々のしなやかな力強さとの対比が鮮やか。巧みな展開と見せない演出の見事さと、おたきの意地の象徴が流れ去るラストショットに感服です。 [DVD(邦画)] 9点(2014-06-01 01:47:27)(良:1票) |
2115. 大統領の料理人
南極基地シーンは無用に感じます。エリゼ宮シーンも全く盛り上がりませんでした。料理人は男性だったら作品にならないと思える個性に乏しい人物。大統領は威厳も気品も感じられないヨタヨタのご老人にしか見えなく、料理を食する姿が一度も無い。実話だとしても素材の悪さと味付けのなさが相まって喜怒哀楽の感情が湧かない期待外れの一品。 [DVD(字幕)] 4点(2014-04-20 01:01:38)(良:1票) |
2116. 周遊する蒸気船
《ネタバレ》 自首するも正当防衛が認められず死刑判決が出てしまう。理不尽であろうとも罪に対する罰を受けねばならないという骨太さと、他者への深い慈愛。監督の価値観がクスクス笑いから大爆笑が止まらないハチャメチャな展開でもって描かれている傑作。結末の爽快感が心地良い。 [DVD(字幕)] 9点(2014-03-17 01:03:40)(良:1票) |
2117. 冬のライオン
肉親の確執がこれでもかという嫌みな物言いで描かれているだけで退屈。やけに明るいラストシーンにポカーンとするのみ。期待外れ。 [DVD(字幕)] 4点(2014-03-02 13:24:00) |
2118. 戦争と平和(1956)
原作未読、初見。1時間経過時にリタイア、1週間後に続きから完走。ダラダラとは言わないもののあまりの長尺にヘトヘト。冬将軍とクトゥーゾフの恐ろしさが際立つ戦闘模様は「命を愛し続けよ」との言葉に重みを感じるものでした。他方で貴族の恋愛模様はヘトヘトの原因で生き残った二人がこの先も薄っぺらなままのように見えました。 [DVD(字幕)] 5点(2014-03-01 01:03:57) |
2119. 偽りなき者
《ネタバレ》 幼稚園児の感情の赴くままに発した嘘は先生を嵌めようとする意志が微塵もない他愛ないもの。(この子の不気味さは特筆もの)司法が冷静な判断を下したにもかかわらず、専門家達の無能で誤った裁きと赤の他人達の浅はかで陰湿な制裁に血管がブチ切れそうでした。逃げ出さずぐっと耐える先生の漢の姿が実ったハッピーエンドと思いきやの結末は、人が感情だけで人を裁こうとする空恐ろしさを見せつけます。 血圧の乱高下が甚だしい二度と観ようと思わない作品。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-17 00:48:30)(良:2票) |
2120. ガンジー
非暴力不服従でのインド独立の過程は冗長で退屈でした。子供をムスリムに殺され報復にムスリムの子供を殺した男に「地獄から抜け出る方法は両親を殺されたムスリムの子を拾って育てよ」と説くガンジーから、人種や宗派が違ってもヒトはヒトである事が彼の不屈の精神の根底を成していると思えた部分に値打ちを感じた作品。 [DVD(吹替)] 7点(2014-02-11 18:18:52) |