201. ブルー・マックス
《ネタバレ》 WW1に於けるドイツ空軍が描かれた物語。地べた這いずり回る歩兵のシュタッフェルが上空の戦闘機を眺める胸中に共感を。技量に出身は関係なくとも、勲章が欲しい、欲しい、欲しい! 飢えた姿に貴族と平民の育ちの違いがある事を実感。更に将軍の妻と火遊びに興じるのには「図に乗るな。このままで済むと思うな。罰が下るぞ」(これは欲求不満気味の妻にも言える)と眺めていました。騎士道精神を持つ隊長以外まともな人物がいない中での真打がクルーガーマン伯爵・将軍。保身>空軍の体面>甥の敵且つ間男への鉄槌を表現するジェームズ・メイソンをたっぷり堪能させてもらいました。終盤の元帥からの電話以降は彼の独断場であり、「うわ~そうきたか、頭いい~、しかし悪いやっちゃなぁ」と思った途端の Sit Down !!!!!!!!! に椅子から思わず立ち上ってしまいました。「えらいすんません」怒髪天を衝く鬼の形相での野太いベルベットボイスはジェームズ・メイソン名場面集の1つとなりました。やるせなさが募る異色の戦争映画。傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2018-07-30 16:22:18) |
202. 名誉と栄光のためでなく
ロブソン監督作という事で鑑賞。アンソニー・クインにしてもアラン・ドロンにしてもジョージ・シーガルにしても監督ならではの男気が不足しており惹き込まれない。国が独立を果たす為にどれ程の血と涙が流れなきゃならんのかという思いはあったもののアクションものとして気楽に楽しめた作品。 [DVD(字幕)] 6点(2018-07-21 21:04:06) |
203. ミニミニ大作戦(1969)
《ネタバレ》 金塊強奪作戦はハラハラするところは無いもののCGの無い時代の3台のミニの逃走模様はワクワクし通し。ミニのこれ以上ない宣伝効果になったのではないでしょうか。カースタントチームの仕事ぶりに心からの喝采を送ります。マイケル・ケインを支える、ノエル・カワード、ロッサノ・ブラッツィ、ラフ・ヴァローネの贅沢な脇役陣の存在感がたっぷり。囚人でありながら刑務所の君主であるブリッジャーが作戦成功で皆の祝福に応えるシーンでのチャンチャンチャチャチャンチャチャチャチャ ブリッジャー!!が耳に残ります。「えっ、ここで終わり?」意表を突かれたラストショットは先の展開が色々と思い浮かんだ印象深いものでした。怒り悲しみ切なさやるせなさとは無縁のからりとした粋な味わいある秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2018-07-16 00:01:15) |
204. 妖婆の家
《ネタバレ》 スージーを手にかけたのは乳母かジョーイかが分からない展開に目が離せない。真相と結末は哀しみを誘うもので、手の皺に加齢を痛感したベティ・デイヴィスが豹変して悪逆非道な妖怪の本性を現すのを今か今かと待ち望んでいた身にとってはちょっぴり残念。陰鬱な物語の一服の清涼剤だった階上の少女を演ずるパメラ・フランクリンが印象に残る。 [DVD(字幕)] 7点(2018-07-11 14:31:00) |
205. 哀愁の花びら
《ネタバレ》 陳腐であったのは邦題のみで現実味を感じさせられたショウビズ界舞台裏での愛憎劇は見応え十分なもの。ジュディ・ガーランドが思い浮かんだニーリー・オハラを演じたパティ・デュークの熱演が素晴らしく、お目当てだったスーザン・ヘイワードとの掴み合いは圧巻。母や夫を思い遣る人格者であっても才能無く容姿が売りのジェニファーを演じたシャロン・テートも酷評には値せず服毒シーンがやるせない。アンを演じたバーバラ・パーキンスは主役であってもインパクトに欠けた点が残念。三者三様の生き様を表したようなディオンヌ・ワーウィックの主題歌はほろ苦く余韻が深い。職人ぶりを感じたマーク・ロブソン監督の秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2018-07-07 21:56:57) |
206. 脱走特急
《ネタバレ》 一瞬も目が離せないスリル満点の物語でフランク・シナトラ、トレヴァー・ハワード、ウォルフガング・プライス、オリアリ大尉、コンスタンゾ大尉それぞれ味わい深いキャラクー達が輝いていました。とある所でライアン大佐が死ぬ事を知ってしまった上での鑑賞が何とも残念ですが、最後の一歩が踏めなかった全力疾走に鳥肌が立ち、ラストの台詞に涙が止まりませんでした。脚本・演出・撮影共に一級品で「大列車作戦」と並び称される傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2018-06-16 23:09:38) |
207. 世にも怪奇な物語
1話目2点、2話目1点、3話目0点 共通して物語がつまらないが、前2話は観るに耐えるものだった。 我慢ならなかったフェリーニのゲー術臭が、つまんない物語をクソつまんないシロモノへと昇華させている。 [DVD(字幕)] 1点(2018-06-09 17:19:42) |
208. マッケンナの黄金
地球の原風景のような峡谷に目を奪われます。『インディ・ジョーンズ』と『黄金』を合わせたような物語。テンポが悪くイライラするところもありましたが、グレゴリー・ペックとオマー・シャリフの絡みを楽しく観ることが出来ました。本作のエドワード・G・ロビンソンはキャリアの終焉が近い事を感じさせられる物悲しいものがあり見たくなかった姿です。 [DVD(字幕)] 6点(2018-05-30 16:10:40) |
209. 荒鷲の要塞
《ネタバレ》 軍服が素敵だと感じたドイツ軍の余りにもマヌケな描かれ方に戦闘シーンの緊張感は皆無で、リチャード・バートンのアクションシーンも気楽に眺められる。彼が正体を現すのを今か今かと待っていた期待が外れたのが何とも残念。作戦の真の目的もお粗末な演出で何の盛り上がりもなくこれまた残念。作り方次第で傑作になった惜しい作品。 [DVD(字幕)] 6点(2018-05-26 19:56:35) |
210. ロード・ジム(1965)
《ネタバレ》 お目当てジェームズ・メイソンの他にピーター・オトゥール、クルト・ユルゲンス、ジャック・ホーキンス、イーライ・ウォラック、ポール・ルーカス、エイキム・タミロフと重厚な俳優陣にビックリ。更に伊丹十三(この時は一三)出演に二度ビックリ。異国情緒溢れる舞台で、消えない過ち(事故シーンの迫力は特筆もの)に苦しみながら転落人生を懸命に生きるジムを熱演するピーター・オトゥールが素晴らしい。手に汗握った戦闘シーンの決着にハッピーエンドで良かったと思った時に、ジェームズ・メイソンが登場していない事に気がついた。??? 1時間48分を経過して、ペストよりも多数の人を殺したという鬼畜船長、人呼んで「紳士のブラウン」としてご登場。 クルト・ユルゲンスを子供扱いする貫録を示し、ジムの本質を見抜くあたりは流石の存在感。しかし、小汚い真似でジムを破滅に追いやる極悪人ぶりがステレオタイプで迫力に欠けたのが残念。 死をもって過ちの呪縛と訣別しようとするジムと彼を連れて帰ろうとするスタインとのやりとりに胸が詰まる。 長かったもののブラウン船長登場以降のシーンは本作にとって欠かせないものだった。 ジムの生涯を描いたスケールの大きい冒険活劇且つ人間ドラマとして十二分に楽しめた逸品。 [DVD(字幕)] 8点(2018-05-26 09:11:42) |
211. イグアナの夜
オープニングクレジットにあったテネシー・ウィリアムズに期待と不安が入り混じる。『ロリータ』に続いてオヤジを窮地に追い込むスー・リオンに、「飽きもせずこの小娘が!」上がる血圧をクスッと笑えるリチャード・バートンの受け答えが下げてくれる。コメディものなのかと思っていたら、バートンが中国まで泳ぎに行こうとしてからラストシーンまでのデボラ・カー、エヴァ・ガードナーとの三人で過ごした一夜が実に味わい深く座り直して鑑賞する。特筆すべきはエヴァ・ガードナー。アン・バンクロフトをエキゾチックにした感のある男前な彼女が夜のビーチでマラカスボーイ2人組と絡み合う圧巻のシーンは「寂しい時に見る景色は美しい」が思い浮かんだ。初めてリチャード・バートンの色気を感じた作品で、不安が消し飛び尚且つ私の願い通りの結末が嬉しい。 [DVD(字幕)] 8点(2018-05-14 09:22:51) |
212. ローマ帝国の滅亡
《ネタバレ》 予備知識はジェームズ・メイソン出演のみ。鑑賞史上初めての叫び声のない拷問シーンで掌にたいまつの火を3度押し付けられて声を上げずに耐えるお姿に握り拳!僅かな登場シーンでもいぶし銀の存在感に感激。クリストファー・プラマーが共演しているだけで嬉しいのに、超オトコマエで且つ主役は貴男だと言える熱演ぶりにも大感激。史実に即しているのかどうかは気にならず、長すぎる事と心理描写の浅さを差し引いても、壮大な音楽にのせて豪華なセットで数えきれない程の人馬エキストラと共に繰り広げる歴史活劇として楽しめた作品。 [DVD(字幕)] 7点(2018-05-11 15:58:57)(良:1票) |
213. ロリータ(1962)
小悪魔さと理性の仮面の下で見え隠れする欲望。共にリメイク版の生々しさには遠く及ばず期待外れです。一方でロリータの母が注ぐ愛情はハンバート同様、籠の鳥を愛でるような歪さで、その痛々しさを体現しているシェリー・ウインタースの好演はリメイク版に優っていました。 【2018.5.8追記】 「ジョージー・ガール」鑑賞で本作が思い浮かび早速再見。 9年前にはジェームズ・メイソンのベルベットボイスを感じ取れず、キャストの中で記憶に残らぬ人だった(あ~不覚!) 母の死を知り「独りにしないで」と泣くロリータを抱っこするシーンが当時の映倫(?)上の限界だったと思われる事を差し引いても、欲望の生々しさでは今回もジェレミー・アイアンズには及ばない。しかし、泣きながらお金を渡すシーンに象徴される情けなさ、憐れさは、どのような人物でも生真面目に全力を尽くして表現するジェームズ・メイソンが断然上回る。 裏切れば裏切られる、どれだけ愛されても愛せない、どれだけ愛しても愛されない。この世の摂理を改めて実感させられた次第。 前回より2点上積み。 [DVD(字幕)] 7点(2018-05-08 21:53:29) |
214. ジョージー・ガール
《ネタバレ》 「自分の気に入らない役は絶対に引き受けない」と公言していたというジェームズ・メイソンが本作に出演したのが不思議。自分のお屋敷の使用人の娘ジョージーに恋をして愛人契約を迫りキスをし、奥さんがあっさりと亡くなって、挙句の果てに結婚までしちゃう。「ロリータ」の仇を本作で討ったかのようだけど大きく違うのはジョージーがおとぼけキャラですごいブサイクであること。唇を奪う前・最中・後の欲望が滲み出た生々しい目をこの娘に向けるのはアカンわ。何処にどう惹かれたのかさっぱり分からん。アラン・ベイツとシャーロット・ランプリングのどうしようもなく鬱陶しいアホバカカップルとは絡みなくコメディ劇の中で浮いた存在だった。笑うところも殆どなく主題歌もなんだかなぁ。「意外と面白くない」4点だけど、惚れ惚れする美貌で他人を切り捨てる姿を見せてくれたシャーロット・ランプリング20歳のデビュー作に「他人様に薦められなくもない」7点に。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-05-08 01:14:52) |
215. 絞殺魔
《ネタバレ》 犯人の人物像、動機、逮捕までの過程に興味津々だったのですが。中盤であっさりと犯人が判明してからは垂直落下のようにトーンダウン。実話なので仕方ないとは言え超能力者やら二重人格やら脱力感が半端ない。被害者や遺族の無念さが押し寄せてきた自供模様に点数の全てを。 [DVD(字幕)] 6点(2018-05-02 21:28:57) |
216. ミクロの決死圏
小学生の時に観ていてハサミを落としてしまうシーンのみ記憶。50年近く経て再見。小宇宙人体を舞台にした冒険SFは見応え十二分。奇想天外なアイデアを形にした製作に携わった方々と最高傑作の邦題をつけた方に敬意を表します。件のハサミのシーンの後の彼女を助ける際の男性三人の目がランランとしていたのに凄腕監督の茶目っ気を感じました。 [DVD(字幕)] 9点(2018-04-30 23:26:46)(良:1票) |
217. 陸軍中野学校
《ネタバレ》 戸籍を捨て肉親との繋がりを絶った上で、非合法な任務に必要な知識を習得し不必要な人間味を捨て去る市川雷蔵が醸し出す狂気が理詰めなストーリーの中で映える。雪子を手にかける一部始終と「母は一人でも生きていける女です」と言い放つ姿にゾッとすると共に彼が後年自身の行いを後悔する事は消して無い事を思わされる。前途有望な若者達をこのようなスパイに仕立て上げた加藤大介の人柄の誠実さがかえってやりきれない。 [DVD(邦画)] 8点(2018-04-30 18:08:47) |
218. 太陽の中の対決
《ネタバレ》 「白人は助け合うのよ」と言いいながら先住民は虐げてきた。ペラペラ喋る女性に対するポール・ニューマンの淡々とした言動の端々に窺える憤りに寒々しさを感じる。hombreとしての最期も寒々しかった。フレデリック・マーチとの絡みが物足りないのがとても残念。 [DVD(字幕)] 6点(2018-03-31 20:56:44) |
219. 歌行燈(1960)
お袖と喜多八の裏山での稽古の幻想的な美しさに美術の方々の気迫を感じます。能に何の造詣もないので解り辛いのですが、結末に見るように芸道の厳しさよりメロドラマに重きをおいた作品に感慨も今一つ。山本富士子の固い演技にも引いてしまいました。 [DVD(邦画)] 6点(2018-03-19 09:37:59) |
220. ひとり狼
《ネタバレ》 渡世の掟のみを心の拠り所に生きる伊佐蔵を演じる市川雷蔵に高倉健とは違う重みを感じる。父子の関わりがひとり狼にそぐわないのだが、決闘後に去って行く後ろ姿はさすがに切ないものがあった。美味しい役どころの長門勇の好演も印象的。 [DVD(邦画)] 7点(2018-03-07 15:45:49) |