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鉄腕麗人さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2609
性別 男性
ホームページ https://tkl21.com
年齢 43歳
メールアドレス tkl1121@gj8.so-net.ne.jp
自己紹介 「自分が好きな映画が、良い映画」だと思います。
映画の評価はあくまで主観的なもので、それ以上でもそれ以下でもないと思います。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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221.  キャットウーマン
“女+猫+ヒーロー=キャットウーマン”この構図は映画の素材として非常にユニークで巧いと思う。 男のヒーロー映画が蔓延している中、「女のヒーロー映画を作ろう!」というのはとても正当な論理であろう。  しかし、そのヒーローをひたすらに正義に没頭させては何の意味もない。 言わせてもらえば、脇目もふらずに正義を貫けるのは、無邪気で幼稚な“男”しかできない発想であろう。 ムカつくヤツは叩きのめし(猫パンチ)、恋もすれば、泣きもする、 そして何よりも“自由”を求める。女がヒーローになるというのはそういうことだ。 この映画はその真理を徹底して表現している。  そして、艶かしいボディを惜し気もなく見せつけるアカデミー賞女優のヒーローっぷり。なんだか大げさだけど、この単純な娯楽映画の中に、荒れ狂う厳しい世の中を己の体ひとつでのし上がっていく強い女の現代像を見た気がする。
[映画館(字幕)] 8点(2010-09-16 23:55:05)(良:3票)
222.  ミリオンダラー・ベイビー 《ネタバレ》 
間違えないでほしい。この映画で描かれるものは、人間の愛などではない。 美談でもなんでもなく、描きつけられるのは、ひたすらに人間の闇でしかないと思う。  陰影が印象的な映像世界が物語るままに、人間は暗い影の中で、たった一瞬の輝きを求めて生きるしかないのか?  否、そんなことはない。たとえ光が過ぎ去っても、再び光が照らすことはあるはずである。 逆に言えば、どんなに素晴らしい輝きを手に入れたとしても、それで満足して残りの人生を手放すようなことをしては、その輝きの価値すら無くなる。  主人公のボクサーの残りの人生は、光とは程遠い辛く苦しいものかもしれない。 でも、たとえそうだとしても、生きつづけること自体が、燦然たる輝きとなるのではないのか。  この映画で描かれることこそ“リアル”だという考えは、決して間違ってはいない。 だが、これが映画だからこそ僕はあえて言いたい。 「まったくもって、耐え難い結末だ」と。  「人生を諦めること」を美化したこの映画は、あまりに異質で罪深い。 だが、大前提として映画の表現は自由である以上、近年一貫したテーマをもって技術的に質の高い作品を連発しているイーストウッドの監督力が、確固たるものであることは間違いない。  ただしかし、この作品をその年の“最高映画”と堂々と位置づけたアメリカという国は、愛を、その行き着く先を、見失っているのではないだろうか。
[DVD(字幕)] 1点(2010-09-16 23:53:19)(良:4票)
223.  華氏911
この世界に生きる人間にとっての最大の恐怖は「無知」なんだと思う。  当たり前であるが、この世界は様々な人間の様々な感情や思惑に溢れているわけで、そのすべてを知り得るということは間違いなく不可能である。 しかしそれでも、知らなければならないことは物凄く沢山あり、そしてその一部は少数の明確な意思によって誤魔化されている。  そういう多くの事実を「知らない」で生きていくことは、非常に恐ろしい。  この映画自体、マイケル・ムーアという一人のアメリカ人の意思で作られている以上、これのみをもって単純に鵜呑みにすることは至極危険であろう。 それは製作者であるムーア自身がもっとも良く分かっていることであり、決して彼はこの映画の意思を大衆に押し付けようとはしていない。  しかし、事実による彼の明確な意思は理解できるし、ベースとなるこの現実を世界の人々は知らなければならない。  人間として「恐怖」におののくことは実に自然なことだ。 必要なのは、今自分を取り巻く恐怖の真意を知ることだ。
[DVD(字幕)] 9点(2010-09-16 23:47:53)(良:6票)
224.  デビルマン 《ネタバレ》 
まったく……。一番目のレビューとして申し訳ないが、言わせてもらいます。  これほどまでに“胸糞が悪い”映画は観たことがない。 日本映画でヒーローものの娯楽映画だから“くだらない”だけならまだ許せるだろうが、娯楽映画としてこれほどの醜悪さはまさに憎むべきものだ。 もう何が悪いどこが悪いと指摘するのも虚しい。まともな神経で作ったとは思えないし、観る側もまともな神経では耐えられないものだ。  上映前の暗がりの中、一人の老人がおぼつかない足で劇場に入ってきた。 そして彼は、クライマックス前もっとも下劣なシーンのところでさらに足元をふらつかせながら途中退席していった。 もちろんぼくはこの映画に何の関係もないが、何だかその老人に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。  まあ、とにかく、映画としてのあらゆる罪を犯した今作を許すことはできない。 そして、もし「この映画は庇護るにたるべき存在か」と聞かれれば…そんな愚問には答える気にもならない。
[映画館(邦画)] 0点(2010-09-16 23:43:52)(良:7票)
225.  名探偵ポワロ 第三の女<TVM>
「第三の女」と聞くと、いかにも謎に満ちあふれた女の存在をイメージしてしまうが、実際に描かれる設定は、ルームシェアをする若い女性たちの中の”3番目”の女に、同じアパートに住む老婆の殺人疑惑が生じるというもの。  ミステリーのとっかかりはとてもミニマムだ。しかし、名探偵エルキュール・ポワロが事件に絡み合う人間模様を追求していくにつれ、過去のトラウマ、莫大な遺産相続と人間の隠された思惑が拡大していき、「真相」が謎の中に入り込んでいく。  このところ3作品連続して英国のテレビ映画シリーズ版“ポワロ”を観ているが、やっぱりとにもかくにも、デヴィッド・スーシェのポワロぶりが抜群だ。  デヴィッド・スーシェが演じるポワロの存在感が凄いのは、事件を解き明かしていく様、事件を解き明かした後の様に、何とも言えない愁いを携えているところだと思う。 物語においてメインに描かれるのはもちろん「事件」だが、決してそれに映画全体が支配されるわけではなく、要所を主人公である名探偵がしっかりと押さえている。それを成しているのが、デヴィッド・スーシェの存在感だと思う。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-09-16 12:21:16)(良:1票)
226.  天然コケッコー
登下校の何気ないひと時、遠い昔の記憶は、いつも奇跡のように思い出される。 それは、全校生徒が数人しかいない田舎の小中学校に通っていなくても、誰しもが持つ経験だと思う。  この映画は、単純に田舎の純朴さや雰囲気の良さを描いているのではなくて、そういったすべての人が持ち得る「遠い記憶」の何にも代え難い「価値」を描いていると思った。  主人公の中学生たちは、決して人間として完成なんてされていない。当たり前だ、中学生なのだから。 そんな彼らが、まわりの人間や自分自身の言動によって、喜び、傷つく。 全編通して、それほど大きな事件が起こるわけではない。むしろ「何もない映画」と言えるかもしれない。 しかし、日々の生活の中のたった“一言”が、彼らに生活の中では大事件であり、心は大きく揺れ動く。  きっとそれは誰しもが経験し、成長とともに徐々に薄れていく感受性なのだろう。 でもそれは全く無くなってしまうわけではなくて、それぞれの人間の奥の方に、ずうっと残り続ける。 そんな感覚をそっと思い起こさせる映画だった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2010-09-05 08:54:02)
227.  サロゲート
相変わらず精力的なブルース・ウィリス、その最新主演作の予告編を映画館で見たのは覚えているのだが、この映画がいつ上映開始されていつ終了したのか、まったく把握できていなかった。そうしたらいつの間にかレンタルショップに並んでいて、「え、もう出たの?」と思いつつ、早速レンタルしてサクッと観た。  なるほどね。という印象。 どうやら「アバター」と同時期に劇場公開されていたらしく、題材的にも完成度的にも、あのモンスター映画に踏み潰されてしまったのだろう。  近未来、複製アンドロイド、人類滅亡の危機……用意されているだろうプロットは容易に読めて、危機を救う主人公役がブルース・ウィリスとなれば、殊更にどういう映画かということは想像がつく。 ただそれでもこの手のSF映画は嫌いじゃないし、最近ブルース・ウィリスの娯楽映画俳優としての評価が個人的に急激に高まっているので、期待は程よく大きかったと言える。  近未来の街並を描く映像美は洗練されていたし、アンドロイド版のブルース・ウィリスが気持ち悪いくらいに若々しく、フサフサの金髪を携えた様にはイロイロな意味で面白味があった。  しかし、この手の映画は既に出し尽くされてしまっていることは言うまでもなく、新しさも、インパクトも無かった。  主人公と妻のすれ違いの様や、同僚のFBI捜査官のキャラクター性がもう少しパーソナルに描かれれば、ストーリーに深みが出て、それがオリジナリティーに繋がったかもしれない。 89分という尺の短さや、公開時の他作とのバッティングなど「制作」というよりは「製作」の面で力の抜き加減が大いに目立つ映画とも言える。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2010-08-30 23:39:09)
228.  グッバイ、レーニン!
有史以来、人類が積み重ね経てきた数々の歴史的分岐点。一つの政治判断に伴う変化により、人々の生活が一変したということは、世界中でそれこそ星の数ほどもある。 そのすべてに共通して言えることは、影響下にあるすべての人々が何の不満もなく受け入れた「変化」などただの一つもないということだと思う。  「東西ドイツの統一」にしてもまさにそうだったのだろうと思う。 分断された国が一つになるなんてことは、表面的な聞こえの良さの反面、非常に根深く絡み合った数々の問題が渦巻いていたはずだ。  そんな歴史の過渡期に生じた大渦の中で、或る一つの小さな家族の「愛情」と、家族を想うからこそ生じたあまりに無謀な「嘘」を、とてもユニークに描き出した映画だった。  東西ドイツの分断と統一の歴史的実情をもう少し詳しく知っていれば、おそらくもっとこの映画が描き出す複雑な心模様を掴めたのだろうと思い、自分の無知が少し悔しい。 ただし、そういう知識が無くとも、息子が最愛の母親を想う気持ちはひしひしと伝わるし、またそれを受け止める母親の気持ちにも最上の感慨深さが残る。  取り巻く社会の劇的な変化の中で生きる若者の心情。ただでさ多感な思いは、大きく揺れ、動き、一つに定まらなかったろうと思う。 それが、母親のための無謀な嘘を貫き通そうとすることで、ある意味クリアになり、また定まらなかった自分自身の意志自体が統一されていった。  その息子の成長を見て、母親は「素晴らしいわ」と遺したのだと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-30 23:37:34)
229.  月に囚われた男
月世界の静寂の中で響く繊細な旋律が印象的な映画だった。 美しく響き渡る音色が、殊更に映画世界に満ちる“孤独感”を際立たせた。  月の裏側で唯一人、貴重な地下資源の採掘業務に従事する男。 孤独と望郷の念に耐え続け、3年間の任期終了まであと2週間に迫った時からストーリーは始まる。  主要キャストは、主演のサム・ロックウェル“一人だけ”だということは認知していたので、果たしてこの性格俳優の「一人芝居」でどのように映画を転じさせていくのか。 もしかすると、物凄く地味で独りよがりな映画なのではなかろうか、という疑念も持ちつつ、映画の「試み」に対して非常に興味深かった。  しかし、その想定は数奇なSFスリラーの展開により、良い意味で裏切られた。  アイデア自体は「奇抜」という程では無いのかもしれないが、“驚き”への導き方と見せ方がとても巧い。 一人の男の淡々とした描写から、突如スリラーの渦に放り込まれる感覚。そのストーリーの転換を、決して映像や音響の急激な変化に頼るのではなく、一つの「視点」の変化のみでさらりと、だが劇的に成している。  そして、このSF映画が素晴らしいのは、ストーリーにおける“驚き”が映画のハイライトではないということだ。 “驚き”はスパイス的な一要素に過ぎず、そこから始まる悲哀に溢れたドラマこそが、この物語の核心となる。  主人公に課せられたあまりに残酷な運命。 それを受け入れる様、それに抗う様、相反する“二つの姿”の在り様こそが、この挑戦的なSF映画の深さであり、面白味だと思う。  SFとは科学的空想であり、だからこそ、そこには人間の心理描写が不可欠だと思う。 人の精神と科学が結びつき交じり合い、無限なる世界が創造される。  手塚治虫の「火の鳥」や、藤子・F・不二雄のSF短編漫画を彷彿させる、広大な奥行きを備えたSF映画だ。
[ブルーレイ(字幕)] 8点(2010-08-30 23:10:24)(良:2票)
230.  さくらん
軽く酒に酔った雛祭りの深夜、ふらりと立ち寄った映画館で、“色”と“艶”に包まれる。 圧倒的な“感覚”に元々の“酔い”は益々広がり、吸い込まれていった。  遊郭の女たちのパワーとモロさ、そしてどうしようもない切なさが、極彩色の映像美の中でめくるめく。 もちろんそこは、華やかさの反面くるおしいほどに「不条理」だが、何かそれ以上に本質的な“美しさ”を感じた。 どうやったって“生き抜く”ということの美しさ、想いを通すことの美しさ、女の根本にある絶対的な美しさ、そういうあらゆる「美」がビジュアルのそれ以上に伝わってきた。  映画初監督となった写真家・蜷川実花の“創造性”は「本物」だ。すでに「完成」されている安野モヨコの原作を、映像作品としてさらに「完成」させてみせたチカラに文句のつけようはない。 さらにそこに、音楽の椎名林檎、主演の土屋アンナが加わり、交わり、今や“ジャパニーズ・ガールパワー”の先頭をぐいぐいと走る才能による物凄い映画が誕生したのだと思う。  雛祭り。まさに“女の祭り”、その夜にこれほどふさわしい映画はなかっただろう。
[映画館(邦画)] 10点(2010-08-28 14:48:26)(良:1票)
231.  パプリカ(2006)
極彩色(いや、もうこれは極楽色とでも言うべきか)に溢れる映像美、“可愛らしさ”と“気色悪さ”が絶妙のバランスで同居するそのビジュアルワールドは、「夢」を表現するにはふさわしく、映像美だけでグイグイと引き込む。 益々進化し続けるジャパニメーションのクオリティには、もはや感嘆するしかないだろう。 が、相変わらずというか、なんというか、やはりストーリーそのものに物足りなさを感じる。 複雑に難解に物語を入り込ませ、そのくせ核心となるテーマ性は中途半端で、チープさすら感じてしまう。 目まぐるしいまでに疾走するビジュアルに、ストーリーが追いついていないような。そういう印象を近年のアニメ映画に、よく感じてしまう。 今作の場合、「夢」という普遍的でありながら複雑怪奇な素材を展開しているわけだから、ストーリーの展開自体はもっとシンプルでも良かったかもしれない。 それにしても、この「夢の世界」を原作者・筒井康隆はどう文体化しているのだろう。とても気になるところだ。  まあそれはそれとして、繰り返しになるが、ビジュアルのクオリティの高さは物凄い。めくるめく“混沌”の世界にただ包み込まれることは、それはそれで一興だろう。
[映画館(邦画)] 6点(2010-08-28 14:47:59)
232.  蟲師
原作の漫画を知ったのは、もう6年くらい前になるだろうか、それから1年に1回のペースで単行本が出ているのだが、いつもふと書店に立ち寄った時に偶然発刊しているのを見つけるという、個人的に不思議な関係性を持つ漫画なのだ。 作品の世界観自体もとても独特で、「蟲」という異形のものにまつわる物語が、水のように、風のように流れ込んでくる。ストーリーは主人公・蟲師ギンコのひたすらな旅と共に展開されていくのだが、読者もその旅を共にしているような感覚を生む。  漫画の映画化がもはや蔓延化している今、この漫画が映画化されるのは必然と言えよう。が、だからこそ「映画化」に一抹の不安を覚えたことも事実。 初めて実写映画のメガホンをとる大友克洋、今や映画俳優の先陣をきるオダギリジョー、蒼井優の共演というとても魅力的な要素があったとしても、その不安は拭えなかった。  そんなわけで観た映画だったのだが、結果としては満足できるものだったと思う。 美しい映像感覚は原作の雰囲気を感じさせたし、巧いキャスト陣は特異な世界に見事に息づいてみせた。 独特の間を持つ原作なので、実写に転用した際に少々間延び感は出てしまっている気はするし、ラストの顛末に少し尻すぼみな印象は残ったが、それもこの原作の“リズム”からすればアリなのかとも思う。 
[映画館(邦画)] 6点(2010-08-28 14:45:25)
233.  バベル
「言葉」をバラバラにされた不器用で愚かな人間の生む「混乱」。それはすなわち、この“世界”自体のそれに直結する。 鬱積する空気の中で、登場人物たちは、ひたすらにもがき苦しむ。一体、その先に見えるものは何なのだろうか。 この作品が顛末で伝えるものは、「光」なのか「闇」なのか。その答えは、きっと誰にも不確定で揺れ動くものだろう。  それにしても、映画として外国人が外国人を描き出すことは、やはり難しいものなのだろうということを、改めて実感した。 日本人なので、どうしても日本のシーンが気になるのは否めない。この監督の独特の毒々しさというものも多分に影響しているのだろうが、「混沌」ぶりがあまりに常軌を逸している印象を受けた。アカデミー賞にノミネートされた菊池凛子は確かにモノスゴイ演技をしていたと思うが、女子高生役というのは無理があった気がする。体を張った演技が必要だっただけに尚更にそう思ってしまった。(まあ外国人には日本人は総じて幼く見えるらしいから問題なかったのだろうが)  グローバルな人間の本質を描き出すテーマ性は、濃厚だったと思う。 が、全体的に毒々しすぎるというか、“おぞましさ”みたいなものを必要以上に感じさせる映画だったとも思う。 それこそこの映画で監督が伝え描きたかった部分なのだろうが、観客にとっての“不快感”に達するかどうかは微妙なラインだろう。
[映画館(字幕)] 5点(2010-08-28 14:39:21)(良:1票)
234.  スパイダーマン3
サム・ライミという映画監督が描き出したこのスパイダーマンシリーズは、「ヒーロー」が必ずしも“完全無欠”ではなく、主人公のピーター・パーカーをはじめ登場人物たちがそれぞれ“未完成”であるということが、何よりも映画としての価値を高め、量産されるアメコミヒーロー映画の中で頭一つ抜け出した存在位置を確保し得た要因だと思う。  「スパイダーマン」というどこからどう捉えてもヒーロー映画的なタイトルを掲げながら、実のところは、ピーター・パーカーを中心とした成長映画であり、青春映画だったのだ。 そして、サム・ライミのシリーズとしては「完結編」であろう今作は、そういったこれまでの要素にふさわしいキャラクターたちの“葛藤”をとくとくと描いた作品に結した。 “ヒーローであることに対する慢心”、“ヒーローが恋人であることによる嫉妬”、“ヒーローに傷つけられたことに対する憎悪”、それぞれの人物たちが未完成だからこそ起こり得る心の乱れと苦悩。それらはまさに「スパイダーマン」で監督が描きたかった本質だと思う。  とまあ、概ね満足感は高い映画だったが、完結編の性なのかどうにも“詰め込み過ぎ”な印象もあった。 “ハリーとの対決”、“サンドマンとの対決”、“ベノムとの対決”、“MJとの確執”、そして“自分自身との対決”と、何せ今作のスパイダーマンは忙しすぎた。そのせいか、前作までと比べると明らかにテンポの悪さを感じてしまったことは否めない。ピーターが壊れていく様など、もちろん必要な描写ではあるけれど、少々くどかったのではないかと思う。  が、しかし、ヒーロー映画に不可欠な“テンポの良さ”やそれに伴う単純な“爽快感”に負荷を与えてでも、キャラクターたちの描写に力を入れたことこそ、このシリーズがただのヒーロー映画に留まらなかったことの「証拠」であろう。
[映画館(字幕)] 7点(2010-08-28 14:35:11)(良:1票)
235.  アイ・アム・レジェンド
ウィル・スミスは一体何回地球を救えば気が済むのか。 と、もはや“はまり役”とも言える”救世主役”をウィル・スミスがいつものように陽気にこなすエンターテイメント大作だろうと気軽に構えていたのだけれど、想像以上に「恐怖」に溢れた作品だった。  この映画での最たる「恐怖」。それは、全世界を滅ぼす細菌の恐怖でも、闇の中から急襲してくるゾンビ化した感染者たちの恐怖でもなく、たった一人世界に残されたという「孤独」に対する恐怖だ。  愛する家族を皮切りに、周囲の人間が次々に失われていき、ただ一人世界に残された男に与えられたものは、果てしない絶望と、愛犬のサム、そして「残された世界を救う」という盲目的な使命……。  悲壮感に溢れつつも、決していつものノリも忘れないウィル・スミスは、主人公としてバランスがよく安定感があった。 映画の大半を一人で立ち回ることができるのも彼の俳優としての実力があればこそだろう。  エンターテイメント大作として申し分はない完成度は保っており、主人公が悪戦苦闘するアクション性と共に、孤独に対する悲哀にも溢れ、一辺倒ではない映画として仕上がっていると思う。 ただ、ゾンビ化した感染者についての伏線が中途半端に張られたままで解消されていなかったり、そもそもの原因となるウィルスについてやや説明不足な感も残ったのは、残念。  まあ、とにもかくにも、今後ともウィル・スミスには地球を救っていってもらいたいと思う次第。
[映画館(字幕)] 7点(2010-08-28 14:10:50)
236.  戦場でワルツを
戦争を描いた映画や小説の評において、「戦争の狂気」なんて言葉は、もはや常套句で、自分自身も何度も使ってきたように思う。 だが、実際問題、自分を含め多くの人々は、その言葉の意味をどれほど理解出来ているのだろうか。甚だ疑問だ。  「パレスチナ問題」は、ほとんどすべての日本人にとって、“対岸の火事”である。 重要なことは、先ずその自分たちの認識の低さを認めることだと思う。知ったかぶりでは、何も生まれない。  そういう「無知」な状態で観た映画であり、そうである以上、その視点からの映画の感想を述べるべきだと思った。  感じたことは、あの遠い国で繰り広げられ、今尚くすぶり続ける戦争において、人々の心を蝕むものは、もはや「狂気」などではないように感じた。 長い歴史の中で、繰り返される憎しみの螺旋、それを断ち切れない人間そのものの「業」だと思う。  だから、敢えて言わせてもらうならば、映画の主人公が抱えていた”心の傷”に対して、今更何を言ってるんだというような不自然さを拭えなかった。 問題は今この瞬間も決して解決していなくて、血を血で洗っている。そんな中で、この映画の表現は、本質的に非常に浅いように感じてならない。  特徴的なアニメーションは、映像表現としては素晴らしかったと思う。 ただし、最終的に「実状」を現実的な映像で見せてしまうのは、メッセージ性は別として、表現方法としてフェアではないと思った。
[DVD(字幕)] 3点(2010-08-28 13:45:34)(良:1票)
237.  アース
2008年一発目の鑑賞作品は、“地球”そのものをストレートに映し出したネイチャー・ドキュメンタリー。 昨年末から公開された予告編の圧倒的な映像を見て、「これはスクリーンで見なければならない」と心に決めていた。  今、立っているこの地球の美しさと壮大さ。それは、地球上に生きる誰もが、知るべき、“知られざる世界”だと思った。 すべての人間が、この実態を知れば、きっとこの惑星はもっと豊かさに溢れるのではないか。  この惑星に生存する幾多の生物、その誰のためでもなく、人類自らのために、この惑星の豊かさを保っていかなければならないと思う。
[映画館(吹替)] 7点(2010-08-28 01:18:34)
238.  舞妓Haaaan!!!
「IWGP」で池袋を、「木更津キャッツアイ」で木更津を、「タイガー&ドラゴン」で浅草を、それぞれの街の独自色をマニアックに抽出し、コメディドラマに昇華してきたクドカンが新たな題材として選んだのは、満を持しての「京都」。  主演に阿部サダヲを抜擢し、舞妓好きの常軌を逸したサラリーマンを,破天荒に描き出した様は、まさにクドカンワールドと言える。 ヒロインに柴咲コウ、ライバル役に堤真一と、配役的にも豪華な面々を揃え、花街の華やかさに彩りを添えている。  コメディ映画として笑いどころは全編通して繰り広げられており、ラストには心地よい爽快さも垣間見せるが、どうにも手放しで楽しめない雰囲気が残る。 それは、これまでの宮藤官九郎脚本によるコメディ映画においてもそれぞれ感じてきたことなのだが、映画の長尺になると、彼のコメディ作品は間延びしてしまう感がある。 「GO」「ピンポン」「69」などドラマ性の高い映画作品の脚本では、持ち前のコメディセンスと作品のドラマ性がバランスよく合致して、それぞれ優れた脚本力を見せつけてくれる。 しかし、「木更津キャッツアイ」の映画版や今作などコメディのウエイトが高い映画作品の脚本では、どこかテレビ的というか、深夜枠の範疇を越えられない感が残ってしまう。  もちろん、その独特のマニアック感がクドカンの脚本の面白味ではあるのだけれど、その面白味が映画作品の尺でも発揮された作品が生まれることが、今後の「期待」かもしれない。 
[DVD(邦画)] 4点(2010-08-28 01:18:02)
239.  人のセックスを笑うな
そもそも映画の評価など"個人的な価値観”の極みだと思っているので、この映画の場合、永作博美は悪戯な笑みが魅力的すぎて、蒼井優は久々に脇役ならではの素敵な存在感を放っていて、それだけでもう満足してしまうというもの。  全編通したまったりとした空気感の中で、息づくそれぞれの何気ないロマンスをぼやっと眺めているだけで、この映画は成立していると思う。 ただ、そういう雰囲気を楽しむ作品としては、少々尺が長い気もする。 ストーリー自体に特別な抑揚はないのだから、もう少しさらっとまとめてくれた方が、もっと心地よい余韻が残ったと思う。  あと主人公である永作博美演じるユリの人間性を終盤もう少し描いて欲しかった。 ミステリアスで魅力的な美術講師としての存在感はとても素晴らしかったけど、結局彼女はどういう人間なのか?という部分が曖昧なままで、その心象風景が見えてこなかったのは残念だし、そういう部分が思ったよりも感情が揺れなかった原因だと思う。 終盤の露出が減り、最終的に蒼井優に食われてしまった感がある。その辺りの切替えが監督の狙いかどうかは分からないが、この作品の場合は永作博美の「存在」を最後まで押し通すべきではなかったかと思う。
[映画館(邦画)] 6点(2010-08-28 01:09:42)(良:1票)
240.  マイ・ブルーベリー・ナイツ
「2046」以来、久方ぶりにウォン・カーウァイの映画を観た。この映画監督の味わいを思い出すと共に、自分が彼の作品を大好きだったことを思い出した。  ストーリーに深みがあるわけではないが、映画自体が薄っぺらいわけではない。 それは、登場するキャラクターの息づかいと振る舞いを、独特の映像世界の中で丁寧に映し出しているからだと思う。 何気なくも美しいものを、確実に美しく描き出すことに、この映画監督は長けているのだ。 映画初主演のノラ・ジョーンズを筆頭に、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン、この映画に出演するそれぞれの女優は、もちろん確かに美しい。ただ、描き出されるものは、ビジュアルを超えた彼女たちの内に秘められた絶対的な美しさだったと思う。 その言動を見ているだけで、ただ幸福になる感じ。それはイコール、映画を観るという「幸福」の本質的な部分だと思う。  自分の好きな映画が、良い映画。映画に対する価値観とは、本来そういうものであり、それ以上でもそれ以下でもない。 ただ、春の夜に、温もりと甘さに溢れた空気に包まれる。
[映画館(字幕)] 8点(2010-08-28 01:09:12)
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