221. キャタピラー
《ネタバレ》 寺島しのぶさんの鬼気迫る演技は圧巻です。しかし、脚本がそれに追いついていない印象を受けました。 反戦映画として、戦争の悲惨さを訴えるねらいはよくわかるのですが、歪んだ夫婦の物語を無理矢理反戦というテーマに繋げたようにしか感じられませんでした。 この映画では戦争に行く前の夫婦の生活がほとんど描かれていません。「戦争によって幸せを引き裂かれた夫婦」を描きたいのであれば、四肢をもがれる前の生活描写は必須だと思います。さらに劇中で夫が以前から暴力を振るっていたことがわかるので反戦のテーマよりも夫の人間性に対しての嫌悪感ばかりつのります。性描写を執拗に何度も描くよりも、心理描写を大事にして夫婦に感情移入できる余地があればより良い映画になったと思うのですが・・・ 元ちとせが歌う「死んだ女の子」は反戦を訴える楽曲として素晴らしいのですが、歌詞を画面に見せるわりには、映画の内容にあっていないと思います。せめて歌詞の「女の子」にあたる少女を劇中に登場させても良かったのでは。 役者の演技を期待する方以外にはあまりおすすめできない内容だと感じます。「嫌悪感」以外にもっと描くべきものはあったはずです。 [映画館(邦画)] 4点(2010-08-06 19:48:17) |
222. クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦
《ネタバレ》 実は初めて劇場で観たときはちょっと物足りなさを感じていました。春日部防衛隊やひまわりがほとんど活躍していなかったりすることもあるのですが、何よりもラストの「死」が唐突なものだと感じたからです。 でも再度観たら全然違う印象になった。しんのすけは命を存続させただけではなく、彼や周りの人間をちょっとだけ変えていて、戦争や死があふれている世界の中で彼らの人生をよりかけがえのないものにしていた、と実感できたからです。 さらにしんのすけは全然戦争や死を知らなかった、これはしんのすけが愛する人の死を知るまでの物語でもあると思う。人の死で安易に涙を誘わせる映画とは全く違います。 ラストの余韻も素晴らしく、争いのない世の中が幸せであることを教えてくれる映画です。傑作。 [映画館(邦画)] 9点(2010-08-03 23:07:19)(良:1票) |
223. 虹の女神 Rainbow Song
《ネタバレ》 タイトルが大仰というか、ケータイ小説っぽさを感じて敬遠していたのですが、評判通りの隠れた良作です。 役者の存在感が素晴らしく、特に上野樹里のさばさばとした演技は魅力たっぷり、「ファーストキスまで奪いやがって~!」のシーンの体当たり演技がいい。劇中の映画もいい。本当に大学生が作ったような映像で、リアリティがあります。 ただ、ほかの方も言っているように4章の話が浮きまくっているのは気になりました。エピソードとしては面白かったけど。 監督は別の方ですが、岩井俊二節が炸裂している作品なのでファンなら是非観ておくべきです。 [DVD(字幕)] 8点(2010-08-03 22:54:04)(良:1票) |
224. クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望
《ネタバレ》 あれ評価低い。アクション描写がうまく、テンポがよく、終わったと思ってもまだ続く物語の構成などなかなかのものだと思うのですが。故・富山敬演じる悪役の気持ち悪さなんか最高です。 どうでもいいですが自分はこどものころ、下品なタイトルのおかげで「うんこくさいーうんこくさい借りたいよー探してよ」とレンタルビデオ屋で連呼して母親を困らせたことがあります。母ちゃんごめん。 [ビデオ(邦画)] 7点(2010-08-03 22:51:50) |
225. クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険
《ネタバレ》 子ども向けの映画ということを意識して作られたしんちゃん映画だと思いますが、これもかなり良い作品。「トッペマ・マペット」や「スゲーナスゴイデス」なんかのネーミングセンスが好き。 しんのすけが戦うことを躊躇する描写があるのですが、どんどん成長が見られるのがいい。 ラストのおっかけっこがよく話題にあがりますが、本当何度観ても飽きません。特にひろしが「こんなもの、欲しけりゃくれてやる!」って言った後のアレには大爆笑!ババ抜きの劇画シーンや、ぶりぶりざえもんが「しんのすけを裏切り相手に寝返る」とほざいたシーンなど今も思い出し笑いがでそう。それでいて、ひろしが言う「今俺達の息子が、少し大人になったところだ」も名言。本当好きなシーンばかりです。 しかしス・ノーマンやマリオネットになった両親は子どもにゃ怖すぎ。 [DVD(邦画)] 8点(2010-08-03 22:49:32)(良:1票) |
226. パラサイト
個人的「ばかばかしい内容なのに、ついつい見ちゃう映画」NO1です。 学園がエイリアンに乗っ取られる?どうするいじめられっ子の主人公と仲間たち!とストーリーもごっついシンプル。 ・エイリアンは人間になりすます。一体誰に? ・○○もヤツラの仲間に! など、サスペンス部分が非常に楽しくできています 主人公のイライジャ・ウッドをはじめ、ジョシュ・ハーネットや、ターミネーター2の液体金属の人など出演者が豪華なのも魅力のひとつ。頭使わないで観れる映画を探しているときにおすすめです。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2010-08-03 22:46:05) |
227. どろろ
《ネタバレ》 原作ファン、邦画ファン、妻夫木ファン、柴崎コウファンの全てを敵に回しそうな映画。最低な映画の上にグロいシーンで不快になるのは奇しくも「デビルマン」と一緒です。 はじめの蜘蛛の妖怪あたりのシーンはがんばっていたのにその後の戦闘シーンはしょぼい、百鬼丸に魅力のかけらもない、極めつけは大人の女しか見えない柴崎コウが「俺が大泥棒のどろろ様よ~(ポンポン)」・・・MWといいガラスの脳といい手塚治虫先生原作の映画はなぜ駄作ばかりなんでしょうか。 [DVD(邦画)] 1点(2010-07-26 19:47:11) |
228. GOEMON
《ネタバレ》 映画前半は結構面白かった。月をバックに「よっゴエモン!日本一」と言うオープニングには笑ったし(ET?)、過剰なまでにスピード感のあるアクションも楽しい。でも後半で失速しまくり。子どもに非暴力を訴えておきながら、馬に乗って敵を惨殺しながら疾走するって、そりゃなんだ?脚本が後半に行くにしたがって支離滅裂になったのは残念でした。 [DVD(邦画)] 4点(2010-07-26 19:38:19) |
229. デス・プルーフ in グラインドハウス
当方、「ずっこける」という体験をしたのはこの映画が初めてです。ラストシーンが色んな意味で凄まじく、誇張でもなんでもなく自分は椅子からずり落ち、観客からは失笑のようなどよめきが聞こえました。映画館でのかつてない一体感。あんな体験は二度とできないと思う。DVDでは趣味が悪そうな友達とお菓子食べながら観ることをお勧めします。 [映画館(字幕)] 8点(2010-07-26 19:33:47) |
230. ウォーリー
《ネタバレ》 名場面だらけの大傑作。 序盤は台詞なしで主人公の孤独感、世界観を入念に描いていて、ウォーリーがイヴに対する気持ちにより共感できます。機能が止まってしまったイヴに献身するウォーリーは本当に可愛い。 そして後半は舞台が変わりニート人間だらけの宇宙船へ。「私たちは生き延びたいんじゃない、生きたいんだ!」という艦長の台詞がいい。 コンピューターがダンスの解説をしながら、ウォーリーとイヴが宇宙空間を飛び回るシーンなんて最高です。 ここまで無駄なくエンターテイメント性とメッセージ性を兼ね備える脚本は本当にすごいと思う。 [映画館(吹替)] 9点(2010-07-26 19:26:45) |
231. トイ・ストーリー2
《ネタバレ》 「3」を観てから再見すると、3への伏線を上手く張っていることが分かります。 プロスペクターが「アンディも大人になる」とウッディに忠告するシーン、ウッディがアンディが大人になることを分かって「今を楽しむしさ」とバズに言うシーン、NG集でプロスペクターがバービーに「3に出してあげるから」と口説くシーン(笑)などなど。 なによりもジェシーの回想は「忘れられたおもちゃは悲しい」というメッセージが込められている切ないシーンですが、この作品では「じゃあ僕たちおもちゃを持つ人間は、どうしたらいいの?」というところまで踏み込んではいません。 そしてその答えは3のラストで提示される。なんて素敵な布石!改めて トイ・ストーリーという作品の素晴らしさを確認できました。 ◆ちなみに一番好きなシーンはスターウォーズをパロったあげくに、偽バズがザーグお父さんと遊んでいるシーンです。可愛すぎる。 [CS・衛星(吹替)] 9点(2010-07-26 19:24:42) |
232. デビルマン
《ネタバレ》 これほどやっちゃった感がある映画も少ない。 自分の先輩に「やらないで後悔するよりも、やって後悔するほうがいい」ということを教えてくれた方がいるのですが、価値観を変えれると思うので是非見せたい。 支離滅裂で原作を中途半端に模倣しただけの脚本、その残飯のような脚本をさらに台無しにする大根演技には目も当てられない。プレステ並みだと揶揄されるCGのシーンも「やー」とか「うー」という気合いのない声が入っていてTHE学芸会な出来に。 ショボすぎるガンアクション、出てきた瞬間「でーもんばんざい」と言って殺されるKONISHIKI、スーツが似合わなすぎなボブサップなど見所は満載、小林幸子の登場なんてまるで予想出来なかった。展開の読めなさに1点。 [DVD(字幕)] 1点(2010-07-22 19:20:04) |
233. 宇宙ショーへようこそ
なんとも楽しい作品・奇想天外な宇宙人の造形や世界を見るだけで幸せになれます。特に宇宙人の「インク」の可愛さは半端なくて、「まかせとき!」という台詞で悶えること必死です。 惜しいと感じたのは悪役の描き方が中途半端で、伝わるものがなかったこと。説明不足なところは、月の裏側の世界がなぜ地球人にばれないのか、ということなどにも及んでいます。尺も長めなので子どもが劇場で観るのは少しつらいかも。 でもアニメーションならではの世界観を体験したいという方には文句なくおすすめできますし、楽しい修学旅行に行ってきたような感覚はなかなかのもの。もっと大規模で公開して欲しい! 劇中の子どもたちを、キャラクターとほぼ同年代の子役が演じていることにも驚きました。感情の入れ方が上手く、それを感じさせません。 [映画館(邦画)] 7点(2010-07-22 19:14:19)(良:1票) |
234. インセプション
難解な作りなので、映画にわかりやすさを求める人には向いていない作品。なんとなく観る前は「夢の世界」という点でドラえもんの「のび太と夢幻三剣士」のような映画を想像していたのですが、それよりもかなり複雑です(比べるのもどうかと思うけど)。「夢の中の夢」が多層にあるというアイディアは面白いのですが、オープニングからろくに説明もなく展開するのでついて行くのがやっとでした。 ヴィジュアルはかなり面白くて、特に廊下での格闘シーンはニヤニヤできます。こんなにも疲れる映画にもかかわらず、再度観たくなる魅力を持っています。が、手放しで褒めるには構成がひどく不親切に思えたし、クライマックスが長めでダレるので惜しいという印象を持ちました。音楽が素晴らしいので音響の良い映画館で観るのがお勧めです。 [映画館(字幕)] 7点(2010-07-20 17:16:58) |
235. 嫌われ松子の一生
《ネタバレ》 「逆ビッグフィッシュ」のような映画。主人公の物語は本当にあったことであり、彼女が現実ではない夢を見るのはラストのみです。どんなに不器用ながらにも生きて、現実をきらびやかに描いても、実際に松子が望んでいたのはこのラストシーンのことだけだったと考えると涙が止まりません。 現実とはかくもつらいものだけど、彼女はその現実をずっと見つめていました。だからでこそ、やっとラストの台詞が言えた松子に「おめでとう」と言いたくなるのです。 [DVD(字幕)] 10点(2010-07-16 20:05:16)(良:1票) |
236. ビッグ・フィッシュ
《ネタバレ》 ティムバートン監督はファンタジー映画の名手であり、変人を愛する監督です。その彼がこの題材を選んだのは必然と言えるかも。 映画にでてくる父親はホラばかり吹いている変人で息子とは不仲。息子は徐々に父親を理解しようとする・・なんて、監督の理想の父親像そのまんまのような気がしてならないのです。 そんな監督だからでこそ、本当の恋に出会って時間が止まるシーン、水仙の花に囲まれて告白をするシーンを魅力的に描けるのでしょう。 息子が父にホラ話を語るシーンは涙なしには観れません。親と子の信頼と和解を描き、「人を幸せにするウソがある」と教えてくれたこの映画が大好きです。 [映画館(字幕)] 10点(2010-07-16 20:00:09)(良:2票) |
237. ショーシャンクの空に
《ネタバレ》 一番好きな映画。アラを探そうとすれば、年月を感じさせる描写が少ないだとか、レッドがハーモニカを吹くシーンが欲しかったなどいろいろあるのですが、全体をみれば言うのは野暮なこと。ゆるぎない完成度の高さを誇っています。囚人たちのエピソードの面白さ、名シーンの数々、これ以外は考えられない素晴らしいキャストを思えば満点以外に考えられません。 印象に残っているのは主人公が「ついていないな、不幸がこんなにも恐ろしいとは」とレッドにつぶやくシーン。自分は不幸だと感じる人は世の中にごまんといて、その全ての人が共感できる台詞です。だからでこそ、希望を捨てなかった彼の行動に勇気づけられるのです。 「午前十時の映画祭」で、ラストの青い海をスクリーンで観れて幸せでした。最高! [映画館(字幕)] 10点(2010-07-16 19:58:21) |
238. パラノーマル・アクティビティ
《ネタバレ》 微妙な評価が多いこの作品、自分は結構好きです。定点からの映像をじーっと見せて、「時間」で怖がらせるのも上手い方法です。でも寝室の扉は閉めたほうがいいよね。 [映画館(字幕)] 6点(2010-07-16 19:55:02) |
239. ダンサー・イン・ザ・ダーク
《ネタバレ》 賛否両論の代名詞のような映画ですが、自分は猛烈に「賛」です。救いようのない悲劇的な内容ですが、主人公は息子のために行動できたのだから、その意味では幸せだと思います。少なくとも自分は愚かな主人公だとと言って簡単に否定できません。音楽が素晴らしく、列車のミュージカルシーンは何度も見てしまう。映像も線路と青空の対比が美しく仕上がっています。 でもラストシーンは好きではない。テルマの幸せな夢を、最後にも見せて欲しかったと思うのです。 [DVD(字幕)] 9点(2010-07-16 19:52:10) |
240. 少林少女
《ネタバレ》 コメディ映画なのに笑えるシーンが皆無なのはひどすぎる。全てが嫌いな映画なんで0点なんですが、他の0点とは違うニュアンスで最低だということを主張したい。◆とりあえず一番つっこみたいのは道場が放火されるシーン。そこでメラメラと燃える炎を見ながら道場の思い出をいきなり語り出すのです。消防車呼べよ。 [CS・衛星(邦画)] 0点(2010-07-16 19:50:50) |