2461. エル・マリアッチ
ロドリゲス監督こそ、“マリアッチ”だと思う。自由に歌い、自由に生きる。だから、給料はいらねえ、チップで稼いでみせる。とことんまで活きのいい、まさに快作。怪作とも言う。DVDにオマケとして収録されているメイキングなんて滅多に見ないけど、「いかに費用をケチって製作したか」を語り続ける本作のメイキングには、さらに感動も倍増(だからと言ってもちろん、本編だけなら半分の4点、という意味ではありません)。 [DVD(字幕)] 8点(2010-05-05 11:14:45)(良:2票) |
2462. 吸血鬼ドラキュラ
ブラム・ストーカーの原作からしてそうなんですけれど、そもそも、ドラキュラって、「誰から血を吸うか」は気にするけれど、「誰の血か」は気にしないんですね。オッサンから輸血した血でも、いいんですね。それはともかく、本作ですが、非常にコンパクト。ドラキュラとの対決と関係のない要素は、ことごとく削ぎ落されている感じ。そもそもこの吸血鬼譚は、ストーリーの発端が“辺境の地”にあり、その未開の不気味さが疫病とともに“都会”に蔓延していく、というところに怖さがあったと思うのですが、本作にはそういうのが一切無いですね。ひたすらコンパクト。ダメとは言わないけど、何となく、ドラキュラとヘルシングの間に「ご近所さん」的な慣れ合いを感じてしまうんですけどね。ま、それでいいんでしょう。あと、ドラキュラの最期は、なかなかの見もの。 [DVD(字幕)] 6点(2010-05-05 11:03:00) |
2463. 怪獣大戦争
ゴジラの「シェー」でお馴染みの本作(今回久しぶりに観るまで、その点以外はすべて記憶から飛んでました)。本作に続く「~南海の大決戦」では、ゴジラは鼻の横をポリポリ掻いて見せるのだから、これは要するに、「“イヤミ”と“加山雄三”は同レベル」ということを意味してます。すばらしい。さて今回のオハナシはと言いますと、キングギドラ退治のために、地球人に対し「怪獣のレンタル」を依頼してきたX星人。地球側の快諾を受け、ゴジラとラドンを連れ去ってしまうのですが、実はすべて地球征服のための計画だった、てな訳ですが。湖から引き上げられて宇宙船に連れ去られる、丸まったゴジラが結構カワイイんです。で、X星に連れて行かれたゴジラが例の「シェー」をやって見せる、これが全編の白眉(?)。再び地球に戻されたゴジラとラドンは、X星人の手先となり、破壊の限りを尽くすのでありました。とは言っても、暴れてる場所がド田舎で、古民家みたいなのばかりを破壊するのが、何だか弱い者イジメを観ている気がしてきます。そもそも、X星人、これだけの科学力があるのなら、「ゴジラとラドンをコントロール」なんぞというハンパな攻撃方法をとらないでもいいのでは?というのは言いっこなし、ですかね。それにしても、グレン飛行士。失礼かもしれないけど、その顔、なんとかなりませんかねえ、ははは。よく街でみかける、白人男性と日本人オネーチャンのカップル、オネーチャンの方は「私、バイリンギャル(死語)よ」「やっぱり付き合うなら欧米人よね」みたいな顔をしてますが、男の方は大抵、こういうグレン飛行士のような安っぽい顔してますね(笑)。欧米人なら何でもよいのか、と。我々日本男児は、この顔にも劣るのか、と。そういうオマエは一体何を怒ってるんだ、と。いや、怒ってませんけど、グレンの顔が、「シェー」以上のインパクトがあったもんで。そういう意味では(どういう意味?)X星のトーセーカンって、ほんとうに日本人っぽいよね [DVD(邦画)] 5点(2010-05-05 10:31:56) |
2464. 駿河遊侠伝 破れ鉄火
清水の次郎長が、一家をなしていく過程を描く第2作。あれやこれやエピソードを重ねていき、まとまりがつかなくなると思いきや、結構うまくまとめており、ラストはなかなか盛り上がります。しかし、子分どもを引き連れてあるく勝新をみていると、顔の丸さがひときわ目立ちますな・・・。ダイ・ラケ師匠の登場は、ちょっと悪乗りし過ぎか(さすがに勝新と睨み合いになると、ちょっと笑えない構図)。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-05 08:03:58) |
2465. ワールド・オブ・ライズ
原題がBody of Liesってんだから、ええと、どういう意味ですかね(笑)。邦題の方がカッコいいよ、“ウソの世界”。何がウソなのか、何でも疑ってみよう。もしかしてディカプリオの顎ヒゲは付けヒゲではないのか。あるいは、「監督:リドリー・スコット」とあるけれど、ホントは「トニー・スコット」ではないのか(これは意外に図星だったりして、と観てて思う)。人の命を何とも思わぬデブのアメリカ人:ラッセル・クロウと、アラブ世界と欧米世界の狭間に立つ冒険野郎:レオナルド・ディカプリオ。さらには、ディカプリオに美人のアラビア女性を当てることで映画に感情移入させよう、という、かつての安直なヒーローものによくあった設定。何やら判りやすい(判りやす過ぎる)構図ではあるけれど、これらを軸に、本作では、「これでもか」とばかりに映画の舞台を世界各地転々とさせることで、監督は必死になってこの作品の中に世界の「今」を刻み込もうとしているかのよう。そして現代においてはもはや、“アラビアのロレンス”は存在し得ないのだなあ、と。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-05-05 07:50:02) |
2466. ゴジラ対メガロ
ジェットジャガーについて:①必要に応じ、意思を持つ。さらに必要に応じ、「巨大化する」。必要がなくなれば「小さくなる」。また必要がなくなれば「意思も無くす」(意思を持とうという「意思」、あるいは意思を放棄する「意思」。なかなかパラドキシカルである)。②ゴジラと手振り身振りで会話する。ゴジラと握手する。要するにゴジラと「気が合う」。③1対2の不利な状況になると「逃げようとする」。④ロボットのくせに「痛がる」。------レンタル屋でウチの娘の狙っていた某作品がすべて貸し出し中で、次の候補として何故か娘が選んでしまったのがコレ。つまらないからヤメナサイと言ったけど、聞かないもんで、これもまあ自己責任、ということで、借りました。低予算でもオモロイ作品、ってのは世の中ありますけど、そこに「背負った看板の大きさ」みたいなものが加わると、どえらく迷走してしまう、という映画ですね。金も時間もない、でも、ゴジラ映画を作らないといけない。とりあえず登場人物は減らす。怪獣が暴れようと、ロボットが巨大化しようと、オハナシは事実上、3人の主人公の中で閉じています(この「薄さ」は、ちょっとシャマランの『サイン』に繋がるものが)。過去作品からの流用シーンが、露骨に流用っぽくって、何ともシュール。怪獣バトルは「羽交い絞め&ドロップキック」など、プロレスっぽくって、これは良い。え~良いのか? ダム決壊シーンと、カーチェイスは、これは間違いなく絶対に良いです。というわけで、無理にホめなきゃホめるところがない映画。とは言え、退屈は、しないですかね(と、また無理にホめてみる)。 [DVD(邦画)] 2点(2010-05-05 07:35:10)(笑:1票) (良:1票) |
2467. BEDHEAD
『エル・マリアッチ』のDVDの余白に入っている、ホームメイドな短編映画。たいていのDVDは「特典映像付き」と言っても「どこが特典やねん」と言いたくなるようなものが多く観る気もしないんですけど、こういうオモロイのをオマケしてくれてると、嬉しい限りです。内容はというと、ただのきょうだい喧嘩を、「そこまでやるか」という超能力バトルとして描いた作品で、すげ~おバカ。もちろん金かかってなさそう。でもアイデア満載。カメラがあって弟妹がいれば、こういう作品を作るチャンスは誰にでもある、あとは才能があれば。 [DVD(字幕)] 7点(2010-05-05 07:11:13) |
2468. サイン
夜の屋外、誰かが悪戯をしているらしい。メル・ギブソンとホアキン・フェニックスは、不届きな連中を叱りつけてやろうと屋外に飛び出すが、誰もいない。と、屋根の上に人影が・・・と言いながら、カメラはその人影の方を向こうともしない。この時点から感じる違和感。実際に宇宙人が襲ってきても、それは「手」だけであったり、主人公が取り落した「懐中電灯」であったり、とにかく宇宙人は姿を直接にはなかなか見せない。宇宙人や宇宙船は、あくまで、テレビの向こうの世界に現れる。世界各地に続々と出現したミステリーサークル(そういえば、ミステリーサークルも火の玉も、何でもかんでもプラズマで説明しようとしたアノ先生は、お元気なのでしょうか)。宇宙船は、ミステリーサークルが作られた場所に現れるらしい。そういやウチの庭にもこの間、ミステリーサークルが出来ていたな。ウチにも宇宙船が来るのかな。やだな。どっか他所に行って欲しいな・・・と言わんばかりの主人公。人類の危機だろうが何だろうが、あまり関心も無さそう。宇宙人の攻撃に備え、家の内側から板を打ち付ける。だが主人公の眼は、関心は、家の外部ではなく、ひたすら「過去」に向かっている。この作品、昔からよくある「立て篭もり映画」の体裁を借りてますが、こりゃまるで「閉じこもり映画」ですよ。一味違った映画、を目指していることは判るけど、ワタシには(ワタシにも?)面白くない作品でありました。意味不明の宇宙人の行動、鳩山首相になら理解できるか? [ビデオ(字幕)] 5点(2010-05-02 08:51:29) |
2469. ファウスト(1994)
コマ撮り、操り人形。さらには普通の人間の動作までも、細かいショットで切り取り、ひたすら非日常性を突き進む。短い映画なのに、奇妙なエンドレス感覚。1回観ただけでも何だか3回くらい繰り返し観た気になるよ。夢の中でうなされている気分。訳わからないまま、後半いや増すスピード感。そして、ちょっと「よくできたオチ」的なラストが、悪夢の連鎖を突如ぶった切り、ハッとさせられる。なんちゅう作品や。 [DVD(字幕)] 8点(2010-04-30 06:33:53) |
2470. 告発
重いテーマながらもあくまでファンタジーとして描いており、よーするに娯楽映画なんですけれども、でもそれがイヤミにならないのは、ケヴィン・ベーコンの、まさに執念の役作りのタマモノですね。クリスチャン・スレーターのややトボケたような人懐っこい表情との対比が、印象的。ただ、「経験の浅い弁護士が、絶望的な戦いに挑む」ってなオハナシだと思って観てたら、主人公の弁護士より数枚うわ手だと思っていた敵役連中が、いざ裁判になるとまるで形無しなもんで、不謹慎ながら「おいおい、刑務所側も、もっとガンバレ」と思ってしまいました、ハイ。ところで、噂には聞いていたけど実際にはお目にかかったことの無かった英語の慣用表現、「as cool as cucumber」ってのが、裁判シーンのセリフに出てきて、ついニンマリ。字幕では「氷のように冷静」となってましたが、直訳では「キュウリのように冷静」。これはかなり冷静そう。 [DVD(字幕)] 7点(2010-04-30 06:18:46) |
2471. ナイト・ウォッチ(2004)
「おめー誰だ?」「おら“ナイトウォッチ”だべ。そういうおめーは?」「おら“デイウォッチ”だべ」って感じの会話を、フツーのオジサンたちが繰り広げる。おロシア国からやってきた、ナウい映画。この地味さが、泣かせる。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-04-29 08:07:38)(笑:1票) (良:1票) |
2472. ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー
前作では、「異形の者の持つ哀しみ」みたいなものが作品の中にそこはかとなく表れていて、だからこそまた、ヘルボーイ氏のカッチョよさというものも際立っていたんですが。しかしこの2作目では、そういう「哀しみ」を、わざわざ強調し過ぎている気がして、いささか押しつけがましい。ちょっと残念。でも、次から次に現れるヘンテコキャラの数々についつい笑ってしまう、楽しい作品にはなっております。敵の宅八郎みたいな王子との、カンフーばりの殺陣も楽しい。そういえば、ヘルボーイ氏が赤ちゃんを抱いて走って逃げるシーンなんかを観てると、『九龍の眼』を思い出したりもして。あと中盤で、ヘルボーイとエイブが缶ビール飲みながら話し込む場面、ドタバタした映画の中で、心和むひと時ですね。冷静に観れば話し込んでる二人の顔、相当なマヌケ面なんですけれど(笑)。 ★2011/8/6訂正 ×『九龍の眼』⇒○『新ポリス・ストーリー』です、多分(また間違ってたらさらにアホですね。すんません。) [ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-04-29 07:45:05) |
2473. ファム・ファタール(2002)
《ネタバレ》 これはオモシロイ! 面白すぎてびっくりした。デ・パルマ、もうこれ以上の作品は撮れんだろ、あとはゆっくり、ラジー賞の受賞を目指して余生を送って下さい。一応ネタバレ表示しておくけれど、それでもストーリーに関しては語らない、語りたくない。語るほどのもんでもない、という気もするし(笑)。ストーリー(オチ)が面白いかどうかより、何がどうなっているのか、この先どうなるのか、映画にひたすら幻惑され続けるスリルこそが、本作の魅力。全部の手がかりをフェアに提示するゲーム性だけが良いミステリの条件とは限らないのです。お得意の長廻しに始まり、犯罪の過程が同時進行で描かれる、緊迫感に満ちた映画導入部。しかし、そこから先はもう、先の見えない、映画の迷宮です。映画中盤、バンデラスがフランス警察の取り調べを受けるシーンで、ここでも例によってカメラ長廻しが用いられます。結構長くカメラがまわっているのに、背景の壁掛け時計の時刻が一向に進まない。時計止まってるんじゃない、小道具さんのミス? いえいえ。その「止まっている」時計の指す時刻にご注目。ちゃんと意味があるのです! むしろ、(小道具さんの準備した時計は動かないのに)音声さんはちゃんと時計のコチコチという効果音を入れているのが、芸が細かいですな。本作の音楽は坂本龍一、ワタシ、このヒト、どうも苦手。苦手なのに、曲を聴くとイイなあ、と思ってしまうので、ますます苦手になる。って、これでは全然、苦手な理由になってませんけどね。いや本作の音楽も、良かったです(笑)。メインのテーマは、ラヴェルの「ボレロ」っぽいですが、どうもこういう音楽を聴くと、「ボレロ」よりむしろ、ヴォイチェフ・キラルの「エクソダス」とか、早坂文雄の『羅生門』の音楽を思い出してしまう。パクりパクられる、音楽の歴史。パクリと言うと人聞き悪いですけど。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2010-04-25 09:24:46)(良:1票) |
2474. 怪奇!吸血人間スネーク
原題が『Sssssss』と、やる気の全く感じられないタイトルですが。先年亡くなった作曲家マウリシオ・カーゲルの曲で『Rrrrrrr...』ってのがあるので、本作はその続編かと思いきや、本作の方が作られたのが先だったのですね。というのはどうでもいいコトですが。しかし、どうでもよくない点は、本作、映画版『ドクター・モローの島』(テーマ的に似た点がある)よりも先に作られているコト。この点だけは、大いに褒めておいてよいのではないでしょうか。何しろ、他に褒める点は、特にありませんし・・・。ヘビを研究している博士が、助手に妙な注射を打って、ヘビに変えてしまう、という、訳のわからない映画。助手役が、特攻野郎Aチームのフェイスマンことダーク・ベネディクト(懐かしいなあ)で、そのせいだか、そのせいではないのか、映画全体に何やらホモっぽい雰囲気があります。だからどうだという訳ではありませんが。あと、ジョン・チェンバーズが関わったというヘビ人間のメーキャップ、これは良くできているので、これも褒めておいて罰はあたらないですかね。こんな映画でも、リキの入ったメーキャップ。律義ですね、頭が下がります。 [DVD(字幕)] 5点(2010-04-22 23:05:04) |
2475. ガメラ対深海怪獣ジグラ
《ネタバレ》 日本の環境問題の歴史を語る際には、67年の公害対策基本法、70年の公害国会、71年の環境庁(現:環境省)設置、そして同じく71年の『ゴジラ対ヘドラ』と『ガメラ対深海怪獣ジグラ』、こういった点が重要なポイントとして挙げられます。ECO検定でもよく出題されるので、しっかり理解しておきましょう。さて本作、子供の頃には、ガメラがジグラの背鰭でガメラマーチを演奏するシーンが何とも楽しく、好きな作品だったのですが、その後何故か昭和ガメラの中では本作のみ、なかなか目にする機会がなく、久しぶりに観てみて・・・いやはや、こんなヒドイ作品だったとは(笑)。ジグラ星の宇宙船に囚われとなった親子。ジグラ星人は巨大地震を発生させ、人類に科学力を見せつけるのだけど、むしろ、宇宙船内のセットのショボさに、科学力の無さを感じてしまいます。さらに、ジグラ星人のおねーちゃんを翻弄する子供たち。しかも、その子供たちに向かってジグラ星人が言うセリフが「こらっ、チビッ子、待ちなさい!」なんだから、腰砕け。易々と親子は宇宙船から逃亡してしまう。「あの子供たちは宇宙船の秘密を知り過ぎた。消せ」というスケールの極端に小さい指令を受け、ジグラ星人のおねーちゃんは子供たちをつけ狙うのだけど、子供たちにぬいぐるみをぶつけられただけでひるんでしまう。もう、弱すぎ。いやもっとも、「どうもこのおねーちゃん弱過ぎると思ったら、実はジグラ星人じゃなくて、催眠術によってジグラ星人の手先となっていた地球人だった」ということが後で明らかになり、おお、実はすべて伏線だったのか・・・と感心するはずもなく。他にも、「どう見ても自衛隊の現場責任者」みたいなオジサンに「国連本部」から電話がかかってきて、日本語で元気よく応答、「お待たせしました、こちら防衛軍総司令官」というのにも、脱力してしまう。とにかく、驚くほど緊張感の無い映画です。でもこれも、貴重な貴重な、昭和ガメラの一本には違いなく、大事にしたいもの。って、何の義務感やねん。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2010-04-22 22:37:03) |
2476. ヘルライド
チョイ悪オヤジならぬ極悪オヤジどもの傍若無人ぶり“のみ”がひたすら描かれる、暑苦しさナンバーワンの映画。と言ってもオヤジばかりが出てくる映画ではなくて、お色気丸出しのオネーチャンが次々に出てきて、腰をふったりキャットファイトを演じたり。これまた暑苦しいばかり。要するにこの映画のテーマは、マッチョへの憧れ、マッチョへの幻想(あるいは幻影、あるいはもはや、幻覚か)。バイクを乗り回し、殴り合い、撃ちあう。オネーチャンが腰をふって迫ってきても、鼻の下を伸ばしたりはせず、余裕綽々。うーむ、すべてワタシにはマネのできないことばかりだナー。恐れ入るばかりでございます、だけど別に、こういうマッチョぶりに対して憧れる訳でもないので、正直、ついていけませぬ。でもいいじゃない、この、非日常の世界にみなぎる生気。何か知らんが、(とりあえず)明日への活力。内容がワケわからない分、映画を短くまとめているのも良心的だし(笑)。オヤジどものやんちゃな生きざまを、観よ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-04-22 22:03:39) |
2477. ヘルボーイ
いかつくてブサイクで、日々、魔物と戦ってギタギタにされても誰も褒めてくれなくて、それでもいちいちカッチョよくセリフをキメてみせるヘルボーイ氏。誰が何と言おうと、まさに彼こそがヒーローです。いや素晴らしい映画でした。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2010-04-19 03:01:28) |
2478. ロープ
くそ長い(疑似)ワンショット撮影で有名なこの作品。まるで子供が「何秒間マバタキをガマンできるか」意地になって競っているような作品ですが、ここで行われているのはそんな遊びとはまるで比較にならない大がかりな実験。スタジオ撮影の極限を目指したような、ほとんど曲芸のような作品で、その執念にはただただ恐れ入るばかりです。しかし、そりゃ映画の裏側の事情でしょ、という気もして、映画を観る立場としては、制約の多い不自然な映画、という気もしてきて、要するにこれは映画作家の自己満足じゃないのかい、という気がしてくる。もっとも、「この作品に関する限り、それは言わない約束でしょ」と言われそうですけれど。確かにこの作品、徹底した長廻しにより、独特の時間の流れがここには表現されているし、その中で繰り広げられる人間模様のモザイクの中から犯罪の痕跡が徐々に浮かび上がり、やがて「探偵役」と「犯人役」の対決へと結びついていく、という脚本の巧みさも、見事。しかしその一方で、限られた舞台という制約が、やや人間関係の描き方を肉薄にしてしまったのも否定できないかな、と。作品の創作にあたって、制約はあくまで「可能性」を示すためのものであって欲しい訳で、制約がそのまま制約と感じられてはマズいですよね・・・? という点では本作、やや制約に引きずられた面のある作品に思われます。しかし、「どーだ、これで、一般の作品でアタリマエのように用いられている“切り返し”の意義がよーくわかっただろ」と言われれば、「すみません、まだ全然わかりません、勉強します」としか答えられませんけれど。映画は本当に難しい。 [DVD(字幕)] 6点(2010-04-19 02:45:02)(良:1票) |
2479. 間違えられた男
冒頭、ヒッチコックが現れて、「いつもの私の映画とは違いますよ、これは実話なんですよ」みたいなコトをおっしゃる。その語り口は、どうも“熊倉一雄のモノマネ”に聴こえてしまうのですけれど(そりゃ逆だろ、と言われようが何と言われようが)。うーん実話の映画化か、“実話”という言葉に弱いのよね、ワタシ。しかし、これでもかという逆光の中に立ったヒッチコックに、オドロオドロしくそんなコト言われても、まあ、あまり真に受ける気も起らず(笑)。実際、映画の内容も、ある日突然誤認逮捕された男の話、これは確かに実際の事件に基づくのかもしれませんけど、その描き方としては、実話の重み、みたいなモノを強調することもなく、ただひたすら「日常にひそむ恐怖」をサスペンスフルに描きだす作品でして。その意味では、(そりゃまあ、警察から逃亡したり、組織からも追われたりといった派手さは無いとは言え)むしろ、「いやいやこれこそ、ヒッチコックさん、あなたらしい作品じゃないですか」と言いたくなります。ここでも披露される種々のカメラテクニックは、まさに虚構としてのオモシロさ。警察嫌いのヒッチ先生が、警察の失態をネタに、一本楽しんで作った作品、ってな感じですね。おかげで、映画後半の裁判の過程(普通ならココに力点置きそうなもの)は結構、いい加減に描かれてる気も。あくまで前半の恐怖にこそ、ヒッチ先生も感心がありそうです。しかししかし、正直言うと、アメリカの良心みたいな顔をしたヘンリー・フォンダが追い詰められていく光景というのは、結構、「いい気味だ、もっとやれ」という気持ちになってきてしまうのですけどね、うふふふ。 [DVD(字幕)] 8点(2010-04-19 02:11:57) |
2480. 赤い風船
この作品に関しては語る言葉を知らない。ただただ、泣けてしょうがない。特にラストはもう、いたたまれない気持ちになる(嬉しいんだか悲しいんだかわからない。とにかく泣ける)。何が何でも子供に見せたくなったので、4歳の娘と一緒に観る。娘も、喜んだり怖がったり、夢中になっておりましたよ。さらには0歳の息子も巻き込んでみる。うーむ。さすが反応は乏しいが、いやきっと、0歳なりに何かを感じているに違いない(ホンマかいな)。まだ観てない方は、とにかく観てください。 [DVD(字幕)] 10点(2010-04-05 22:54:45)(良:2票) |