241. 臨場 劇場版
《ネタバレ》 ドラマの存在も知らず観ました。あの明るさの中、街の通りに人っ子一人なく、降りしきる雨の中で倒れて両手を高く空に掲げる…なんか冒頭から凄くワザとらしい。続いて通り魔事件のシーン、逃げもせず一歩の後ずさりさえなくすべてを受け入れるかのようにナイフを受ける女のコ…ああ…完璧にテレビクオリティ…そして高嶋のあまりにもワザとらしい大根ニヒル演技…始まってものの数分で作品の底が見えてしまうような酷さです。 [DVD(邦画)] 2点(2013-05-04 01:58:12) |
242. 冷たい熱帯魚
《ネタバレ》 でんでんさんが持つ雰囲気がとっても活かされた映画ですね。でんでんさんじゃなかったら、ここまで引き込まれたのかどうか…違う人の演技でも見て比較してみたくなる気がしました。裏側にうっすらとアダルトチルドレンやDVのことを意識しますが、サイコキラーの話しとなるとこういうのはよくある背景。社本がバカ娘をひっぱたくシーンはスカッとしましたが、ラスト嫁さんを刺してからドッと冷めてついていけなくなりました。警察が店の駐車場にまでやってきて社本と接触した時から、なんだかこの作品の出来に不安を感じ始めていましたが、ラストで一気に期待を崩された感じです。刃物持って血まみれの男を放置して中に消える警察…なにそれ…娘の最後の態度、泣いたり悲しんだりじゃないのはいいですが、あまりにもバカ過ぎで醜く見えるだけ。社本の最後のセリフもあって、なんだか映画版『バトルロワイヤル』のチープな大人の説教と苦悩の言い訳がダブり、最後の最後でぶち壊してしまった気がします。あのラストをグッと引き立てるには、社本の情けなさのために娘がどれだけ辛い思いをしてきたかを、彼女自身の姿を通して描いておく必要があったと思います…村田のセリフじゃなくて。村田がどんな辛い幼少期を送ったかは短いシーンのいくつかでうまく表現できているので、娘の辛い立場もきっとうまく挿入できたはず。そしたら、社本の豹変にもスッキリ、娘のラストの態度にもスッキリして、なおかつスゴイ余韻を残すことになった気がするんです。とっても引き込む力を持ったスゴイ作品だと思いましたが、この締めくくりのために、僕にとっては長く印象に残す作品にはならなくなりました。娘がすごくバカで軽いまま、おまけに警察もとても間抜け過ぎて終わるので、その姿で締めくくって見せた作品自体の価値まで急に軽くなった感じです。 点数はラストを無視しての出来の凄さに。 [DVD(邦画)] 8点(2013-04-28 10:09:40) |
243. 崖っぷちの男
当たりでした! 適度に笑いあり、ハラハラなサスペンス演出も出来がいいです。エンディングの映像と音楽も軽快で、気持ちのいい映画でした。 [DVD(吹替)] 8点(2013-04-22 00:15:00) |
244. 遊星からの物体X ファーストコンタクト
《ネタバレ》 うとうとしかけながら観たせいか、ちょっとよく分からないラストでした。前作の冒頭につながる犬追い人は誰? どこでどうして生き延びた? 主人公の女性は結局凍死した? カーペンターの前作と同じ書体でクレジットが出て、同じテーマ曲が流れて、ファンならウキウキするラストではありますが、僕には犬追い人の登場が唐突なのと、主人公女の顛末が分からない宙ぶらりん感が、あまりスッキリしませんでした。前作の心地良い宙ぶらりん締めくくりとは何か質が違います。僕は、あの犬追い人を主人公にして欲しかった。そしたら前作につながるラストも深みが出るのに…。『エイリアン』でも意識したのか女性を主人公に配置したのは、何だか僕的には失敗だったような気がします。それと「さぁ、これからみんなの疑心暗鬼は佳境に入ります」って時に一つの場面で一挙に登場人物たちが死滅します。クリチャーを見せる方に傾いてしまって作品のレベルがそこでガクンと落ちましたし『ジュラシックパーク』もどきもしてました。前作につながる、顔がびにょ~んと飴みたいに伸びてる死体(二人の人間の融合体)は、あれになる前にキャラを魅せとけば良かったのに…「ああ、あの死体はこういう人だったんだね…」と、ちょっとした思い入れを持ちたかった。 それとピアスしてないくらいで簡単に判断しすぎ。冤罪作り出して自分を責めるエピソードとかあっても良かったかも。 [DVD(吹替)] 5点(2013-04-20 10:44:07)(良:1票) |
245. 秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE ~総統は二度死ぬ~
《ネタバレ》 apple のプレゼントで無料ダウンロードして視聴。前から気にはなっていましたが、金出してまで見る気には至らず、今回プレゼントで初めて観ました。鷹の爪団の世界制服の目的をはじめて知りました。制作費グラフのステイタスバーは面白かったですね。「うんこ野郎」連発に沈黙して見守るクローンたちの姿が頭から離れません。エンドクレジットが始まってもすぐにストップしないでください。 [インターネット(字幕)] 5点(2013-04-07 08:56:14) |
246. ジャックはしゃべれま1,000(せん)
《ネタバレ》 最後に3枚残った時「I love you なんてオチだけはやめろよ」とヒヤヒヤしましたが、そこまでではなくてホッとしました。しかし、最後に残した3語がテーマであるなら、この映画はもうちょっとアダルトチルドレンの物語として内容を盛り込むべきだったかも。そしたらすごく感動できたかも。設定はすごくいいと思います。自分は生きている間に、誰にどんな質の言葉を発しているのか、言葉の使い方を意識させられた初めての作品でした。実際はあと何枚残ってるか木のそばにいなければ確認などできないから、最後の1単語が言えなかったりするかも。そんなヒヤヒヤまで織り込んでくれて、部下のサポートで残り枚数を確認しながら、ラストに言いたい言葉を1語足りない状況のなかで別の言い方を見つけ出して放つとか、そういう工夫を加えてくれてたら、もっと見応えあったかもしれません。自信ないけど、あの白服の宗教家は『トゥルー・ライズ』のテロリストだった人かな? とにかく何かの映画で見覚えあるけど、上品なイメージを演じているのが新鮮でした。 [DVD(吹替)] 5点(2013-04-07 08:34:07) |
247. テルマエ・ロマエ
《ネタバレ》 お気楽コメディを相手に言うことでもないでしょうが、日本の風呂を真似ただけと自分を責めすぎることも、それに反論する上戸のセリフも、嫌いです。とくに反論の言い分は説得力なさ過ぎて、かえって泥棒の詭弁みたいに感じてしまった。なんかあれがまかり通るなら、中国のミッキーやドラえもんやキティやガンダムも、その論理でいいのね? ただ、良いと思ったものを素直に(中国みたいに劣化させず、すっとぼけず)取り入れていくことは悪いことじゃないと、それだけ主張すればいいのに(あの時代、意匠だの著作権だの、そういう問題には悩まずに良かったのだろうし)。))BILINGUAL(( がウケマシタ。前半のローマの映像は、ちゃんとした大作洋画に匹敵するくらい質が高かったと思います。 [DVD(邦画)] 5点(2013-04-07 07:58:15)(良:1票) |
248. プロメテウス
《ネタバレ》 ここで散々なレビューを読んでいたので、期待なく観たことが良かったのか、結構楽しめました。ウェイランド(ガイ・ピアースだとかまるで気づけません)がホログラムで登場する時『エイリアン』のテーマが流れます。予備知識なしで見ても、エイリアンのファンだったらこれがエイリアンと絡む作品だと早いうちに気づく仕掛け。「作っておいてなぜ破壊するのか?」という問いは、いろいろなことに思いが及んで考えると楽しいです。「みんな結局死ぬのに何のために生まれるの?」とか、子殺しに対して「産んでおいて何で殺すの?」とか、「人間は神という存在を考え出し信じたのに、科学が進歩したら何で信じなくなって冒涜するの?」とか、逆に「神が人を創造したというけど、じゃ何で殺し滅ぼそうとしたりもするの?」とか、映画でも触れられるように「ロボットとか作る人間は? 作られるロボットは?」とか… 芸術家が何か作品を作って、納得できずに全て壊して一から作り直す場面を想像してみたり…。地球の人間が彼らによって作られたのだとしたら、人間は完璧な創造物でないから、納得できずに潰して一から作り直したかったのでしょうかね。そういえば『エイリアン』ではアンドロイドがエイリアンのことを「完璧な生命体だ」とか賞賛してた気がします。スペースジョッキの宇宙人がホログラムで走るシーンは嬉しかったです。冒頭シーンで自らの身体をバラしちゃうところ見ると、彼らも主ではなく「道具」なのでは? ところで、監督としては「せっかく名作『エイリアン』作ったのに、なんで駄作シリーズ化してぶち壊すの?」って気持ちもあったかもですよね。で、創造主が一旦駄作シリーズをぶち壊して再生を図ったという感じでしょうか。映像がいいです。開腹シーンも印象的でした。 [ブルーレイ(吹替)] 6点(2013-04-05 01:40:56)(良:1票) |
249. 幸せへのキセキ
《ネタバレ》 斬新さや派手さは一切なく、全体的なムードとしては地味なので、誰にでもオススメという感じではないと思いますが、とってもいい映画だと思いました。登場人物それぞれがよく描けていて脚本がとても丁寧だと思います。父と息子の確執も、娘の可愛らしさも、亡くした妻への引きずる思いも、動物園で出会う女性と女の子の魅力も、主人公の兄も、ヒゲおやじも、全て印象的に出来上がってて手抜かりがない上手さだと思いました。最近の映画でこれだけキャラクターそれぞれをしっかり印象的に描けてる映画は貴重だと思います。「なぜこの動物園を買ったの?」になんて答えるのか気になっていたら「いけない?」という返事。僕にはとっても印象的だったこの切り返しが、ラストに泣かせるとは思ってもいませんでした。とっても上手い映画だと思います。いろんなシーンのコミュニケーションのやりとりが記憶に残る作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2013-03-18 10:23:20) |
250. ヘルプ 心がつなぐストーリー
《ネタバレ》 10点か9点かで迷いました。前の方が書いていらっしゃいますように 、少し厳しい描写が控えめで、当時の黒人の生活にのしかかっているバックグラウンドやばれた場合の恐怖が弱めになっているかも。日本人にはこの当時の黒人差別に関してあまり馴染みがないから、もう少し酷いところを示してもよかったかも。以前観た『カラーパープル』『プレイス・イン・ザ・ハート』『ミシシッピー・バーニング』などがそこを補ってくれた感じです。「アメリカの娘たちの会」の会長は『カラーパープル』でソフィアを雇ってた車運転おばさんで、チョイ役だけど意識した配役だったのかな? 書くことは自分を救う、みたいなことをセラピー分野で聞き覚えがあるけど、タイトルはそういう意味が込められているんでしょうね。「汚い」「病気が移る」とトイレを別にするのに、そういう存在に食事を作らせて平気で食べてる状況が愚かで、そこにしっかりとツッコミいれたエピソードが良かったです。『カラーパープル』の唾入りレモネード思い出しました。スキーターの彼氏とのエピソードもなかなか良くて、その分成り行きが残念でした。スキーターの母親は目つきが印象的な女優さんですが、適役ですね。あの顔つきが後に非常に活かされて印象的ないい場面があります。シーリアとその旦那さんもいい人で、良かった! 胸がスカッとするシーン、気持ちが優しくなるシーンが良質の作品でした。 [DVD(吹替)] 9点(2013-03-14 13:55:41)(良:1票) |
251. ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
《ネタバレ》 世界のある場では澄んだ水の「プール」ある場では汚い「おしっこ」となる「ピシン」の名を貰い対照的な二つの事柄と折り合いをつけることを運命付けられた主人公。名前の由来を作った男に泳ぎを教わり、オシッコの名から逃れるために自名の先頭二文字をとって「パイ」の通称を定着させる。誰も終わりを確認したことない無限の「円周率」を膨大に暗記して。この時パイは終わりの見えない広大な海で生還する為の努力を身につけるとともに、自分の名を通して「無限」と「循環」を身近なものにしていく。澄んだ水に始まり汚れたオシッコとなる命の営みも実は循環しており、泥を食べた子の口の中に宇宙が広がっていたのも「無限の循環」。父は神を信じず科学を信じ肉を食い、母は植物学者のベジタリアン。父は優しい幻想よりも厳しい現実に重きを置きトラの実態を見せる。一方、母は学者だが「心の問題」は科学に頼っていない。そんな両親の元で、あらゆる宗教に触れ真理を探ろうとする。父母に相違がありながらも、愛し合う夫婦であるように、相違ある宗教にも等しく心を傾けてみた。これが主人公が試練を生き延びる準備段階の物語。海に投げ出された主人公は、肉食と菜食主義の狭間で葛藤する。肉食を許せない菜食主義の自分は船の外にいて、とうとうシマウマに手をつけたトラに悲しむ。けれどいつまでもそのままでは生きていけない。菜食主義者はカツオを自分の物と主張しトラに譲らないまでになり、やがて主人公とトラは同じ船に同居する。鏡写しに対照の海と空の真ん中で。だが嵐の神に遭遇しトラは激ヤセ、菜食主義者も共に瀕死の姿。神に召される覚悟を決めたあと、女形の不思議な島で彼は植物が動物の屍骸を吸収する「生命の無限の循環」と、ミーアキャット一種だけの「多様性皆無の世界のつまらなさ」に気づく。菜食も肉食もありの多様な中で命は循環している。気づかせたのは、別れた彼女に問うた「森に咲くハスの花」。馴らしたはずの肉食獣は陸に戻ると挨拶もなく去る。所や場合が変われば何が正しいかも変わるから。「さよなら」を言わないのは、無限の循環の中で繋がっているからかもしれない。「ピシン」一つが二つの異なる意味を持つように、一つの真実は二つの物語を生み対照的な二つのものに折り合いをつけた。そして物語は名付け人を介して語り部に循環していく。 最後の独白は英字幕を読むとコックがただの悪人でないと分かる。コックはパイに自分の肉を捧げた。 [映画館(吹替)] 10点(2013-03-13 00:16:51)(良:4票) |
252. フライト
《ネタバレ》 ゼメキスの作品は好きなものが多く、期待しすぎていたのか、わりとガッカリでした。「あなたの意見は?」と求められて「ん~、わかんない!」と答えるのは誉められないお国だからなのか、「I don't know」と答える選択肢が頭の中に微塵もないかのようなクライマックスの狼狽ぶりに、僕の頭の中は「?」で一杯になりました。酒飲みまくって充分眠らず目覚ましにドラッグという主人公が悔い改め、そういう態度で人命預かる仕事に臨んだことについて罰せられてもいいですが、事故の責任の所在は別なんじゃないかという思いで、観た感想は釈然としません。「それはそれ、これはこれ」って考えはないのですかね? 尾翼の交換を怠った問題は触れられたけれど、「誰のせいで事故が起きた?」という点において明確なオチに至らず、主人公が責任のなすり合い合戦の犠牲になったようにしか感じられませんでした。ラストも、息子の態度の変わり様のわけが分からず、とって付けたハッピーエンドにしか見えなくて、ちょっとシラけてしまいました。結局、お酒とかドラッグに対する依存の話しで、軸がブレまくり。脚本に説得力がないと思います。ジョン・グッドマンが良かったです。 [映画館(字幕)] 5点(2013-03-08 19:54:44)(良:1票) |
253. 幸せの教室
《ネタバレ》 とってつけたようなバイク仲間と女のコとその彼氏。主人公を引き立てていくのに都合よくストーリーのガイド役となってもらい、要らなくなったら学校やめさせてそのまんま。なんじゃ、それ。トムもジュリアもなんだかえらく歳を感じるし、この映画のジュリアはほとんど可愛げがない。あの女とキスしてそんなにはしゃぎたくなるか? ラストのスピーチだけ良かった。TVシリーズの『スタートレック』でお馴染みジョー・タケイの教授役と、スピーチ授業のトレッキー話がちょっとウケた。脚本も主演も監督も全部自分でやるほどの何ですかねぇ? [DVD(吹替)] 2点(2013-02-08 22:15:45) |
254. ファミリー・ツリー
《ネタバレ》 作られた感動をグイと持ってくることはなく「♪ なんでもないよ~なことが~ 幸せだったと思う~」的なオチをじっくり見せるラストシーンは印象には残りました。特別に気を張らずに、ただ同じ時と空間で過ごすだけでも、深刻な家庭崩壊は避けられるかもしれませんね。けれど、やっぱり全体的にインパクト弱かったかなと思います。妻の浮気相手と対面したのがピークでゆっくり着地していった感じです。『バックマン家の人々』でキアヌが演じた役どころのような、長女のボーイフレンドが「なんか、いい奴じゃん」みたいな印象を残しました。ハワイなんだけど、全体的に薄曇りふうに抑えられた色調や天候はどういう意図を狙ったんでしょう。奥さん役って、冒頭のボートシーンの一瞬以外、健康時の回想シーンも一切なく、徹底して植物状態の演技だけでしたね。彼女の人となりを全く本人の姿で描かない意図はどういう狙いなんでしょう。見終わったあと、そういうことが引っかかってしまう出来でした。 [DVD(吹替)] 6点(2013-02-05 23:14:36) |
255. ミッドナイト・イン・パリ
《ネタバレ》 ウディ・アレンの作品はこれまで『カメレオン・マン』と『カイロの紫のバラ』しか観たことがありません。カイロの…にちょっと似た設定にも思えましたが、過去の有名人たちと交流していくストーリーはワクワクしました。僕個人は生きたヘミングウェイとロートレックと交友を深めてみたいです。同じ時を生きても場所が違えば出会わないことを思うと、人と人との出会いというのは奇跡的なものだなと思いますし、この映画のように時代を越えて人と人が交流できたら素敵でしょうね。想像力が豊かであれば、過去に遺された作品を通して作家と会話できるのかもしれません。雨のパリを歩くのが好きな主人公に付き合ってくれる人間が誰も現れないことに、とくに意識していませんでしたが、最後のシーンに「そういうの、けっこう大事だよねー」と、ほろっとしてしまいました。楽しめたし終わり方も好きですが、1回観ればもういいかな…という感じではありました。 [DVD(吹替)] 6点(2013-02-04 21:38:53) |
256. LOOPER/ルーパー
《ネタバレ》 私は良質のSFというのは科学的理屈やディテイルに完璧こだわることではなく、いかに人間や社会というものを描けているかどうかだと感じています。タイムパラドックスもののセオリーがどうたらこうたらと、物語が伝えたい本質とさほど関係ないことにうるさい人たちに、この作品の評価を落とされてしまうのはとても残念な気がします。この作品は2作目までで終わらせとけば良かった『ターミネーター』シリーズの愚かなループと、『マイノリティー・リポート』がうまく描くことのできなかった部分に、強烈な答えと光を提示してくれたと思います。私がこの映画を観て強く感じたことは「世界を良くしたいなら、まずは自分の子供を愛して大切にしっかり育てなさい」ということでした。最後に復習に来るキャラクターでさえ、自分を拾ってくれた悪人に自分の存在価値を認められたいという愛情を欲しているし、すべてのキャラが自分と関わる者との絆を大切に思っているわけですが、その大切にする方向や方法が問われてる映画だったと思います。ひとりひとりが他者への思いやりを持ち、かつ家族が愛し合って健やかに心を育て合うことができれば、社会は未来は良い方向に向かうはずだと、そういう魂を感じる良作でした。子役、上手い子を見つけたなと思います。幼くして持つ重い枷に潰されまいと、同年代に比べてしっかりした判断行動を見せる健気で逞しく孤独を秘めたキャラに合った目をしてました。 [映画館(字幕)] 9点(2013-01-22 18:27:10)(良:2票) |
257. アポロ18
《ネタバレ》 設定に興味を持ったのでレンタルしましたが、宇宙グモ(月グモ?)の出現でテンション一気に下がりました。「こんな幼稚な映画に興味を持ってしまった」とゲンナリ。ただの怪物ものだったとは…。もっと国家間の問題や陰謀が絡んだフェイクを期待してしまいました。エイリアンものとしてアポロ絡みのフェイクドキュメントするなら、どうやって生命エネルギーを維持して種を保存してるのか、普段存在しない人間の体に入り込んでどうしようってのか、嘘なりに科学的設定なり考察場面なりないと、SFとしてつまらないです。そんなことどうでもいいっていう宇宙版「パラノーマル・アクティビティー」だったとは…。全編、発見されたフィルムからの編集って「この場面で誰がこのアングルにカメラセットして記録してたんだ」と思ってしまう部分が多すぎました。最近の映画界の未知の生命体のクオリティは幼稚が過ぎます。いい加減イカタコカニクモハチュウルイを離れて、昔見た『アンドロメダ…』みたいに科学少年の心をときめかせるような存在にチャレンジして欲しいものです。 [DVD(吹替)] 4点(2012-12-24 03:38:26) |
258. ふたりにクギづけ
《ネタバレ》 結合双生児の人生について深く考えたことがなかったのですが、コメディながら「そうか!」と気づかされることが多々ありました。けっこう微笑ましいシーンや笑えるシーンがあって良かったです。メリルのシーンは意外と少なく、ラストも唐突に再登場ですが、シェールのやな女ぶりの演技がいっぱい見れます。物語のオチとして特別な感じはないですが、結合双生児の生き方というものについて初めて考えるきっかけを与えられた点でとても貴重に感じました。エンドロールが始まっても鑑賞をストップしないで見てもらいたいです。僕はエンドロールに一番感動しました。 [DVD(吹替)] 6点(2012-12-20 03:50:18) |
259. ミッドナイトクロス
《ネタバレ》 ずいぶん昔に観たきり長く観なかったのは、あまりに悲しく切ない終わりだったからです。でも、久々に編集室をグルグル回るカメラワークを見たくなってレンタルしました。『殺しのドレス』のラストの展開を思い出すチープな3流恐怖映画の冒頭は、この時代のパルマらしい始め方。『サイコ』もろパクリのシーンがやって来て、すっかり忘れていた展開に大爆笑してしまいました。このシーンが何度か笑いを引っ張って行きますが、何度も笑わせておいて、最後はグッと切なくさせる。卑怯なほど上手いと思います。バッドエンドの作品でお気に入りというのは、あまりない僕ですが、再鑑賞してみてこの作品の尾の引き方はそれほど悪いものじゃないなと思いました。とても上品です。連続写真と録音テープをシンクロさせていく工程も、ワクワクするショットで、僕はデパルマはやっぱり『キャリー』『殺しのドレス』『ミッドナイト・クロス』の3本が映像作家として最も冴えてピークの時だったと感じます。ラストちょっと油断すると泣きそうで「デパルマってこんな感性の表現できる人だったんだ」と思いました。キャリーのいじめっ子カップルのまた違った演技を楽しむのもよし、殺しのドレスの娼婦と刑事の違う掛け合いを楽しむのもよしです。 [DVD(字幕)] 8点(2012-12-15 21:47:11) |
260. CUT(2011)
《ネタバレ》 途中まではかなり面白く思えたし、単に視覚上のことでも主人公が夕暮れの屋上をグルグル走るシーンの色調とかとてもいい感じに思えたりしてました。けれど、主人公が熱く訴える思いの中あれほどの借金をしてまでどんなフィルムを手がけていたのか、そこは全く描かれていかない。結局、主人公は借金を返すために殴られるだけの人物像に成り下がって行く。ヤクザの事務所だかなんだかも、あれほどスペースをとってしまうボクシングのリングが常設してあって、常設するからには普段ヤミの賭けボクシングだの一応プロの選手育てているだの何か利用されているはずだけど、その描写はちっともないお飾り。あんなリング設備がありながら、まともなサンドバッグの打ち方する人間一人登場しない。主人公の殴られ屋は、たとえ腹だけだとしても素手で何発も受けてたら、回復が追いつかないから連日営業は絶対無理! アバラだって絶対ヒビはいるはず。それを顔面まで素手パンチを無数に受けるとか、死んじゃうだろうし、そうならなくても失明するはず。この映画を作った人たちは現実の痛みもよく知らないバーチャルどっぷり世代なんでしょうか? このバカバカしい描写がずっと続く中で「本当の映画というものは…」みたいなことを言われても「あんたらこそ、分かってないんじゃね?」という気分になっていく。 最近の映画に言いたいことの気持ちはとても共感できるけど、それ言う君がこんな程度の作品かい…て話です。 [DVD(邦画)] 3点(2012-12-12 15:28:16) |