2581. パリ、ジュテーム
ショートショートの18編。不快さが募った地下鉄駅構内の1話と「だから、何?」と思った3、4話を差し引いても観て良かったと言える作品集でした。お話として味わい深かったのが、3位・パントマイムの2人、2位・ギャスパールに怯える2人、2位に大差をつけての1位・ヴァンパイアの2人です。そして私が憧れるジーナ・ローランズが豪華出演陣の中にあって別格の存在感を示してくれた事を特筆しておきます。 [DVD(字幕)] 6点(2008-05-11 02:37:48) |
2582. 大河の一滴
「負けた事を何故喜ぶのですか」という印象深いニコライの言葉。敗北感、挫折感、喪失感をどのように受け止め、それらとどのように向き合って生きるのかを考えさせられます。父の言う「信念を持って生きよ」とは一つの負けにこだわって生涯という本質を見失ってはならない事だと私は受け止めます。もう一つ考えさせられたのが、父が娘に戦争時に感じたこと、文学の道を諦めた時の心境を語った事で、5年前に父を亡くした私は父の感じたこと、考えたことを何も知らぬ事に痛恨の思いがします。本作よりも良いと評される原作を読んでみます。 [DVD(邦画)] 6点(2008-04-05 22:49:40) |
2583. アンタッチャブル
ギャング映画に於いて「ボス率いる一味対司直」というお話は奥行きのないものですが、最後まで退屈する事なく鑑賞でき何度も観た作品です。デ・パルマ監督の暴力描写は特有の生々しさがあり、体現しているデ・ニーロ、ショーン・コネリーに惹かれるのです。中でも、食事会におけるデ・ニーロが見せる表情は圧巻で、「デ・ニーロ名場面集」1,2を争うシーンです。マイナス点は白ずくめの男に対する制裁で、感情的にどうであれ私は支持出来ません。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-03-16 10:52:43) |
2584. 28日後...
《ネタバレ》 ゾクッとする怖さを感じる無人の病院、街並みの画を始めとする画には惹かれましたが、おはなしは退屈なものでした。感染者が見せる理屈ぬきの恐怖が主題である筈なのにお粗末な軍人達が登場した後はそれが添え物のような扱いになっており、恐怖が薄れてゆくのがいけません。添え物といえば娘の存在も同様です。2パターンの結末双方ともつまらぬものでした。 [DVD(字幕)] 4点(2008-03-05 23:58:08) |
2585. 善き人のためのソナタ
《ネタバレ》 クリスタとドライマンの別れまでの一部始終を盗聴したヴィースラー。それが、卑劣極まりないやり口での「監視」から、組織の一員としての責任と自身の出世を放棄する「見守る」へと変わってゆく様子を見るにつけ、狭い世界の中で情緒に乏しいまま生きる弊害に気づかされます。そして、思想統制という目的の下に、国家がそのような生き方を強いる事が、達成の為の手段以上に罪深いと感じました。彼に一言の言葉も口にさせることなく表現した演出と演技の上質さが忘れられない作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2008-02-29 15:11:22) |
2586. さらば冬のかもめ
《ネタバレ》 未見のニコルソン出演作品。この度DVDを購入しての念願の鑑賞となりました。未成年の水兵にかける情けの数々。兄貴分気取りで青年に教えた事が、欲情を果たす事、酒を味わうのではなく食らう事、暴力にものを言わす事。「だけ」であるのは私の年齢から感じるのは軽蔑です。世の理不尽さ非情さからの行動であっても最後は任務を完遂するのです。斜に構えたまま現状の生活に甘んじて生きていく事が想像される結末は納得させられます。男臭さ、人情味、負け犬感を併せ持ったニコルソンの流石の名演に出費の価値があった作品でした。 [DVD(字幕)] 5点(2008-02-24 11:24:16) |
2587. イブラヒムおじさんとコーランの花たち
モモの父親とイブラヒムおじさんから、思春期の娘と息子を持つ者として、親としての自身を省みて、足りない所を気づかされる作品でした。「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ」と常々思っており、苦しさの先に楽しさがあるとの考えで接してきました。今日からは、それに「幸せだから笑うのではなく笑うと幸せになれる」をプラスしていく事を、軽快な音楽と淡々とした展開の本作のように肩肘張らずサラリと実行していきたいです。ところで、私はあの女優がアジャーニとは気づきませんでした。出演に感謝です。 [DVD(字幕)] 7点(2008-01-31 11:11:10) |
2588. 華麗なる恋の舞台で
ジェレミー・アイアンズ目当てに鑑賞しました。私のふしだらな期待が空振りに終わった事を差し引いても、観て良かったと言える作品でした。舐めるな! ジュリアの煮えたぎる闘争心と自尊心が上品且つコミカルに描かれており後味が爽やかです。また、彼女は度々「私は友達が少ないの」と嘆きますが、チャールズ卿と付き人?の女性という魅力溢れる人物を見るにつけ、友達は少数精鋭で良いのだと励まされます。 [DVD(字幕)] 7点(2008-01-26 20:40:41) |
2589. 理由(1995)
《ネタバレ》 人種差別絡みの歪められた法と正義をあるべき姿に取り戻す。冤罪ものの基本的なスタイルをベースに、物語が二転三転するサスペンス感も味わえます。エド・ハリスの好演が目を引く、事件の鍵を握るサリバンという人物。異常であるのは言うまでもありませんが、両親殺害と罪を被る取り引き部分の胸中に踏み込んでもらいたかったです。妻子を命がけで守る教授の超人的な奮闘振りはアメリカ映画におけるお馴染みの光景です。刺されて鰐に食われた犯人に、悪が滅びるのは止む無しとはいえ、教授は死刑廃止論者なのです。その主義・主張は他人事においてのみ適用するのかと思える釈然としないラストでした。 [DVD(字幕)] 6点(2008-01-20 11:43:03) |
2590. レディ・キラーズ
《ネタバレ》 画は美しいのですが、喩えるなら洒落たインテリアで器も美しいが盛り付けが汚い不味い料理に顔をしかめているという作品でした。下品、不気味、役立たず、筋肉バカの手下達&舌先三寸のみの教授の「自称」犯罪のエキスパートチームと相対する老未亡人。誰一人として魅力を感じられません。犯罪の計画から成功、攻防からチームの末路までの展開は、教授の気色悪さが前面に押し出されるだけで知恵比べの部分が無く、5人の最期も無理やりな自滅ぶりで何一つとして面白さを感じません。そんな中で唯一心惹かれたのが肖像画の亡き夫です。彼も一部始終を眺めて「くだらんぞ」と言っていた気がしました。 [DVD(字幕)] 3点(2008-01-19 13:12:30) |
2591. 落ちた偶像
妻の性悪さは描かれているものの、愛人の人となりが描かれておらず、不倫モノとして感ずるものがありません。また、どうせ分からないのだからと子供の前で不倫に及び口止めし嘘をつかせる男の不用意さと、やたらと覗き見し盗み聞きするこましゃくれた子供に、嘘が事態を悪化させてゆく展開を経ての結末に至るまでサスペンスモノとしてのハラハラ感も感じません。ただただ、イライラするばかりで期待が大きかっただけにガッカリです。邦題の意味も理解できません。 [DVD(字幕)] 3点(2008-01-18 00:08:15) |
2592. ザ・ロック
《ネタバレ》 以前に一度観ましたが内容を覚えておらず、二度目の鑑賞となりました。山のようにある突っ込みどころはご愛嬌ですが、ハメル准将の描かれ方に消化不良の感が否めません。メイソンとグッドスピードを生け捕りにした時点で違和感を覚え、脅迫を実行しないままの最期に興ざめしてしまいました。大義名分のために人質を殺してしまう相手だと承知しているはずであり、序盤の悲壮な決意に魅せられるものがあったので残念です。 [DVD(字幕)] 6点(2008-01-13 00:15:55) |
2593. 魂萌え!
肉体的に下り坂となる年齢にあっても精神まで転がり落ちまいとする主人公に共感は持てますが、胸に迫ってくる程ではありませんでした。夫を始めとする男性陣が、本性を徐々に顕わにする愛人やホテルの御婆さんに比べ、個性に乏しく情けないキャラクターだったせいでしょう。また「家具のようだ」と思う妻にかける「ありがとう」の一言に、一生かかってもパートナーの心の奥底までは解り得ない事を思い知らされます。 [DVD(邦画)] 5点(2008-01-05 15:01:42) |
2594. 緑色の髪の少年
随所に表れるストレートであり過ぎる程の反戦メッセージは正論なれど感じ入るものが少なかったですが、おじいちゃんの言うところの幸福の緑色がもたらす少年の苦悩は見応えがありました。子供達が見せる異端視は未熟さ故ですが、それを諌めるべき大人達の異端者を屈服させようとする心裡が不気味であり、このような状況下で意思を貫く事が至難であるのは止むを得ないとは言え観ていて悔しさが募ります。現実を受け入れた少年の行く末に不安と希望を想像させられるラストシーンと陰惨な作品になる事を救ってくれたおじいちゃんの歌声が印象的でした。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-28 23:29:16) |
2595. 斬る(1962)
《ネタバレ》 冒頭のただならぬシーンから一気に惹きこまれ最後まで画面に釘付けとなりました。実の両親、旅で出会った女性の非情な最期に潔く臨む姿に心打たれてしまいます。出生の秘密を知り、慈愛に満ちた養父の仇を斬った時点から信吾の最期が予感され、養父と同じく慈愛に満ちた大目付が謀に倒れる一連のシーンでのウグイスの鳴き声にいよいよかと覚悟してしまいました。信吾が懸命に大目付を探す城内の無人で異様な静けさにこの上ない非情さを感じました。「わが剣を破る者があれば、剣とともにわたくしも滅びたい」の願いが叶わぬとも潔く果てた姿に感服しました。 [DVD(邦画)] 8点(2007-12-22 00:04:59) |
2596. 大列車強盗(1903)
ようやく鑑賞できました。評価について考えさせられる作品です。面白かったかと問われれば、とるに足らない内容で「1点」の評価です。背景を考慮に入れますと「10点」の評価です。 [インターネット(字幕)] 5点(2007-12-05 09:19:30) |
2597. シリアナ
ご都合主義の正義感でもって損得勘定に精を出すアメリカの勝てば官軍ぶりがよく表れており、毎度の事ながら不快感が募ります。多くの人物の誰か1人を軸にするべきで、2時間程にあれもこれもと詰め込まれたストーリーをスッと理解するのは私にはムリヤナと言える作品でした。 [DVD(字幕)] 3点(2007-11-30 22:31:20) |
2598. 赤ちゃん教育
自分勝手で、非を認めずその場しのぎにカンナ屑が燃える如くペラペラ喋りまくるスーザンと彼女に翻弄されるデイヴィッド。全ての登場人物の勘違いから生ずる怒涛の展開のドタバタ劇。コメディファンの私には堪えられない筈ですが、全く笑う事ができないばかりか、癇に障ってイライラし通しで、結末も鼻白むのみでした。このような椿事の原因は、バツの悪さや情けなさや可愛さを爪の先ほども感じられないスーザンに対する拒絶反応によるものです。キャラクター設定の拙さが作品を台無しにする事を教えてくれる『ある意味貴重』な作品でした。 [DVD(字幕)] 2点(2007-11-21 23:27:42) |
2599. チャイナタウン
完全にニコルソンの虜になり、ポランスキーに興味を抱くきっかけとなった思い出の作品です。30年ぶりの鑑賞となりました。ゲティスは、はしたないジョークをとばし、のされてヨレヨレの姿を晒す完全無欠でない人物ですが鼻に絆創膏を貼り付けようともビシッと決めたいでたちに、当時わけもなく色気を感じました。その色気は仕事で笑われたくないという信念からくる打たれ強さであり、悲しい思いに押し潰される事なく背負って生きていこうとする芯の強さからくるものなのだと今は思えます。人間外見ではなく中身であるとは小さい時から聞いてきましたが、外見が中身を造り中身を語る事を気づかされました。そして、とてつもない辛苦を背負いながらこのような作品を作り上げたポランスキーがゲティスとだぶって見えました。死体の描写と依頼人の父親の欲望の生々しさにポランスキーの怨念のようなものを見た気がしました。 [DVD(字幕)] 8点(2007-11-19 22:10:10)(良:2票) |
2600. ターミネーター2
ヒット作の続編が前作を凌駕した希少な例で、CG映像、キャラクター、アクション、ストーリー、メッセージが程好く混ざり合ったSF映画の最高峰と呼べる作品です。「人間がなぜ泣くかわかった」映画史に残るシーンを観る度に、その事を絶対に解り得ないT‐1000の恐ろしさを味あわされるのです。 [DVD(字幕)] 9点(2007-09-17 00:39:55) |