261. 刑事(1959)
余韻がまったく残らなかった。 ただただ推理物としてのストーリーがせわしなく流れていくだけ。 とにかくスピーディでセリフも沢山飛び交うが、それだけだった。 [DVD(字幕)] 4点(2008-06-23 21:59:47) |
262. しいのみ学園
《ネタバレ》 池袋の新文芸坐「香川京子特集」にて鑑賞。 小児麻痺をテーマに扱った至極真面目な作品。 いや、少し真面目すぎる。 真面目な作品が嫌いなわけではないが、まったく遊びというものがない。 ストレートに小児麻痺児童の悲哀を描くのみ。 こうなると、単なる社会科ビデオを観ている感じになり、映画を楽しむという感じがしない。 ただし、しいのみ学園のテーマソングは印象的だったが。 [映画館(邦画)] 4点(2008-06-13 00:31:44) |
263. わらの男
《ネタバレ》 途中までは、「毒にも薬にもならない映画」という感じて観ていたが、都合の良すぎるラストに憤然。 何でもハッピーエンドにすればいいってもんじゃない。 当時はヒットした作品らしいが、その後、語り継がれていない理由が解った気がする。 [ビデオ(字幕)] 3点(2008-06-09 20:04:14) |
264. 杏っ子
《ネタバレ》 よっしゃ~!やっと観れたー! 映画館で運良く上映された為、この度、めでたく観ることができました。 香川京子主演で、監督が成瀬巳喜男とくれば、ハズレはまずありえません。 香川京子ですが、本作では苦しむ女性を演じています。 しかし、とても芯が強く、夫である木村功に苛められても決してへこたれません。 強い女性を演じさせても、全く違和感なく演じきるところは、さすが香川京子です。 本作は、いわば成瀬作品のお決まりパターンで、どんなに衝突しあっても夫婦である限り決して別れないという内容です。 現代においては、離婚というものが決して珍しいものではない為、ここまでして夫婦という関係を維持するという行為は、理解し難いのも事実です。 しかし、夫婦という形式はとっていますが、本作のこういった内容は、人生の色んな局面で教訓となることでしょう。 苦しいことがあっても決してへこたれず、最後まで粘り、頑張り続ける。 これは、例えば仕事などにも当てはまる人生訓です。 本作の中で山村聰が言います。 「苦しいことがあっても、一休みしてそれで回復したら、また頑張るんだ。そして倒れるまでとことんやり切るんだ。」 と。 最後にこの様な内容のセリフが出てきて、作品は幕を閉じます。 苦しいことはあるが、明日から何とかやっていこう、乗り越えよう、そんな勇気が湧いてくる素晴らしい作品でした。 [映画館(邦画)] 7点(2008-06-08 00:07:41)(良:1票) |
265. 真実一路
うーん、良い話なんだけど、全体的にメリハリがないというか。 川島監督らしいしゃれっ気もないし、毒っけもない。 王道的な作品は、川島監督には向いてない気がした。 [ビデオ(邦画)] 5点(2008-06-07 00:51:06) |
266. 恋多き女
ジャン・ルノワール作品の鑑賞はこれで13本目。 今まで観てきたルノワール作品の中で、本作が一番つまらなかった。 『フレンチ・カンカン』や『黄金の馬車』に通ずる雰囲気を持った作品で、テクニカラーの中で、“色んな人々がワイワイガヤガヤ”という感じの作品だ。 ルノワール作品では『ピクニック』や『南部の人』が好きだが、どうも本作の様なワイワイガヤガヤ系は苦手である。 [ビデオ(字幕)] 3点(2008-06-01 01:15:59) |
267. 稲妻草紙
木暮実千代はやっぱり魅力的だった。 人なつっこいしゃべり方に、あの目遣い。 女性としての色気、優しさ、美しさ、全てが備わっている女優だ。 キャストしては、阪東妻三郎、田中絹代、木暮実千代、三國連太郎と、そうそうたる顔ぶれ。 これらの面子が、一堂に会するだけでも楽しい。 惜しむべくは、話が淡々とし過ぎているところ。 そして、田中絹代の心の動きが急過ぎて、共感できないところ。 そして、何より、田中絹代より振られてしまう木暮実千代の方が魅力的であり、男性目線で観た時に、ちっとも共感できないところだ。 [ビデオ(邦画)] 6点(2008-05-29 23:43:23) |
268. 美貌に罪あり
《ネタバレ》 増村保造っぽさはなく、ハッピーエンドな娯楽作である。 何もかもが、丸く納まっていくラストは、気分は良いが、少し都合良すぎの感がある。 話は単純なので、ハッピーエンドと単純な娯楽話を素直に楽しめれば満足できるであろう。 逆に、増村作品によくある毒ッ気を期待してしまうと、何とも居心地が悪くなってしまう作品である。 [ビデオ(邦画)] 6点(2008-05-27 22:58:51) |
269. 草の上の昼食(1959)
フランスの巨匠ジャン・ルノワールらしい王道的な作り。 小ざかしい技法は一切排し、自然の素晴らしさ、美しさを観る者にストレートに訴えかけてくる秀作である。 本作は、緑の美しさ、小鳥のさえずり、草の根の息吹、母なる女性の美しさ、自然の開放感などを雄弁に語っているのだ。 科学は人々の生活を豊かにするが、それと同時に自然の素晴らしさをお座成りにしてしまっている。 自然の素晴らしさとは何か、科学とはどういうものか、そういったことを考えさせると同時に、自然の気持ちよさを体感できる、非常にバランスのとれた作品である。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-05-17 15:20:20) |
270. 狂熱の孤独
ジェラール・フィリップの魅力あふれる本作。 ダンスを披露するが、これが何とも素晴らしい。 そして長い長い。 見ているこちらが息切れするくらいにハードに長く踊る。 そして、汚い身なりのジェラール・フィリップも、また新鮮。 これが意外と様になっていて、驚いた。 小奇麗な優男イメージがこれで払拭された。 話としてはなかなか深刻な内容だが、劇中でタフに活き活きと生きる主人公を観ていると、とても元気が湧いてくる。 そんな、愛すべきフランス映画だった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-05-14 22:50:28) |
271. お嬢さん社長
私的には川島監督の魅力というか、川島作品らしさがよく出ていた作品だと思いました。 確かに美空ひばりの歌ばかりで、どうかと思うシーンも多いですが、川島監督作品らしい人情・喜劇ぶり、そして川島監督の人間に対する愛情みたいなものが良く伝わってきました。 けっして傑作と言える様な作品ではありませんが、愛すべき川島作品の一つだと私は感じました。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-05-14 01:36:49) |
272. 大江戸五人男
豪華キャストで見応え十分の内容だが、テンポはそれほど良いとは思えない。 又、時代劇につきものの、聞き取りにくい会話の数々。 それが災いして、どうも話が解りづらい。 [ビデオ(邦画)] 6点(2008-05-12 00:02:42) |
273. また逢う日まで
《ネタバレ》 本作を見ようと思った理由は、もちろんあの伝説の「ガラス越しのキスシーン」を見るためです。 終盤近くに出てくるのでは?と勝手に想像していたら、中盤付近でそのシーンが登場し、ちょっとびっくり。 でも、さすが伝説の名シーン。 シビレましたね。 実に映画的美しさにあふれた素晴らしすぎるシーンです。 内容をぬきにしても、あのシーンを見られただけで十分です。 それにしても、本作の久我美子は実に可憐で、可愛らしいです。 こんなにも可愛らしい久我美子を見たのは初めてです。 それだけ今井正監督、その人が偉大であるということでしょう。 (2024.6.9追記) 大女優、久我美子さんがご逝去されました。とても寂しい。時代を超えたあなたの輝き、可憐さ、今後も忘れることはないでしょう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-05-07 23:37:28) |
274. 荷車の歌
山本薩夫監督の作品って、どうも息苦しくて、それほど好みではないが、力作が多いため、力ずくでその作品に引き込まれてしまう。 本作も、紛れもなく力作であった。 三國連太郎の演技は相変わらず素晴らしい。 脇を固める出演陣も渾身の演技をみせる。 山本監督が、本作を完成させる為に、相当の労力を費やしたというのも頷ける、素晴らしい演出である。 [DVD(邦画)] 7点(2008-05-07 19:57:25) |
275. 日本の悲劇(1953)
《ネタバレ》 悲劇というより、世の殺伐たるを嘆いてる様かの内容。 他人を信じようとはせず、自分の殻に閉じこもる。 そんな世界観が作品内を支配していて、どうも好きになれない。 [DVD(邦画)] 6点(2008-05-06 12:13:34) |
276. あこがれ (1958)
フランソワ・トリュフォー18本目。 やはりトリュフォーは変態だった。 [ビデオ(字幕)] 5点(2008-05-05 17:51:33) |
277. 眼には眼を
《ネタバレ》 ラストの俯瞰ショットにはマジでやられた。 これは凄い作品だ。 凄いというしか表現のしようがない。 冒頭で、ドクターが手を洗うシーンがある。 手を洗った後も、水をとめない。 私は思った。 「なんで水をとめないんだ?水がもったいないじゃないか。」 と。 この冒頭のシーンに、深い意味があるとは知らず、そう私は思った。 本作は、「巻き込まれ型サスペンス劇」だ。 そしてそこに復讐劇の要素も加わっている。 最愛の妻を殺された男は、復讐をする。 愛というものは、ここまで人間を狂気にする。 愛というものが、人にとってどれほど大切なものか。 それが痛烈に伝わってくる傑作だ。 細かいことを言えば、所々でリアリティを欠く部分があるにはある。 だが、それは「最愛の女性を殺された男が、復讐という想像を超えるパワーを身につけた」と解釈すれば、納得することも可能だ。 しかし、主人公のドクターだが、直接には女性を殺していない。 なんで部下である担当医が狙われずに、このドクターが復讐の的になったのか? そこが納得いかないと言えば納得いかない。 だが、これほど面白ければ、そんなことを気にする必要はないであろう。 あー、面白かった。 本作を沢山の人に勧めたい。 あ、そうだ、水を飲んでおこう・・・ [ビデオ(字幕)] 9点(2008-04-28 01:03:55) |
278. ヘッドライト
《ネタバレ》 要するに不倫の話。 個人的には嫌いなテーマだ。 しかし、雰囲気作りがとても良い。 長距離トラック運転手の寂寥感と退廃的な雰囲気が哀しく、そして巧く描かれていて見事。 最後、トラックは道に迷い、田舎の袋小路に停車する。 そこでは妊娠中絶で瀕死の女性がトラックに乗っており、ジャン・ギャバンはふらふらと家の灯りを頼りに、救急車を呼ぼうと農家に向かう。 この時の何たる侘しさよ。 絶望感に包まれながら、ジャン・ギャバンは深い夜霧の中を彷徨い歩く。 こういった雰囲気作りはフランス映画特有の魅力が感じられたが、「不倫=破滅」という、どうにもならないテーマが個人的には合わなかった。 [ビデオ(字幕)] 6点(2008-04-25 22:50:13) |
279. 人間魚雷回天
《ネタバレ》 『雲ながるる果てに』を観た後では、残念ながら同じ展開に少し飽きがきたのは事実。 しかし、凄まじいまでの反戦映画だ。 現代の人間はこの様な反戦映画をもっと観るべき。 どんな説教や授業なんかよりも、よほど真に迫るものがある。 戦争がいかに残酷で無用なものかを、ここまでハッキリと観る者に訴えかけてくる作品はそうにない。 こういった救いようのない話は、個人的好みには合わない。 しかし、一度は観るべき作品として、皆様に推奨したい作品である。 そういった救いようのない話の中で、唯一、純粋に心打たれたのが、木村功の海辺での最後のロマンス。 これにはまいった。 あまりに哀しすぎる。 平和な時代に生まれた有り難味を、非常に実感することができた。 愛する人を大切にしたい。 生きていることの喜びをもっと堪能したい。 明日への活力をそういった意味で得ることができた。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-04-19 19:38:02) |
280. 黄金の馬車
《ネタバレ》 最後は素晴らしいまでの大円団。 とてもよく出来た脚本だ。 アッパレ。 それにしても、主演のアンナ・マニャーニがどうしても魅力的に見えない。 他の作品でも何度か観たことのある女優だが、どうしても魅力を感じない。 3人の男をここまで手玉に取るほどの魅力があるんだろうか。 女優としての魅力なのか? よく解らない。 この部分が解らないと、男性として感情移入するのは難しい。 そこが個人的な本作の難点だった。 テクニカラーの映像はとても美しい。 やっぱりジャン・ルノワールという監督は、画的に見栄えのする作品を撮らせたら天才だ。 『ピクニック』のモノクロ映像も素晴らしかったが、『河』や本作の様なカラー映像も素晴らしく美しく撮る。 それが凄い。 モノクロで美しい映像が撮れる監督でも、カラー作品を撮った途端、凡庸な映像がしか撮れなくなってしまう監督が多い中、これは凄いことだ。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-04-19 16:12:00)(良:1票) |