261. 父の祈りを
《ネタバレ》 良かった。 ただ、あのホームレスからの供述が行われていたことの 説明描写不足な気もするが・・ ラストの裁判がひっくり返る大事のポイントなのに、 最初はどういうことなのか、分からなかった。 ビデオを巻き戻しての再見で、あの写真がホームレスだと分かった。 ダニエルデイルイスの父親(ピートポスルスウェイト)は素敵だった。 獄中でも、あのお父さんは尊敬を受けてたのだろう。 亡くなった日の囚人たちの鎮魂の炎が美しかった。 絶望のピークで、エマトンプソンが女神のように現れるのは、正直、泣けた。 傑作です!この映画。 [ビデオ(字幕)] 8点(2021-01-09 19:08:20) |
262. スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
《ネタバレ》 面白かった!拍手! 思えば1977年にエピソード4があったのだが、 当時、中学生だった小生は、宇宙戦艦ヤマトに夢中になった。 それから高校生になって、このシリーズの面白さに気づくのだが、 もはやそれから40ン年! とうとう最後まで付き合い切った。何とも言えない・・ 途中、中だるみもあったが、やはり見応えありました。 結局、パルパティーンの銀河一の個性に振り回された物語だったのだね。 キリストさまもびっくりだよ、この爺のひねくれぶりには・・ 女の愛、肉親の愛も、乗り越えて、邪悪にひた走るこの爺の物語が観てみたいが、 (ディズニ―が関わるんなら、キリないか・・(タメ息)) [DVD(字幕)] 8点(2021-01-07 01:40:56) |
263. 東京ゴッドファーザーズ
《ネタバレ》 コロナ禍のなかのクリスマスイブ。 選んだ一本はこの映画! 再見であるが、今回の方が感動した。 ホームレスがクリスマスに子どもを授かる! どこかで見たような、それでいて見たことない設定。 東京を舞台に、あれよこれやの大騒ぎ。 でもドタバタの中に、ホロリとくる場面もあり、 この頃のアニメって本当に人材揃ってたなぁ・・ (今監督が亡くなられましたね、もっと作品観たかったです・・) 涙とアクションと絵のセンスと、ぎっしり詰まった一本でした。 3人のホームレスに祝福あれ♪ エンディングのムーンライダースの「第九」もカッコいい! [ビデオ(邦画)] 8点(2020-12-24 23:22:05) |
264. ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
《ネタバレ》 面白い! 男性映画監督が多いこともあり、女性姉妹の女性側からの映画は そんなにはない。 あっても男性がどうかかわるかといったとこに 力点が置かれることが多い。 数少ない名作が「いつか晴れた日に」だ。 (でもこの監督はゲイの映画が多いんだよな) かように女性の視点からの映画が少ない中、とうとう 女性監督があの「若草物語」を映画化してしまった。 ラストがいいね♪ジューンアリスンのジョーも捨てがたいが、 この作品のジョーも印象的だ。 さぁこれから女性の時代だし、どんどん女性視点の映画が 創られることを期待します。 [DVD(字幕)] 8点(2020-12-20 02:14:28) |
265. 情婦マノン
《ネタバレ》 マノンを逆さに肩に担いで歩く有名なシーン。 それがラストシーンだったとは・・ 死んだマノンの愛が本物かどうか、彼女を担いで、 砂漠のサボテンと会話する場面は、屈指の名場面だ。 情婦の愛が本物かどうかを問う映画は、いくつかある。 でも多くは男性がダメな場合が多い。 そこで情婦の方も人間不信に陥って、心を凍らせる。 有名なのが「ミスターグッドバーを探して」「プリティベイビー」といったとこか・・ この映画は、純な男性が、情婦に心を吹き込む数少ない映画だと思う。 ラストの砂漠の名シーンで映画が引き締まって、本作を名作に仕立ててる。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-27 16:20:01) |
266. 存在のない子供たち
《ネタバレ》 面会に来た母親の口から、一人死んだが、新しく子どもが生まれると聞かされる。 そこでブチぎれたゼノン。 テレビ局に電話して、両親を訴えるという。 面倒見切れぬくらいなら、子どもを産むな。 僕を生んだ罪で両親を訴えるのだ。 しかし、今度生まれてくる子供は、もうすぐこの世に出てくるのだ。 その子も生活に困窮した日々を送るのだろうと、ゼノンは呆然とする。 ここでポイントは、両親が、一人死んでも、また産めばいいという考えをもっているのだ。 たとえ、愛をいっぱい与えなくとも・・ これは、実はこの両親も、同じような境遇で育っているため、さほど 罪悪感をいだけないのだ。 負の連鎖である。 闇の業者が出てくるが、これは臓器売買だったかもしれない。 そこまでは映画では描かない。 「火垂るの墓」「誰も知らない」などを思い出す。 世界は豊かになっているという。 でも、まだこのような事実があるのも確かなのだ。 傑作! [DVD(字幕)] 8点(2020-11-22 00:01:05) |
267. ルパン三世 THE FIRST
《ネタバレ》 ありがとう!山崎監督! 我々の世代は本当に欲していた、面白いルパンの新作を! そして待ちに待ったソレが来た! オープニングで涙が出た。 我々は本当にこのシリーズを愛してる。 最後まで期待を裏切らぬルパン映画だった。 明らかに本作はインディジョーンズシリーズへの宣戦布告。 最後の聖戦を思わせるブレッソンノート。 スピルバーグを思わせる養父の教授。 アルキメデスから急上昇の山崎監督。 オリンピックのプレイベントも楽しみです♪ [DVD(邦画)] 8点(2020-11-21 23:14:53) |
268. 1917 命をかけた伝令
《ネタバレ》 サムメンデスは巧いね。 現代を代表する作家の一人だよね~ 全編1カット! でも、それを知ってても、途中でそんな演出より、 話にひきこまれてしまう。見事だよね。 伝令が伝わるかどうかの緊迫感は薄かったが、 伝えるべき隊にたどり着いても、それが作戦が始まったばかりの時ってのが巧くてね。 サムメンデスの弟に聞いた実話がベースなんだね。 メンデスって思ったより、高齢?(55歳!若いじゃん!) これからも、もっと作品発表してほしい。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-14 22:25:09) |
269. 祇園囃子
《ネタバレ》 溝口監督ほど、芸者の世界をシラフで見つめ続けた監督もいないのではないか? 本作以外にも「祇園の姉妹」「残菊物語」と芸者界を一刀両断する。 溝口監督作のは観てないが、「滝の白糸」も良かった。 役人の担当者が、芸者遊びで仕事を業者に口利きする、という世界がそもそも おかしいのだが・・ [DVD(邦画)] 8点(2020-10-07 23:50:28) |
270. ジャコ万と鉄(1949)
《ネタバレ》 骨太な男が二人。 この硬派な二人の存在で、もう立派なドラマになる。 見習ってほしいです、今の邦画界! 漁場の支配人に昔の恨みをはらさんとする月形龍之介。 支配人の息子で、気性は荒いが気持ちのいいドラ息子を三船敏郎。 クライマックスは、待ちに待ったニシンの群れが来るところで迎える。 ホント、最後の20分くらいである。 ニシンの群れを前にしてストライキ、この二人の男の喧嘩と、ニシンとの格闘、 青っちょろい意見を言う「大学」の死。 あっという間の90分であった。 どうです!どんでん返しもない、凝った編集もないのに、この面白さ。 脚本に黒澤明の名前。見事です。 ゴチャゴチャしてないストーリーに、乾杯♪ [ビデオ(邦画)] 8点(2020-09-20 01:12:31) |
271. 人間の條件 第六部 曠野の彷徨
《ネタバレ》 敗戦後、日本では進駐軍がきて、ジャズやらアメリカ文化が日本で湧きたってた。 その頃、大陸では敗残兵がこんな目にあってたとは・・ あの梶が、投降するのは、大陸に残った日本人女性たちのロシア兵慰安婦村で、であった。 ロシア兵に抱かれて、戦争を理解できなくなった感情的な女を高峰秀子が好演している。 遊びに来たロシア兵と日本敗残兵の打ち合いが始まる直前に、この女性が飛び出し、あの梶も投降するしか もう道はなかったのである。 それからが運命の皮肉だろうか。 梶と対極のキャラのキリハラ(第5部で日本人女性を暴行した彼)が、ロシアに取り入り、 日本人捕虜の監視役になっていたのだ。 レミゼラブルにも同じような、立ち回りの巧いキャラがいたが・・ 梶はキリハラを殺して、捕虜収容所を脱走、大陸をさまよううちに凍死する。 最愛の妻、ミチコの気の狂ったような甲高い笑いの中で、彼は絶命するのだ。 ニューシネマ全盛の映画界だから、通った企画だろう。 「人間らしさ」とは勝った国にしか通らぬ理想なのかもしれない。 寂しい気持ちになった。 [DVD(邦画)] 8点(2020-07-24 20:25:11) |
272. ジョーカー
《ネタバレ》 これを観ると、バットマンの観方も、ハーレンクインの観方もガラリと変わるね。 深いね~。 [DVD(字幕)] 8点(2020-07-19 00:48:43) |
273. 宮本から君へ
《ネタバレ》 原作掲載時、リアルタイムで読んでました。 もう「あの」シーンの壮絶さはトラウマになりそうなくらいでした。 そして「アノ」シーンも、「そのまたアノ」シーンも・・ そして「チョーキモチイイ」あの場面! 忘れられない、インパクト強でした。 それぞれのキャラクターが、原作に近いので驚きです。 池松君も、蒼井さんも、好演です。 昭和の終わり、平成の初めの作品なので、 今の子たちがどう思うかは分かりませんが、 いつの時代にも通じるものがあると思います。 [DVD(邦画)] 8点(2020-06-27 22:54:07) |
274. 羅生門(1950)
《ネタバレ》 本作品は、黒澤監督が世界に認められた作品ではあるが、 いつもとちょっと違う。 三船と志村の演じる人物の対比がない。 そして京マチ子の出演である。 妖艶な京マチ子がここではあどけない女性のような表情を見せる。 筋も面白い。 芥川の「藪の中」を黒澤風に料理している。 鬼才黒澤の世界からの祝福は、日本映画史に残る大きなポイントだろう。 [ビデオ(邦画)] 8点(2020-06-14 19:58:15) |
275. キクとイサム
《ネタバレ》 黒人の混血キクとイサム。 この頃は、社会に人情が残っていた。 今の時代なら、いじめ、ひきこもりなど暗い話になってたろう。 周囲のひとの人気者だったキク。 イサムとの別れに少し寂しそうな顔をするキク。 子どもを探しにバイクに乗るキク。 どんな時もめげないように見えるキク。 しかし自殺未遂を起こすまで悩んでいたのだ。 この辺はさらりと描いている。 この子の健気な性格に、涙すら出てくる。 そして北林谷栄、圧巻の老婆である。 しかし何を言ってるかまるで分らない。 字幕入りで観たかった。 でもハートの伝わる演技だった。 [DVD(邦画)] 8点(2020-06-09 10:39:37) |
276. どん底(1957)
《ネタバレ》 黒澤さんはホント、一流の不良でもあるんだな~ 物語の構成が相変わらず凄い。 前半、長屋からほとんどカメラは出ることなく、 登場人物の紹介をしてしまう。これが絶妙! そして後半、次々不幸が出てくるんだけど、 したり顔のおじいさんが、サッと逃げるとこが面白い。 ラスト、長屋の連中の酒飲んでの乱痴気騒ぎ。 これが囃しになってて、見応えある。 黒澤さん、凄いっす! [DVD(邦画)] 8点(2020-05-29 12:40:41) |
277. 天国と地獄
《ネタバレ》 凄いなぁ、黒澤監督は・・ 最初、会社の経営権をめぐる場面で、三船演じる権藤が自分がしっかりしてて、 頭のいい、喧嘩の強い人物だと描く。 そこで、誘拐事件。しかも自分の子どもと間違えて、運転手の子どもが・・ ここで権藤がどう動くか。見せ場はそこである。 そして権藤が魅力的な男だと分かる。 (三船を黒澤さんが捕まえて離さないのも分かる) それから警察の捜査で話を見せていく。 犯人が絞られていくとこは圧巻である。 警察もまた、権藤の魅力に引っ張られてか、この犯人をただでは 捕まえないと、魅力的に描かれる。 犯人の山崎努。 この男は徹底して悪である。 2時間の映画なので、この犯人像を深堀り出来る余裕はなかったろう。 それでも十分、娯楽映画として完璧である。 黒澤さんの映画は、とにかく飽きさせない。 最後まであっという間である。 人間を描いてる映画ではないが、娯楽映画とは何かを考えさせられる。 [DVD(邦画)] 8点(2020-05-23 12:05:44) |
278. 鈴木家の嘘
《ネタバレ》 自殺の核心にせまる映画ではない。 一人のひきこもり青年が、風俗で知り合った女性に悩み、 結果、自殺したことに、その家の家族の取り乱しぶりが 描かれる。とってもヒューマンな映画だ。 悲劇から始まり、笑いもいれて、とても完成度の高い映画だ。 これは人間は想像を絶する悲しみに遭遇すると、 心が凍り、本当のことを話せなくなるという寓話でもある。 家族全員、嘘をつく。 一番嘘をついていたのは、原日出子で、自分に嘘をついて、 記憶がなくなったとこだ。 映画後半は、涙がとまらなかった。 この涙はなんだろう? 家族の絆がたしかにある家の、最後の踏ん張りのようであったからか? 好きな場面は、岸部一徳の風俗店へのなぐりこみ、そして悪態をつく 風俗店の人がちゃんとイブちゃんの居場所を知らせてくれるという 人間のこころが感じられたところだ。 とても見応えある作品だった。 [DVD(邦画)] 8点(2020-04-19 20:45:57)(良:1票) |
279. 廃市
《ネタバレ》 大林監督が、日本を舞台にして、あの名作「旅情」に挑む。 向こうがベニスなら、こっちは柳川だ! まさに甲乙つけがたい決闘であった。 どっちの作品も良い。 ささやかな心の交流を大事にする日本的な心情。 それが姉夫婦のズレに響くとき、東京からお坊ちゃんがやってくる。 柳川の堀の水の音の中、女性の泣く声。 果たしてあのすすり泣きは誰であったか? サスペンス的に話を引っ張る大林監督の話術の見事さ。 夏の終わりとともに思い出は消え・・なかったんですねぇ(笑) 最後の船頭の尾身くんの一言で、廃市はまた新たな活力を引き寄せることになるのです。 素晴らしい!傑作! [ビデオ(邦画)] 8点(2020-04-04 23:12:51) |
280. 愛がなんだ
《ネタバレ》 好感持てる! 日本映画にありがちな粗い男女関係ではなく、 ふつうのカップルを丁寧に描いている。 こんな映画、待ってましたってところだ。 会話がじつに自然で生き生きしてて、 まるで観終わると、テルコさんは友だちみたいな存在になってしまう。 映画は人生の落とし前を描くだけのものではない。 その時間が、まるで別の世界にいるかのような体験も映画だ! さぁこの二人、これからが気になるとこだが、それは 観客がそれぞれ温めればいい。 久々の片岡礼子嬢!(※「ハッシュ」が懐かしい)。 お元気そうで何よりです。 酸いも甘みもかみ分けた、こういう人が脇を固めて、安定した世界が出来上がってる。 [DVD(邦画)] 8点(2020-02-29 19:15:23) |