2821. ピラニア(1978)
低予算なので出来は悪いけど、よくできた映画です。←どっちやねん。 まず、タイトルが『ピラニア』。我々がその昔、●曜スペシャルとかいう番組で刷り込まれたところによると、我々がアマゾン川にひとたび入ってしまったら最後、ものの5分で白骨化してしまうという、あの凶暴なるオサカナですな(それは大袈裟)。というわけで本作、映画におけるルールが実にはっきりしてます。それは、「川に入っちゃダメ!」ってコト。映画のタイトル見ただけで、反射的に我々の頭にこのルールが叩き込まれるわけですな。映画の途中でヘンテコなストップモーション生物が出てきても、気を取られてはいけない。あくまでお目当てはピラニアなのだから(案の定、ヘンテコ生物が少ししか登場しない)。ピラニアから身を守るには、川に入りさえしなければ大丈夫なんだけど、残念ながら映画の登場人物たちは、本作のタイトルが『ピラニア』であることは知らないわけで、よせばいいのに、どいつもこいつも、こういう時に限って川に手は漬ける足は漬ける、無闇に泳ぎたがる。だもんで、観ててイライラ、ハラハラ、させられっぱなし。ああ楽しい映画だなあ。無意味に広がる惨事とパニック、そして玉虫色のラストは、まさにお約束。この映画を観たら最後、海で泳いでいると足元から例の「みゅるみゅる~」という音(←形容が難しい)が聞こえてきそうで、もう安心して海水浴なんてできなくなっちゃう、という人もいるかも知れないし、いないかも知れない。ところで、魚が空飛んで襲ってくるフライングキラーは、ルールが不明確なので反則ですね。反則も好きですけどね。 [DVD(字幕)] 7点(2007-02-05 21:25:49) |
2822. ブリット
なぜか、テレビで放送しているのを見るたびに途中で寝ちゃう映画、ってのがありまして、なぜかなぜか、この『ブリット』がその一本、だったりしたのです。ちなみに、他には『スピード2』とか(笑)(←コレは寝てもしょうがない)。このブリット刑事、スーパーヒーローと呼ぶには少々不甲斐なく、何かと後手後手にまわってしまう。でようやくアノ有名なカーチャイスの場面でスーパーヒーローぶりを発揮してくれると、何だか安心してしまい毎回ワタシはそこで寝てしまう、という展開。しかししかし。眠くないときに観れば、これが実に面白い(眠い時にばかりこの映画を見てたのか?)。いや、面白いと言っても、ヒーローが人間離れしたアクションを披露したり、気の合う仲間の刑事と軽口叩き合ったり、とかいうタイプの面白さでは無くて、何か、雰囲気からにじみ出てくるような、ハードボイルド風味の魅力。ストーリーの進行そのものに直接関係しないシーンを、敢えてじっくり見せてくれることで、雰囲気が出るんだねえ。バーで演奏するバンドの姿。フルートに照明がキラリと反射する。あるいは重傷者を手術する場面の緊迫感。ブリット刑事がスーパーで買物する場面の緊迫感、じゃなくて、ユーモアと哀愁のようなもの。そういう、ちょっとしたシーンの積み重ねが、映画の味わいを深めていて、むしろ沿う考えると、カーチェイスシーンこそが現実離れして突拍子もないわけで、この映画に一番不要なシーンかもしれない。でもカーチェイスは、無いよりもあった方がよいのは当然だ(←なぜか断言)。というわけで、派手さは少なくとも、この丁寧な作りこそ、ハードボイルドの魅力だなあ、と改めて思うわけで。そしてプッツリ途切れてそのまま日常に埋没するような、しゃれたラスト。ああ、ワタシはこのラストをいっつも見逃していたのだなあ、と思うと、自分に対して沸々と怒りが湧いてきたり(『スピード2』は、無事完走したときにも何の感慨もなかったけどね)。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-02-04 22:55:09) |
2823. ポセイドン(2006)
大好きな映画のリメイク作を観るというのは、言ってみれば、初恋の人と同窓会で再会するようなもんでして、3割は「もう一度会って見たい」、7割は単なる怖いもの見たさ。過剰な期待をすれば確実に失望するが、その「確実に失望する」というコトに対して、これまたヘンな期待を持ってしまうのが人情というもの。性格悪いってか。ほっとけ。まあねえ、「元の映画ではカクカクシカジカの点が魅力であったのだが、リメイク作にはその点が欠如している!だからダメ!」なんぞと言うのも、味気無いもの。元映画の魅力をそのまま移植するんじゃあ、リメイクの意味が無いし、それこそ怠慢だと責められるべきもの。ラクチンだよね。→結局、「なんでわざわざリメイクするの?」という、根本的かつ「それだけは訊かない約束でしょ」的な疑問に帰着しちゃうのだけど・・・。しかし、いいじゃないですか、清純だったアノ初恋の人だって、ケバケバのオバチャンになっちゃった今だからこその新しい魅力があるかもしれない(無い可能性も高いが)。本作を観れば、「私が大好きだったあの70年代風のパニック映画は、もはや作れる時代じゃあなくなったのよね」と感じる一方で、こういう、一種のゲーム的・紙芝居的アトラクション映画が、産まれつつあるのだなあ、と感じます。いっそ「転覆した船の船底まで逃げたら、もう一度津波がきて元通りになり、再び甲板まで逃げる映画」とかいうところまではハメをはずせなかったのが、やっぱりドイツ人監督なんですかねえ(←アメリカ人でも無理です)。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-30 23:31:59)(笑:1票) |
2824. スーパーマン リターンズ
《ネタバレ》 冒頭に鳴り響くアノ懐かしいテーマ曲! もうこれだけで少しウルウルしちゃう。ところが映画の内容はといいますと、ドロドロの男女関係、だったりするからもう大変。ようするにこういうことらしい → 5年前、スーパーマンはロイスをハラませた挙句、これはヤバイと逃走(透視能力で受胎はお見通しなのだ)。それでも男か! そろそろホトボリもさめたかと帰って来たスーパーマンの前に立ちふさがるはレックス・ルーサー、ジーン・ハックマン時代に比べると俄然、貫禄が無くなったが、やる時はやる男。とはいっても、やってることは第1作と大差ないけどねえ。それはともかく、中身が無いのは昔のシリーズも同じ、とにかくスペクタクってるシーンを見せてくれりゃあ満足できるんですが・・・どうもCGが裏目に出てますかねえ。ペラッペラで質感が感じられないシーンがあり、イマイチ面白くない。ミニチュア模型撮影の方がナンボ楽しいか。とか何とか文句いいつつ、それでも、おそらく今回のスーパーマンの帰還を一番喜んでいるのはきっと、あの世にいるクリストファー・リーブじゃないかなあ、そうであって欲しいなあ、なんてセンチなことも思っちゃうのでした。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-30 23:02:34) |
2825. 男はつらいよ 寅次郎の青春
泉ちゃんシリーズ4部作の掉尾を飾る本作。と言うには、あまりにも物足りない。いやまあ、泉ちゃんシリーズ自体、無理が多かったけど、本作はムリヤリにも程があります。前半の舞台は宮崎県。よもや、後にそのまんま東が知事になるとは、誰も思っていない頃の話。それはどうでもいいんだけど。何だかんだで寅さん・満男・泉を散髪屋のマダムの家に集めてしまう展開が、あまりにも強引かつ不自然、マダムの家がほとんど学生のアパートのごとき溜まり場と化してます。マダムが寅さんに惚れてるだの、いや2人は別れた方はいいだの、浮ついた軽々しいセリフの数々。あっさり宮崎エピソードは幕を閉じ、3人は東京に戻る。前半はいったい、何だったんだ?と言いたくなるんですが、本作のストーリーにおいて、この前半にはどうやら意味が無いわけじゃないらしい。おそらく、・宮崎旅行で有給を使い果たす泉ちゃん→・母が体調を崩したので泉ちゃんは名古屋に帰りたい(しかし母親には彼氏がいたんでは?)→・有給取れないんだったら会社やめま~す ってな感じらしいですね、ははは。大体、泉ちゃんが東京にこだわる理由がさっぱりワカラン、名古屋だって大都市だし、帰ればいいやんか、邪魔な満男とも別れられるしなあ。と思ったら!!! なんと、泉ちゃんが名古屋に向かうクライマックス、彼女と満男は東京駅のホームで、ああ、何と言うことを!! いかんいかん、減点です、減点!!(←怒りすぎ)。4作も引っ張った2人の関係、こんな安直な形でケリをつけるとは。随分と安いドラマでしたなあ。ところで、泉ちゃんが乗る新幹線、乗り込む瞬間の場面は「こだま 新大阪行き」なのに、発車直後のカットでは「ひかり 広島行き」となってますね、これは大チョンボ。発車直後、泉ちゃんはドアの向こうから満男に声をかけるが聞き取れない(このシチュエーションも旧作のパクリだけど)。おおかた、「もしかして私、新幹線乗り間違えちゃった?」とか言ってたんじないんですかねえ(ホームの案内表示によると、彼女が乗るべきは、「ひかり号 博多行き」だったハズなんだけどなあ)。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2007-01-26 17:09:11)(笑:2票) |
2826. 超酔拳
私もかねがねより、サル拳と酔拳の融合という事に関して期待をかける者のひとりであり・・・←ウソつけっての。もーどうでもいいです。これだけ器用な人たちを集めて、もう少し面白い映画が作れないもんなんですかね~。20~30年ばかし作られるのが遅かった、という感じの映画です。 [地上波(吹替)] 4点(2007-01-26 16:30:17) |
2827. コーラス
公開時に、会社の後輩がガラにもなく「感動の作品っす!!」とか言って勧めてたんだけど、観てみりゃなんのことはない、ほとんど現実味の無い物語、コメディ一歩手前の映画。どうしようもなくガラの悪い生徒達を、合唱でラクラクと纏め上げ、一方、生徒達の方も不気味なほど歌が上手かったりする。音楽というものをナメとんか~。という気も(ホンの少し)しないではないけど、ま、面白いから、いいか。楽しい映画です、ハイ。映画の最初は画面が暗くて登場人物の表情が見えにくいのが、映画の進行とともに画面が明るくなり、表情が活き活きと伝わってくる(ような気がしたが、気のせいかもしれない。うひょひょ)。ラストも、あの、窓から子供たちの手が出ているのが、なんか素朴で、しかもちょっと意外性のある素朴さでもあって、いいなあ、と思った。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-24 22:54:08) |
2828. 男はつらいよ 拝啓車寅次郎様
前作に続き、御前様の死(?)をひたすら隠し続けるレギュラー達。笠智衆の他界によって、もやは御前様は登場しないのだが、会話の中で御前様の健在を示唆し続ける。ここで、本作で気になってしまうのが、もはや寅さんまでもが「会話中の人物」になりかけている事。寅さんの喧嘩や家出は、劇中で描かれることなく、他の登場人物の会話の中で描写されるのみ。映画における満男の存在がますます大きくなり、寅さんの影が薄くなっていく。このままあと10作くらいシリーズが続いたら、渥美清が一度も画面に登場することなく、人々の会話の中だけで寅さんが語られる映画になってしまいそう。今回の寅さんは、満男に対し商売の極意を伝授するシーンで、往年の勢いの片鱗をわずかに見せてくれるが、この場面でも、周囲が無闇に寅さんの話術について感心するのが、腫れ物にさわるようで、逆に湿っぽい感じがする。ああ、寅さんもすでに「伝説上の人物」なのか。神の領域なのか。映画から、御前様が去り、寅さんが去り、その他のメンバーも去り、やがて記念すべきシリーズ100本目に登場するのは、満男とサンペーちゃんだけ・・・。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-01-24 22:41:17) |
2829. パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
小学生が考えたオハナシのごとく、まるで中身なし、行き当たりばったり、無意味にドタバタ。しかしこんなデタラメを本当に映像化しちゃうことに、何となく感心してしまう。ジョニー・デップのユーモラスな仕草も相変わらず可笑しさ満点。しかししかし。ええい、「次回に続く」ってのはもう、禁止にして欲しいよなあ。禁止にします。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-24 22:19:00) |
2830. 男はつらいよ 寅次郎の縁談
《ネタバレ》 寅さんがマフラーをしているのが悲しい。演じるのもかなりきついのでしょう。メイクで若く見せているものの、時に渥美清の実年齢よりも「老人」っぽく思えてしまう瞬間も・・・。さて、何故か泉ちゃんへの想いを振り切って真人間(?)になった満男、就職活動に励むがうまくいかず、大学進学を勧めた博にもあたり散らす。そうなんだね、大学にいる間にバブルがはじけてしまい、就職が極端に難しくなっちゃった時代なのよね。案の定、家出する満男。彼を連れ戻そうと駆けつける寅さんを待ち受ける、松坂慶子の魔の手。結局、W恋愛&W失恋というお決まりのパターンだけど、何故か寅さんと満男はお互いに足をひっぱりあっている??? 明らかに松坂慶子側としては明らかに脈ありなのに、寅さんに対し「おじさんが振られた」と言い切る満男。満男も相思相愛なのに、「男はアキラメが肝心」と二人を別れさせる寅さん。互いに邪魔しあう、不思議なコンビだなあ(それとも、合コンなんかではよくある光景か?)。それにしても今回、満男の思考パターンが明らかになった。彼は「チュー」をすると、納得するらしい。泉ちゃんのことも前回でひとまずはアキラメたらしいし、今回の彼女とも、「チュー」さえすれば、憑き物が落ちたように東京へ帰っていく・・・。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-01-21 08:45:25) |
2831. ロンリー・ブラッド
いやあ、実話ってのに弱いのよね(←こればっかし)。と言っても、ここで描かれているような事件を、もし実際にマスコミ報道で目にしていたら、「ったく、どうしようもない連中だなあ」「まさに、この親にしてこの子あり、だよな」程度の感想しか持たずに、やがて忘れ去ってしまうような事件かもしれない。しかし、↓【やましんの巻】様も仰るように、これこそが、現代における“悲劇”なのでしょう。“悲劇”が何故哀しいか、それは、人間が“運命”に打ち倒される姿、押しつぶされる姿を描いたものが、“悲劇”であるから・・・。確かに、主人公のブラッドも、決して感心できるような人間ではない。けれども、そもそも「子は親を選べない」という事実、人間の意思を超えて“運命”の皮肉。我々の誰もが逆らえぬ(しかし逆らおうともがき続ける)“運命”が、彼の人生には一際暗い影を落としている。醜悪な事件の顛末と、背景の素朴な風景のギャップが、運命の残酷さを浮き彫りにし、ラストの一言のとともに切なさを際立たせます・・・。しかし。ショーン&クリストファー・ペンで実際に兄弟役を演じるなんて、やりにくかったんじゃないかねえ。ま、これも運命、ですかね(ついでに、祖母役のヒトって、実のお母さんでしたっけ?)。 [DVD(字幕)] 8点(2007-01-21 08:16:13)(良:1票) |
2832. Mr.&Mrs. スミス
我が家の夫婦喧嘩の方がもっとスゴイけどね(←ウソですウソ)。犬も食わない夫婦喧嘩を、犬も食わないストーリーで、どうにもまとめきれなかった迷走映画。冒頭の「5~6年前」“だけ”が面白かったデス。 [DVD(字幕)] 6点(2007-01-16 23:51:59) |
2833. マッハ!!!!!!!!
新しいタイプの宗教映画ですな。あんだけバシバシ大格闘して、さらには「死ぬのは自分だけでいい」と命を投げ出して敵地に赴く主人公、その目的は「盗まれた仏像を取り戻す」。まさに信仰心のカタマリですね。この映画、出来不出来で言うと、だいぶヒドイんですけどね。例えばトランプでイカサマする場面、カメラをあちこち振り回して、いかにもイマ風の映画っぽく演出しているんでしょうけど、肝心のトランプにフォーカスを合わせられずボケボケ(ってか、フォーカス合わせる気、最初っから無いだろ)。家庭用ビデオの方が、オートフォーカスでよっぽど上手く撮影できまっせ。というわけで、細部には何の配慮も感じられない映画ですが、それでも何でも、やっぱり圧倒されちゃう。それはただ一点、「映画のために、ここまで体を張るのか」ということ。明らかに、やり過ぎです(笑)。この方向にはこれ以上、深入りしない方がいい(笑)。老婆心から、忠告しておきます(笑)。アクションシーンを別アングルから何度も見せるのも、映画としては反則だとは思いますけど、確かに別角度からも観てみたい誘惑に駆られるのも事実(笑)。でもしつこい(笑)。まあ、たまにはこういう映画を観るのも、刺激にはなってよいかもしれない。一言で言えば、「要するに宣伝がウマかった映画」、ではあるけれど、騙されても悪い気はしないし。ただ、せっかくアクションで早回ししないんだったら、他のシーンでもしなくていいよ。あと最後に、もうひとつ感じたこと、「どこの国でも、カワイコちゃんは可愛いし、悪者はワルそうな顔してるなあ ⇒ でもノンプラドゥ村のオッチャンオバチャンの表情はいい味出し過ぎ、まさに特筆モンだ」 [DVD(字幕)] 8点(2007-01-16 23:46:03)(良:1票) |
2834. 007/ドクター・ノオ
《ネタバレ》 映画音楽史上、最高傑作との呼び声も高くは無いけど低くも無い、007のテーマ曲。さすが第一作だけあって、フンダンに聞くことができるのがナントモ嬉しい。ボンドが何かする度にテーマ曲が流れる。いや、何もしなくても流れる。めっちゃカッコイイぞ。この第一作を観て、この音楽を聴いてると、「実はジェームズ・ボンドはとても優秀なヒトなのかもしれない」という気がしてきちゃいます(後の作品からはその片鱗も感じられない、こともある。あはは)。常にクール、そして非情。敵を殺すことに何の躊躇もしない。いたいけな蜘蛛まで徹底的に叩きのめす。非情だ。クルマを運転していれば敵の襲撃、カーチェイス。ボンドの見事なハンドルさばきを見よ。背景が合成映像なので、ボンドのハンドル操作はクルマの動きとズレまくっちゃってます。こんな危険な自動車でこんな危険なカーブを乗りこなすとは、何というドライビングテクニック。やっぱり一流のスパイは違うね。また、一流のスパイは「水とんの術」も使えちゃったりするのだ(ただし、「水とんの術」しか使えないのであった。とほほ)。そんなこんなのうちに、敵の基地に乗り込むボンド。敵の基地は例によって、無意味に豪華。ついに登場する謎の怪人、ドクターノオ。ノオと言っても、キュッキュッと言いながら頭突きでタイガーマスクを苦しめたあのボーリング球野郎ではなくって、こちらのドクターノオは、何と、両手が何だかスゴイ事になっていて、とてもスゴイのである。ついに囚われの身となるボンド、危うし! しかし気が付いたらナゼか楽勝で脱出してしまい、気が付いたら大爆発している敵の基地。まさに007映画の原点に相応しいクライマックスと言えましょう。これが、今にいたるまでレンメンと続くあの大ヒットシリーズの第一作、なんですね。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-16 23:15:33) |
2835. パペット・マスター/悪魔の人形伝説
単なるシリーズの総集編であって、コレ単体ではサッパリ意味不明。こりゃ軽い詐欺ですよ(笑)。しかし、ショックシーン(?)を非常に効率よく観られるという利点は、確かにあります。これに匹敵する邦画作品は、『宇宙怪獣ガメラ』くらいしか私は知りまへん。できれば、総集編『男はつらいよ/悪夢の失恋伝説』なんてのも作ってみて欲しいんだけど。 [DVD(字幕)] 3点(2007-01-14 10:54:23) |
2836. コングの復讐
《ネタバレ》 できちゃった結婚ならぬ、できちゃった続編、といった感じの映画。とりあえず作っちゃった、はははは。70分ばかしの短尺ながら、コング島(?)にたどり着くまでに映画の半分ほどを、どーでもいいようなやり取りで費やしてしまうという、この贅沢さ。じゃなかった、この貧弱さ。やっと島にたどり着く⇒するとコングJrを発見、しかも偶然にも底なし沼(?)にハマって青息吐息⇒助けてやったら怪獣をやっつけて恩返ししてくれた⇒と思ったら突然島が沈没してオシマイ。この強引な終わり方、アッシャー家の崩壊もビックリだよ。大都会で暴れるシーンも勿論無く、ジャングルで怪獣と戦うだけなので、前作より明らかに見所激減ですが、それでも何でも、怪獣バトルには手に汗握ってしまう、困った私。ラスト、島と共に沈み行くコングの手には、包帯が。この感動的なラスト、『ターミネーター2』で泣けた人なら、間違いなく号泣モンでしょう。私はちっとも感動しませんけどね、へへへ。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-09 21:56:22) |
2837. モンスター・パニック
子供の頃は、本作のラストを称して「エイリアンよりもスゴい映画」と呼んでいたこともありました。ああハズカシ。まず冒頭、ボロ漁船の網に半魚人がひっかかるという、上々の滑り出しに膝を打つ。こいつは素晴らしい、ノンキ過ぎるぜ。この田舎じみたノンビリムードこそが、安っぽい恐怖映画ならではの、独特の不気味な雰囲気を醸し出します。恐怖映画をパロって我々をニンマリさせてくれた『スクリーム』という映画がありましたが、さすがにこの雰囲気だけは真似することができなかった。この素朴で長閑な不気味さの中、暗躍するエロ半魚人ども。やがて祭りの最中、半魚人の集団が襲いかかる大パニックならぬ小パニックのクライマックスへ。いやあ。ヒドイ映画だ。好きだなあ。 [DVD(字幕)] 7点(2007-01-09 21:43:21) |
2838. オペレッタ狸御殿
ジジイの妄想が炸裂した、問答無用の映画。オペレッタと言うにはちょっと音楽(というより「音」自体)が少なめか。しかし、もう誰にも止められないハチャメチャ世界に、つい笑っちゃいます。オダギリ・ジョーは、これって「歌がうまい」と言ってよいのだろうか? 何か、男前を貶めようという悪意が感じられないでもないでもない。どっちやねん。あはは。ただ、こうやって無邪気に笑ってられるのもDVDで観てるからであって、何も知らずに劇場に観に行ったりしてたら、冷静ではいられないかもしれない。あなたはこのデタラメ世界に耐えられるか? こういう、いわば高踏的なおバカ映画って、かえって何かとケチがつきやすいもの。色々気になっちゃったりします。セットを無闇に照明で明るくすると、安っぽい部分はどうしても目立っちゃう。あのカエルさん、いかにもソフビか何かで作られてそうで、安っぽかったなあ。スタジオなのに移動カメラが手持ちでガタついたりする場面もあり、ちょっと「?」と思っちゃいました。 [DVD(邦画)] 7点(2007-01-08 14:45:20) |
2839. 男はつらいよ 寅次郎の告白
泉ちゃん、家出の巻。よりによってナゼ鳥取へ? 海が見たいのなら、名古屋の近くでもいいだろっ。そうだ、「渥美」半島へ行け~(←アホ)。しかし、砂を撒き散らしながら鳥取砂丘から転げ落ちる満男のスローモーション映像に、もしや本作の監督はサム・ペキンパーかと思ったが、山田洋次だった(←当り前だ)。本作もまあ、寅さんの大活躍など望めませんが、「寅さんと結婚すればよかった」という今回のマドンナの存在に、もはや取り返すことのできない過去の重み、人生の切なさが感じられ、これは、膨大なシリーズ作を経て、これまでの寅さんの無数のエピソードを我々が知っているという、この「男はつらいよ」シリーズならではの重み、でもあります。映画の出来不出来とは別にして、何か、他の映画では味わえないタイプの、しみじみとした枯れた味わいですね。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2007-01-08 14:17:03)(良:1票) |
2840. ミュンヘン
ネタ的には、テロリストをやっつけるという、勧善懲悪的な娯楽作品として始まるこの映画。実は「人狩り」という、極めて残酷でありながら極めて普遍的な「楽しみ」、であります。しかしその先に待っているものは、先の見えない泥沼であり、果てしない徒労感。主人公にとって最後に残された拠り所は、家庭、なのですね。この「家に帰る」、ということが、個人レベルでも、民族レベルでも、本作のテーマの一つであるように思います。イスラエル建国という、一種の帰郷。しかし、その結果生み出されたものは、際限の無い争いと憎しみ。世界中に散ったユダヤ人にとって心の拠り所となってしかるべきイスラエルという国家は、彼らの想いをよそに、暴走を続ける。この「失われた故郷」という哀しみ・・・。いや。この映画に託されたものは、さらに普遍的なもの、もっと個人的なものなのかもしれない。かつてはスピルバーグも希望も野望も持った一人の映画青年だったはず。そんな彼も、もはやハリウッドの中枢に取り込まれ、彼の映画製作自体が大きな経済活動となり、その一方で、映画の中での「発言」もまた、とてつもなく大きな反響・批判にさらされることになり、不本意な闘争にも巻き込まれてしまうことになる。そういう「失われた無邪気さ」、あまりにも社会的な存在になってしまった自分の、「個」へと帰ることのできなくなった哀しみ、すらも、この映画にこめられているのかもしれません。 [DVD(字幕)] 8点(2007-01-08 14:00:47) |