281. 生きない(1998)
《ネタバレ》 「生」と「死」というものを考えさせられました。最初から画面が薄い青色に編集されていて、既に霊界にいるような沈んだ空気の中、このバスがどういう目的で走っているのか全く知らない大河内奈々子の旅を楽しもうとする飄々とした姿がシニカルでとても印象的でした。結末がどういう意味だったのかは分かりかねますが、ダンカン氏にこんな才能があったとは驚きです。 7点(2003-11-27 14:09:12) |
282. アンブレイカブル
《ネタバレ》 音響に秀でているわけでもなく、映像が凄いわけでもなく、単にアイデア勝負の作品なのでわざわざ映画館で見た人がご立腹なのは理解できます。評価が低いのも、「シックス・センス」の衝撃で、皆さんがこの映画に過度に期待してしまったのも原因の1つでしょうし、映画としての出来としても「シックス・センス」に劣っていたともっち~も思います。ただ、僕は好きなんですよね。「シックス・センス」とは違い、徐々に答えを明らかにしていきながら、え?まさか?マジで!?と単純に反応してしまいました。アイデア的には「シックス・センス」に負けず劣らず、素晴らしかったと思います。かつてアメコミのヒーローをこんな形で主演させた映画がありましょうか?かつて転んだだけで死んでしまいそうなひ弱な悪役が登場した映画がありましょうか?僕はシャマラン独特の世界観にハマってしまいました。 8点(2003-11-27 13:58:45)(笑:1票) (良:2票) |
283. アンドリューNDR114
《ネタバレ》 『ロボットが感情や心といったものを持ちえるのだろうか?』という哲学的、道徳的、科学的そして宗教的な問いに必ずぶち当たる時が来ます。その時が迫っているのを感じる昨今、こういうテーマの映画はいくつかありますが、この問いに正解は無いのですから、大いに色んな主張を持った映画を作って欲しいものです。ただ、この映画に関してはアンドリュー自身のエピソードにこだわった分、そういった主張が曖昧なまま終わってしまった気がします。 9点(2003-11-27 13:12:05) |
284. アンジェラの灰
雰囲気とエミリー・ワトソンとロバート・カーライルという渋~い2人は堪能できましたけど、その当時のイギリスとの兼ね合いや、キリスト教の知識があるとさらに感動できるんでしょうね。ただ、もっち~にはその辺の造詣が浅く、十分楽しめなかったのが残念です。もっと理解したかったんですけどね~。 6点(2003-11-27 12:03:10) |
285. アメリカン・ヒストリーX
《ネタバレ》 この映画を見返すと、デレク(エドワード・ノートン)がどうして黒人に対する差別を拭い去ったのかという心の変遷が上手く描かれているとは思えませんでした。ですから「人種差別」を考えると言う意味では失敗作のようにも思えます。デレクは刑務所内で出会った黒人と、下ネタや野球の話、長い共同作業を通して心を通わせ、最後には黒人と打ち解けますが、デレクが黒人差別の考えを改めたという展開はかなり淡々としています。どこで、どうデレクの考えが変わったのかは容易に分からないのです。ヒントがあるとすれば、デレクの黒人差別の原因はダニー(エドワード・ファーロング)が映画の中で示しているように、デレクは黒人に対する先入観を尊敬する父親から植え付けられたということだけです。しかし、「差別の心がどう変わったかが描けていないからダメ」と簡単に言って良いのでしょうか?「人種差別は良く無い」と言う事は簡単ですが、「人種差別の考えは、こう言う風にしたら無くなるよ。」と簡単に答えられないからこそ、今でもこの問題が大きく取り扱われているし、もともと差別の原因を単純に表すことなんて不可能なのではないでしょうか?というのも人を差別するという心は生きてきた環境が違えば1人1人違うものだし、同時にそれを解決する答えも1つでは有り得ないからです。人種差別の問題がどうやって起こるのか、どう解決すれば良いのかよく分からない内容になっているのは、この映画は差別について考えるきっかけを与えようとしているからなのではないか、と僕は思いました。そして、差別が無くなるまでは「差別の問題を考えつづける事」はとても重要な事だとも思います。 10点(2003-11-27 11:52:05)(良:2票) |
286. アメリカン・ビューティー
《ネタバレ》 家族とは、家庭とは、父親とは、母親とは、子供とは、男とは、女とは、人生とは、『こうあるべきだ』という様々な規範、暗黙の了解に縛られて仮面を被らされている現代人。個性の前に性別、仕事、子供の有無、年齢、社会的地位、見た目で判断されてしまう現状に怯えて、私たちは「男とはこうあるべきだ」「女とはこうしてはならない」という社会的な規範に逸脱しないように本当の自分を捨て、本音を隠して、流行というものに置いていかれないようになんとかして『表向きの自分』を取り繕おうとしています。そんな私たちが共通して抱えている普遍的な問題を浮き彫りにした作品だと思います。「私は素のままで生きていて不自由を感じた事がありません。」と言えてしまう人には理解できない映画かもしれません。 10点(2003-11-27 11:21:21)(良:1票) |
287. あの子を探して
《ネタバレ》 中国の現状とかって結構日本人はよく分かってないから、そういうのが何となく分かるような感じがあっていいのかもしれないな~って思いました。実際、もっち~は「へ~、こういうものなのか~」って思ったし。そして、やっぱりメディアの力は強いな~と実感。やっぱりストーリー的には「あの子」を探しに行く理由が不透明に感じました。「彼」のため?それとも「金」のため? 5点(2003-11-27 10:21:11) |
288. アナライズ・ミー
あんまりコメディは見ないんですけど、これは面白い方なのでしょうか?ロバート・デニーロだから選んでみたっていうのもあるんですけど・・・。ビリー・クリスタルとデニーロのコンビ、なかなかイケてました。原題はAnalyze this、で続編のアナライズ・ユーの原題がAnalyze thatなのですが、続編を借りて観たいとは今のところ思えません・・・。 5点(2003-11-27 10:15:09) |
289. 穴(2001)
《ネタバレ》 この映画の素晴らしいところは、映画を見終わった後も観客に映画の雰囲気を引きづらせてしまうところ。もっち~は見終わった後もしばらく「ぐわ~」って感じでした。最初は怯え、震えていて、被害者だと思われていたリズの表情と、最後に何かを含んだように笑うリズとのギャップが凄いです。一番最初のリズの証言が観客を落とし穴にハメる罠であり、この映画のミソですね。この最初の証言があっからその後明かされる真実とのギャップに驚き、思わず見入ってしまうという作戦。もっち~はこの落とし穴に見事にハマってしまいました。この映画でリズの証言が本当か否かを見極めるには、友人の検死解剖のシーンをちゃんと見ていたかどうかが重要。そこを見逃すとリズの証言と真実が最後まで分からなくなってしまいます。この辺は上手いな~と思ったんですけど、他の方のレビューを見るといまいち効果が無かったようで・・・。個人的にはこの映画のストーリーには文句の付けようが無いのですが、やはり気になってしまったことが・・・。1つはリズの好きだった男がもう1人の男を殺すシーンが淡白に写ってしまった事。もう1つはいくら何でもリズが犯人だってことが警察にばれるはずだということ。自殺に見せかけられて殺された彼が死んでいた川はリズの自宅近くを流れる川だったし、しかもご丁寧に例の穴の鍵を持って死ぬなんて都合が良すぎますよ。それに、彼には警察の尾行がついていたはずです。警察も容疑者だった彼を重要視していたはずなのに、簡単にリズの家に近づけてしまう警備の甘さも絶対に変。そこに至るまでの過程が計算され尽くしていただけに警察のアホさが余計に気になってしまった。そこが残念なんですが、この映画の原作はガイ・バートっていう人が19歳の時に書いたものらしいので、彼のこれからの作品にも期待しています。 8点(2003-11-27 10:07:48)(良:1票) |
290. アトランティスのこころ
《ネタバレ》 当時のアメリカの赤狩り(政府による共産主義排他運動)のことを良く知らないと「何のことやら?」って感じですね。その辺の説明は映画ではほとんどされてませんから。とても感動しましたが音楽で大いに持っていかれた感があります。見終ってから原作を読んでみたくなりました。なんか説明不足だったり飛ばしたりしてるエピソードをちゃんと消化すればかなり面白そうです。デイビッド・モースは雰囲気があって結構好きです。 7点(2003-11-27 09:58:56) |
291. アザーズ
《ネタバレ》 ジワジワくる怖さがあってよろしい。「the others」が一体何なのか・・・というサスペンス性も組み込ませているから話の展開も面白い。伏線が最後にちゃんと繋がっているところも親切設計ですよね。物語を先読みしない性質(たち)なので素直に楽しめました。 8点(2003-11-27 09:49:06) |
292. AKIRA(1988)
映像の粗さから古いな~と感じましたが、テーマからストーリー性から魅せる技術から、本当に15年前に作ったのか?と思わされました。なるほど、「ジャパニメーション」ってすごいんだな~って観た時は思いました。 6点(2003-11-27 09:46:20) |
293. I am Sam アイ・アム・サム
《ネタバレ》 かなり期待して見てしまったために、それほど感動しませんでした。でもこういう純粋な愛を描いた作品って好きなので満足です。ただ、スターバックスは本当に知的障害者の社員を昇給させているんですかね? 7点(2003-11-27 09:43:18) |
294. 戦場のピアニスト
《ネタバレ》 ユダヤ人に対するナチスのホロコーストを必死に生き抜いた実在のユダヤ人ピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマン氏の回想録を忠実に再現した物語。監督のロマン・ポランスキーもワルシャワ空爆の生存者だというから、この映画は映画監督としてポランスキーが最も撮りたかった映画なんだろうと思います。「映画」なんてものは1つの視点でしかありませんから、これが完全な事実であるとは思いません。しかし、シュピルマン氏が経験してきた一連の出来事、そして空腹感、孤独、寒さ、恐怖、不安・・・等は映画という枠組みでは表現できないほどの辛さがあったものと思います。ワルシャワのゲットーに送られた50万人のうち、生き残ったユダヤ人は20人と言われています。その数少ない生き残りとなった彼の体験を、映画とはいえ目の当たりにしてしまっては、もはや映画の技術的な批評も出来ようがありませんし自分の拙い表現でこの映画の感想を語ることすら申し訳無く思います。ましてや、「おもしろい」とか「おもしろくない」とかという次元の話では無く、もっち~としてはただただこの事実を少しでも受け止めることが出来たら・・・という気持ちでいっぱいでした。ちなみに、シュピルマン氏を助けてくれたドイツ人将校は収容所で亡くなってしまったそうですが、シュピルマン氏は収容所に送られた彼を何とかして助けようと試みたそうです。それでも当時はどんな理由であれ、戦犯のドイツ人を助ける事は不可能に近かったのでしょうね。シュピルマン氏が書いた回想録では恩人であるドイツ人将校のことを「オーストリア人」と書いていたそうですが、その回想録はドイツ人もユダヤ人も公平に書かれるという理由で共産党当局に出版差し止めにされたというくらいですから、その時ドイツ人の戦犯を助ける事が如何に難しかったのかが分かります(公式HP参照)。なので、「ドイツ人の恩人を助けなかった」とシュピルマン氏を非難することは誰にも出来ないと思います。 10点(2003-11-25 22:36:31) |
295. ラスト サムライ
《ネタバレ》 今までのアメリカ映画に比べたら日本の描き方がリアルだったし、敬意を払っているのがよく分かって嬉しかったです。ただし、内容においてネイサンがカスター将軍の下で大尉として活躍したとか、天皇が出てきたりだとか時代設定はかなりしっかりしているし、その時代の日本の出来事を詳しく調べたんだな~と思いましたが、疑問をぬぐえない点がいくつかありました。1.勝元はなんであんなに流暢な英語を喋れるのか・・・。あんな田舎に住んでてあそこまで流暢なのには理由が必要でしょう。死ぬ間際まで英語で喋ってたし・・・。2.勝元率いる反・政府軍が一丁も鉄砲を持っていなかったこと。戦国時代に広く全国に広まったはずの鉄砲が勝元の村には一丁も無いんですね~。近代化の象徴として政府軍には鉄砲、大砲という武器を持たせておいて、反・政府軍のサムライ達は刀1本で戦うという「西洋化vs日本の古き良きサムライ魂の構図」を作りたかったのかな~と。そのほうが見ていて分かりやすいんでしょうけど、明治時代にもなって鉄砲を使わない戦闘をしていたとは考えにくいんですよね。そして3.勝元が何故政府軍と戦っていたのか。本当に勝元に忠義(Royalty)があるならば、天皇の意に従って切腹するのが本当じゃないのかな~。反旗を翻した時点でRoyaltyは無くなってしまう気がしたんですけど。結局のところ監督は武士道を分かってないってことなんじゃ・・・。その3点が非常に気になってしまいました。残念だ~。 7点(2003-11-23 04:04:29) |