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アンドレ・タカシさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2127
性別 男性
自己紹介 2022/3/26に以下のような自己紹介文をアップしました。
ロシアのウクライナ侵攻が始まってひと月経過。
映画は観ていますが、侵略戦争のせいでレビューする気になれません。
私の映画レビューと戦争は直接関係しませんが、
楽しく文章を考える気分じゃない、ってことですね。
ロシアが撤退するか、プーチンがいなくなったら再開します。


そして、
侵略戦争が膠着状態に入り、
いつ終わるか識者にも判断できない状況になりました。
まぁ正直、痺れを切らしたので、レビューを再開します。
ウクライナ、頑張れ!

2024年3月17日更新

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301.  かぐや姫の物語 《ネタバレ》 
手描きの絵による動画の風情を出し尽くすことを目標としたような映像。鑑賞中より、後からジワジワと効いてくるような味わいがありました。「おとぎ話」の世界を崩さず、それでいてモダンな表現で、とても見応えがありました。 私が知るかぐや姫は、求婚者の失敗を高所から見下ろしつつ老夫婦との別れに涙する不可解な人物でした。絵巻物の平安美人のように表情の無い人です。そこにスッキリした解釈とプロフィールを与えて貰ったというのが率直な印象です。本作の彼女は珍宝に目を輝かせ、甘言の求愛に動揺し、訃報に心を痛めます。それらの表現は細やかでしたが、敢えて言うと常識的な反応だと思います。彼女の内面は「普通の人」なのです。そんな彼女の感情が最も解放されるのが野山を駆け巡っているとき。それは彼女の唯一の自由で、私には自然への讃歌と云うよりも籠の鳥が得た束の間の大空だったと感じられました。 幸せの探究とは極めてパーソナルな価値観の具現であり、特別な存在になるほど周囲との摩擦も増えて達成が難しくなります。彼女は老翁が用意した高貴な姫様コースには反抗したけれど、月世界の頭目には逆らえなかった。地上での記憶を失くすことは「タケノコ」&「かぐや姫」の死と同義で、彼女の自由や幸せ求める闘いは敗北したと記憶されるべきなのでしょう。 親が考える子の幸せと本人が望む幸せのギャップは世代や時代を越えた普遍性を持つのかもしれません。そのギャップをかぐや姫側の視点から描いたという意味で、「竹取(の翁媼の)物語」ではなく「かぐや姫の物語」でした。個人的には月世界の住人も振り切って望む未来を手にして欲しかったのですが、さすがにそれでは違う物語になってしまいます。でも、そう思えたこと自体がテーマだったのかなと云う感想です。 ちなみに、都の邸宅でかぐや姫の付き人をやっているマンガみたいな顔付きの女の子の表情が楽しくて、登場カットごとに心躍りました。
[映画館(邦画)] 7点(2013-12-12 01:29:25)(良:1票)
302.  グッドモーニング,ベトナム 《ネタバレ》 
本作以前のベトナム映画とは違った視点から、つまり帰還兵の不幸や戦場のおぞましさを見せずに描かれたベトナム戦争でした。久しぶりの再見だったのですが、観終えた後は初見時より複雑な気分になりました。正義を振りかざしたベトナム派兵が欺瞞に満ちていたことは良く分かりますが、結果としてクロンナウアの放送もそれに加担していたことが感じられたからです。 将軍が何度も口にします。「難しい状況だ、あいつの放送が必要だ」と。彼のキテレツなDJは戦場の兵士を励ましていたのだと思います。でも同時に、芳しくない戦況をカモフラージュしていたとも言える訳です。特にそれを感じたのは、彼のDJやノリの良い楽曲に併せて何度も映される前線の風景です。燃える農村を背景に、アメリカンポップスだけが流れます。現場の音が全く聞こえません。放送局は戦場から切り離された場所であり、DJルームから戦場の真実は見渡せないことの暗喩であると思いました。 クロンナウアは自国の正義を信じ、前線の兵士の安全を願っていました。実際の戦場を見たことの無い彼が、一般的な米国人の代表だと思います。そして、彼に出来ることは元気よく喋る事だけでした。その威勢の良さが、ストーリーの展開に伴い無力感の記号へと変わって行った気がします。とは言え、交通渋滞で居合わせた兵士たちにナマDJを展開するシーンは、彼の行為が決して無意味では無いことも実感できる。とてもいいシーンでした。 少年テロリストの涙の訴えに反論できる米国人は少ないと思いますが(いや、そんなことも無いのかな…)、私は彼がクロンナウアをテロ現場から逃がし、戦場から助け出したことの方に意義を感じました。ベトナム戦を暴きながらも、この映画が暖かいもので包まれているように感じられるのは、二人の友情が描かれているからだと思います。 実はクロンナウアのDJに全く笑えなかったのがツライところです。勢いで面白さは伝わって来るのですが、字幕を読むことしか出来ない自分の英語力では、本作の真の面白さは分かっていないのでしょう。 もうひとつ。あのヒロインはベトナムの白い正装(?)が良く似合って、ビックリするくらい清楚で美しかったです。本作以外に見た記憶が無いのが残念なんだけど、タイでは国民的な映画スターらしいですね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-11-18 02:40:23)(良:1票)
303.  夢売るふたり 《ネタバレ》 
言葉にしにくい感情を表現しているという意味で、ケータイ小説や少女マンガとは別次元の恋愛ものでした。なんか、トリュフォーの映画でも観ている感じで、色んな感情が渦巻いて見応えありました。 中盤で亭主が妻に対して「(俺の)浮気と、生活に余裕のある女たちへの復讐だろう」と指摘します。私もその通りだと思いました。妻も自覚していたはずです。でも、妻は徐々に心の均衡を失って行きます。亭主がカモである独身女性たちに同情的だからです。その同情に対して、妻は嫉妬しているのでした。ここ、すごく微妙な感情の起伏が演出されます。自分がやらせている行為なので、妻は亭主に止めろと言えません。まして、彼女たちに同情するなとは言えません。人柄は鎖に繋げないからです。亭主が金儲けに体を使っている間、自分で慰める妻。生理用ショーツは、受精せずに流されて行く子供の暗喩でしょうか。強靭に見えて、実は脆くてデリケートな妻の心情です。 対する亭主も繊細なんだけど、そんな妻の心情を100%は解せない。これがマンガやドラマなら(笑)、ハッとして妻の内面に気付くシーンが用意されるけど、本作は最後まで転げ落ちます。そこまで追い詰めて、何が見えてくるかを追いかけた作品でした。確かに詐欺は「夢を売る」と形容できると思います。本作の結婚詐欺もそのひとつだけど、この夫婦は結果として自分たちの夢まで売ってしまった。だから、タイトルは半分皮肉です。 本作から何らかのメッセージを得るのは難しかったです。敢えて言葉にすると、男女のデリケートは質が違うってことでしょうか。男のデリケートは外に向かって発揮され、女のデリケートは内に籠って行く。思い切って言うなら、女の方が残酷で怖い。そんな印象です。そして、「ゆれる」と同様に、エンディングの解釈を鑑賞側へ投げてくれます。妻の顔は「もう、放っておいて」と言ってます。あのシチュエーションの相手は亭主以外には考えられない。出所した亭主をにこやかに迎える気になれないのです。自分の心情を汲んでくれなかった恨みが尾を引いているのでしょう。夫婦は共有していた夢を売り尽くした状態から、再スタートが切れるのか? それが監督からの問いかけのような気もします。妻の不機嫌はツンデレの一種、と私は考えたいです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-11-10 21:26:34)(良:2票)
304.  いまを生きる 《ネタバレ》 
予備校の講師が人気です。メディアに登場して彼らが喋る内容が魅力的だからでしょう。そこには、受験対策以上のうんちくが感じられます。予備校の講師は授業で思い切った発言をしても責任を問われない。予備校が明確な目的を持つ生徒が集まる場所で、講師の発言の取捨が生徒側に委ねられているからです。その関係性はとても健全に思えます。 本作のキーティング先生の授業は、そんな人気予備校講師のそれに似ていると思いました。でも、問題が起こって責任を問われ学校を追われます。予備校との違いは、生徒側の目的・レベル・環境がバラバラと云うこと。ニールの自殺の直接の原因は家庭側にありましたが、キーティング先生の立場ではそれを主張できません。公職はつらいよ、ってところです。 本作は教育の質を問う作品だったと思います。しかし、鑑賞側に問題意識を投げ放して回答は示していません。有志がキーティング先生を支持して机上に起立しても、ささやかな反抗以上にはならないでしょう。本作の狙いは鑑賞側の、特に子を持つ親に対する教育観の啓蒙だと思いますが、そこは映像では表現されません。もう一歩、突っ込んで欲しかったです。 私はキーティング先生の授業を全肯定します。かつて自分が師事した教師のうちの何人かは、カリキュラムから外れたところで、私に多くのものを遺してくれた実感があるからです。「先生」は個性的であって欲しいものです。
[映画館(字幕)] 7点(2013-11-01 00:38:12)(良:1票)
305.  雨に唄えば 《ネタバレ》 
お話はシンプルだけど、ミュージカルシーンが楽しくて、観終わった後にスッキリ気持ちの良いものが残る。さすが秀作と言われる作品でした。あのキンキン声のオバちゃんもなかなかの破壊力。嫌われ役だけど、彼女の頑張りにも拍手でした。 現代にもミュージカル映画はあるけれど、この60年前の作品はちょっと種類が違うような気がしました。役者たちが「踊る」ことを極めようとしています。まるでジャッキー・チェンのアクロバットを見るようなハラハラが長回しのカットの中にあり、そういう「芸」や「技」が見応えを高めていました。 最初の感想に戻るけど、ストーリーを見せる映画では無く、ミュージカルシーンで魅せる映画でした。これがミュージカル映画の原点なのでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-22 01:29:57)(良:1票)
306.  BU・SU 《ネタバレ》 
富田靖子は別にブスではないのだが、ほとんど表情が無く、たぶんブスッとしていると云う意味でのBUSUなんだと解釈しました。笑わない、喋らない、顔を上げない、視線も下へ落としたまま。主人公とは思えないレベルでした。 でも、彼女にとっては明るく楽しく周囲と接する必然が無かっただけで、自然にブスッとしている印象でした。ガンコ親父の日常の顔が怒っているように見えるのと同義です。彼女はあの顔が楽だったんだと思う。劇中、叔母から「逃げている」と形容される台詞があるけど、積極的な意思を持った逃避には見えなかったのでチグハグな印象さえ受けました。いや、私はこれはこれでアリだと思ったのです。無理をしてまで学園生活を謳歌する必要は無いはずです。 顔付きの話は別にして、そんなBUSUにも変化は自然に訪れました。文化祭の演目を押し付けられたことで、周囲との接触が増える。それで充分でした。彼女は一生懸命「八百屋お七」に取り組んでいたけれど、何かを懸けていた訳では無いので不運な失敗も致命傷には至らない。 エンディングの笑顔を伴なった言葉が全てを語っていると思います。「色んな人がいる」。自分もその「色んな人」の一人と自覚し、他者への興味から世界が拡がって行く。さり気なく、とても大事なことを言ってます。不機嫌な青春を希望へ軟着陸させた。そんな秀作だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-10-15 01:18:13)
307.  チャイナ・シンドローム 《ネタバレ》 
見応え十分なサスペンスだけど、深刻な気分になるのは実際に似たようなことが起こったから。まだ解決したとは言い難い身近の災害を脳裏に浮かべながら観てしまう作品でした。大企業の隠蔽体質は、まことにみっともない見世物です。 せめてもの救いと感じたことは、本作の事故が明らかに「人災」だったこと。管理しきれないパワーを安易に運用するなという警告であるが、原子力エネルギーそのものを否定している訳では無く、この映画なりに考察されたメッセージだと思いました。 ヒトは技術を発展させて文明を築いてきた。ならば、障害は技術の問題として乗り越えて欲しいと思っています。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-09-30 23:46:27)
308.  SR サイタマノラッパー 《ネタバレ》 
チープな作りに見える映画全体が、どうしようもなくチープな状況にもがく地方都市の若者の焦りをそのまま表現していました。 「市民との集い」でラップを披露するシーンの微妙な空気。誰も口にしないが下手くそなことは明らか。歯に衣を着せた発言しかしない大人たちの質問が、言外に彼らを否定している。主人公がラップのネタになるような「不条理」は無いかとラップ仲間に聞くシーンがある。近所の不良に殴られても、元AV女優に馬鹿にされても、それらは日常的すぎて彼には不条理と分析できないのである。 そんな愚鈍な主人公にも「怒り」はある。ラストシーンで主人公はその怒りを元ラップ仲間にぶつけ、彼を振り向かせました。そこで、ジ・エンド。約束されない希望を鮮烈に切り取ったラストカットでした。彼らを応援する気にはならないけれど、彼らの痛さが尾を引く作品でした。 サイタマの地方都市が舞台のようです。都会からの中途半端な距離感がそのまま閉塞感に直結しているような場所。その土地柄に対する愛着と悪意の両方が感じられました。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-08-26 16:14:25)
309.  ヘルプ 心がつなぐストーリー 《ネタバレ》 
米国南部の人種差別のお話。時と場所を同じくする名作(と私が思っている)「ミシシッピ・バーニング」のような暴力沙汰はありません。描かれるのは黒人メイドと主人の関係。メイドたちをいたぶる主人の態度は、人種差別というより「イジメ」といった方がしっくり来ます。差別を現代的な問題にアレンジしている印象で、製作意図もその辺りにあったのだと思います。 境遇や立場が違う多くの登場人物たちが織り成すドラマの積み重ねで、根拠の無い悪意への対処が描かれます。差別意識のグラデーションが無理なく組み込まれ、それでいて常に前向きな姿勢が感じられる脚本が素晴らしい。エイビリーンとミニーを演じたお二人の泰然とした演技が、作品全体を力強く包んでいます。ピンボケなくらいに差別意識から開放されているグラマー姉さんの描写もかなりツボでした。「ゾンビランド」以来、エマ・ストーンのファンのつもりだったけど、あのヘアスタイルのおかげでエンドロールまで彼女だと気付かなかった。不覚(笑)。 ちなみに、イジメには毅然とした態度で臨むのが最良の対応だと思っています。チョコパイは強烈なスパイスになっていますが、あれだけは褒められた対応じゃないですね。陰湿な復讐です。自分が口にするところを想像して怖気が走りました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-08-14 18:14:06)(良:1票)
310.  パンダ・コパンダ 《ネタバレ》 
東宝チャンピオンまつりで観ました。お目当てだったゴジラより印象に残りました。「特に竹やぶがイイ」を何度も繰り返すパパンダに、お行儀が良い優等生アニメとは一味違った捻りを感じていました。久しぶりに観たのですが、パパンダの胸に抱きつく(というか、くっ付く)パンちゃんやミミ子に「トトロ」の原型が窺えます。上手いなぁと思うのは理屈をすっ飛ばす部分と拘る部分の明快な使い分け。例えば、全く垣根を感じさせずにパンちゃんと仲良くなるミミ子の突破力と、パパンダの巨体が椅子を押し潰すような写実性の対比です。エンディングの弁証法的解決は格別の和み具合です。
[映画館(邦画)] 7点(2013-08-14 01:36:38)(良:1票)
311.  アギーレ/神の怒り 《ネタバレ》 
学生時代、名画座で観ました。併映は「フィツカラルド」だった。正直、その時は面白いと思わなかった。スペインの探検隊がペルー側からエルドラド(黄金郷)を目指してアマゾンを下る話だけど、冒険活劇ではありません。ハリウッド作品を見慣れた目には、フィクションとして中途半端に映ったのでしょう。 でも、30年ぶりの再見は見応えがありました。主人公アギーレの狂気の顛末を描くために色んなことをやってます。冒頭、スペインの軍勢が霞の棚引くアンデスの急勾配を下る。奴隷にした原住民を連れ、馬や豚を引き、大砲まで運んでいる。もの凄く手間のかかるロケで、難儀な行軍が演技に見えない。本隊から40名の先遣隊を選抜し、筏に乗って川を下る。動力の無い筏は不安定で半ば沈みながら進む。正確には川に流されて行くだけだ。その筏には、小さな筏が付属している。衝立で目隠しされた小筏はトイレである。この種の映画でトイレを描写した作品は記憶にない。結局、考えられる限り、当時と同じ環境を作ることに執着していることが分かる。 なぜ、そうする必要があったのか。観客を当時の状況に放り込み「あなたなら引き返すか?」と問いかけているのだと思います。同時に、アギーレのやり方の是非は問題ではなく、中世から近代に至る「世界史」はこのようにして作られて来たのだと訴えている気がしました。独善的な男の妄執が原動力となり、周囲を巻き込んで野心が肥大する。そして、おそらくは殆どが失敗に終わり、幸運な一握りの事例だけが「世界史」に記される。年表に載らない歴史の瑣末を正確に再現した作品ではないかと思います。着眼は秀逸ですが、見せるための方法論が普通じゃない。監督も狂気の人ですね。
[映画館(字幕)] 7点(2013-08-05 02:43:54)
312.  月光の囁き 《ネタバレ》 
ナンセンス系のコメディマンガ専門と思っていた喜国雅彦の原作を読んだときは驚いた。文学の香りがしたからです。 描かれるのは高校生男女のアブノーマルな世界。足フェチ・ソックスフェチに始まり、開き直ったように性癖を開示する男子の泰然とした態度に、女子が引きずり込まれる。苛められる快感に目覚める男子と苛める快感に目覚める女子が螺旋を描いて共に沈んで行く様に説得力があります。この二人にSやMという認識は無い。でも、未知の快感を手探りでたぐり寄せる描写には背徳感がビンビン。女子が台詞にする「普通の恋愛がしたい」は本音ですが、言葉には出来ない本音もあって、その誘惑が勝ります。ラストシーンから感じる二人の「絆」は、ノーマルな関係では築き得ない深さがありました。まるで何十年も寄り添った熟年夫婦みたい。かなり凄い映画だと思います。 ちなみに、原作はさらに一歩、深いところへ踏み込んで行きます。未読の方にはおススメです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-07-30 19:35:40)(良:1票)
313.  ライフ・イズ・ビューティフル 《ネタバレ》 
物陰に連れ込まれて銃声が響いた時、まさかこの男に限って殺されるなんてことがあるとは思えなかった。それほど奇跡的なお話だった訳です。でも、ステキなお話だったと思います。 収容所の現実を踏まえると、フィクション色が強いストーリーです。以前に「縞模様のパジャマの少年」で、収容所で起こったことの脚色に否定的なレビューを書いたこともあります。でも、コチラはすんなりと観られました。本作のテーマが収容所の悲劇の描出では無いからです。収容所は、あくまで主人公の姿勢を描くための背景だったと思います。 映画的なご都合と偶然が連なり続けますが、そこに対してさほど嫌な気分にならない。むしろ、これくらいポジティブであれば、ホントに運が廻って来そうな気さえする。そう思わせるところが本作のパワーだと思います。性格的に、私には決して真似が出来ない態度だけど、ちょっと多めに喋ってみる気になります。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-07-30 03:40:41)(良:1票)
314.  ワイルド・スピード/EURO MISSION 《ネタバレ》 
最初の頃はショボかったシリーズだけど、前作あたりからドドッと予算が増えた感じで、良い意味でメチャクチャが極まってきました。フォーミュラ装甲車とか、戦車とか、長い長い滑走路(笑)とか、客が期待するものを見せていると思います。カーアクションだけじゃなく、ザ・ロックが参戦した前作から肉弾戦も盛り上がり、今回は女性同士のどつきあいも迫力ありました。ヴィン・ディーゼルって、アップになる度に主役の顔じゃないなぁと思う。だから小悪党が似合うんだけど、今回は「一般人を巻き込むな」的なことを言わせる。ポール・ウォーカーが言うなら分かるんだけど、このひと言でキャラの立ち位置がガラリと変わる。恩赦が頭にあったのでしょうが、正義の人にはなって欲しくない。似合わないから。 次作はトランスポーターとの対決。これも客が期待するカードでしょう。その予告のために潰される千原ジュニア(似てるよね)がご愁傷様。
[映画館(字幕)] 7点(2013-07-27 00:38:55)
315.  さびしんぼう 《ネタバレ》 
昔はさほど気にならなかったコメディ的な描写がことごとく寒く映りました。そこに関しては隔世の感しきり、です。 でも、本作を高く評価するのはユニークなテーマ性に対してです。怖いものが無いように見える「おばちゃん」。彼女たちも、かつては可憐な「少女」だった。そんな当たり前の事実が胸を打ちます。本作は、おばちゃんたちの少女時代に捧げるレクイエムだと思いました。 おばちゃんたちと少女の差は「さびしんぼう」の有無です。本作では片想い状態を「さびしんぼう」と呼んでいるようでした。その中身は、自分に自信が無くナーバスでセンシティブな状態。おばちゃんから欠落しているものです(笑)。世間と子育てに揉まれて失ったのか、単に長く生きたからなのか。少女とおばちゃんの落差は、少年と中年オヤジの比では無い(と、個人的には思う)。典型的なおばちゃんの母親も、昔はそんな「さびしんぼう」だったことが主人公の現在と並行して描かれます。そして、おばちゃんの「さびしんぼう」も実は完全に消滅した訳ではなく、彼女たちの奥深くで燻り続けていることが分かります。青春の残滓を大切に守り続けるように。 本作はこの監督ならではの高度な感傷的作品だと思うけど、同時に男性視線の偏重も感じます。モチロン、このレビューも男目線です。
[映画館(邦画)] 7点(2013-06-28 02:19:26)(良:1票)
316.  Kids Return キッズ・リターン 《ネタバレ》 
北野監督が初めて撮った青春映画らしいのですが、今更ながらに既視感の無い青春映画でした。極端な成功や失敗が描かれていません。達成感とか願いが叶うとか、あるいは絶望するとか、そういう映画的なストーリーから離れたところに本作の見応えを覚えました。 作品の中で、人が成長している印象がありません。シンジ君が良い例です。ボクシングは上手くなっても対人的にオドオドした態度は変わらず、他人の言葉に流されて生きている。曲折はあっても、生き方のベクトル自体は簡単には変えられないものです。 でも、作品を締める言葉は「まだ始まっちゃいない」です。流した汗や努力の量に必ずしも比例しないのが人生ならば、挫折を繰り返しても諦め切れないのが人生なのです。エンディングで高校時代と同様にチャリに跨る二人の、決して順調とは言えない現状と台詞のギャップこそが、人生そのものだと思いました。 それは別に「青春」だけの話では無く、すべての年代に普遍する真理だと思います。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-06-09 01:26:42)(良:1票)
317.  ミレニアム2 火と戯れる女 《ネタバレ》 
売春組織を摘発するストーリーかと思っていたら、そこにリスベットの生い立ちが重なって行く。なんと、探し求める黒幕が肉親だったという展開。唐突ですが、ルークとダースベイダーを思い出しましたよ。一作目同様にリスベットが出てくると何かをやらかしてくれる期待感があり、本作でも裏切られなかったです。ミカエルとの共同調査は無いけど、お互いを意識している繊細な距離感描写はシリーズならではの見どころでした。 ひとつ感心したのはハリウッド作品では感じられない緊迫感。例えばカーチェイスシーン。ハリウッド作品では派手に車が吹っ飛んでも、主人公がクラッシュするような不安を覚えないのだけど、コチラの作品では路肩の人を轢き殺しかねない危うさを覚えます。瀕死状態で地中から這い出たリスベットが懸命に意識を保とうとしている様子なども迫真性がありましたね。楽しめました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-05-30 23:57:31)
318.  アイアンマン3 《ネタバレ》 
とても楽しかったです。マーベルのシリーズもので、製作が進む度に面白さが増す作品も少ないと思います。アイアンマンの機能進化と主人公の掘り下げが秀逸なんだと思います。 トニー・スタークの見せ方は、これまでの流れを上手く活かしていました。天才だけど直情的なバカは変わらず。メディアに住所を公表してミサイルを撃ち込まれるもんね。世の美女は全員大好きだけど、今は一人の女性に一途。誠実で健気な一面です。最も活躍しているように見えた「アベンジャーズ」の闘いをトラウマにして、弱さを見せる設定も上手いと思いました。悪役の動機は根暗オトコの恨み節ですが、逆恨みと言い切れない余地を残します。主人公の若気の至りです。派手なお話の割には、すべての出来事が主人公の過去から現在に至る行動や心情に帰結するように構成されていて、良くまとまったエンターテイメントという意見です。 アイアンマンを残らずオシャカにして、次の「アベンジャーズ」ではどんな役割を担うのか。マーベルさんの狙い通りですが、素直に楽しみです。
[映画館(字幕)] 7点(2013-05-12 21:29:47)(良:2票)
319.  愛を読むひと 《ネタバレ》 
予備知識が無かったので、考えてもいない方向へ展開するお話に驚きました。文盲(これって差別語なのかな?)から強制収容所へ繋げる構成に引き込まれました。でも、この作品の凄いところは、テーマとなるべきこれらの社会問題をただの背景として扱っていることだと思います。描かれるのはあくまで男女の関係です。 彼女の文盲を知る彼は、法廷で彼女を弁護できた。そうしなかった理由は、彼女にとっての「恥」を暴露したくなかったからです。しかし、その判断は量刑が確定した後に長い尾を引きます。彼女の名誉と自由のどちらを優先すべきだったのか。答えが出ない後悔です。では、彼が朗読テープを送り続けた理由は何でしょう? 私は愛情などでは無いと思います。自身の判断に対する中途半端な贖罪です。なぜ中途半端かと云うと、文盲を暴露した方が良かったという確信も持てないからです。そして、「贖罪」が救うものは彼女では無く彼自身です。彼は自身が抱える後悔の念を軽くしたくて朗読テープを送っていた。その後ろめたさが、彼女からの手紙に返事を書けなかった理由だと思います。 出所前に二人が対面した際、彼女は朗読テープが「愛を読んだものではない」ことを、彼の態度から察しました。それが彼女の自殺のトリガーだったとしたら、彼の態度は最後まで中途半端でした。でも、私は彼を責めようとは思いません。理屈と感情の狭間で妥当な行動を選択できず、他者や自分を傷つける。そんな、人間の弱さを描いた作品だったと思います。 彼が成人した娘に全てを語ろうとするところで映画は終わります。娘も彼の中途半端の犠牲になった一人です。事実を「明らか」に出来ずに悔恨を引きずった関係がありましたが、「明らか」にすることで修復できる関係もある。微かですが、光明を見せるエンディングに救われた気分でした。 私は邦題にケチを付けることが多いのですが、この邦題も酷いと思いました。テーマとして語られる内容を逆方向へミスリードしています。あの朗読を「愛」と解釈したら、その後の展開に不可解が累積します。私に言わせれば、愛を読むフリをする人、です。デリケートな内容だけに、邦題から主人公の心情を誤解している人も多いのでは…。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-05-05 03:24:55)(良:1票)
320.  スピード(1994)
見直す分には多少の粗も見えますが、初見時の満足度は相当に高かったです。ノンストップな中身とタイトルが見事に合致しています。本作のサンドラ・ブロックはとてもチャーミングでした。デニス・ホッパーの憎ったらしさも良い具合で、あと5・6発は殴られてから死んで欲しかったです。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-04-30 02:29:12)
0170.80%
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21316.16%
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432315.19%
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