3321. メトロポリス(1926)
《ネタバレ》 あまりにも内容的に単純すぎて、私にとっては、20年代に作られたものという記録的映像以上の意味はありませんでした。お姉さんが捕まってロボットが作られてしまうところだけはどきどきしました。こういうところだけ時代を超えて感覚の一致を感じてしまうところが悲しい。 [DVD(字幕)] 4点(2008-03-21 01:52:38)(良:1票) |
3322. ノーカントリー
《ネタバレ》 スリリングな設定に反してやたら単調でダラダラした作りなのですが、後から考えるとそこが独自の世界として印象に残ってしまう困った作品。音楽と台詞を極力削った静寂あふれる雰囲気に5点、アントン・シガーの強烈なキャラに+1点。 [映画館(字幕)] 6点(2008-03-20 23:01:43) |
3323. 復讐するは我にあり
《ネタバレ》 前半の緊張感は文句なし。特に、最初の2人の殺害で、1回ではすぐに殺害に至らずに抵抗され、必死になってもみ合う描写が、生々しい現実感を与えている。緒形拳の演技は、殺人者と詐欺師の両方の性質を持ち合わせている主人公を全力で表現していて、彼のキャリアの中でも出色だと思う。なんだけど、途中から延々と浜松のシークエンスが続き、緊張が薄れてしまいました。実際の事件では、浜松の後にもいろいろと起きているし、何よりもこの事件で劇的なのは、熊本で11歳の少女に正体を見破られて逮捕される部分でしょうに。そこを改変してどうするの。それが一番残念です。 [DVD(邦画)] 6点(2008-03-20 05:24:48)(良:1票) |
3324. レイジング・ケイン
《ネタバレ》 サスペンスとしてはまったくどうということもない内容なのだが、中盤では得意の長回しが炸裂したり、アンタッチャブルのセルフ・パロディみたいなシーンもあったりして、そこそこ楽しい。また、ここでのアイディアを後の「スネーク・アイズ」とか「ファム・ファタール」できちんとバージョンアップしているデ・パルマはやはり偉い。 [DVD(字幕)] 6点(2008-03-18 02:09:09) |
3325. 危険な年
《ネタバレ》 スカルノ末期のインドネシアという場所の設定はなかなか興味深く、またそれなりによくまとめて描写していると思う。ただし、途中で主演扱いかと思うほどリンダ・ハント視線の描写になったり、シガーニーが中盤から急に出番が減ったりなど、視点が今ひとつ不安定なのが惜しい。 [DVD(字幕)] 6点(2008-03-18 02:03:49) |
3326. パットン大戦車軍団
長かった・・・。戦闘場面よりも主人公の行き方に焦点を当てたというのならそれはそれでいいのですが、だったら、単に○○の戦い→休み→○○の戦い→休み→みたいな、相互に関連性や発展性の感じられない単純な戦闘結果だけを並べられても困る。それによって主人公のどこがどう変わったのかということを明確にすべきでした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2008-03-17 01:10:01) |
3327. ストーカー(1979)
《ネタバレ》 すみません、私にはあまり合いませんでした。尺が長いのはいいとしても、2分で済むような描写を5分も7分もかけられて、それを延々と繰り返されると・・・。あれだけ引っ張っておいて、最後に特別なことを何も起こさない潔さは良かったです。 [DVD(字幕)] 5点(2008-03-17 00:54:29) |
3328. 旅立ちの時
《ネタバレ》 元テロリストの両親という青春映画においては飛び道具ともいえる設定なのだが、その過去を称賛もしなければ卑下もせず、淡々と家族の日常生活に密着しているのが良い。また、リバー・フェニックスも、その複雑な内心を抱えた少年を、特殊性を誇張することなく抑えた演技で巧く表現しています。ただし、母親が病院での一瞬の出来事から即座に父親に通報するような、そういう過去の経験からつい出てしまう習慣のような部分はもう少し入れてほしかった。それでこそ父親の悩みが現実性と切迫性を持つというものです。それまでの丁寧さの割に、ラストがあっけなかったのも残念。 [DVD(字幕)] 7点(2008-03-16 02:06:52) |
3329. クィーン
再現モノとしてはそれなりによくできていると思います・・・が、それによって何が描きたかったのかは結局不明。多分、王室の威厳・伝統と国民意識の変化の衝突というのが最大のドラマの要素になるのでしょうが、この主人公がそれまでの人生でどのように考え、行動してきたのかというのが突っ込まれていないので、首相とのやりとりにも迫力が伴いません。また、メインの葬儀の前後も妙にあっさりとすまされています。テーマは明確に一本に絞り込まれており、とても分かりやすい作品ではあるので、点数はちょっと甘め。 [DVD(字幕)] 6点(2008-03-14 02:36:43) |
3330. ラストキング・オブ・スコットランド
せっかくの素材の割にストーリー展開は平坦だし、演出もありがちパターンが妙に目につく(ケイの家に走るのに障害が起こり、何とかクリアしてたどりついたらケイがいなくなっている、とか)。また、アミンを対象としていながら、彼の政策の推移や国民との関係の変化なども描き切れているとはいえない。しかし、この作品のインパクトは、何よりもフォレスト・ウィッテカーの何かが憑依したような強力演技に尽きる。ただ怖いだけでなく、何もしない(表面上は)ことによる怖さ、笑顔による怖さ、にじみ出る迫力による怖さを、十分に表現している。そして、彼の登場時間は結構長いから、そこに注目するだけでも時間一杯に楽しめる。 [DVD(字幕)] 6点(2008-03-12 03:31:48) |
3331. さよなら、こんにちわ
《ネタバレ》 切ないラブロマンスっぽかったので期待してたんですが・・・南果歩って、こんなに演技下手だったっけ?とかなりびっくり。もっともこれは、稚拙な説明台詞しか書けなかった脚本家の責任が大きい(露口茂まで被害が及んでいる)。2時間ドラマでも多分これよりはましです。ラストの滅茶苦茶さがとどめでした。 [地上波(邦画)] 2点(2008-03-10 02:13:38) |
3332. 穴(1960)
《ネタバレ》 固い地面や壁を穿つ音、鋸で格子を切断する音、さらには器具を下に置いたりする音まで、作業中の集音がいちいちしっかりしているのが素晴らしい。また、作業中も、カメラは変に浮気することなく、必死に動く手元をじっと撮り続けます。ラスト、「鏡を返した瞬間」の衝撃は言わずもがな(それまで、鏡を使うたびにピンチらしいピンチは何もなかったのが効いている)。というわけで、作品としてのインパクトはかなり強烈だったのですが、技術的には非常に優れていても、人物描写はそんなにしていないので、感動が大きく残るわけではないのですね。 [DVD(字幕)] 7点(2008-03-04 03:36:49) |
3333. 沈黙の戦艦
やっぱりアクション作品って、環境設定・条件設定が大事なんですね。洋上の艦内という限定された空間だからこそ、主人公が強すぎでも、無理なく作品が進行しています。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-03-04 03:17:29) |
3334. オズの魔法使
《ネタバレ》 童話だからこそ、実写化においては凝るべきところは凝ってほしいわけです。例えば、かかしは脳がないはずなのに、割と先に立っていろいろ考えているし、木こりは心がないはずなのに、みんなと一緒に悩んだり喜んだりしている。それでは、キャラクターがきちんと作り込まれているとはいえません。最後の達成が物的評価に矮小化されちゃってるのも、何だかなあ。いろんなところで1人何役もしているのは面白かったのと、かかしの人の本当に藁でできているような細かい動きには職人芸を感じたので、評価はそこに対して。 [DVD(字幕)] 5点(2008-03-03 02:21:49) |
3335. M★A★S★H/マッシュ
《ネタバレ》 もっと単純に笑わせる作品かと思っていましたが、ほとんどは手術のシーンと会話のシーンが行ったり来たりするだけで、そんなに笑えるところはありませんでした(最後のフットボールシーンはやたら長いし・・・)。ただし、ドナルド・サザーランドがあんな暴走キャラクターの役をやるのは面白かったので、そこに4点。"Suicide Is Painless"に+1点。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-03-02 04:16:59) |
3336. いつか眠りにつく前に
これだけのキャストを揃えておいて、悪い内容になるわけがないですね。やはり、一番の見所は、クレア・デーンズの安定した演技と存在感でしょう。10代の頃に比べて、目や口元がきつくなってしまったのは残念でしたが、良い女優さんになりました。それ以外の俳優陣もいい仕事をしているのですが、ただし、描写の対象として、現在の部分で、それまであの親子がどういう親子関係で、どういう最期を迎えようとしていたのかがあまり見えてこないのが少々物足りない。それがあれば、回想内容ももっと重みを増していたと思いますが。 [映画館(字幕)] 6点(2008-03-02 04:06:09) |
3337. アリスの恋
「1人で子供を抱えた母親がいろんな困難に負けずに幸せをつかんでいく」みたいな作品はその後多数の例が出てきていますが、こんなところに源流があったんですね。恋というのはごく一部のエッセンスであって、どちらかといえば「アリスの人生」「アリスの生活」といった趣です。この時代にそういう作品があったことは新鮮ではありましたが、しかし、細やかさを要求されるテーマとスコセッシの武骨なセンスとはやはりマッチしていませんでした。あと、やはりトム役の子がうるさすぎですね。ジョディ・フォスターは、あれだけの登場であれだけのインパクトと落ち着きぶりはやはり凄い。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-03-01 04:01:12) |
3338. 戦場にかける橋
撮影、美術、そして音楽関係の凝りようには唸らされますが、内容的には、同じようなシーンが繰り返されたり、2分で済む描写を5分ぐらいかけたりというのが続いていて、えらく長く感じました。台詞だけを聞くといろいろ緊迫した状況のはずなのに、画面全体からそのような追いつめられた空気が感じられなかったのも残念です。 [DVD(字幕)] 4点(2008-02-29 03:47:22) |
3339. 善き人のためのソナタ
《ネタバレ》 ひたすら盗聴とそれをめぐる周辺のやりとりという一本で構成される地味な展開ながら、無駄な要素を排し、かつ必要な場面を的確に抽出することで、2時間20分にわたってまったく緊張感が途切れない。例えば、主人公がある日裏切りを疑われて呼び出されるわけですが、部屋へ入ったときに一瞬映される木製の粗末な椅子なんかにもセンスが表れています。ところで、あの女優は、自分が尋問を受けるときに、それが前に会った(自分を精神的に救ってくれた)人物であることは気づいていたのでしょうか。どっちともとれると思うのですが、こういう結論を伏せているところも余韻があっていいですね。●再見して分かりましたが、この作品は、冒頭の尋問シーン(およびそれと並行する講義シーン)だけで、すでに勝利しているのです。ここだけで、迷いなく職務に邁進し、尋問技術を磨きに磨いてきた主人公(表情は常に冷静、暴言や暴力もないところがポイント)、という役作りと表現が完璧に行われているので、そこからどう進んでも説得的なドラマたりえるのです。その変化の契機ですけど、やっぱり、「大臣が監視対象関係者に手を出した」ことなのでしょうね。任務に忠実な主人公がそれを許せないことは食堂での上司との会話で表現されていますし、あのタイミングで偽ベル音を起こしてドライマンを外に出させるなどというちょっかいを出すこと自体、本来の職務には不必要な行為であり、それまでの主人公にはなかったのではないかと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2008-02-27 04:00:53) |
3340. イル・ポスティーノ
《ネタバレ》 若者と詩人との含蓄のあるやりとりといい、南イタリアの風景といい、悪くない雰囲気ではあるのですが、何か食い足りないのです。なぜかと考えたら、登場人物の日常生活のディテールがあまり考慮されてないから。青年はネルーダと一緒でないときは何をして何を考えていたのか、その辺が創造されていないので、詩人との結びつきも予定調和的に見えてしまいます。主人公があっさりハッピーになってしまったり、ラストでいきなりいなくなっていたりというイタリアならではの強引さは良かったので、そこに5点。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-02-27 03:01:51) |