321. ウォーク・ザ・ライン/君につづく道
「Ray」との構造的類似も気になるが、実在したC&W歌手の伝記、男女間の長年にわたる関係の描写となると、やはりどうしても「歌え!ロレッタ愛のために」という傑作の先例がちらついてしまう(本作のリースの唱法も、「ロレッタ」のシシー・スペイセクにそっくり)。で、初レコーディング時の感動、ヒット曲が出た喜び、絶頂期の観衆の熱狂度などの表現は、先例には遠く及んでいないわけです。家族関係の描写がしつこい割に、内容的にさして目新しくもないのも難点。ただし、ホアキンとリースのステージパフォーマンスの頑張りには+1点。 [DVD(字幕)] 6点(2006-11-13 03:40:59) |
322. 愛についてのキンゼイ・レポート
結構期待したんですが・・・まず、この主人公は道徳や慣習など平気で踏み外すほどの強力でエキセントリックなオタク・パワー(←ほめ言葉)を有していたと思うのですが、そんな役に誠実派の筆頭(?)であるリーアム・ニーソンを当ててはいけません。全然イメージが違ってます。期待していたローラ・リニー様も見せ場らしい見せ場なし。というか、最初は女子大生だったはずなのに、途中からいきなり老けすぎ。あと、根本的な問題として、学者の研究行動を扱っていながら、どこでどういう考察をして、どこでどういう結論に達したのかという基本的な部分が全然押さえられずに、細かなエピソードを詰め込んだだけになってしまっています。つまり、何のためにこの題材を選んだのかが不明ということ。一応、キンゼイ教授という人の存在と、キンゼイ報告の存在を世に知らしめた功績はあると思うのでこの点数。 [DVD(字幕)] 6点(2006-10-02 00:09:22) |
323. 化粧師
再見すると、脚本とかカメラとかも意外に細部まで配慮していることが分かりますね。説明台詞をできるだけ排除しようと頑張った痕跡は窺えますが、やはり何か所か出てきているのは惜しい。キーとなる主人公の仕事場が、いかにもちょっと変わった仕事師が籠もっていい仕事をしそうな雰囲気に作られていて、そのポイントを押さえているのが、全体を支えています。 [DVD(邦画)] 6点(2006-09-20 00:58:47) |
324. サイン
超極私的で小心者的で陰鬱でじめじめした宇宙戦争。実に執念深い強力なSFパロディです。こういう制作者の執念が暴走しているような作品は嫌いではありません。ただの自己満足ではなく、カメラワークなんかもしっかりしています。とはいいつつ、見ていて面白い作品とはやはり言い難いのでこの点数。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-08-22 01:12:54) |
325. 藍色夏恋
《ネタバレ》 地味で起伏の少ない内容なのだが、登場人物の日常を誠実に追い続けており、最後まで興味を持って見ることができる。ユエチェンの方ももう少し見せ場を作ってくれたら、もっと深みが出たと思うが・・・。最後のところで、恋愛についての結論を出さずに締めるのがかっこいい。 [DVD(字幕)] 6点(2006-08-05 22:16:31) |
326. トランスアメリカ
「ボーイズ・ドント・クライ」や「ぼくのバラ色の人生」以上に、性同一性障害の生々しい日常生活に密着した作品。ただし、この2作品と違うのは、すでに主人公は原始的な悩みや戸惑いの段階を乗り越えており、最初の段階で確固たる信念を持っていること。したがって、作品としての掘り下げはより一歩前進している。ただし、作品としては、全体的に平坦なロード・ムービーという趣であり、ほとんどが主人公とその息子の間でやりとりがなされているため、淡々とした印象は否めない。 [映画館(字幕)] 6点(2006-07-23 22:56:01) |
327. 春の日は過ぎゆく
《ネタバレ》 紹介文には「離婚歴があるがゆえのヒロインの心の揺れ」みたいなことが書いてあったような気がしたのですが、そんなものは最後までかけらも出てくることはなく、単に男女の出会いと交際と別れを淡々と描いた作品でした。それはそれでよいのですが、この内容ならば120分近くもいらなかったはず。90分台でまとめられると思います。台詞を極力削り取ったホ・ジノならではの世界は相変わらず良い。 [DVD(字幕)] 6点(2006-07-08 02:53:41) |
328. ブロークバック・マウンテン
前半の緊張感と丁寧さはなかなかだったが、月日が流れるにつれ、段々とどこにでもあるようなシーンばかりになってきて、しかも2人のやりとりも同じようなことの繰り返しになってきて、緩んだ印象になってしまった。単に2人の間の関係だけを描くのではなく、その背景にあるそれぞれの「生活」をきちんと押さえるべきだったと思う。難しい役柄をきちんと乗り切ったヒース・レジャーは見事だったが、ジェイクの方がヒースに引きずられて、人格の対照性を表しきれなかったような気がする。 [映画館(字幕)] 6点(2006-07-02 23:53:57) |
329. アザー・ファイナル
試合の企画自体も素晴らしい(単なるサッカーファンの思いつきというのがさらに素晴らしい)が、その企画に乗ってあげる両国のサッカー協会も何とも素敵。競技の部分だけでなく、両国の日常的風景も含めた映像関係も非常に貴重だと思う。ただし、ドキュメンタリーとして評価した場合は、編集が細切れであり、データ関係の提示も不足しているという点は、マイナスといわざるをえない(関係者のインタビューなど、もっと長く見たかった)。 [DVD(字幕)] 6点(2006-05-30 01:00:41) |
330. リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い
《ネタバレ》 設定からして無茶というかほとんど滅茶苦茶で、あまり期待もしてなかったのですが、意外に収拾がつかなくなることもなく、そこそこ楽しめました。単にお祭り気分で盛り上がるのではなく、ちょっとずつ洒落たエッセンスを注ぎ足しているのもよろしい。一番笑ったのは、Mの正体。そこまでするかよ。 [DVD(字幕)] 6点(2006-04-29 00:54:21) |
331. es[エス](2001)
《ネタバレ》 この興味深い実験をきちんと再現して、映像化してくれたという点では評価できるが、内情を知らなくても明らかにフィクションと分かる場面がいくつもあるのは明らかなマイナス。観察室占拠とか脱走劇みたいな陳腐な盛り上がりよりも、心理的な変化ややりとりをもっと見たかった(そもそもが心理実験なんですから)。ちなみに、肩書大好き・秩序大好き・服従大好きな日本人でこの実験をやったら、3日で中止でしょうね。いや、意外と14日間平和に保つのかな。というか、そっちの方が怖いが。 [DVD(字幕)] 6点(2006-03-12 01:14:01) |
332. クラッシュ(2004)
スピーディーな群像劇で最後まで退屈させずに見せきっているのだが、個別のストーリーの内容が特段目新しいものではなく、しかも結論がうやむやのままに終わっているので、単に都合の良い断片を切り取っただけではないかという印象は拭えない。また、登場人物を善悪はっきりつけないとか、意識的にいろいろな人種を入れ込んでいるところなども、制作者の意図が逆に見えすぎていて興ざめする。それと、アップで追いまくるだけの芸のないカメラワークもいらいらした。ただし、珍しくポイントを押さえた演技のサンドラ・ブロックと、多数の登場人物の中でも強力な存在感のマット・ディロンは評価したい。 [映画館(字幕)] 6点(2006-03-12 01:04:22) |
333. オーバー・ザ・レインボー
《ネタバレ》 ほどよく切なさが漂う良い話です。イ・ジョンジェの悩める青年役もなかなかはまっています。で、本来ならもっと感動できたはずなのですが、そうならないのはなぜかというと、最大の理由は、過去と現在の仕切り方が雑然としすぎという点。結果、ヒロイン以外の女性キャラはほとんど存在が死んでしまい、オチが最初から見えすぎることになってしまいました。主人公の職業がお天気キャスターというのも、工夫なしですね。 [DVD(字幕)] 6点(2006-01-20 01:24:16) |
334. 殺人の追憶
《ネタバレ》 そりゃ、あんな適当でいい加減な捜査だったら、捕まるものも捕まらないでしょう、としかいいようのない作品。不思議なのは、あれだけ犯行が頻発したら相当な大事件のはずなのに、人手が投入されているように少しも見えないことと(最後まで4人ぐらいで実働しているように見える)、集めた情報や資料をもとにディスカッションや方針決定をしている場面がまったくないこと。なので、そもそも刑事たちが熱心に捜査しているように見えません。と、内容だけで見るとそうなるのですが、カメラとか風景設定とかはところどころ異様に優れていたり(これぞ何もないどんよりした田舎町!という撮り方とか)、冒頭と同じ場所に回帰するラストシーンの不気味な余韻はさらに異様に優れていたりして、映画としては強烈に印象を残すという、何とも困った作品。 [DVD(字幕)] 6点(2006-01-11 02:51:24)(良:1票) |
335. MUSA-武士-
この趣旨不明なタイトルからほとんど期待していなかったのですが、なかなか面白い時代劇ではないですか。誰が敵なのか味方なのかはっきりしない、先が読めない序盤から、キャラが加わるとともに段々と勢力が確定して、興味を維持したまま最後の決戦へとなだれ込むのです。ただし、進行が大味で、ところどころ演出に都合の良いように進んでいるのがまるわかりなのが難点です。あと、カメラがちょっといい加減かな。 [DVD(字幕)] 6点(2006-01-05 00:25:22) |
336. リトル・ダンサー
《ネタバレ》 バレエが大好きな子が初志貫徹して頑張りました、と一言でまとめられてしまう内容なのだが、分かりやすい盛り上げを抑えて淡々と主人公の周辺生活の描写に徹しているのが良い。通知書を主人公が開封しているときの、別室での家族の表情と仕草が印象的。 [DVD(字幕)] 6点(2005-12-27 04:04:25) |
337. Ray/レイ
全体的に、1つ1つのエピソードの消化が異常に早くて、かなり目まぐるしい感じはしたのですが、制作者側の力の入り方は伝わってきました。単なるサクセスストーリーではなく、その後のヤクと女に溺れるスターの内幕をきちんと描写しているのがよい。後半は、コンサートで総立ちシーンが繰り返されて、やや単調だったかな。妻や友人たちとの関わりについて、もう少し突っ込んだところを見たかった。 [DVD(字幕)] 6点(2005-10-23 18:28:53) |
338. 私の頭の中の消しゴム
前半は2人が結びつく過程を延々と見せつけているだけであって、肝心のアルツハイマーが表に出てくるのは全体の半分くらいから。バランス悪すぎです。失われる自分と残った自分の間の葛藤、それと夫との関係での絡みなどを描写する余裕があるはずもなく、イェジンも消化不良気味。あと、前半と後半で視点が逆なのも気になります(前半は妻視点、後半は夫視点)。 [映画館(字幕)] 6点(2005-10-22 20:44:54) |
339. 四月の雪
《ネタバレ》 「普通の奥様」を表す中にもさりげない感情の動きをちりばめて見せたソン・イェジンは満点。ヨン様はイェジンにかなり助けられてましたね。前半、ちょっとずつ2人がうち解けていく過程が丁寧で良い(まともに会話をするという段階まででも、相当時間をかけている)。しかし、ヨン様の妻が意識を回復するというのは、この設定においては非常に重要なファクターなのだから、その後あっさり終わるのではなく、もう一つ山場がきてしかるべきだったのではないか? [映画館(字幕)] 6点(2005-09-18 01:30:56) |
340. スウィングガールズ
前半は映画としてはかなりあぶなっかしいのだが、みんなが演奏の楽しさに目覚めて「いい顔」になってからの展開は、やはり良い。演技力や脚本部分の欠落を演奏でカバーするなどというのは、映画としては邪道ではないかとも思えるのだが、それでも、ラストの演奏会でのカタルシスは、そんなことを吹き飛ばすほどのパワーがある。さっぱりと切り上げるエンディングもよい。 [DVD(字幕)] 6点(2005-07-22 00:28:01)(良:1票) |