321. あなたのために
「雰囲気の可愛さ」という武器だけでこの粗く大味なストーリー展開を押し切ってしまったある種の力技に何だか感動。いや、可愛いですね。全体的な雰囲気が。悲惨な話なのに。そしてそれまでは「シャワーシーンだって厳禁!」な姿勢だったナタリーが、ソフトタッチであったとはいえ、ベッドシーンにまで挑戦しているのに軽くびっくり。時は流れた…。彼女はいわゆる“演技派”ではないし、深みを出せる女優ではないけれど、可愛いです。もう、可愛いからいいや。相変わらず華奢で綺麗な人ですね。日本人好みかな。妊婦時代のワンピース&ロングヘアのスタイルがすごく可愛かった。 6点(2004-02-06 15:03:04) |
322. メリーに首ったけ
下品だからだとかキワドイからだとか、そういった明確な理由も特になく、何だか好きではない。分からないですね…アメリカでヒットするH系ラブコメとヒットしないそれとの差が。どれも同じように感じる。なぜこれだけ飛び抜けて高評価なんでしょう。運とタイミングの問題でしょうか。しかもこの作品の笑いのツボと私のそれとがことごとく噛み合わない。この作品の何が面白いのか分からない。分からない…世の中分からないことが多過ぎる。 4点(2004-02-06 14:45:28) |
323. 17歳のカルテ
精神科勤務経験のある友人の話では、「境界性人格障害」の人は一見しただけでは正常な人との違いが分からないそうです。そして人目を引く程の美人がやたら多く、それに関してはちゃんと裏付けがあるそうです。だからこの作品で描かれる患者たちはきっとリアルなのでしょう。ところで、ウィノナの役は17歳じゃないですね。この邦題はおそらく、日本でちょうど「17歳」という年齢が取り沙汰されていたということで、大衆心理に訴える為に考えられたのでしょう。確かに効果的な邦題ですが、ちょっと安直な気もします。 6点(2004-02-06 14:13:00) |
324. 夢(1990)
正直、決して名作だとも傑作だとも思わないし、中盤は冗長で凡庸だとすら感じた。それでも、終盤になると「うーむ…」と考えることも多い。要するに、夢というものには3種類あるのだ。①睡眠時、脳内で起こる記憶整理作用の名称②「こうありたい」という希望、大志の別称③過去の遺物、幻影。消え滅んで行くものの比喩。この作品を最初は①の羅列だと思っていた。しかし、違った。導入部分は確かにそうかも知れない、しかし最終話には、「日本はこうでありたい」という焦燥感すら憶える程の静かながらも凄烈な願望とビジョンが見える。それは明らかに②だ。そして同時に、日本の良いものたち、昔日の美しいものたち、日本の美しい風景が夢と消えつつある、飛沫の様に、うたかたの夢のように消えつつある、という深い深い憂いも感じる。それは③だ。「歳を取ると夢を見ることが多くなる、それは若い頃の夢を見る為だ」という素敵な言葉がある。世界のクロサワだってそれは同じだろう。どこか、日本映画が1番素敵だった時代に生きた「つわものどもの夢の跡」のような余韻を残す作品。映像よりもその行間に重みがある。「こんな夢を見た」その一言が、億千万を語る。これは、クロサワの見た、夢だ。 6点(2004-02-06 13:47:04) |
325. ファミリー(1983)
実話ですね。この前某バラエティー番組で再現ドラマを観ました。その家族愛というテーマを愚弄する気は一切ないのだけれど、映画としては、妙に分かりやすい泣かせ描写に走っている気がして、ちょっと納得出来なかった。ただ、知人にこの作品を「世界で1番泣ける映画」と言っている人もいることも事実。涙もろい方はリットル単位の涙が出ます。 5点(2004-02-06 13:22:59) |
326. マーズ・アタック!
悪趣味。なのに不快じゃない。こんな滅茶苦茶なのに不快じゃない。何でだろう?多分思うにティム・バートンという人はセンスに溢れているからだ。この作品は「センスのある人によるナンセンス」、もしくは「趣味のいい人の悪趣味」。センスのない凡人による悪趣味は無価値だけれど、いかんせんティム・バートンはセンスが良く才能のある人なのだから。やっぱりこの作品には確信犯的なものをたっぷり感じる。みんながみんな勢揃いで、真面目に楽しんで、真面目に遊んでるんです。いい大人たちが出揃って(笑)。 7点(2004-02-06 13:06:16)(良:1票) |
327. 里見八犬伝(1983)
子供の頃に夢中になって観た思い出に7点。子供心にも安っぽい映像だとぼんやり思いながらも、RPG的な展開や戦士たちのキャラ設定は良かったし、薬師丸ひろ子の凛とした姿や真田広之の野卑な色っぽさがとても印象的だった。無駄に豪華で大仰な演出にもあえて乗っかり童心に戻って楽しむ。そんな位置付けの映画でいいと思う。でもこの映画、昔はしょっちゅうTVでやってたのに、最近あんまり放映してくれないなあ…。 7点(2004-02-06 12:48:12) |
328. トータル・リコール(1990)
《ネタバレ》 この作品は自分から積極的に観ようとしなくても、TVで何度もやってくれる。その度に何となく観ているけれど、相変わらず面白い。私はシュワが大嫌いだけれど、この作品は腹が立つこともなく最後まで観られる。単純に楽しい。ここに来て初めて知った別バージョンのラストも観てみたいです。夢オチバージョンがあるなんてびっくりです。 7点(2004-02-06 12:31:46) |
329. 評決のとき
《ネタバレ》 問題自体の重さに対し、法廷劇を見せる手腕が付いて行っていないと思う。人種差別の根深さを問題提起するという意味では成功しているかも知れないけれど、ストーリーがどうしてもご都合主義で破綻が多過ぎるような気がする。裁判の評決の決定打になった一言、あれで、ああ、こりゃ駄目だ、と思いました。人種差別を糾弾する手段も結局、人種差別。分かりゃしませんよ、あの白人の陪審員たちは。本質的にテーマが昇華されませんでした。私は1mmのカタルシスも感じなかった。色んな意味で、やり切れない気持ちだけが残った。 5点(2004-02-04 21:15:15) |
330. ブギーナイツ
安っぽくも華美でエネルギーに満ち、そして虚飾に満ちた一時代が終わった、そんな「祭りのあと」的な余韻を残す作品。日本でのバブルの弾けた後のような空しさにも似て、うたかたの夢と何とも言えない喪失感と虚無だけが胸に去来するような、そしてどこかその時代に対する感謝と慈しみがあるような、そんな作品だと思った。 8点(2004-02-04 20:38:18)(良:1票) |
331. フル・モンティ
「イギリス労働者階級どん詰まりモノ」は好きなのだけれど、これと「ブラス!」はなぜだか世間的な評価ほどハマれなかった(近年の代表的なものなのに…)。以前TV番組の「世界オロロン滞在記(仮名)」で、勝村正信がイギリス行って同じことやってました。嫌で嫌でたまらないのを我慢して頑張ってたところ申し訳ないけれど、引きました。イギリスではこの作品のように普通のおっさん達が実際に男性ストリップをやってます。 5点(2004-02-04 20:23:40) |
332. 太陽と月に背いて
あれだけアイドル人気を誇る俳優が男色シーンも厭わず体当たりだったのには当時驚いたし、凄いと思った。そしてその後しばらくして「御法度」の松田君の演技を観て、更にディカプリオの凄さを思った。でもこの作品でどうしても突っ込みたいのは、ディカプリオが幅広い年代を演じたけれど、どうしても中年バージョンの姿に納得がいかなかったこと(笑)。あんな筋張った無駄肉のない少年体型の中年がいますか。あの無理矢理な中年メイクはどうかと思います(笑)。 6点(2004-02-04 17:57:21) |
333. アンダー・ザ・スキン
私がサマンサ・モートンを好きになる契機になった作品。クリスティーナ・リッチ以降ずっと気になる外タレ女優は現れなかったのだけれど、彼女は久々にキた。彼女、当時まだ19歳だったのに、こんなに生々しい演技が出来るなんて。この女優は何やら色々と背負ってそうだな…と思ったら、結構波乱万丈な人生だそうで。とにかく彼女は、時には身をえぐる位の自傷的な勢いで痛々しく人生にぶち当たって行く女性を演じさせたら一品な女優。彼女を知ったことを添加して、私の中では結構高評価な作品。 8点(2004-02-04 17:37:30) |
334. ひなぎく
《ネタバレ》 この作品はとても不思議で、全く何のメッセージ性も考えず「ただただ可愛い!」ということに酔うだけでもいいし、隅の隅まで深読みし、穿った考え方をするのもいい。60年代のファッションやインテリアのデザインと色彩感覚は素晴らしく素敵だし、2人の女の子はとてもコケティッシュでキュート。それに加え、映像のコラージュ、唐突な光学処理、確固とした筋のないブツ切れのストーリーなどは、それだけ見ても前衛的で衝撃的。とにかく脱帽しても足りない程のハイセンス!究極の女の子映画!…それで完結してても充分だけれど、この作品の時代背景と辿った道を少しでも考えたなら、やっぱり何かがありそうだ。冒頭のシーンの忙しく画一的な動きをし続ける歯車はおそらく、当時のチェコの共産主義情勢の比喩であり、唐突に映る日光浴をする彼女達2人の自由な姿と対比させられる。彼女達はおそらく資本主義の象徴であり、作中に登場する、狭いトイレで小金を稼ぐのに必死で、彼女達の来訪を喜ぶ女性や、彼女達の姿が見えない自転車の黒服の花屋達などは、まさに資本主義に憧れる者や共産主義体制下で「自由」という概念すら見えない者の象徴だろう。しかし、ラスト付近ではそのパラドックスが起こる。美しく丁寧に料理された政党の為のご馳走を踏み付け、蹴散らす彼女達の姿。物言わぬ者を問答無用に潰す姿には、資本主義の暴走や戦争の姿を見る。そしてそうした者へもたらされる運命。因果応報のラストと、爆撃を背に、画面に打たれる監督のあのメッセージ。これを撮った後、監督のヴェラ・ヒティロヴァは7年間の活動停止を余儀なくされた。やっぱりこの作品は只者ではない。 10点(2004-02-04 17:09:05)(良:1票) |
335. パリ、18区、夜。
何の先入観も持たずにこの作品を観始めてしばらくし、ひどい違和感に気付く。何だろう、以前同じ感覚を覚えたことがある…、そうだこの感覚、アゴタ・クリストフの小説「悪童日記」を読んだ時の感じと酷似している。つまり一切の感情描写がないのだ。一人称での語り口切り口でありながら、ひどく客観的。まるで他人事のよう。何というか、村上春樹を重症にした感じだ。強烈な疎外感と共に置き去りにされたような、それでいて観る者にも分からないように巧みに心の奥底に何かどろどろしたものを残して行く。描写がないからといって、感情がないのではない。画面からは強烈な獣性と暴力を感じる。随分経って、この監督のインタビュー記事を読んだ。それは別の作品に関するものだったが、とても気になる言葉があった。「映画はポエティックでありながらも人間の獣性がみなぎっているものでありたい」。そうこの言葉、まさにこの作品にぴったりだ。 8点(2004-02-04 16:23:07) |
336. ANA+OTTO/アナとオットー
映画自体がまるで青銀色の月の光のように静かに絶え間なく発光している。内省的な月の光のような、冷えた美しい詩の羅列のような、そんな情感に溢れた映画。まるでずっと北極線の上にいるような、一本ぴんと張った線の上で進行するような、危うく切なく美しいラブストーリーでした。私にとって、ずっと食わず嫌いだった恋愛映画もいいなあ…と思う契機になった作品。 9点(2004-02-04 16:04:48)(良:1票) |
337. 白い家の少女
《ネタバレ》 少女時代のジョディー・フォスターがとても妖艶。若く、美しく、尊大で、卑怯な位に魅力的。全篇を包むショパンの調べと、少し粒子の粗い美しくミステリアスな映像。ディテールの1つ1つ全てが印象的。丘の上の一軒家。金髪の美少女。姿を見せない父親。地下室。アーモンドの香りの紅茶。私が初めてこの作品を観た時、主人公の少女は年上だった。だからこの作品の魅力が分からなかったのかも知れない。今はあの13歳の少女が随分遠い。だからこそあの時とは比較出来ない程にこの作品が美しく、魅力的に思える。あの少女は今もあの白い家で1人、年を取ることもなく、あの姿のまま暮らしているような気がする。 8点(2004-02-03 23:58:06) |
338. アイズ ワイド シャット
この作品を観て何だか、恐ろしく磨き込まれて冷たく白光りする、石の床で出来た直線的な広い空間をイメージした。恐ろしく天井が高く、硬質で無駄のない排他空間。何だか入って行けない。全てが空々しく、熱を持たない。何者も属せず、あの夫婦だって属し切れていない。葛藤が生々しさを帯びる前に全てが空寒く弾き飛ばされて、全てが空回りするというか。「広く閉じられた眼」だって。しょっぱなから否定的で排他的で、何だか入っていけない。高尚な悪夢って感じ。そんな作品。 7点(2004-02-03 23:43:56) |
339. マイ・フレンド・フォーエバー
意外にもこれは輸血感染のエイズ患者を扱った初めての映画だとか。10代の男の子特有の必死ながらもどこかふて腐れた雰囲気を醸し出していたブラッド・レンフロと、どこか達観し、怜悧な諦観の中に生きている幼くも大人びた患者役のジョセフ・マッゼロは良かった。でも私は実のところ、主役はあなたたちよ、と少年2人に道を譲ったアナベラ・シオラの抑えた演技に最も心を奪われたのでした。 6点(2004-02-03 23:24:52) |
340. 7月4日に生まれて
オリバー・ストーンが監督のせいなのかそもそものテーマのせいなのかはよく分からないけれど(多分両方)、思想強要的な脂臭いアプローチが鼻につく。主人公(ひいてはアメリカ)の壮大な自作自演を見ているようで、始まって比較的すぐからげんなりして来た。トム・クルーズやキーラ・セジウィックが若い。でも後半にちょっと出て来るリリ・テイラーはもっと若い。ちょっとびっくり。ウィレム・デフォーはあんまり変わらない。 4点(2004-02-03 23:02:47) |